艦娘?いいえ、不良品です。   作:バイオレンスチビ

2 / 79
のんびりとした日常


その娘は不良品

寮の中で

1人、部屋の中でベッドの中で

膝を抱える少女。

 

細身で小柄で

小学生か中学生になったばかりのような体格だ。

 

「今日も眠れなかった。

食欲もない

まったく、困ったな…。」

 

彼女は呟く。

 

ゆっくりとドアに向かって歩き出し、

 

ガチャッ

 

あける。

 

 

 

食堂に行かなきゃ。

心配かけたらいけない。

 

よろよろしながらも

何とか食堂に着いた。

 

「おはよう、友鶴ちゃん。

もしかして、今日も眠れなかった?」

間宮さんが話しかける。

「おはようございます。間宮さん。

まったくもってその通りです。」

 

こまったことに、

調子が悪い日は

高確率で悪夢をみる。

自分が1人、海に立っていて

敵の戦艦やら空母が

たくさんたくさん迫って来て殺られる。

そんな夢だったり

ゾンビのような自分に追いかけられたり

研究所にいるときに受けた実験だったり…。

とにかく、

寝られた物じゃないし

寝たら寝たで

寝起きが致命的に悪い。

その上、夢と現実が一時的に混乱したりする。

 

そして、

この謎制度。

きちんと起きて来るか、

食事をとっているか、

間宮さんが私のことを提督に知らせるのだ。

 

さりげなく、

赤城さんの横に座らせてもらう。

 

「何を食べる?」

「食欲もないんですけど…。」

「ダメ。何か食べなきゃ。」

「じゃあ、aセットで…。」

「わかった。じゃあ、ちょっと待ってね?」

間宮さんが厨房に行く。

 

「赤城さん、今日もよろしくです。」

「はい、喜んで。」

 

食べきれない分は、

赤城さんに食べてもらう。

もう、慣れたものだ。

 

そもそも、

水雷艇って燃費の良さが特徴の一つだしね。

 

「はい、どうぞ。」

「ありがとうございます。」

料理を受けとる。

そして…。

 

赤城さんにサインを送る。

 

シュバッ

 

主菜がなくなる。

 

今日も

デザートと

このスープだけでいい。

 

赤城さんは、

お腹いっぱい食べられて

私も

残さないで食べられて

 

両者共に利益しかない。

 

 

 

さてと、

部屋に戻るとしよう。

「ご馳走さまでした。」

 

部屋に帰るために

再び歩き出す。

 

 

「ん?友鶴か。おはよう。」

 

「おはようございます。長門さん。」

この鎮守府最強の長門さん。

あだ名は、ながもん

何故かこんな私にもやさしい。

 

「どこに行くのだ?」

「今日は調子が悪いので部屋に帰ろうかと…。」

「たまには、外の空気に触れろ。

そうだ、一緒に散歩に行こうではないか。」

「いや、その「大丈夫だ。背負ってやる。」」

どうやら拒否権はないらしい。

 

まだ早朝といえる時刻である。

時計でも、05:00

寝られた日なら起きるのが10:00

こう考えると我ながら

不健康だなぁと思う。

 

しかし、

長門さんの背中は…落ちつ、く…。

 

 

 

 

結果

私は、一時間近く長門さんの背中で寝ていたらしい。

 

「ごめんなさい。寝てしまいました。

ご迷惑をおかけしました」

 

「大丈夫だ。どうだ?良い夢見れたか?」

 

「夢も見ないほど爆睡してました。」

 

「ん。まぁ、睡眠は大切だからな。」

何故か嬉しそうな長門さん。

 

この後

私は、無事に部屋に戻った。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。