「艤装、問題なし!ただ…実はこの新式の弾を使ってほしくてねぇ。」
目をギラギラさせながら私の艤装を出してきた夕張さんは紫色の弾薬を持ちながら狂ったように笑っている。目に理性というものを感じられないからこの人は怖い。時雨ちゃんも固まっちゃってるし…五月雨ちゃんが見たら泣いちゃうと思う。実際、私もこの人と初対面の時は怖くて提督の後ろに隠れて震えていた覚えがある。
「け、検査、ありがとうございます。ところでその弾、どんな弾なんですか?」
一応、説明くらい聞いておきたい。前回、撃ってみたら閃光弾で観測してた全員(私も含め)が倒れたことは強烈に覚えている。
「よくぞ聞いてくれました!これは濃縮した比叡カレーエキスを磯風料理にブレンドして毒性を高めた物が入っていまして…なるべくそれを広範囲に撒き散らし、敵を一気に殲滅する弾ですね」
それ…ある意味化学兵器だよね?後、時雨ちゃん、なんかすごい顔してるし、それ…女の子のして良い顔じゃないよ?
「時雨ちゃん、大丈夫ですか?」
ちなみに私が撃つ〝駆逐艦用の三式弾〟などはこの人達の作品です。
「大丈夫…取り敢えずここの夕張さんがイカれてることはわかったよ。」
何処か諦めたように言う時雨ちゃん。まぁ、ここの夕張さん達がマッドなのは今に始まったことではないし、もう手遅れなのは言うまでもない事実だから仕方ないけど…。
「か、化学兵器は良くないと思います…海、汚れちゃいますし思いっきり〝毒〟とか言ってますし…。」
…
……。
「そっか…それは残念だな…武装比率20%越えというロマンを実現する君でもダメなのか…。」
いや、別に好きで重たくしてる訳じゃないのですが…。それにその武器…ちょっと、いやかなり比叡さん達に失礼なような気がする……。それに後で霧島さんとかにバレたらタダではすまなそうだ(ここの霧島さんは何故か恐ろしいほどに近接戦が得意)。
「まぁ、艤装のほうは特に弄った所はあんまりないし大丈夫だろうけど後で感想聞かせてね?」
「「ありがとうございました。」」
「そういえば次はどこに行くの?」
「提督が一緒に出掛けるって言っていたので合流のために戦艦敷島のレプリカがあるところまで行きます。」
大本営の敷地内のいろんなところに飾ってある歴代の連合艦隊旗艦のレプリカ。その中の1つに敷島もきちんと入っている。
「どこにあるかわかってるよね?さっきから同じ場所を行ったり来たりしてるけど…。」
…
……。
「おかしいですね…確かここだと思ったのですが。」
目の前にあるのは厳ついおじさんの像…しかも【榎本武揚】と書いてある…。
諦めて提督をここに呼んだ方が早そうです…。
更新遅くてごめんなさい。
次回からもよろしくお願いいたします。