俺は愉悦   作:ガンタンク風丸

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さあ、ギルティクラウンを見ながら書きましたけど別にいいよね。うん。これゾンも見てたわな。




愉え……否、祭りが始まる!!!

 

 キュキュッと赤いペンを持って右手の掠れている赤いアザのところに書けばァ、簡単に令呪の偽造ができまっせぇー。

 というかどうして誰もやらなかったのか不思議で仕方ないわー。

 

「……マスター、流石にそれは……」

 

 別に遠目からは分からないさ。近くなら別ですがなにかぁ。

 

「いや、聞いてないふりしないで下さいってば、絶対にそんなの無理でしょう」

 

 知るかぁ、俺は怒られたくないんだよォー……。

 

 そもそもこうなった発端は昨晩のことだ。

 エリザベートの騒音宝具の回避に令呪使っちまったのである。あははぁー……はぁ。

 

 令呪ー……。

 

『アサシン、令呪をもって命ずる。今すぐ私と共に転移にて離脱せよ』

『―――へっ?』

 

 そんでもってアサシンのみ俺んところへ転移、そんでもってまた転移……で下水から離脱したという具合である。 使ったのは令呪一画のみだが減ったことには変わりはない。 いやー、璃正にバレてたらやばかったねぇ。

 

 だがまだバレていない。ならばいい、万事解決。今日から璃正の事は避けて動こう。うん、それがいいな。

 

「……バレなきゃ犯罪じゃないとか今思いましたよね。マスター」

「……何のことかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ランサー! 何故命令も無しに戦闘行為を行なった!」

「ふ、ふふん。別に戦ってなんかいないし?あ、頭ダイジョウブ?」

「声が震えているだろうが!」

「……ちっ」

「ランサー貴様ァ……!」

 

 ケイネスが一方的にキレ、それをランサーが震え声と逸らし目で流す。そんな激しい攻防が現在、ソラウの前では行われていた。

 

 サーヴァントもさることながら、仮にも夫のこういう一面を見るのは初めてであり、少し興味深げに彼女はその二人を見守る。

 

 

「―――ソラウ! 何か君からも言ってくれたまえ!」

「え? 私? そう、ね。ちゃんと消費した魔力分吸血してくるのよ?……とか、かしら?」

「…………」

「さっ、さすが仔犬ね! そうよ、別にちゃんと減ったぶん足しとけばいいだけじゃない。なにか問題があるの?ねぇ?豚マスター?」

「……貴様、今、減ったことを認めたな……」

「……あっ」

「言質はとったァ! さあ観念しろ、そもそも貴様はランサーのくせにどうしてそんなにマスターから離れていられるのだ! 単独行動でもついてるわけではあるまいし!?」

「そ、そんなのはもちろん、アイドルとしての気合いと……後は……えっと、吸血?」

 

 ランサーがまた目を逸らしながら言った。額には汗も流れ、もう嘘であることはバレバレである。それでも隠しとうそうとする辺り、ランサーの図太さが伺えるなとソラウは思った。もちろん外見は憮然とした様子で口を閉じてるけども。

 

 そうしてソラウが思い出すのは僅か一週間前の事だ。その時にはもうソラウ達は冬木のこのホテルに既に居を構えており、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という情報を元に英霊召喚を行っていた。

 

 その際使用した聖遺物はとある槍の破片で、それによればケルトの英霊ディルムッド・オディナが出るはずであった……のだが、

 

『天秤の守り手よ―――!』

『ハァイ。私がランサーよ』

 

 そんな言葉と共に赤い魔力の奔流が途切れ、青白い煙を模した濃いエーテルから現れたのは歪な形状の黒い槍を携えたある種パンクともとれるゴシックロリータ風味の服を纏った少女だった。しかも左右非対称の蜷局を巻いた角と尻尾を持っている。

 

 ……どう考えてもディルムッドでは無い。 そう思ったのはもちろんソラウだけではなく。

 

 

