それにしてもあと3日か……。さっさと全部交換しちゃおう、アイテム。
……槍部屋。ヘクトールが聖剣と無垢式と軍神の剣で溶かされまくってる。可哀想。なお、騎部屋ではモルガン×2と牛若丸(これ重要)で溶かしてる。
黒祇 式夜さん、誤字報告ありがとうございます。そして、遅くなってすみません。
それが起こったのは時刻にして、午後四時三十九分のことだった。
場所は新都の中央にあたる大通りの十字路の交差点。そこは隣町に直接つながる国道などが集う交差点で、冬木大橋からもその道は伸ばされており、実質的にこの冬木の人の流れにより形作られた龍脈の交差点でもあった。
故に人が多く通えばそこにはエネルギーがあつまり龍脈が自ずと生成される。それは地形の起伏や川の流れなどにも起因するが今は関係ないことだろう。
つまりである。 遠坂邸や間桐邸が霊力の“源泉”だとカテゴライズすればその交差点は霊力の集う龍脈の結集点、交差点と言えるのだ。
その成り立ち故に、遠坂邸などよりワンランクしたに下がるものの結構霊力の高い地点となっているのだが、逆にそこに工房でも設置し人の流れをさえぎればそのエーテル流は途切れてしまい本末転倒となるのだ。まあ所詮人の流れ産の龍脈だし? その程度?
まあ別に地下に工房作ってもいいけどそんな神秘の漏洩心配性な魔術師たちがするわけないし、必然的に地下配線だとか埋まったパイプだとかが邪魔してそれどころではなかったり。
―――人の流れとは即ち人の理の流れである。
……まあとにかくだ。前述のことだが神秘の漏洩を心配した魔術師たちはそんなところに工房なんて置かない。そして、魔術師達のだいたいが活動するのは夜であり、夜更けに
……などと思った俺はあっているのだろうか。わからんけど、どう見ても良さそうな霊地であるのですよ、その交差点さ。人がいる時限定だけれど。
でだよ? そんな誰も使わない、人の沢山いる
答えは―――俺の見下ろす交差点にあった。
まあ尤も、既にその交差点は交差点としての機能を失っているのだが……な。
「みんなーっ! 私のライブに来てくれてありがとぉーっ! さぁ行くわよ
もちろんそんな風に叫ぶのは交差点の真ん中で瓦礫を高く石垣のように積み、その上に自らの宝具|鮮血魔嬢―――曰く、特大アンプの据え付けられた魔城チェイテを敷設してその上で踊り歌うランサー、エリザベート・バートリーである。
……ビルの屋上に立っている都合上、かなり離れてるはずなんだけど……全然耳に響くんですが。 さらには陣地作成も影響して声自体に魔力が乗りただでさえ高い吸血スキルが割増に効果が霧として現れている。つまりは身体がだるい。
実際、今新都の空気は毒々しい赤紫色のエーテルの霧が魔城チェイテを中心に空に溶けだしており、これが吸血のからくりの正体なのだろうと推測された……が、いかんせんもう今いる区画にはほぼ全域にその吸血の靄の範囲は広がっていることだろう。
「マスター、これは……」
「……私は大丈夫だ……が」
つまりは、ここらにいる一般人は確実に死んでいるだろうなぁ。例え死んでない者がいたとしてもこれでは時間の問題だろう。もちろん全身の血が魔力に変換され吸い尽くされた所為でである。こうぇー……。
というか魂削ってるのにこの虚脱感は何? 割に合わない。もっと削る速度を早めるかな。
……え? もともとの魔力保有量が少なすぎるって? し、知らないなぁ……。
まあ、そんな感じで傍観に徹していると、ふと視界の端に走る影があった。あの全身白統一の女と青いドレスにプレートアーマーをつけたあれはアイリスフィール・フォン・アインツベルンとそのサーヴァント役のユークリウッド……違う、確かに付けてるけどそっちじゃなくて……青セイバーことアルトリア・ペンドラゴンだな、うん。
とりあえず、一先ずは様子見だね。……アサシンは脱落工作をしたし姿を表すわけにはいかないし。
『……とりあえず、霊体化しておけ、アサシン』
「ん、わかりました」
尚、対魔力がカスなこの娘はガンガン吸い取られる模様。
……セイバーいいっすね。
同刻、赤紫の魔霧を駆ける影があった。
一つはもちろんかのブリテンの赤き竜、アルトリア・ペンドラゴンだった。既にその姿は先程までのスーツ姿とは異なり青のドレスとプレートアーマーの戦闘装束である。
