「それでは、皆さん抜かりなくお願いネー。」
<わかったわ、暁達に任せなさい!>
「それじゃあ、失礼しマース。」
カチャンッ
今日の予定を電話で第六駆逐隊に教えた。大会議室の掃除はこれでなんとかなるでしょう。
「もしもし、提督ですか?もしもし、もしもーし…。」
「大淀、言いづらいんだけどサ…提督のケータイが1つ引き出しの中で鳴ってるヨ。」
提督は、ケータイを複数個持っていますから普通に連絡はできるし心配事があれば私から連絡する事もできます。
「まったく、変なところは抜け目ない提督ですね。一応、友鶴ちゃんの外出許可書は昨日の日付になって通っていますが、肝心の提督自身の方が印鑑を押し忘れています。」
「印鑑なら右の二段目の引き出しの奥デース。
…榛名、ちょっと誤字がありマース。」
「す、すぐに直します!」
今日はやることが山積みですが、手を抜くわけにはいきません。全ては提督を動きやすくするために必要な準備ですから。
「それじゃあ、ここはみんなに任せるネ。」
「わかりました金剛お姉様。ここの指揮は艦隊の頭脳である私、霧島にお任せください!」
さてと、ここから先が重要ね。
酔った勢いで執務室にある電話を壊してから何となく行くのを躊躇っている居酒屋〝鳳翔〟…。
「こんな時間にどうしました?提督なら友鶴ちゃんと一緒に外出してますよ。」
「鳳翔さん。貴女にいくつか頼みたいことがあります。…この手紙を届けてくれませんか?」
正規の手段で送ると途中で反艦娘派に妨害を受ける恐れがあるから零戦か何かで手紙を届けて欲しい。
「提督と友鶴ちゃんのためなんです。」
「えぇ、頑張ってみますけど…片言じゃないんですね。」
「まぁ、キャラは大事だけどTPOは大切にしなきゃだめネ。」
鳳翔さんの使っている零戦の妖精さんのほとんどは高練度であり、夜間飛行ができる者も多い。航続距離だけなら秋津洲の二式大艇を使っても良かったけれど大きすぎて目立ってしまう。その点、どこの鎮守府にもおいてありそうな零戦なら大丈夫でしょう。
「5日以内でお願いできマス?」
「…いいでしょう。ただ、私一人では荷が重いので龍驤さんにも手伝ってもらいましょう。護衛のための機体も飛ばして貰いたいですし、手数が多いに越したことはありません。」
「oh、流石は鳳翔さんナイスなアイデア!
…それでは皆さんぬかりなく。」
≪お姉様、昼食ができました!この比叡が気合い、いれて、作りました!≫
「…オワッタ。」
あぁ、神よなぜ私を見捨てるのです。
「お、お互い頑張りましょうね。」
ちなみに電話を壊したその日、金剛は階段から落ちたらしい。