朝から長門を旗艦とした敵凄地攻撃隊が出撃して行った。
そこから私たちの仕事も始まる。
敵が鎮守府を直接攻めるかも知れないということを警戒して、遠征担当組が哨戒任務を留守番部隊が見張りをするはめになったのだ。
青い空白い雲。
青い海に白波が立ち、美しい風景を作り出している。
その平和が崩されるかも知れない。
そんな事なんてしらないとばかりに押しては返す波。
もしかしたら
この風景を見ることも今回が最後になるかもしれない。
もう二度と起き上がることのない屍になるかもしれない
怖い。
細かく手が震えている。
ふと、温かい手が私の頭を撫でる。
「手、震えているよ?」
お母さん…。
「武者震いってやつですよ」
私の予想が正しければアイツは来る。
「そう?」
「そうです。」
怖くなんてない。
来るなら来い、できるなら来るな!!
「後、これをお願いします。
冷却用の注射です。一応お母さんに渡しておきます。」
「え?」
「嫌な予感がするんで…!!」
艤装を展開して見張り台からお母さんを引っ張りながら飛び降りた。爆発して崩れ落ちる見張り台。
砲撃だ。
敵の砲撃を受けたのだ。
「ここは私に任せて避難誘導をしてきて下さい。」
「わかった。無理はしないでね?」
「別にやっつけても良いんでしょ?」
黄色い注射を腕に突き立てる。
細胞が活性化されて動きが軽くなる。
「行ってらっしゃい。」
お母さんの声に振り返った瞬間。
鎮守府の要の 執 務 室 が 吹 き 飛 ん だ。
アイツを殺してやめさせなければ…。
提督を殺したんだ。情けも容赦もなにもない。
光も音もない闇の世界に送り込んでやる…。
≪電探に感あり!!≫
見ればわかる。
腕が触手になったアイツがそこにいた。
「ヒサシブリダナ。」
「!!」
やっぱりアイツだ。
「ひさしぶり?昨日もあったじゃない夢の中で。」
「ハ、フリョウヒンガヨクシャベル」
「黙れ。しゃべるごみ。」
「ツメタイナァ、No.2ハ。」
「黙れ。【No.4】なら今すぐ帰れ。」
「ジャア、テアシヲチョウダイ?イマスグニ!!」
蒸発したはずのNo.4。
まさか深海凄艦に改造されたなんて…。
信じたくない。信じられない。
でもア イ ツ は こ こ に い る。
覚悟を決めて弾を込める。
敵の砲撃をくぐり抜け、雷撃をすり抜け…。狙うは顔!!
触手で弾かれる。
無駄だ。そんな事解っている。それでも何度も何度も繰り返し絶え間ない攻撃を加える。
触手に叩き落とされる弾丸。
攻撃され続けて回避を続けて攻めあぐねる私。
「…性能が違う。」
「ワタシハフリョウヒンナンカジャナイ!!!
オマエラミタイナフリョウヒンナンカジャナイ!!
…ゼンブコロシテショウメイシテヤル。」