俺は愉悦   作:ガンタンク風丸

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福袋。しようと思って朝市に明文堂いってプレイカード買って課金してみたらオマケ分は有償とみなさないとかで弾かれた。夜行こうと思う。


英霊召喚

 

 遠坂邸、その門の前に一人の男が立っていた。

 それは細身の筋肉質な身体を神父服にて隠した長身の男だった。その胸には十字架のロザリオを下げており地味にその十字架の裏には妻と娘の名前が彫ってあったりする。

 分かっているが、見間違うこともない言峰綺礼その人であった。

 目下最近の悩みは自分の妻が糖尿病を心配しアップルパイの量を減らされたというもので、妻の隙を見てはパン屋に行くという行動を繰り返していたりする。

 

「そろそろだな……」

 

 綺礼がそう呟くと、まるで示し合わせたかのように坂の下から一台の宅配車が昇ってくる姿が見えた。

 綺礼の目の前でその宅配車はブレーキ音を短く鳴らして止まると、運転席から宅配業者の男が出てきて荷台の方に回り込み何かを取り出して綺礼の前へとやって来る。

 

「言峰綺礼さんですか?」

「そうだ」

「では判子かサインお願いしますね」

「サインにする。ペンはあるか?」 

「あっ、はいはいありますよ。どうぞ」

 

 綺礼はキャップを被った緑と白のシマシマ模様の男からボールペンを受け取ると、宅配業者の持っている細長い荷物の上に貼られている宅配票にサインを書き込む。

 

「確かに確認しました、では私は」

「ああ、君に神の祝福のあらんことを」

 

 そして男の乗った宅配車が坂を降り見えなくなるまで見送った綺礼、そんな時いつの間にか後ろにいた璃正が言った。

 

「綺礼よ。もしやそれが例の……?」

「ええ父上、少々試験的な意味合いが強い物ですが……」

「それでもよい。綺礼よ、お前がやろうとしているのはある意味革新的な事だ。それに

、もし失敗しても出てくるのは変わらん」

「ええ」

 

 璃正のその言葉に綺礼は頷き、ふと手にある細長い長方形の木箱の蓋を開けた。

 そこにあるのは誰が見ても価値があると分かる日本刀で、艶のある紅い鞘と意匠の凝らされた鍔、そして鳶色の紐が巻かれた柄は誰もが美しいと評する事だろう間違い無しの代物である。

 それを綺礼は改めて見て、これならば触媒として十分な機能を果たすだろうと確認すると、再び木箱の蓋を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『近頃頻発している謎の行方不明事件ですが現在もその犯人は捕まっておりません。警察は現在指名手配中の「雨生龍之介」による犯行とみておりますが過去の「雨生龍之介」の起こしただろう事件と今回の犯行の内容が食い違っている事から別人の犯行かもしれないという線もあるようで――――』

 

 横で流れるそんなニュースに耳を傾けながら俺はクラウディアの作ったチャウダーを啜る。

 目の前にはカレンがパンを齧りながら座っており、私立穂群原学園小学部の制服を着ていてとても可愛い、この世界線に小学部があってよかった。プリヤのイリヤ達が着ているあの制服のカレン版を見られるとか思わなかったし俺は幸せ者だなあ。

 ちなみにだが凛も私立穂群原学園の小学部に通っているようで、今は仲良く二人で登校している。

 まあ所謂転校生という形になったカレンだったのだがきっと凛の事だ。上手くやっていることだろう。

 そんな事を考えているうちにカレンが朝ごはんを食べ終わったようだ。

 

「行ってきます」

「ああ」

「――あっ、カレンちゃんいってらっしゃい」

 クラウディアが慌ててキッチンから顔を出しそう叫ぶ。うむ、これが家庭とかいうやつであるな!スペインでもしてたけど。

 

「クラウディア」

「何ですかー綺礼さん?」

「アップルパイを――」

「ダメです」

「…………」

 

 ……後で隙をみてパン屋へ行こう。

 それにしても『雨生龍之介』ねぇ、ジル・ド・レェのマスターだっけな。連続殺人鬼とかいう。

 アニメ版はそこまででも漫画版はグロかったよなぁあのシーン。普通に内蔵とか切断面とか描写されてたもん。

 ……そういえばアイツの攫うのって子供だったよな。ってちょっと待て!……カレンがやばいじゃないか!