そして、その隣を並走するのはアイリスフィール・フォン・アインツベルンだ。既に一騎が脱落し、その分の魔力を内ある小聖杯に内包しているはずだがまだその動きに不自然さは感じられない。ただまあ、小聖杯の器故の莫大な魔力によって時間の問題であろうが今は問題なく動けていた。
周りには歌声と二人の足音のみが響く。それは運転手が力尽きて故のことだろう電信柱や建物にぶつかって歪み煙りを吐く車やそれに轢かれてか身体があらぬ方向に曲がった死体はもちろんの事。血を抜かれ、ミイラのようになった人で溢れて喧騒をがなりたてる要因が全て沈黙しているからであった。
そして、そんな
「アイリスフィール、やはり貴女は待っていた方が……」
「いえ、行くわよ。そもそも私が貴女のマスターとして表に出なければキリツグとの約束が守れないでしょう? それに、私の魔力量ならこのくらいへっちゃらよ」
「そう、ですか……。わかりました」
渋々ながらもセイバーはそう頷く。
だがそれと同時にこのままのスピードでは“ダメだ”と、セイバーは直感した。故に、セイバーは脚をひねり、瞬時に驚くアイリスフィールを俗に言うお姫様抱っこで抱き抱える。 そして、―――加速した。
「失礼します!」
「えっ? ……きゃぁぁああああ―――っ!!??」
尚、それをバッチリ言峰綺礼が見ていたことは言うまでもないだろう。
そして、ダッシュからの数秒後。歌声はさらに大きくなってき―――
―――セイバーはアイリスフィールを抱えたまま立ち止まった。
そして、セイバーはそうして目に入ってきた光景に思わず絶句した。それは抱えられていたアイリスフィールも同様である。 なぜならば、その大きな交差点の真ん中に築かれた瓦礫を土台に鎮座した血色の魔城チェイテが、その城の周りを浮遊する血の塊を始めとし、緩やかな流れでそれら血球を血の河がまるで土星の輪のように絶え間なく循環していたからだ。
そして、その足音に気づいたのだろう。瓦礫の土台の上、魔城チェイテを設置し新都中の血を集めて歌っていたランサーが振り向き、驚いた様子で言った。
「aaa―――あら? なに? 貴女達。あ、もしかしてリハなのにサインを所望? いやぁーねぇ、フフッ、恥ずかしいじゃないの。でも、ダメよ! そういうのはキチッとしなくちゃ!」
そして、そんなスタンド代わりの黒槍を抱え身をよじった嬉声混じりの第一声に、二人は思いっきりシラケることとなった。
また、少し遡る同刻。冬木大橋の上ではついさっきまでカレンにいじられていたウェイバーがトボトボとその足を進めていた。そして、もう一体幾度ついたかもしれないため息を吐き―――唐突な強い魔力の反応に慌てて立ち止まり新都の橋の向こうの方を見た。
そして、目に入るのは赤紫色の毒々しい色の霧が先程までいた新都のビル群をスピードは遅いが、着々と覆い隠していっているそんな光景であった。
そして、見習いでも感じる、強烈な魔力反応。
「あれはッ!?」
「―――うむ、坊主の思った通り、サーヴァントだろうなぁ……しかもこれは、―――また質の悪い奴が出てきおったぞ」
「た、質の悪いって……まさかさっきの奴みたいな……」
「いや、違う。そもそもあのような性格の人間がこう大っぴらなことをするはずが無いからな」
―――そう、やるならばもっと陰湿に、見たものが尻餅ついて驚くようなものをするはずだ。
「じ、じゃあ誰なんだよ、コレをやったのは! 戦争初日だってのにもうこんなの神秘の秘匿のクソもないじゃないか!?」
「ええい、わかっとるわそのくらい! それよりもだ坊主、戻るぞ」
「……は? 戻るってどこにだよ……?」
ウェイバーはそのライダーの言葉に悪い予感を感じ、冷や汗を垂らしてたじり下がりながらそう言う。
対してライダーはそれを鼻を鳴らしてからウェイバーを小馬鹿にするような調子で言った。
「何を言うか、あの魔霧の中へに決まっておろう」
「無理! ぜえッッたいに無理!」
至極当たり前の反応である。あの中にもしウェイバーが入れば……仮に魔術師であってもまだ学生である彼である。深度によっても変わるだろうが長くてもニ十数分の内に全身の血を魔力に変換されて抜かれてミイラ状態となること間違いないだろう。
だからと言って別にウェイバーがそう思って拒否の反応を示した訳では無い、ただ単に
