俺は愉悦   作:ガンタンク風丸

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興が乗った! 優雅の波に乗った! やっとかけた! 


……遅くなってすみませんです。エタからなんとか復帰です。



そういえば一時期なんかの気の迷いか『カレンとアップルパイと衛宮切嗣【前編】』を一番最初の閑話スペースに置いてた時期があるんですよ。ですからこれに見覚えのない人は前話に行くことを勧める。……本当にすみません。


カレンとアップルパイと衛宮切嗣【後編】

 

 

「それで、貴方のサーヴァントは?」

「教えるわけ無いだろう!」

「そう、じゃあアナタのサーヴァントはひ弱な小娘の前にも出られない矮小な輩だと自己解釈してしまうけど、それでもいいのかしら?」

 

 冬木の新都の歓楽街でそう私は目の前の少年に向かって笑みを浮かべながら問いかける。案の定何も言えないのかウェイバー・ベルベットは口を陸に釣り上げられた魚のように動かすのみである。全くの小物ね。今はだけれど。

 だが彼のサーヴァントはそうではないようだった。私の挑発に金の粒子を漂わせてウェイバー・ベルベットの隣に顕界する。

 

 その身体はとても巨大、多分二mくらいはあると思う。まあ私の目測でしかないからなんとも言えないけれど。

 

「アナタが彼のサーヴァントね」

「おうとも、我こそはイス―――」

「ああ別に真名なんて言わなくていいわ。征服王」

「……ほう。余のことを知っていると申すか」

「フフ、さあて、どうかしら」

 

 ああ、やはり男を弄るのは楽しいわ。案の定征服王ことイスカンダル。今はライダーで顕界しているからライダーかしら?

 そんなライダーはこちらを一瞥し、数秒唸った後やりにくそうに見下ろしポリポリと額をかいて言った。

 

「……坊主、こりゃ厄介なのに捕まってしまったかも知れんぞ」

「はぁ?どういう意味だよライダー」

「昔からこういう魔性の類の女はいるものだ。 そして大体は悪戯に場をかき乱す悪意のない連中ばかり、全く持ってやりにくいったらありゃせん……それに、その事はその雁字搦めにされている男が証明しておろう」

「僕の事は気にしないでくれ……」

 

 あまりにも悲壮極まる暗い顔の男の様子に流石のウェイバー・ベルベットも数歩後ろに退き下がる。だが、こんな幼女に負けてどうすると、半ばやけ気味な対抗意識を燃やしながら言った。

 

「そ、それで……?ソイツに一体何したってんだよ……?」

「有り金全部毟ったのよ」

 

 間髪入れずに答えられたその問の答えにウェイバーは絶句。後ろのライダーは「oh......」と呻いており同情の視線が一気に衛宮切嗣へと向けられた。

 

「……3、5、7、11、13……」

「素数を数え始めているな」

 

 唯一平常心を保っているサーヴァント、山崎烝はそう伏し目気味に言い『南無』と手を合わせる。

 ウェイバー組がドン引きしているがそんなこと私には関係無い。さて、アナタ達はどうやって私を楽しませてくれるというの?

 けれど、取り敢えず最初にやることは決まっているわね。

 

「ウェイバー・ベルベット。今すぐアップルパイを買ってきなさい。というか、有り金全部寄越すのです。迷える仔羊第二号」

「ヒッ……!?だ、誰がそんなことするかッ!というか払わなくちゃいけない道理なんかないだろ!」

「あら、ベルベット家の人間は年端も行かぬ少女のささやかなお願いも聞けないほど器量が狭いというの? ああ、これじゃあ時計塔でエルロメイに論文を破られたのも納得というものね」

 

 ニヤニヤと笑いながらスラスラとそんな事を捲し立てる自分の背丈の半分も無さそうな少女にウェイバーはまたまた一歩退き下がってしまう。今度は羞恥で顔を赤く染めてだが。

 何故その事を知っているのか、そんな疑問がウェイバー・ベルベットの頭の中でグルグルと回転する。だがその思考ルーチンに終わりはなく結局は『わからない』であり。そもそもそのような推理など得意ではない。

 だが何も言い返せないのは事実であり実際ウェイバーには唇を噛みしめながらそれを聞くことしか出来なかった。

 

「あらあら黙ってしまったらつまらないでしょう?」

「う、うるさい!余計なお世話だ!」

 

 そんな表情一つ一つが彼女の嗜虐心をそそらせると未だ理解しないのは完全に若気の至りとかいうヤツなのかはわからない。

 ただ、今日も私にとっては楽しい一日になりそうだと思うには十分過ぎる要員であったことに変わりはないわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、また一人被害者が増えた。

 俺はもはや達観気味にそう内心呟く。

 隣には赤い布状の概念礼装『マグダラの聖骸布』に雁字搦めにされた目が死んでるくたびれたコートを羽織った男だ。その纏っている雰囲気は手練のそれなのだが如何せんグルグルに麩巻き(ふまき?)にされているため覇気がない。というかさらに目が死んでいる。

 

 時刻は既に昼下がりへと入ろうとしている。既に俺の抱えていた三つの紙袋は二つも消費されており最後の一袋の中身もかなり心許ない。

 今度は盗んで来いとか言わないよな……?

 ありそうで怖い。

 この少女、あのサーヴァントの言ったとおり魔性の女なのだろう。それにしてもマジで人生リスペクトしてるよなマスターの娘。

 

「山崎?」

「な、何でもない」

 

 流し目で一瞬鋭い視線を送ってきたマスターの娘。なんだ?まさか考えていたことが読まれたのか!?

 俺は一人戦慄に身をこわばらせる。

 

「あら、私は別に名前を呼んだだけなのに……何故そんな反応をするのかしら?フフ……」

 

 この娘、絶対に分かってるな……!?