 どうしよう、あの図太い性格したカレンの事だからたとえ殺人鬼を目の前にしても眉一つ動かさないんだろうけど心配な事には変わらないし……。

 ……マグダラの聖骸布でも渡しておくか。後で璃正に頼んでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遠坂邸、地下工房。ロウソクに仄かに照らされた薄暗いその空間に俺はいた。

 ちょうど工房に降りる階段にいる俺はその薄暗い工房の奥に佇む男へと声を掛ける。

 

「師よ」

「綺礼か」

「発注したものが昨日届きました」

「そうか、では今夜召喚の儀を行うとしよう」

「わかりました」

 

 そういやギルガメッシュの触媒って蛇の抜け殻だったよなぁ……。しかしトッキーいいのか?あんな高そうな触媒を……いや、元々ギルガメッシュを召喚するつもりなんだから触媒にだってそれ相応の値段がするのは分かるんだけどさぁ……。

 俺は知っている。元来宝石魔術というのはお金がかかるものだ。現在時臣は冬木の土地のセカンドマスターとして所有している土地を貸出して大金を得ている訳なのだが、遠坂の魔術師というものは次の代のために金を貯めるのも使命のうちであるので俺としては正直触媒を手に入れる時に使った金がどこから出ているのだろうかと心配だったりした。

 

「未だ召喚されていないサーヴァントはアーチャーとアサシンのみ。……アサシンを押し付けるような形になって済まないな、綺礼」

「いえ導師(マスター)よ、そもそも私はアサシンを召喚するつもりでした」

「そうか……ならば私も心が軽いというものだ。それに、何か面白い事を試すそうじゃないか」

「ええ、流石の導師(マスター)でも多少は驚くものかと」

「それは楽しみだ」

 

 本当に楽しみだよ。失敗しても出るのはハサンだしな。

 冬木の聖杯戦争のアサシンのクラスは『アサシン』というクラス自体が触媒となっているため『ハサン・サッバーハ』という英霊しか出ないという特性がある。まあ歴代の誰かが、だがな。

 トッキーがギルガメッシュをアーチャーとして召喚する事になっているため俺がアーチャーを出さないようにトッキーの召喚の後に召喚する事になっているが、やはり早く召喚したいものだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜、遠坂邸の工房に三人の男の姿があった。もちろん俺とトッキーと璃正だ。

 俺達の前には赤い魔法陣があり、現在濃い魔力をもってピカーっと光っている。というのも現在トッキーがギルガメッシュを召喚中だからだ。

 

 ―――汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!

 

 フィニッシュ。魔力が魔法陣に集まり赤い光と風が部屋を蹂躙する。

 俺はその光に思わず腕を目元にかざしていた。正直直視しているトッキーと璃正はすごいと思う。

 

「綺礼よ、この戦い。我らの勝利だ……」

 

 トッキーが声に興奮の色を乗せてそう呟く。いや、まずはあの煙が晴れてからにしようぜ。

 そう思うのもつかの間、どんどんと煙が晴れていく。そして黄金の鎧が見えかかったその時、トッキーが腰を折って言った。

 

「英雄王ギルガメッシュ、お待ちしておりまし……た?」

 

 が、途中で言葉を詰まらせてしまう。だがそれもしょうがない事だった、俺だって目の前の光景に驚き固まってしまっていたし。

 目の前にはギルガメッシュが居た。

 

「なんだ?そのように呆けた顔で(われ)を見て固まりおって、王の御前であるぞ?控えろ雑種共」

 

 口調が少し違う、しかし……確かに黄金の鎧を着ている。やはりギルガメッシュ……なのだが。その黄金色の鎧は片腕のみで右手には鎖を巻き、胴装甲鎧は全て無く、黒いシルク生地の布がその豊満な二つの丘(・・・・・・・・・)の半分しか隠せていないデザインで、下半身の鎧はちゃんと着ているのだが何分ドレスのようなイメージを彷彿とさせるものがあり、チラリと太股の半分まで覆う黄金の鎧と腰周りの鎧の合間から見える女性の太股が艶かしい。

 というかぶっちゃけ上半身が半裸だ。赤い刺青が身体に入っているがそれもなんかエロい。左腕と胸の上半分、そして下半身以外全て裸体なのだし。

 そしてそれは髪が長髪で脚まである。そして端正な美女といった顔立ちであり猫目の赤い瞳が特徴の――――

 

「……姫ギル……」

 

 だったのだ。簡単に言えば女体ギルガメッシュである。

 もともとエイプリルフール企画の『fate/Protoreplica』というので出てきたギルガメッシュで、王の財宝で女体化したのではなくこちらは先天的女体であるのが特徴で、つまり簡単に言えば青セイバーの設定をこねくり回してギルガメッシュにした感じ。

 そう呟いた俺だがどうやらトッキーと璃正には『姫ギル』という言葉は聞こえていなかったようだ。良かった、どうせ聞かれたって『姫ギルって?』で終わるのだがな。

 いち早く再起動を果たした俺に続きトッキーも再起動を果たす。そしてトッキーはぎこちない動作ながらもこめかみに汗を滴らせながら言った。

 

