「あれ、君たちどうしたの?」
白い軍服のお兄さんが歩いてきた。金髪のロン毛で何というか凄くチャラい…。
「僕さぁ、まだ新人でね?ま、学校内でも優秀だし、親父も偉いからぁ身分と金だけはたくさんあんだわ…なぁ、君ら艦娘だろ?暇してるんなら僕と一緒に遊ぼうよ。」
…
「ボクたちは提督を待っているのでそういう訳には行かないんですよ。」
バッサリと切り捨てる時雨ちゃん。
「へぇ…何て言う提督なんだい?なぁに、許可を取ればいいんだろう?」
「敷島提督です。」
男の表情が消えて冷や汗をかいているのが嫌でもわかった。名前だけで脅えられるって提督は一体何者なのだろうか…。
「へ、へぇ…教官殿が今や提督でございますかぁ…。」
「そだよ。」
そうだったんだ…ん?
「「提督、いつの間に!?」」
いつの間にか男と私たちの間には提督が立っていて男の顔は真っ青になっていた
「きょ、教官殿…お早う御座います!」
悲鳴に近い声でそう言いながらガチガチになりながら海軍式の敬礼を決める男。
「君は、一体何をしているんだね?全く…ウチの娘が怖がってるじゃないか。誰彼構わずナンパしようとするんじゃないよ…それとも君はロリコンかい?」
「わ、私はただ博愛主義なだ「だまらっしゃい。」…」
その後、男は涙目になりながら何処かへ立ち去った。
時雨ちゃん付けといて良かったわ…友鶴ちゃん一人にしておくと不安だし、電ちゃん(未覚醒)とかだとお持ち帰りされかねないし…。時雨ちゃんはNOと言える駆逐艦だからね。無意識なのか時雨ちゃんの右腕に抱きついていた友鶴ちゃんが顔を真っ赤にして謝っている姿も可愛らしい…あれ?ちょっと私、ながもん病がうつった?可愛い物が好きで何が悪い!
「友鶴ちゃんの私服を買いに行こうと思うんだけど何処か希望のお店とかある?」
首を横に振る二人を見て考え込む…あまり人気のある所は得策ではない。友鶴ちゃんはタダでさえ方向音痴なのだ。となると知り合いのあの店がベストかしら。
「じゃあ、私の知り合いがやってるお店にしようか。」
あの店は主人の趣味からか様々なジャンルの服を揃えている。ちなみに鎮守府の売店にある服の一部もこの店から取り寄せている。一人前のレディーのお店は何でも揃っている物なんだとかどうとか…。
「いらっしゃいませ。敷島さん?お久し振りですね。」
出迎えたのは二代目の暁ちゃん。ロシア生まれの帰国子女(?)だ。夢は特Ⅲ型の暁ちゃんにお母さんと呼ばせること。
「お久し振り。早速で悪いけどこの子に似合う服と水着をよろしく。」
「はい、わかりました。んじゃ、ちょっとこっちにおいで?一人前のレディーが似合う服を持ってきてあげよう。」
流石は駆逐艦、速い速い。あっという間に暁ちゃんに手を引かれた友鶴ちゃんは店の奥へと消えて行った。
時々店の奥から聞こえる悲鳴とかは気にしてはいけない。
「さて、時雨ちゃんも服を選ぼうか…。」
「え、いいのかい?」
フフフ…これは勝負なんだよ。
「最近、服が減ってたり伸びてたりしたでしょ?」
え?という顔をする時雨ちゃん。
「何で知ってるの?」
不思議そうな顔をする時雨ちゃん。長門も手を出さないような悪事に手を染めた輩がいただなんて純粋なこの子に伝えていいんだろうか…しかし、これは言わねばなるまい。
「私、見ちゃったのよ…脱衣室で山城が貴女の服を脱ぐ所を……。」
「嘘でしょ?山城が山城がそんなことを…。」
残念ながら長門ではなかったわ。
「提督、ボクの分の服は山城の給料から引いといてほしいな。まったく…黙って持ってくなんて酷いじゃないか。」
あ、申請すれば持っていっていいのね。
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