白の青年   作:保泉

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幕間:語り手 パンネロの場合

  語り手 パンネロの場合

 

 

 ええと、セロさんとヴァンと私は、血は繋がっていないんです。ご両親を病気で亡くしたヴァンとレックスさん――ヴァンのお兄さんを私の家族が気にかけていたのが最初です。

 

 それから、戦争になって。私の家族も、レックスさんもいなくなって……しばらくしたときに、ヴァンがセロさんを連れてきたんです。

 

 

 最初は、何でこの人がここに居るんだろうって思いました。

 

 まるで外に出たことがない子供みたいに、生活をする上で当たり前のことをセロさんは知りませんでした。男の人とは思えないくらい柔らかく笑う人でしたから、どこかの国の貴族様なんじゃないかって勝手に思ってました。

 

 ヴァンがセロさんを連れてきて、いつの間にか私も一緒に、まるで家族みたいに生活するようになって……戸惑ってばかりだったセロさんも、半年くらい経つと普通に生活できるようになっていました。

 

 その頃からです。セロさんは、ヴァンに剣を習うようになりました。

 

 

 最初はミゲロさん――あ、私たちがお世話になっている人です――その人と私は止めました。だいぶセロさんもラバナスタに慣れたとはいっても、最初の印象が強く残っていたんです。あんな柔らかい笑顔の人が、剣なんて使えるはずがないって思って。

 

 でも、セロさんは剣を習うのをやめませんでした。それどころか、こっそりモブ狩りすら始めていたんです。どうして危ない事をするのか、セロさんを問い詰めたこともあります。でも、困ったように笑うだけで、何も答えてくれませんでした。

 

 

 私は、セロさんに、大切な家族に危ない目に遭ってほしくないんです。

 

 ヴァンも、無茶ばかりするし……

 

 ――はい、ヴァンもセロさんも、私の大切な人です。ラーサー様。 

 

 

 


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