「ああ、素晴らしい戦いであった。もう思い残すことはない…しかし、望みが叶うならばもう一度、もう一度、あのような血がたぎる戦いをできたら…。」〈その望みを叶えてやろうか。わしに手を貸すという条件つきではあるがな。〉
「何者だ。本当に私の願いを叶えてもらえるのか。」
〈わしは〇〇〇〇〇〇。叶えてやる。さあ闇に手を伸ばすのだ。〉
「……ラン様。…ュラン様。」「うん。なんだ?」
「はい、例の侵入者達が城に入り込みました。」
「そうか、では私の前に連れてこい。誰も手を出さぬようにな。」
「はっ。」
「クックック。やっと待ちに待った、この時がきた。せいぜい私を楽しませてくれよ。」
男を中心に空気がガラリと変わり、ピリピリとした空気に充たされていた。
「ここで我が主がお待ちかねです。お入りください。」
玉座の間に続く大きく重い扉が音をたてて開く。
扉が開くと同時にパパス達は息を飲んだ。今まで感じたことがないほど凄まじい威圧感に気圧され、背筋に冷や汗が流れるのが感じられた。だがここで足を止めてはいられないと、意を決して玉座の間に入っていった。
玉座の間はグランバニアや他の城とさほど代わりはなかった。たった二つのこと以外は。
一つ目は、通常の3~4倍程の大きさの玉座であること。
二つ目は、その大きな玉座に座している者も人間場馴れした巨体で、先ほどパパス達が感じた圧倒的な威圧感を持っていることである。
「よくぞここまできた。私は新しくこの城の主となったデュランという者だ。お前達が会いにきたこの城の主はいないといったほうがよいのかな。」
デュランはそう言うとプサンに目をやり、ニヤリと笑う。プサンは少し眉間に皺を寄せたが、すぐにいつもの飄々とした顔に戻ったので、誰もプサンに対して言った言葉とは気付いていなかった。
「ではこの城の真の主はどこにいるのだ?」
「ほう、勇ましいな。私の威圧にも負けず声を発することができるとは。期待できる。私を倒すことが出来たならば、全てを話してやろう。だが、私と戦うに足る力があるかを確かめさせてもらうぞ。」
デュランが指をパチリと鳴らすと、目の前の空間が揺らぎニ体の魔物が現れる。
頑丈そうな機械の体を持ち、足にはトゲつきの球体という見たことがない魔物と、巨大な亀のような魔物。こちらも甲羅にトゲがついており、攻防ともにこなせそうな姿をしている。ともにどの魔物図鑑を見ても載っていないであろう魔物であった。以前でたモンスターじいさんが見たら興奮して突っ込んでいくであろう魔物であった。
「さあ、まずは第一回戦だ。この世界には存在しないであろう魔物のキラーマジンガとランドアーマーだ。さあお前達の力見せてもらうぞ。」
キラーマジンガとランドアーマーが臨戦態勢に入る。パパス達も先頭体制をとろうとすると、パパスの前にスッとバルバルーが前にでる。
「本当はあの男と戦いたいんだが、アイツはパパスお前にやるよ。その代わりこの二体の魔物は俺に任せろ。かなり楽しめそうだ。それに第一回戦ということはまだ後にも戦いがありそうだから、戦力は温存しといたほうがいい。」
というと、バルバルーは大剣を構える。
「ほう、幻魔か、珍しい。ではいけ。」
デュランが檄を飛ばすと戦闘が始まった。
キラーマジンガが剣と金槌を時間差で降り下ろす。バルバルーは剣をかわし、金槌を大剣ではらい、懐に飛び込み横一閃に切りつける。しかしいったかと思われたが横槍が入る。後ろにいたはずのランドアーマーがキラーマジンガの前に立ち塞がる。キン、金属と金属が激しくぶつかりあう音がする。
「チッ。」
バルバルーの大剣が弾かれ、バルバルーが後ろに下がるやいなや、キラーマジンガがランドアーマーの影から飛び出し、尻尾にあるボウガンを放つ、バルバルーは大剣で撃ち落とすがまだそれで終わりではなかった。丸く球体になったランドアーマーが転がりながら突っ込んでくる。なんとか横にステップし体当たりをかわす、そこにキラーマジンガの金槌が迫っていた。
「がはっ。」
バルバルーは金槌の一降りをまともに受け吹き飛ぶ。
体勢を入れ換え着地と同時に壁を蹴りキラーマジンガに大剣を振るうがまたもやランドアーマーに弾かれる。
「クソッ。コイツらのコンビネーションはなかなかだ。それにあの亀の硬さは半端じゃない。しょうがねえ、卑怯そうであまり使わなかったが、今回は使うか。」
何か自分に言い聞かせるように言うと
「バイキルト。」と魔法を唱える。
バルバルーの大剣と体を赤いオーラが纏う。
「ここからが本番だ。」
「バルバルーが魔法を使うことができたとは。であのバイキルトとはどのような魔法なんだ?レイシアよ。」
「バイキルトととは物理攻撃を二倍の威力にするという魔法です。バルバルーさんはあまり好きではないみたいですが。」
パパスとレイシアのやり取りが終わるかというときに、バルバルー対キラーマジンガ&ランドアーマーの後半戦が始まった。