「貴様は……ディルムッド・オディナか?」

「はぁ? 何言ってんのよアナタ。私がそんなむさ苦しいのに見えるっての? 殺すわよ?」

「そうか、では違うのだな?」

「ええ、見てわかりなさいよ。そのくらい」

 

 その時そのランサーであろう少女の愚痴に、ぴくりとケイネスの口端が痙攣するのを確かにソラウは見た。

 

「……まあいい。では貴様は一体なんなのだ」

 

 だがそこで怒鳴らない辺り、何か彼にとってもそれを少しはマシにさせる案件があったのだろう。十中八九、ステータスかなとソラウは推理する。事実、それは正解であった。

 

「ふふん、私ぃ? イイわ、教えてあげる。私はエリザベート・バートリー、今が熱きサーヴァント界のアイドルよ!」

 

 ……まず、ソラウはツッコミたかった。今が熱きサーヴァント界のアイドルとは何か、そもそもかの血の伯爵夫人がなぜそんなにスイーツしているのかと。

 

「…………」

 

 だが、それでも有り余る高ステータスだったのだろうか。それともギャップかは分からないが、ソラウが背後から覗き見たケイネスは頬を引き攣らせてただただ絶句していた。

 

 

 

 ふと、ソラウは回想をやめて現実を見る。するとそこではまだランサーとケイネスによる漫才が繰り広げられており、それも終盤に差し掛かっていた。 というのも先程から全くの反省の色を見せないランサーに流石のケイネスもイラつきが頂点に達したのだろう……というよりもそもそも彼女を召喚するつもりではなかったのだし、そういう心境も手伝ってケイネスの怒りを煽っていた。故に、ケイネスは―――

 

 

「もういいランサーよッ! 令呪によって命ず、二度と私の許可無く私から離れるな!」

「なっ!? なにそれアンタふざけてるの!? 正気!?」

 

 それには流石にソラウも叫びたい気分だった。だが元々傍観に徹しようと思っていたこともあり、わずかに目を見開きそんな判断を下すに至ったことに同情するだけに留まる。

 

 

 だが、そう留まったのが悪かった。いや、運の尽きと言ったところか。

 

 

「―――もう、いいわ。死になさい、豚」

「何を―――ガッ!?」

 

 刹那、反論するケイネスの言葉が途切れ、鮮血が噴き出す(・・・・・・・)

 

 血が噴き出し、壁を汚す。その反動でいつの間にか首から上の無くなったケイネスの身体が椅子から崩れ落ちた。

 

「……え?」

 

 それをソラウが知覚し理解するには、いささか時間を要した。だが理解は及ばなくても嫌でも視界に情報は入ってくる。曰く、血に濡れた歪な形の槍を持ち自らの夫の首から流れ出る血を(すす)る血に汚れ狂気の色が混ざった光を瞳に宿したランサーの姿が。

 

 

「ああ……美味しいわァ。やっぱり新鮮が一番よ―――ねぇ、仔犬?」

「ヒッ……あ、」

 

 その血に汚れた口元を三日月に歪め、ギラついた瞳をこちらに向けるエリザベート(血の伯爵夫人)に、今更ながらソラウは恐怖した。

 

 

「……あら、貴方も私を否定するつもり? まあ、いいけれど……じゃ、死んでねッ!!!」

 

 

 ランサーの手元の槍がブレる。そこからソラウの意識は一気に黒へと暗転し、塗りつぶされた。

 

 同時に、ソラウが二度と起きることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今、俺は遠坂邸にいた。そして目の前には璃正とトッキーの姿が。

 

 

「綺礼、調べはついたかね?」

「ハッ、昨夜の下水道、及び貯水槽での爆発はそこに潜伏していたキャスターのサーヴァントと……クラス名は分かりませんがサーヴァント同士での戦闘であることは間違いありません。そして、エーテル痕からの推測によると、キャスターが脱落しました」

 

 うん、やったのは俺だけどね。そして令呪の消費はまだバレていない。

 

 つまりは、万事OK!