だが、それだけでは彼の不運は終わらないようだ。
ジャリっと後ろから鳴った足音。それにウェイバーはハッとなって振り返り、その姿を認めて目を剥く。
「フフフ……何をそんなに驚いているのかしら、迷える仔羊第二号」
そう、それは先程まで自らを弄っていた張本人である少女、カレンであった。
「な、なんでお前がここにいるんだよ!?」
「あら? そんなのは当たり前でしょう。
「うむ、そうよ坊主。元より魔術師でもない此奴にあの最早魔境とも言える場所にいるのはいささか困難であろう」
「ま、まあそうだよな……ウンウン。―――ってハ? 魔術師でも、ない……!?」
「あら? 気付かなかったのかしら? 本当に学生なのね、ウェイバー・ベルベット」
「ぐっ……」
「それに魔力の反応から私の令呪が偽物だということくらいすぐに察せられるでしょう。……あの男は別として」
その言葉にライダーは後ろでウンウンと頷く。
「うぅ……」
「そもそもです。サーヴァントを連れているからと魔術師とは限らないということは考えないのですか?」
「いや……確かに……そうだけど……」
言い返せないのか、どんどん尻すぼみな口調になっていくウェイバー。
そんな彼にカレンはその口角をいたずらげに再度微笑み、言った。
……さあ食いつけと言わんばかりの黒い笑で、だ。
「それにです。私はどう見てもか弱い少女ではないですか」
そんなカレンのわざとらしく伏し目がちになりながら放たれた
「いや、それはない」
―――食いついた。そして、一瞬ひっそりとカレンの口が罠に掛かった獲物を見下ろすような笑をたたえる。
「……山崎」
「……あ、ああ」
「!? わ、悪かった!?」
「……流石に今のは坊主、お前が悪い」
乗せられたことも含めて。そして、それをわかっていながらも、ライダーは半ば傍観に徹する。
「そうです。そこのサーヴァントの言う通りです。故にウェイバー・ベルベット。私を連れていきなさい」
「な、なんで……!? というかそもそもどうやって連れてけって……!?」
「少なくとも貴方のライダーの宝具に乗っていれば安心でしょう? ねぇ、ダレイオス三世が率いるペルシャを打ち倒したマケドニアの大王さま?」
明らかな含みと、そして試しの色の視線に流石のライダーの表情も一瞬固まり、そして真剣な色を帯びた。
「娘……否カレンとやら。貴様、何を知っている?」
「さぁ……? もしかしたら貴方の聞きたいことを全て知っているかもしれない、知らないかもしれない、もしかしたら少ししか知らないかもしれないわ」
「……否定はせん、という事か」
「…………」
事実、カレンは知っていた。自らの父の書斎にあったクリップファイルにはこの聖杯戦争に出るはずの人間とサーヴァントのプロフィールがずらりとなんでいたのだ。それこそ、宝具やスキルに至るまで。
もちろんその全てが当たっているというわけはないだろうが、確実に当たっている情報はあったはずだ。現に、目の前のサーヴァントがそれを証明しているのだから。
そう思いながらカレンはほくそ笑む。この征服王も自らと同様否定をしなかったからだ。つまり、父様の資料にあったライダーの宝具
だが、あの霧を防げるかどうかは……分からない。だけれど、その方が面白そうである。……まあ、父様は確実に怒るだろうが。
そんなカレンの悪戯すぎる心境にライダーも気づいたのだろう。ライダーは苦虫をかみ潰したような表情をした後、ハァと嘆息してから。
―――豪快に笑って言った。
「……参った。―――だがしかし! 交換条件だ、余の臣下となれ!」
「お断りします」
「…………何故に?」
一瞬でバッサリと、何の口上もなしに放たれた拒否の言葉にライダーは少し驚いた様子で言った。
そんなライダーにカレンはさも当たり前のように答える。それこそ、これこそ我が骨子だと言わんばかりにだ。
「だってそうなったら、つまらなそうじゃない。そうでしょう? ライダー」
なんかカレンが主人公っぽくなってきた件。
……エリザちゃん超強化タグつけようかな。
そして同時に、エリザちゃんの生存フラグがない件。やけくそっすね。だっていくら魔力あったって現世とを結びつけるマスターがいないんだもん。
……あの変則なら吸血を対魔力で防げる……わけないですね。オリ設定です。龍脈も含めて。