モンスターじいさんの助言を受けた後のはぐれメタルとの戦いは、想像以上に上手くいった。
生態系も正常に戻るぐらいにまで討伐を行い、それにともないパパス達のレベルも軒並みあがるというように、まさに一石二鳥という状態であった。
~1ヶ月後~
「皆さんレベル上げ本当にご苦労様でした。
私たちのレベルもかなり上がりました。数値で言うと50~60ぐらいと幅はありますが、最初と考えると雲泥の差です。
ただ皆さんははぐれメタルとばかり戦っており、まともな戦いはこの間行っていないことも問題です。
ゆえに明日は王とパピンさんにちょうどよい相手を用意いたしますので楽しみにしていてください。」
「久しぶりに骨のある相手と剣を交えることができるのは嬉しい限りだ。身体能力がどれだけ上がったのかも試したいしな。」
「私も同じ気持ちです。パパス王。腕がなります。」
レイシアの提案にパパスとパピンは喜んで同意する。サンチョは主に補助係なのでパパスとパピンに実践は限られた。
グランバニア
「それはどういうことよ。レイシア。わたしに愛するオジロンちゃんと別れろっていうわけ?」
恐ろしい剣幕でカカロンがレイシアをまくし立てている。
「いえそういうわけではなく。少し里帰りをしたらどうかと提案しただけで…」
その剣幕に圧されたじたじになりながらもレイシアは言い訳をならべる。
額にはうっすらと冷や汗がとめどなく流れている。レイシアをも恐れさせる幻魔のなせる技かはたまた、愛する者から離されることが彼女をここまで熱くさせるのか。
「わたしの居場所はオジロンちゃんの隣だけなの。帰るつもりはないわ。本当は厄介ばらいしたい訳じゃないの?本当のことを言いなさい。」
レイシアとカカロンの言い合い(カカロンが一方的だが)に周りはハラハラするばかりで、恐ろしくて仲裁できる者はいなかった。
「カカロン姉さんは本当のことを言わないと納得してくれそうにないので真実を話します。実は………」
レイシアは一転真剣な表情で話始めた。
「はぁ、しょうがないわね。わたしの義兄になる人のためだったら。まあしょうがないけど、終わったらすぐにこちらに呼ぶこと!いいわね!」
納得してくれたのはよかったのだが、最後の部分にはかなりの威圧が込められていたのでレイシアは何も言わずいや、言えずに、頷くしかできなかった。
次の日
パパスとパピンは兵士の訓練場に来ていた。
「よくきてくださいました。今から相手をお呼びしますので少しお待ちください。」
どういうことだろうか。
まだ相手は来ていないのかという疑問はパパスもパピンも持ったが、レイシアのことは信頼しているので、静かに待つことにした。レイシアは集中しつ
「召喚」、
「幻魔召喚」
と立て続けに二度となえた。
するとその場に二つの影が現れる。姿がはっきりし、見てみると、神々しい鎧に身を固め剣を携えた剣士と、屈強な鍛えぬかれた体をもち、人間と違う緑色の肌を持ち、かなり大きな大剣を構えた剣士がいた。
パパスとパピンはレイシアのおかげで¸もう大抵のことでは驚かなくなっていた。
そのため冷静に自分の相手になるであろう者に¸鋭い視線を向けた。
「こちらの鎧に身を包んだ方は、剣王と呼ばれるサムシンさんです。そしてこちらの大剣を構えた緑の方は幻魔でバルバルーさんといいます。
サムシンさんはパピンさんの、バルバルーさんは王のお相手となります。」
レイシアがこのように説明すると、
「よろしく。パピンさん。思う存分力の限り戦おう。」
「最初は俺の相手は人間と聞いてつまらんなと思っていたが、相手を見て考えが変わったぜ。こりゃあ楽しい戦いになりそうだ。楽しもうぜ王様よ。」
サムシンは礼儀正しく、バルバルーはぶっきらぼうに自分の相手になるパピンとパパスに挨拶をする。
「剣王と呼ばれる方と戦えるなんて光栄です。しかし負けるつもりはありません。正々堂々と戦いましょう。」
「まさか幻魔の剣士と戦えるとは。久しぶりに熱く楽しい戦いが出来そうだ。これもレイシアさまさまだな。よろしく頼むよ。バルバルーさん。」
パピン、パパスもそれぞれ挨拶を返す。
サムシンとパピンはともに礼儀正しくはあるが臨戦態勢に入っている。
パパスとバルバルーはともにこの先の戦いが楽しみでしょうがないようで笑顔ではあるが、お互いの気迫には凄まじいものがある。
「訓練場なので思いっきり戦ってもらって構いません。それにしっかりと回復魔法用に魔力(MP)もあるので安心してください。
ただし、回復させることはできますが、いいものではないので殺しあいには発展しないようにしてくださいね。」
レイシアがそのように四人に訓練の説明をするが誰も聞いていないのは明白なため、大きなため息を一つはき、呆れながらも
「始め!!」
という。そのレイシアの声と同時に剣と剣のぶつかり合う凄まじい金属音と爆風のような衝撃波が伝わってきた。
「訓練場は無事ではすまないだろうなぁ。まあ訓練場だけならましかもしれないかも。」
とレイシアが人知れず呟くのであった。
次回戦いの本編に入ります。