 まさか次に餌食になろうとは考えもしなかった山崎。あっという間に毒牙が迫る。というか弄られる。

 だが山崎の幸運値は思いのほか高かった。

 

「まあ今は不問としておきましょう。良かったですね山崎」

「…………」

 

 嗜虐心溢れるその笑みに俺は冷や汗を額に垂らす。マスターの娘は質の悪いところはその行為一つ悪意が感じられないところだ。全て好奇心と悪戯心で形作られたそれは殆ど不意打ちにも等しい。全くもて質が悪い、本当に。

 

「それにしてもどうしようかしら。アップルパイは買い占めてしまったし、仔羊たちの財布は空っぽだものね」

「お前のせいだろ、お前の!」

 

 たしかウェイバーといった少年のツッコミが冴え渡る。いいぞ!もっと言ってやれ!

 

「何を言っているの。これは取引でしょう?貴方達のことは父様には話さないでおきます。その対価として貴方達はアップルパイを貢ぐのです。それぐらいで済んだのだから逆に感謝して欲しいものね?」

「うぐっ!?」

 

 マスターの娘、流石黒い。どう考えても理不尽なことをある程度理不尽な理由で突き通す事によって逆に気づかせることなく反論を封じている。なんというか、カモになったウェイバーとやらもそうだが二人には感服するな。

 

「まあそうですね。流石に言峰綺礼の娘が相手から理不尽に金をむしり取る者とは思われたくありませんし、何か奢ってあげましょう。この私が」

「はぁ? というかそもそもお前金なんてあるのか―――」

 

 ウェイバーとやらがそう言って、

 

 

「―――お金ならありますよ」

 

 

 マスターの娘は両袖からぶっとい札束を取り出した。

 

 そしてそれを認めたウェイバーは数秒表情を凍てつかせてからまくし立てるように言った。

 

「―――は? ……いや、ちょっと待て。じゃあ僕の金で買ったあれは何だったんだよ!?」

「……口封じ料?」

「おいっ!?」

 

 だがそのまま続けてまくし立てようとするウェイバーがウザかったのだろうカレンは、……ふと額に青筋を立てると思いっきり札束でウェイバーの頬を打ち抜いた。

 

「ぶへ!?」

「大の男が五月蝿いです。蝿ですか、貴方は? ……ああそういえば知っていますか? ここジャッポーネに伝わる宗教には『輪廻転生』という概念があるそうです。となると仔羊は前世も蝿、後世も蝿ということになりますね。 ああ気持ち悪いこの蝿男。不潔です」

 

 そうして締めにと、カレンはその手に持っていた札束をウェイバーへと投げつける。

 

 びたん! と空気の弾ける音と共にウェイバーの潰れてくぐもった呻き声が響いた。

 

 それをふんふんと数秒眺めてから、三日月に口をカレンは歪ませてから言う。

 

「フフフ……まあこのくらいで赦してあげましょう。主は寛容であられる方ですからね。せいぜい感謝することですね。……さあ山崎さん、行きましょうか」

「お、おう……」

「…………流石に僕でも同情するよ…………」

「あら、貴方もああなりたいの?」

「……」

 

 またあの腹黒い笑顔を向けてるよ……マスターの娘やっぱ怖い。今度沖田に頼むか……担当変えてくれと……。

 

 

「ああ、貴方は変われませんよ? 何せもう紹介してしまったのですから」

「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、このあとどうしましょうか。折角の仔羊(楽しみ)も放してしまったし。……そろそろ彼も飽きたし……。

 

「なんだ。こちらを見て、僕をいい加減開放する気になったのか?」

「ええ、飽きてきましたし」

 

 正直吊るして金を毟ってあとは……嗜虐心そそられるままにいじれればそれで良かったのよね。わざわざ巻き吊るしに……まあこれもまたこれで良かったのかしら? また違う趣が発掘できたのだし。

 

 となると後は……

 

「……身包み(みぐるみ)すらも剥ぐ……?」

「!?」

 

 そうしたら父様にお土産(アップルパイ)を買えそうですね。

 

「山崎、彼の服を―――」

「さ、流石にそれはやめてやれ! というか少しは情けというものがないのか!?」

「情け、……いいえ。これは主の意思なのです。曲解してこそ信仰なのだと父様も言っていますし」

「その歪んだ感性は本当にどうにかならないのか……」

「ええ、度台無理でしょうね」

 

 叫び疲れて気力が抜けたのか、山崎は膝に手をついて肩を上下さしている。ふふ、そういうところがイィの。分からないのかしら?

 

「…………」

 

 ああ、それにしてもこの死んだ目をしている彼はどうしましょうか。弄り……がいはないですね。要素がありませんし、剥く事は山崎に免じて赦してあげましょう。

 

 しかし、そうなると……、

 

「……はぁ、興が削がれました。帰ってアーチャーとでも話すことにしましょう」

「っ!」

 

 あっ、そうだこのままアーチャーの前に持っていくというのは―――

 

 

 

「だからやめてやれってェ!?」

 

 

 

 ……むう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえずパパッと同時進行で書いていってしまおう。夜を返上すればなんとか行けるから……ッ。

愉悦に、優雅に、SSSに……やばい。


そういえば優雅じゃ無粋だったのでここで報告。


巌窟王の時、単発5連で巌窟王さん2枚出ました。


……あれからモンストに白猫、サマナーズにおいてレアキャラが欠片も出ない……今年の幸運値は使い切ったな。これは。


……だけど、八連結晶がないから霊基再臨出来ない……。バサ部屋で出ない……。おかすぃ。……でも、こんどのイベントの交換素材にあることに願いを託すわ。

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