ドラゴンクエストⅤ パパスと優秀な軍師   作:寅好き

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大神殿を突き進め!!

「予想通りでしたね……。」

ズラリといならぶ黄色い竜騎士シュプリンガーの群れを見ながらレイシアは苦笑いをし、ため息をついた。

「まあなんだ、予想はしていたんだ、予定通り突っ切るぞ!」

パパスの檄を受け皆はひとかたまりになり兵士の群れに突撃を掛けた。

 

――――

子供たちを助けた後にパパス達はグランバニアに戻り、住んでいた場所が分かる子供はその場所にレイシアがルーラで送り、判明しない子供は拐われたなどの訴えがなかったか等を調べ解決に至らせた。

その件に約一ヶ月半を要し、再び大神殿にやって来た所である。

そして大神殿側も労働力を失っただけでなく、監視役の鞭男たちが何も抵抗できずに一掃されたために、再び来るであろうパパス達への備えを行っていた。そのど真ん中に、レイシアのルーラでパパス達一向は舞い降りたのだった。

 

「はあっ!!」

パパスが先頭で立ち塞がるシュプリンガー達を斬り倒し、道を作り、左右から迫るシュプリンガーはパピンとサンチョが相手をし、後方から迫る相手はバルバルーが大剣の一振りで薙ぎ倒していった。

しかし、快進撃も長くは続かない。

手練れの5人+プオーンでも一進一退になるほどに大神殿側の備えはしっかりしていた。

「くそっ、敵が多すぎる。

次から次へときりがない。」

 

パパスが剣を振りながらも愚痴を溢す。

 

「せめて進行方向の敵さえなんとかできれば…」

サンチョがウォーハンマーを振り回しながら疲れたように呟く。

すでに大神殿にやって来てから一時間はゆうに過ぎていた。

ここまで剣や金槌を休める暇がないほどの連戦が続き、さすがに皆に疲れが見え始めていた。

「皆さん私が詠唱を終えるまであと少し耐えてください。」

それまで中心で守られていたレイシアが口を開く。

「お前はここのボスまで魔力(MP)を温存するという話だったはずだが。」

そうパパスがいうように、レイシアの魔法はある意味切り札的な存在であった為に、ボスまでは温存するということに事前に決めていた。

 

「このままではじり貧です。

もう構ってはいられません。

魔法で前方の敵は一掃するのでお願いします。」

鬼気迫る表情で話すレイシアを見て皆が頷いた。

レイシアが詠唱を始めると、レイシアの体の周りから魔力が溢れ出す。

それは魔力を持たない者でも感じられるものである。

詠唱が続くほどに迸る魔力は強さを増す。

その間約30秒ほどであったが、皆が待ちわびた声が響く。

「皆さん発動しますので道を開けてください。ベギラゴン。」

ベギラゴン、上級閃光魔法である。

前方に強烈な閃光を伴う超高温の熱が襲いかかる。

目視が不可能な程の閃光が治まると前方の道は黒く焼け焦げ、全ての敵が灰になっていた。

 

「では行きましょう。」

こともなげにレイシアは話先に歩みを進める。

パパスたちはいつもながらレイシアの魔法に驚きながらも「はい。」とだけ言いついていくのだった。

そして皆の心の中には(レイシアは絶対に敵にまわしてはならない。)ということが浮かんでいた。

前方の敵が一掃されはしたが依然として後方からの追撃は止まらない。

「僕が足止めするからみんな先に行って。」

プオーンが意を決したように突然発言した。

「何を言うプオーン、あれだけの相手一人で勤まるはずがないだろう。」

パパスはプオーンの発言を拒否する。

「でもこのまま走り続けるのは無理だよ。

それに僕ならあいつらをまとめて倒せる技もあるし。

それにみんなの役にたちたいんだ。」

プオーンはパパスに自分の意志はまげないと覚悟の籠ったつぶらな瞳を向ける。

「しかし…」

いいよどむパパスに

「では私も残ります。」

成り行きを見つめていたパピンが口を挟む。

パパスは二人の覚悟を感じとり了承すると同時に

「絶対に生きてついてこいよ。」

とだけ残し、二人を置いて先に進んだ。

 

「あんな大見得きって大丈夫なのかプオーン。」

大勢の敵を前にして少し心配になるパピンだが、プオーンは以前として自信に溢れた表情をしている。

「まあ見ててよ。ゲマとの戦いで身につけた技を。」

プオーンがパピンにそう言うと、一歩前に出て、大きく息を吸い込む。

そして敵の集団が間合いに入った瞬間に何かを吐き出した。

それは灼熱の炎、パパスのピンチに体が反応して覚えた技。

触れるもの全てを焼き尽くす巨大な炎が全ての敵を飲み込んだ。

先ほどレイシアがはなったベギラゴンに勝っても劣らない技であった。

「ふう、どうだった?」

ぽてっと腰を下ろしプオーンは感想をパピンに求めるが。

パピンは呆然としつ「……」となにも返すことができなかった。

――――

「プオーンちゃんたち大丈夫でしょうか。」

心配そうに呟くレイシアに

「二人を信じよう」

と返すことしかできないパパスであったが。

パパスも目的地の直前までやって来ていた。

「どうやらあいつが最後の門番らしいな。」

パパスが見つめる先には大きな扉の前にたたずむ銀色に鈍く輝くドラゴンが赤い目を光らせて全ての侵入者を拒むように立ちふさがっていた。




シュプリンガーはベギラゴン効かないだろなど意見はあるかもしれませんがご容赦ください。

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