艦娘?いいえ、不良品です。   作:バイオレンスチビ

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お茶会

「た、竜飛さん…し、知らない名前ね。そうよね、山城?」

 

「はい、私も何も知りません!」

 

「「?」」

 

扶桑さんと山城さんも知らないのですか…。時雨ちゃんも知らないって言ってたし、お母さんに聞くのもなんだか気がひけるし…。

 

「時雨、そんな事より何か面白いことなかったの?ほら、駆逐艦の寮なんだから何かしらあったんじゃない?」

 

「う~ん、若葉が無駄にキラキラしていたとか…五月雨が夕張とホラーアニメ見に行って僕達の部屋に三日間帰って来なかったとか?」

 

夕張さんのお部屋には恋愛アニメからロボットアニメまでいろんなジャンルのDVDと漫画雑誌があります。ちなみに散らかってしまって足の踏み場もない状況になると五月雨ちゃんがお片付けに行って綺麗にします。時々、私もお手伝いしますが…あの部屋は本当に転びます。

 

「あら、時雨だって<怖い夢見た>ってよく布団に潜り込んできたじゃない。」

 

「ちょっ山城!?いわないでよ!!!」

 

「へぇ、時雨ちゃんでもそうゆうことしたくなることがあるんですね。」

 

正直言って少し意外です。いつもしっかりしていて白露型駆逐艦の姉妹のまとめ役をしている時雨ちゃんでも甘えたくなることがあるだなんて。

 

「僕だって色々あるんだよ。でもさ、いくらなんでも文字通りに押し潰されるって信じられるかい?」

 

「な、なんのことかしら…。」

 

「まぁ、山城の寝相は良いとは言えないわね。それにしてもまさか、深夜に駆逐艦を抱いて入渠場に走るはめになるとは思わなかったわ。」

 

「大丈夫だったんですか?」

 

「えぇ、窒息して危なくなってただけだったみたいで流石は幸運艦よね。」

 

それって大丈夫なんでしょうか…。まぁ、死んでないということは大丈夫だってことで良いんでしょうけど。確かに二人とも(何がとは言いませんが)大きいですからね…。

 

「そんな事いってますけど、扶桑お姉様だって友鶴ちゃんと初めてあったとき事件を起こしちゃったじゃないですか。」

 

「へぇ、何をやったんだい?」

 

「いや、あれは事故なのよ…。」

 

そう、確かに死んじゃいそうにはなったけれどアレはたぶん事故でしかないと思います。

 

 

 

 

 

あの日は……。

 

旧演習場

 

「…なんだか騒がしいですね。」

 

「こんなに風が強いのによくやるわよねぇ。」

 

隣の演習場では大きな艦娘(たぶん主力艦)の人たちが演習を行っていました。

 

「まぁ、主力さん達のことは私達にはあんまり関係ないでしょう?。」

 

「そうですね。」

 

そう、今日は珍しく提督が酸素魚雷の実弾を使っても構わないと言ってくれたので龍田さんと一緒に練習しに来たのです。

 

 

「お、重たい…?」

 

「そうね…でも、今までの魚雷からかなり進化してるのよ?」

 

ブゥ…ン

<キャー!ワタシノズイウンガ!!>

 

「威力も射程も今までとは比べ物にならないから、誤射とかには今まで以上に気を付けないといけないわね。」

 

ブゥーーン

<アレ!?アッチッテ…>

 

「へぇ、誰かやらかした人がい<ズガァアアアン!!!>…。」

 

気が付いたら音を立てて世界が回転していた。視界の端に飛んでいく右足が見えたような気がした。不思議と痛みは感じなかった。

 

「…友鶴ちゃん!?しっかりして!こっちを見て!!龍田お姉ちゃんだよ、ほら!!!」

 

 

 

 

……。

………。

「う…ぅん?」

 

「あらあら、起こしちゃったかしら?」

 

枕元にはなんだかご満悦な様子の龍田さんが座っていました。

 

「私…どうしたんです?」

 

「とある初心者が使っていた瑞雲が強風に煽られて魚雷発射管にぶつかったみたい。あぁ、大丈夫よ?沈めてないから。」

 

足は…くっついているけど…少し、違和感がある。この感じだと何日か車椅子でしょうか。

 

「まぁ、わかっているでしょうけど何日かは車椅子か〝ナニ〟かになるわね。」

 

「そうですか…。」

 

「まぁ、その〝ナニ〟がそろそろ着く頃かしら?」

 

 

 

<コンコンコンコン>

 

「入って良いわ。」

 

ガラガラ。

 

「し、失礼します!えっと…友鶴ちゃん本当にごめんなさい!」

 

「ふぇ!?」

 

何故かボロボロな女の人が入って来ました。激しく渦巻く負のオーラが更にホラーです。

 

「扶桑型戦艦、姉の方の扶桑です。…この度は御迷惑をおかけしてすみませんでした。」

 

「ふ、扶桑さん?何でそんなにボロボ「階段から落ちたのよね?」…。」

 

「は、はい。ちょっと階段を踏み外しまして…。」

 

それから数日間、龍田さんがお仕事の時は扶桑さん姉妹にお世話になりました。

 

 

 

 

 

 

 

「なんと言うか、とんでもない出会い方だったんだね。

…ところで本当に階段から落ちたのかい?」

 

「それは「そうよね?」…。」

 

 

「「「「た、龍田さん?!」」」」

 

「友鶴ちゃん、私の分もお茶淹れてくれる?天龍ちゃんが入渠してて暇なのよ。」

 

「は、はい!」




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