ドラゴンクエストⅤ パパスと優秀な軍師   作:寅好き

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友か義妹か。

あの訓練場の模擬戦からパパスとバルバルーは暇があれば自らを高めるため、ともにより高みを目指すために剣を交えるようになっていた。まあ城中に度々爆音のような衝撃や、音が鳴り響いていることに、頭を抱えているクレーム受け付け係のオジロンには不憫なことだが。それは良いとしても、パパスとバルバルーは今では好敵手であり親友とも言える仲になっていた。それはとりもなおさず、今までパパスと全力で戦える者がいなかったため全力で剣を交えることができた喜びからでもある。しかしそのような中で頭を抱えている者がいた。レイシアだ。確かにレイシアはカカロンにパパスとバルバルーの模擬戦が終わったら、すぐに召喚しなおすように言われていた。しかし、パパスがまだまだバルバルーと戦いたい。学びたいことがあるというのでバルバルーの送還を延ばしていたのである。それは剣王のサムシンも同様であるのだが。そしてそれは送還の延期だけでは終わらなくなってきていた。

「俺にあのつまらないところへ帰れというのか。帰ることなんかできるか。俺は俺の親友を助けるときめたんだ。困っている親友を見捨てて帰れって言うのかよ。できるはずねえだろ。」バルバルーの怒号が響き渡る。横ではパパスが目を潤ませて、いや熱い汗を目から流していた。そして抱き合うパパスとバルバルー。なんという暑苦しさだとレイシアは感じながらもバルバルーを説得する。

「私はあなたと王が模擬戦が終わったらすぐに召喚しなおすと約束しました。それにあなたの王を思う気持ちはよく分かりますが、私達も全力で王を助けますので安心して帰ってください。」

「カカロンの我が儘なんか知ったこっちゃねえ。俺はテコでも帰らねえぜ。帰らせたいなら力ずくでこい。」全くもって話にならない。召喚主に喧嘩を吹っ掛けてくる始末である。凍てつく波動をしようかとも思ったレイシアであったがパパスのことを考えるとすることができなかった。

悩んでいるレイシアにオジロンは「召喚は二人までしかできないんですよね。」と問いかける。

「はい。二名までしかできません。」とレイシアは丁寧にかえす。

「では、剣王さんにお帰りになってもらえばよいのではないでしょうか?」「!」レイシアともあろうものが、そんな簡単なことも忘れていた。バルバルーとのやりとりで暑くなっていたことと、剣王の影の薄さから思い付かなかったのである。ということで剣王にはお帰りにいただいた。そしてカカロンの召喚にうつる。「幻魔召喚カカロン」唱えたレイシアにかなりの負荷がかかる。レイシアだからこそ幻魔召喚と召喚をあわせてできるといった規格外のことができたのだが、今度は召喚より消費魔力が大きい幻魔召喚の二重召喚。負荷がかからないはずかない。だがなんとか召喚することには成功した。「オジロンちゃ~~~ん。合いたかったよ~」召喚されてすぐにオジロンに飛び付くカカロン。今まで召喚が遅れた理由を言うとカカロンとバルバルーが睨み合う場面もあったがなんとか収めることができた。ただ一つ問題があり、召喚されたカカロンの能力が半減していたのだが。今までが強すぎたためまあいいんじゃないかということになった。

そしてパパス達が十分に力をつけたこと。バルバルーという強力な仲間が加入したこと。グランバニア城の守りにも目処がたったことにより旅立ちの予定を明日から話あうことになった。「マーサ様。やっとあなたを助け出す目処がたちました。私の命にかえてもあなたは必ず助け出します。この絶対に返すことのできない御恩をかえすためにも。」レイシアは誰にも聞かれないように、しかし力強く呟いた。

翌日

これからどこへ行けばいいのか?今までえた情報から考えるとマーサを拐った魔物に会えばよい。そして魔物が住む場所もわかっていたのど簡単だと思っていた。しかしそんなに簡単なことではなかった。世界地図を広げてキングレオが言っていた、魔物の居場所を見てみると岩山に囲まれた場所であり、船では行けない所であった。

「これでは気球などのような空を飛べるものがないと無理ですね。」『気球?』レイシアがいう気球というものについては誰も分からなかったが、空からということは理解できた。しかし空からとはどうすれば?全く思い付かなかった。

「これでは埒があきませんので、私に少し時間をください。」とレイシアが言うのでパパス達はレイシアを信頼して解散することになった。

夜 レイシアの部屋

「まさか、ここまできてまた昔のように占いをすることになろうとは…。昔の私とは決別したはずなんだけどな。でもマーサ様の為に。」と独り言をいい。どこからか大きな水晶玉をもってきて精神集中をし、この先のことを占いだした。

 


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