艦娘?いいえ、不良品です。   作:バイオレンスチビ

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深海凄艦、
現代兵器を駆使してもまったく受け付けない
謎の生命体。
手当たり次第に船を襲い、
人類のシーレーンをズタズタに切り裂いた。

艦娘
妖精とともに現れた人間の少女そっくりの艦。
かつて沈んでいった船魂が擬人化したもの。
現在の
深海凄艦に対抗するための唯一の存在。



とある研究者の日記

20XX年○/●

我々は、

取り返しもつかない

罪を犯した。

 

人体実験である。

 

私は、

反対派であったが

結局、止めることができなかった。

 

つまり、

私は彼等と同類で

この少女達の運命を狂わせたのだ。

 

病気,事故によって腕一本動かせぬ少女達を

大量の資材とともに

妖精に差し出し、艦娘に改造しろと言った。

 

○/▲

妖精によると、

実験は、失敗したらしい。

 

やはり、

私の考えは間違っていなかった。

 

出来たのは、

精神崩壊した生ける屍と

無惨な屍。

そして、

不完全な

艇娘であった。

 

無事であった奴は、

鎮守府に派遣され、

戦いに出される。

 

この世に神はいない。

 

 

○/×

妖精によると、

不完全な艇娘達の能力は、

通常よりも火力重視で強めに作ったらしい。

 

そんなこと

どうでもいいと心底思った。

 

○/&

出来たのは、

千鳥型水雷艇だった。

友鶴事件で有名な

アンバランスな艇である。

せめて、

隼型とかにできなかったのか…。

 

何処が不完全なのか

 

・人間の記憶が残っている

・体に異常がある

 

作るなら、

きちんとした者にしてあげて欲しかった。

 

○/!

私は、

「友鶴」になつかれたようだ。

 

友鶴事件の友鶴

 

少し、嬉しかったが…。

こいつが海で命のやり取りをするのは、

想像したくなかった。

 

○/?

被験者番号6が死んだ。

精神崩壊を起こしていたのだから、

生きていても可哀想なだけであった。

そう考えたものの

やはり、悲しい。

我々が人類の生命の禁忌に触れたばかりに

この少女は、命を落とした。

 

○/↓

友鶴が鎮守府に異動した。

寂しかったが

そこの鎮守府ならば、安心だ。

 

そこで幸せになって欲しい。

 

 

 

○/→

この日記をお前に託すことにした。

我が娘にして

最高の提督へ。

 

 

 

 

 

 

パタン

 

 

 

 

 

 

執務室に乾いた音が響く。

 

「人間ってずいぶん身勝手な生き物なのね。」

 

人体実験して

失敗して

人に押し付けて

 

実験台となってしまった

子達のことも考えず

 

死人まで出して…。

 

 

「やっぱり人間は、

嫌いだなぁ…。」

 

あの娘は、自分自身が

不良品の艦娘のなりそこないだとよくいう。

 

彼女曰く

千鳥型水雷艇って

維持費が安くて

的が小さくて

駆逐艦並みの火力を搭載してるだけだよ。

バランス悪いし、

速力も遅い

 

らしい。

 

確かに、

火力重視で強くて

小さいから

敵の砲弾も当たりにくい。

バランスも演習,練習で克服した。

 

しかし、

無理な改造によってかかった体への負担は大きく

問題が山積みである。

体が弱く、

出撃も演習も気を配る必要がある。

やり過ぎると、すぐにボロがでる。

自分自身の力に自信がないから無茶ばかりする。

 

世話の焼ける娘だが、

可愛いのでついつい許してしまう。

 

 




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