 俺、やったよ……、クラウディア。乗り越えた。バレてないんだ。この緊張はぱない。後でクラウディアに甘えよう。うん、そうしよう。……でも今後やばいな二人に会う時の心臓の負荷具合。本当に、できれば会いたくなくなった。

 

 でも時臣に提示連絡……はもうあの魔術式の燃費の悪いのを使うとしよう。戦争も本番であり接触は避けるべきだしな。うん、やったね!

 

 俺が心の中でガッツポーズをとったその後、俺は退室した。うん、本当に心臓に悪いわあいつら。

 

 だが、そう俺が安心するのはまだ早かった。

 

「よくもまぁ、あの様な白々しい嘘をつけたものよなぁ。綺礼」

「……アーチャーか」

 

 ……来たよ。気やがったよ一番のストレスマッハな奴が。

 

 さっきとは一転、今度は頭を頭の中で掻きむしりそう叫びたい気持ちに襲われた。だが、ダメだ。後ろの扉一枚隔てた先にはトッキーと璃正がいる。 会話するならば早くここを離れなければ。

 

「なんだ?そのように生き急いでは妻であろうあの女にも飽きられるぞ?」

 

 えっ、マジ!?そうなんですか!? じゃあ少し歩幅を緩めようかな……。

 

「……ほう、わかりやすい奴よな。貴様も……クックックッ」

 

「なんだ……何が悪い」

「いや何、貴様程異質に、それも歪んだ魂は我のいた神代でさえ中々見る事ができないもの故なぁ……。よって、それを愛でるのは王として、裁定者として当然の事であろう?」

「知らんな。それはアーチャー、貴様の事情だ。私に構わないでもらおう」

 

 うん。マジで、やめて、構わないで、ホント、俺には貴方といるのは心臓……いや、魂に悪いの。アッチ行って!

 

「フッ、それは無理な相談であるな!」

「……そうか」

 

 うわぁぁぁ……Sぅぅ。まあ、知ってたけどね。

 

 というかさ、そうやって後ろついてくるの止めてくれる?

 

「……何故、ついてくる」

「知らんな。歩けばよかろう」

 

 もうほんと何なのぉ。この人ぉ。キャラ濃いんだよぉ、あとなんかこの女帝ギルモノホンとちょっと違うんだよぉ。……つまり、やりにくいんだ。まじ、やめて、いや、やめてください。

 

『アサシン』

『我関せず、です。すみませんそれだけは本当に無理です』

『お前……』

『だって弄られるの目に見えてるんですよ……?』

『今現に弄られているのだがな……』

 

 ……チッ。使えない。誰か人柱に……なる奴もいない。なぁにコレぇ。

 

 本当勘弁してくれ。昨夜はキャスターをぶっ飛ばして……エリザさんの相手をしたんだ。……あの人CCCでも大体なんか起こす人なんだよ?ランサーの癖にバーサーカーになったりGOではキャスターになったり……本当に何なんですかもう。

 

「……早く帰ってクラウディアに癒してもらおう」

「ほう、それが貴様の本音か……」

「……チッ、まだいたのか」

 

 ……いえ、本当に何なんですかもう。……あ、女帝様でしたね。

 

 ため息をつきたい。……だけれど、我慢―――おゆ?

 

 ニュータイプじゃないけれど、感じた大きな魔力の奔流。 十中八九、これはサーヴァントのものだろう。

 

 今は正午を既に過ぎたとはいえ、昼間であることには変わりない。参加者たちは魔術師であり神秘の漏洩を犯すようなバカをする奴はすでに殺したし、後は……、後は……、ああ、いましたね。

 

 

「ほう、このような刻時から吠える冷血畜生めがいるとはな。クックックッ、面白い、面白い」

 

 冷血畜生……かぁ。つまりは冷血動物、爬虫類……ドラゴン。

 

 故に導き出される答えと俺の推理は……。

 

 

 

「……ランサー、かぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




三日で新章クリアしたしすぐにフリーも終わったし暇ですね。さっさとあの新イベ始まらないかな。


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