「失礼しました。英雄王よ―――」

「顕界した(われ)を無視しておいて……貴様、永久に眠るか?いまなら特別に(われ)自らその羽虫のような生命を散らしてやろうぞ?」

 

 姫ギルがかなりサディスティックかつ理不尽な事を笑顔を見せながら言う。その後、慌てて言葉をトッキーは並べるが、その度に姫ギルがSっ気な目でトッキーをこき下ろすというある意味地獄のような時間が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「綺礼……私は、もうダメかもしれない……凛の事は頼んだ……」

導師(マスター)、まだ生命を散らすのは早いですよ」

 

 あの後ずっと姫ギルに嬲られ続けたトッキーはグロッキーな状態となって床に転がっていた。正直同情する。なんだろうあの究極の女王様キャラは、後半踏みつけられていたもんなトッキー。

 ちなみにだが姫ギルは地味に何だかんだで契約を終えた後、トッキーに飽きたのか部屋から出ていってしまったため、今現在は居ない。

 

「……ふむ、私の召喚を始めましょうか」

「綺礼……お前も図太くなったな。私はとても複雑な気持ちだぞ」

「?」

 

 はてさて、そんな二人のことは置いておいて始めましょーな。

 既にアサシン以外のサーヴァントは出揃っているのでアサシンが来ることは確定となっている。後は何を召喚するかなのだが……。

 

「ふむ、こんなものか」

 

 俺は朝に届いた日本刀を触媒として台座に添える。

 しかしこのまま何もしなければ出てくるのはハサンだ。しかし俺は知っている。SNでキャスターが小次郎を『柳洞寺の門を依代(マスター)とする』ことによって召喚したという事を。

 つまりかなり無理はあろうが召喚する際にマスターを依代にするのではなく他の何かを依代にして召喚すればハサン以外が出るということなのだ……多分、詳細は知らないが。

 別に人以外のなにかを依代にさせればいいだけなので使い魔と接続するようにラインを依代と繋ぎ、中継点を設置して召喚すれば多分ハサン以外が出てくるはずなのだ。……多分!

 召喚したらすぐさま依代を自分に移してしまえばいいだけだし。

 霊脈の強度は十分だ。なにせセカンドオーナーたるトッキーの住む遠坂邸は柳洞寺に並ぶ霊地なのだからな。

 ちなみに仮の依代に使うのは特別にこの為だけに璃正が注文して作った水晶の概念礼装だ。魔術は一通り習ったがやはりというか良くわからないな。だって本業代行者だもん、是非も無いよ。

 概念礼装にラインを繋いでぇの……。

 

「素に銀と鉄。 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 「閉じよ(満たせ)閉じよ(満たせ)閉じよ(満たせ)閉じよ(満たせ)閉じよ(満たせ)

  繰り返すつどに五度。

  ただ、満たされる刻を破却する」

 

「―――――Anfang(セット)

 

「――――告げる。

 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

  聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

「誓いを此処に。

  我は常世総ての善と成る者、

  我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

  抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――」

 

 トッキーの時と同様の赤い光の奔流が部屋を蹂躙する。そして床で強風に当てられてトッキーがゴロゴロと転がっていく。……うん、何も見なかったことにしよう。

 おお、風がパナイな。このまま行ってくれれば俺が出したかった英霊が出てくれる、筈……――多分!

 やがて風が収まっていき、煙の向こうが晴れて行く。

 さあ来い!李書文に次ぐだろう最強っぽいと俺が思うアサシンよ……!

 気配遮断からの縮地の鬼コンボを見せてくれ……!

 期待に胸が膨らむ。でもそういえば聖杯汚れてんだよな……桜も助けて……蟲爺を殺して……、めんどくせぇなぁでもやるんだがな……お人好しだなぁ俺。

 だがまあ俺の今の立場だと絶対無理なんだが……まあ、おいおいか。

 そんな俺の思惑を裏腹に、白い和式の戦闘装束に袖口を白くダンダラ模様にそめた浅葱色の羽織を羽織る一振りの剣を携えた少女は姿を露としてもはや定番とも言えることを言う。

 

 

 

 

「アサシン、新撰組一番隊隊長、沖田総司、推参。あなたが私のマスターですか……?」

 

 

 

 

 ―――成功だ。

 

 




ピクシブにもある通り私も桜セイバーはアサシンの方が強いと思う。なにせ気配遮断からの縮地だよ?李書文並じゃない?

……セミラミスには劣るか……。


沖田総司ステータス。(ピクシブ百科事典参照)

筋力/C+
耐久/E
敏捷/A++
魔力/E+
幸運/C
宝具/C

日本で召喚された事により知名度補正で全体的にステータスが上がっている。しかし耐久はスキルにある『病弱(A)』にて欠片も上がっていない。



駄文だぁ……これも後で修正しておこう……

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