艦娘?いいえ、不良品です。   作:バイオレンスチビ

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戦いの終結

長門を旗艦とした部隊は危機に瀕していた。

新型艦なんてものは何処を見ても居らず、いるのは飛行場姫そしてその配下達。

配下の中に駆逐凄姫等といった姫級も見られる個体も含まれている上にエリートやフラグシップも多く含まれていた。

「何なんだこの敵部隊。撤退だ‼」

長門の叫び声と共に撤退戦が開始される。

 

 

この戦いは熾烈をきわめ、大勢の大破者を出した。

しかし、途中に入った突然の提督出撃の報告により撤退の足は速まり、敵艦隊を退けて轟沈なしで無事撤退した。

ただ、鎮守府の資材が枯渇し入渠上が満員になることは避けられなかった。

提督が敷島という名と知っていたものはいたが、

敷島型戦艦一番艦の敷島と知っていたものはいなかった。尚、提督は上層部による査問を受ける模様。

【鎮守府新聞】

 

 

 

 

 

「朝ですよ~。」

眠り続ける友鶴ちゃんに声をかける。

目を覚ます気配もない。

「おはようございます。」

それでも諦められない。声をかける話し掛ける。

プリンを出しても反応しない。

病室のベッドの上に眠るこの娘は、

1ヶ月も寝たままだ。

こぼれ落ちる涙を拭い、笑顔を装う。

ガチャ

明石さんが入ってきた。

「うーん、今日もか…。」

「この娘はどうなるのでしょうか?」

「取り敢えず貴女に賭けてみるか?」

「え?」

「いい?説明するよ?」

この妖精さんの能力で心から治したいと思う。

資材が枯渇して手足が復活できてないのは仕方ないけど

意識を戻さなきゃそろそろまずい。

結果的に言えば精神世界に入って助け出さなきゃダメ。

「わかりました。」

「じゃあ、この妖精さんと友鶴ちゃんに同時に触れて?」

言う通りにした。

 

 

目を開けると廃墟が広がっていた。

酷い嵐で友鶴が心配になる。

港には沈没寸前の水雷挺友鶴があった。

建物はどれも壊れていてぼろぼろ。

地面には瓦礫とガラスが散乱し足の踏み場もない。

 

雷が落ちる。

ん?

かすかに聞こえた。確かに聞こえたその声は…。

私の可愛い娘の声。

 

走り出す。

走れ。

あの娘を助けなきゃ。

あのときのような後悔はしたくない。

教え子が娘が死ぬのは護れないのはもう嫌だ。

 

 

 

建物の扉を蹴破る。

そこにいたのは、膝を抱えて座り込む小柄な少女。

探し求めていた友鶴。

「雨、凄いね。」

話し掛ける。

「…怖い。また一人散るの?誰も守りきれずに…。」

応答。

「もう、貴女を独りになんてしない」

「本当に?」

「はい。絶対に独りになんてしません。

だから約束して?私を独りにしないって。」

「わかりました。…約束です。」

小指を差し出す友鶴。

温かい手。ここにいるとはっきりとした証明。

「早く戻ってきて」

「ごめんなさい。怖くて出られないんです。」

震える身体を優しく抱き上げて

「怖くても、二人なら進めるでしょ?」

「はい。」

「一緒に戻りましょう!!」




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