「提督は…仕事ですか。」
起きたら一人だったのでビックリしました。提督は着替えて仕事にいったみたいですね。よく見たら机の上に書き置きがありましたし、そもそも慌てる必要もないのですが…どうも臆病というのはなおらないものです。
「もう、起きなきゃ…。」
提督が置いてくれたのでしょう、ここ何日か二人で寝ていたベッドには丁寧に畳まれた制服がおいてあります。ただ、なんであの人が私の下着まで準備できるのかはわかりません。
「…ねむ、いです。」
昨日、提督と一緒に町に出てアキさんのお店に行ったりショッピングセンターに行ったりしたのがまだ残ってるみたいです…いや、でも人の布団で二度寝って……。
コンコンコンコンッ
「んにゅっ!?」
…ビックリして変な声出ました。
「ちょっと待ってください…すぐに開けますから…。」
ガチャ、ガチャガチャっ
「提督、秋雲なんだけど!」
あ、ダメだこの人待てないタイプの人だ。それとも寝起きで私の声が出ていないのか。
ガチャッ
「あれ、提督は?」
「お、お仕事で執務室の方にいると思います…。も、もしもお急ぎでしたら内線でお伝えしたらいかがでしょうか…。」
「いや、そんなに急いでた訳じゃないんだけどね?提督って意外と朝が弱いところあるじゃん。…まぁ、二度寝されないように大声だしただけなんだけどさ。」
「そ、そうですか。」
「…そういえば、見ない顔だねぇ、なんて名前?」
「えっと、友鶴です。千鳥型水雷艇の三番艇です。」
…そういえば私、さっき起きたばっかりで顔も洗っていないんですが…
「ふぅん、これが噂の友鶴かぁ。」
「はい、あなたは…えっと、陽炎型ですか?」
…誰かが言っていました。駆逐艦で名前がわからなくてセーラー服じゃなかったらそう言えばいいって。ちなみにセーラー服を来ていた場合は〝特型ですか?〟と聞いておけば大丈夫だろうって。
「お、よくわかったねぇ。制服とか夕雲型だから間違える人多いのに。というか、秋雲さんも昔は夕雲型だと思ってた時期あったし。」
秋雲さんってどこかで聞いたことあるような気がしますね。どこか、どこでしたっけ…あ、夕張さんの部屋を掃除したときに見つけた漫画の作者さんはこの鎮守府にいる秋雲さんなんだって話をした気がします。
「そういえば、提督にはどんなご用で?」
「え、あぁ。暇だし、被写体になってくれないかなって思ってさ。」
あぁ、なるほどだからスケッチブック持ってるんですね。
「あ、そうだ!せっかくだから秋雲さんがイラストでも描いてあげよう。」
お待たせしてすみませんでした。
ちなみに10月1日は友鶴の進水日です。