「…!!」
レシプロ機特有のプロペラ音と爆発音,衝撃が私の今にも飛んで行ってしまいそうな意識を覚醒させる。
多分この艦載機を発艦させたのは【お母さん】だ。
被害状況を確認すると単装砲が壊れていて機銃座は全滅。連装砲は片方が撃てなくなっていて破片が傷つけたのか肩から出血している。
貫通された私の腹部はオカアサンの腕が栓になっているのか出血はそんなにひどくはない。
オカアサンの注意が艦載機に向いている間に腰に装備された大型ナイフを2本とも抜き、右手でオカアサンの腕を切り裂き左手で刺突を叩き込む。
「ウグァ!!?オマエモワタシヲヒテイスルノカァ!!!!」
その瞬間、オカアサンの腕が斬られたはずの腕が動き出した。
「…!?!!?」
体内で蠢く腕によって言葉に出来ない痛みが私を襲う。
でも、ま だ 死 ね な い。
いや、死 ぬ わ け に は い か な い
力が入らない。狭くなった視界が更に歪む。
私には帰りを待っていてくれる人がお母さんがいる。だから死ぬわけにはいかないんです。
敵放った魚雷のの雷跡が迫る。
避けなきゃ。体が軋む。避けなきゃ。痛い。
あ、当たる…!
「文字どおりの悪手だな…この長門を怒らせたのは!!」
体が持ち上がる。
魚雷は長門さんの股をすり抜けていった。
「長…門さん?」
「あぁ長門だ。もう少しだ頑張れ‼」
長門さんの41㎝砲が火をふく。
「ナゼココマデコレタノダ?ダンマクモアッタハズダ!!」
そう、こいつの背中の砲はいまだに火を吹き続けている。
「ビッグ7の力を侮ったな?私を沈めたいなら核でも持ってこなきゃ無理だというのに。まぁ、今は核でも沈まないがな…!!」
長門さんの鋭い蹴りがオカアサンの顔を直撃する。
飛んでいくオカアサンに魚雷を撃つ。
爆発して煙の中から出て来たオカアサンにお母さんの艦載機が突っ込む。
「オカアサントイッショヨニイヨウ?」
声が聴こえる。
「オカアサントイッショヨニイ「友鶴ちゃんのお母さんは私です!!」」
「ウソダァ!!!ワタシガ…ワタ「お母さぁん!!」」
長門さんが私をお母さんに渡す。
「血が繋がった存在なら家族なのでしょうか?否、愛の有無があるからこその家族です!貴女は友鶴ちゃんを愛していなかった。虐待までしてこの子を踏みにじっておいてなぜ貴女は母であると言えるのですか!!」
ズルリッ
お腹に刺さっていた腕が落ちた。
「ドウシテミンナワタシヲヒテイスルノ?」
オカアサンは黒い煙となって消えていった。
栓になっていた腕がなくなってとんでもない勢いで血が吹き出る。
私の意識は飛んでいった。
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