艦娘?いいえ、不良品です。   作:バイオレンスチビ

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凶夢

目を覚ますと狭くて暗い入渠所だった。

低い予算で作られたと思われる

ドラム缶の小さな五右衛門風呂。

体に走る激痛に身動きできず、息が出来ず、苦しくて熱ぃ…。

 

ザバァッ

 

抱き上げられる体。

「だ、大丈夫?」

その声はNo.3(真鶴)の声だ。

むせかえりながらうなずく。

 

お湯の高さまで背丈がないため、

ドラム缶の端を持っていないと溺れる。

そのうえ、小柄と言えど同時に利用するのは

5~4(No.6が独房入りした時)人。

今日はNo.6が独房入りしている上に

怪我の少なかった二人が体を洗っているが

全員大破(大怪我)の時は同時に浴槽につかる。

身動きできず、体どうしも当たってしまう。

私たちは不良品だから入渠にかかる時間が長いため

かなりの苦痛である。

 

「真鶴。ごめんなさい。傷、大丈夫なの?」

模擬戦闘訓練で私と組んだが為に負けて罰を受ける事になった姉が心配なので聞く。

「痛みが感じられないの…。背中、どうなってる?」

その背中には、

痛々しいみみず腫がたくさんできていて

皮膚が裂けているところもあった。

「酷いことになってるよ…。

ごめんなさい。本当にごめんなさい。」

謝ることしか出来ない。私のせいだもの。

「大丈夫です。大丈夫。大丈夫。

それよりも友鶴、手が震えているけど…。手もやられたの?」

バレた。心配させたくなかったのに。

「い、いえ。なんにもされ「見せなさい!!」」

ゆっくりと動かし、片手を見せる。

「酷い…。なにこれ、どうしたの?」

焼けただれた手。

「痛…ぃ。オイルかけられて火を、火をかけられた。」

手だけじゃない足もだ。

鞭で背中を叩かれて悶絶する私を

腫れ上がるお尻を押さえる私を彼等は笑っていた。

おんなじ人間だったはずなのに何で私は、私たちはこんなにも酷い扱いを受けなきゃならないの?

 

 

バァン

 

「誰だぁ!うるせぇ馬鹿はぁ!!」

酔った男が酒瓶片手に乗り込んでくる。

 

「誰だって言ってんだぁ!」

 

「私です。」

手を上げる真鶴姉さん。

「違います!私です!!」

真鶴姉さんの手を押さえていう。

 

「No.2かぁ!てめぇ、ぶちのめしてやる。」

ガンッ

「「きゃあぁあ!!!」」

ドラム缶を倒されて転がる。

そして、腕を捕まれて引きずられる。

 

 

 

 

 

 

 

独房に放り込まれた。

そこには、No.6がいた。

鎖に繋がれて、体中ぼろぼろにされていた。

血が飛び散り真っ赤だった。

そして、

真っ赤に焼けた鉄の棒と焼きごてを持った

先程の男とその仲間。

「悪い娘にお仕置きしなきゃなあ。」

 

怖い。

 

迫り来る鉄の棒。

 

やめて。

 

狂気の渦巻く笑顔を浮かべる男たち。

 

来ないで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぃ、いやぁあぁあぁあ!!!!」

 

 

ガバッ

 

飛び起きる。

夢か?夢だよね?

 

隣には赤いナニかと包丁を持ったヒト。

 

殺される。

 

逃げなきゃ。

 

死にたくない。

 

「待ちなさい!!」

追いかけてくる。

「落ち着くのです!!はわわっ!!」

 

ドンッ

 

衝撃

 

 

 

目の前にいたのは…電ちゃん?

 

「電ちゃん?と雷ちゃん?」

 

「なのです!!」

「そうよ?」

「僕もいたけど?」

時雨ちゃん…。

「ごめんね、洗濯物出して来てたの。」

お母さん…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと、

皆でリンゴを食べました。

雷ちゃんが枕元で剥いていたのは、

真っ赤なリンゴだったのです。

 

 

No.6(むーさん)私は、幸せです。


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