艦娘?いいえ、不良品です。   作:バイオレンスチビ

11 / 79
生きてて良い

「私は、生きてて良いのですか?

あの日あの場所で死ぬべきだったのですか?」

 

「大丈夫。生きてて良いんです。

それに、

貴女が死んでいたら

3ヶ月前に誰が私を助けてくれたんですか?

もう1つ、貴女が死ぬのなんて私が許しません。」

 

「鳳翔さん…。

私は、私は、「大丈夫。大丈夫ですよ。

もう泣いて良いんです。

貴女はもう十分に我慢したもの。」…」

鳳翔さんの腕の中は、

温かくて優しくてなぜか安心してしまう。

「貴女は、

オモチャなんかじゃない。ニセモノでもない。

不良品なんかじゃない。

だって心があるし、生きてる。」

「はい…。」

「心も身体もボロボロにされて、

痛かっただろうに辛かっただろうに…。

よく頑張りました。

それに、貴女が人殺しなわけないです。

だって彼女が死んだのは、貴女のせいではないはず。

彼女が死んだのは

自殺。彼女が彼女自身の死を望んだの。

貴女が悪い訳じゃない。

彼女だって貴女が悪いなんて

微塵も思っていないだろうし、

貴女の死を望んだ訳がない。」

 

「でも、私は、私は、ムググ…。」

力が強くなる。

「大丈夫。貴女は悪くない。大丈夫。大丈夫です。」

 

大丈夫。大丈夫。

繰り返し繰り返し言われる言葉。

温かい手が背中をさする。

 

溢れる涙が止まらない。

悲しくないはずなのにどうして?

 

顔を上げると

「やっと素直になってくれた。」

嬉しそうに言う鳳翔さん。

そして、

「コレも要らないですね。」

捨てられる私のカッターナイフ。

「え?」

「貴女を傷つける物なんて要りません。

それに、」

鳳翔さんが私の腕を持ち、

自分の髪につけていたリボンを巻く。

「つけるなら傷なんかよりも

こっちの方が可愛いです。」

 

「あ、ありがとうございます。」

何でこの人は…。

「どうして、私にそんなに優しいんですか?」

「そうですね…。

きっかけになったのは、

3ヶ月前の作戦の時に

潜水艦から中破した私を助けてくれた時に

気になったからですかね。

悲しそうに笑いながら敵を葬る姿が

どうしても忘れられなくて、

この娘の本当の笑顔をみたいって思ったの。」

 

「本当の笑顔…?

笑いかたがわかりません。」

 

「私が教えてあげます。

今日から私は、貴女のお母さんです。

私は、貴女を大切にします。

いっぱいいろんなことを教えてあげます。」」

 

「良いんですか?

私は、

ワガママだし世話が焼ける娘ですよ?」

 

「良いんです。

いっぱいワガママ言ったって

世話が焼ける娘だったって、

幸せだったらそれで良いんです。」

 

「お母さん?」

「なぁに?」

「「フフフフフフ…。」」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。