グランバニア周辺の平野だったところ
「はあっ」《パパスのかいしんの一撃 はぐれメタルに194のダメージ》というメッセージが出そうなほどの力強い一撃ではぐれメタルを両断した。
タタタタトッタット~パパスのレベルが上がった。
というようには現実にはいかないが、はぐれメタルを倒すと、体の中から力がみなぎってくる感じは、皆が実感していた。
「今日の収穫ははぐれメタル2匹とメタルスライム5匹ですか…。」数字から言えば全く収穫がないという訳ではないが、パパス一行には元気がない。少し行き詰まっているという感じだ。なぜなのかというと、以前レイシアが唱えた呪文〈パルプンテ〉によって生態系が乱れる程にメタルスライムが増殖いや、そこらの魔物がメタルスライムに変化した(といったほうが良いが)、そのようになったことにより、メタルスライムの群れからはぐれることにより出来上がる珍しいはぐれメタルもかなりふえ、レベル上げが容易になったように思われた。確かにはぐれメタルとの遭遇はました。しかしやはりはぐれメタルはよく逃げる、こちらが回り込むことができないほどのスピードで逃げまくった。そのようなことから一日中戦っても2匹しか倒せず、パパスたちは行き詰まったと考えざるをえなかったのだ。
「皆さん今日も疲れたと思うので帰りましょう。」レイシアが皆に提案するが、パパスは頭ではわかっているが、体が動かない。マーサが魔界にいるということを聞いてからはずっとこんな感じだ。焦りがある。またその焦りが剣筋を鈍らせることもはぐれメタルをなかなか倒せない要因ではある。
レイシアはなんとかパパスを納得させると、ルーラで帰還する。
夜更け
誰もが眠る静かな城内をレイシアは歩く。レイシアは城の中庭にやって来ると空を飛び何処かに去っていった。
「あれはどうしたのかしら…。まあいいや。オジロンちゃんに夜這いをかにいこっと」カカロンは見ていたがどうでも言いようだった。
暗転
テトテトテットッテ~
夜が明けた。昨夜はお楽しみでしたね。ていうようにいかなかったのがよく分かるほど不機嫌な顔をしてカカロンは昨夜見たことをレイシアに問い詰めにいった。
「昨日の夜どこいってたのよ。まさか男の所なんじゃないでしょうね?」
「そうですよ。とても素敵な魅力溢れる男性の所です。」
あっさりと答えるレイシアにカカロンは驚かされた。今まで男の影など全くといってなかったことから、冗談半分で言ったのにまさか「そうだ」と言われるとは予想だにしていなかった。問い詰めようとした所にパパス達がやってきた。「こんな朝早くになんだというんだ?」
「はい会って頂きたい人がおりまして。入ってください。」
そう言うと一人のおじいさんが入ってきた。パパス達がよくしっている人物であった。今はいないがオジロンに爆弾岩のことを教えた人物でもある。
「久しぶりじゃの。パパス坊。オジロンはいないのか?」
「いきなりそれですか。私はもう一国の王ですよ。モンスターじいさん。」
「わしにしたらまだヒヨッコじゃ。」カッカッカと笑いながら話す。
「しかし、レイシアはなぜモンスターじいさんを連れて来たんだ?」
「モンスターおじいさんは、魔物についてはプロフェッショナルです。もうおわかりですね。」パパス、サンチョは気づいたようだが、パピンはまだのようなので、
「はぐれメタルについての対策をたてるためにおいで願いました。」とつけ加える。頷くパパスとサンチョ。やっとパピンも理解した。
「お知恵を拝借させてもらえたら、これからの効率があがると思いまして。またこれ以上のかたもいられません。」レイシアが賛辞の言葉を並べるとモンスターじいさんは年甲斐もなく顔を赤らめて喜んでいる。
「モンスターじいさん、酔っぱらってないで教えてくれ。」
「礼儀がなってないの。坊や。頭を下げるのが礼儀というもんじゃないのか?土、下、座でもよいぞ。」
睨みあう二人、なんとかレイシアがその場を収め本題に入る。「なに、はぐれメタルを逃がさない方法じゃと?」魔物の話になるとモンスターじいさんの目が真剣になった。
「簡単じゃ。はぐれメタルは群れからはぐれたメタルスライムじゃ。ということは腹を空かせておる。この霜降り鉱石を与えれば逃げなくなるわい[ゲーム本編ではあり得ないことです。フィクションです。]」
と簡単に解決法を教えてくれた。
「流石はモンスターじいさんです。」サンチョがモンスターじいさんを称える。
「本当だ。年の功だな。」いがみ合っていたパパスも褒める。「ふん。当然じゃ。」まんざらでもないモンスターじいさん。レイシアは連れてきてよかったと安堵した。
「じゃあわしはオジロンにでも会ってくるかの。少し滞在するから宴会の支度でもしといてくれんかの。」パパスの返事も聞かずに出ていった。
「まあいい。杞憂なことがモンスターじいさんのおかげで解消されたことは覆しようがない事実だ。レイシア宴会の手配をしてくれ。」
「分かりました。」
その夜宴会が開かれることになった。
おまけ
「わくわくするわね。ついにオジロンちゃんと……。ああ嬉しくてイオナズンとなえたいぐらいだわ。」おっかないことを言いながらオジロンの部屋に向かう。
「つ、ついにオジロンちゃんの部屋についたわとつげき~」しかしドアが開かない。
「何で?」
オジロンの部屋のドアは牢獄と同じドアになっていた。カカロンは絶対に暴走すると踏んだレイシアが、普通の扉から最後の鍵でしか開かない扉に変えていたのだった。ゲームの仕様じょうパパス以外には力でこじ開けることができないことから夜明けまでねばっても、カカロンにはどうすることもできなかった。よって今日もオジロンの貞操は守られたのであった。
モンスターじいさんの性格はこちらのオリジナルです。また「アバカム」は失われた魔法とします。後々ブオーンは出したいので。あしからず。