「提督さん、どう言うことですか!?」
目の前の男性が怒鳴る。
「どうもこうもありません。彼女は今、任務中です。人類のために働いてもらっているところです。お引き取りください。」
私が冷静に伝えてもダメなのか…?
「妻が、妻がつれてったんですか!?」
「任務中と言ってるでしょ!それに貴方の奥さんなんて見てませんよ‼」
「何が起きても知りませんよ…。」
男は気持ち悪く笑いながら呟いた。
≪提督!!助けてください!!!≫
突如緊急通信が入った
「どうしたぁ!?」
≪めっちゃ強い新型?がいます!しかも友鶴ちゃんばっかり狙って…きゃあ?!≫
「古鷹!?」
≪大丈夫っかはぁ?!て、敵がつ、追撃してきます!!≫
「なんとか持ちこたえてくれ!!
おい!大淀さん、長門とか金剛とか呼んで来て!!」
「わ、解りました!!」
「いつまでも突っ立ってんじゃねぇ。邪魔だ。」
男に言い放つのは鎮守府古参メンバーの一人、天龍。
「お、俺は娘のために…「うるせぇ!何が娘のためにだよ、その娘が死にかけてる時にへらへらしやがって!経歴も調べさせたが…てめえ、なにもんなんだ!!」」
…
……。
「なにもんだって?元研究員だ。人間を使って深海悽艦と戦うための研究をしていた研究員だ。」
…ふざけるな。
「友鶴達があんなになったのもお前のせいか?」
天龍の怒気がビリビリと伝わって来る。
「いいや?あれは弟の実験の結果だよ。もっとも、失敗作だがね…。フハハハ!!人類のために身を捧げた自慢の娘だよ!!傑作だよ傑作。」
「てめえぇ!!」
天龍が刀を抜く。
「天龍さん!お止めください!!」
大淀が斬りかかろうとする天龍を全力で止める。
「命を…人間をなんだと思って…!!」
「オモチャですかね?」
私は、静かに部屋を出た。
指令室のほうに召集をかけることにしよう。
誰もいないね…。
…。
……。
「くそ野郎がぁあ!!!」
思わず壁を殴る。何度も何度も…。怒りが収まらない。
これでも一応戦艦だ。壁がべこべこへこむ。
沸き上がる憤怒に任せて拳を叩きつける。
ガシッ!!
誰かに止められた。
「提督…もうやめるデス。
手から血が、いっぱい血が出ますよ。」
金剛…。
「すまない。冷静さを欠いていたようだ。」
「そんなことより止血しなきゃデース。」
「君の綺麗な手を汚してしまったことへの謝罪とさっきのお礼という事で後で一緒に入渠しようか?」
「ついでにティータイムもしましょう!」
指令室を見渡すと呼び出した連中が揃っていた。
「さぁ、戦争を始めるよ!!!」