深遠なる迷宮   作:風鈴@夢幻の残響

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if:After.

一日遅れのハロウィンネタ。
短い上に大した内容でもないですが。
……犬耳フェイトちゃんを見たいだけの人生だった。


Another Phase06:もしもの話。いつかの話。その2

『トリック・オア・トリートッ!』

 

 「いぬみみフェイト」、「ねこみみなのは」、「たぬみみはやて」があらわれた! どうする?

 

 たたかう

 にげる

 めでる←

 

 朝も過ぎ、昼にはまだ早い午前中。鳴ったインターフォンに出てみると、開けて開けてとはやての声。

 どうしたんだろうと玄関の戸を開けると、そこには頭にケモミミを着けた三人が居て、冒頭の台詞である。

 ……ああ、今日はハロウィンか。

 そんな風に考えていると、はやてが「あの……葉月さん?」とおずおずと声を掛けてくる。

 

「なんやもうちょっと反応してくれんと、流石に私らも困るんやけど……」

 

 そう言われましても……と思いつつも改めて三人に向き直って見てみると、はやては楽しげに、なのはは若干恥ずかしげに、フェイトはとても恥ずかしげにしつつも、それぞれ良く見えるように並んでくれた。

 フェイトはアルフに近いような色合いの犬耳カチューシャを着けている。綺麗な金髪に赤い耳が映えてとても可愛い。服装も耳に合わせたのか、赤色を基調にしたニットのセーターに膝丈のスカート。そしてなのはに促されてその場でくるりと回ったフェイトの腰元には、耳と同じ……というかセットなのだろう、赤色のフサフサの尻尾が付いていた。

 なのはは大きめのグレーの猫耳。尻尾は長くて細い形で、薄いグレー地に、濃いグレーの縞が入っている。

 服装はこれまた耳と尻尾に合わせたか、白地に黒のチェックが入った、ウエストの前部分がリボンになっているプリーツタイプのロングワンピース。

 最後にはやては……たぬ耳パーカーである。フード部分にタヌキの耳が付いていて、腰の辺りに尻尾の飾りが付いている、ノースリーブのベージュのパーカーだ。

 

「……はやてさんや」

「ん?」

「なぜタヌキ?」

「可愛いやろ?」

 

 いやまぁ可愛いけどさ。

 とりあえず、残念ながら今はトリートは無いぞと言うと、三人は顔を見合わせて。

 

「……じゃあ」

「トリックしちゃって」

「ええんよな?」

 

 ちなみに何を?

 

「……とりあえずクマ耳か狐耳でも着けてもらおか?」

「わぁ、それ可愛い!」

 

 なのはさんや、可愛いじゃないよ。……と言うか、なんだかそれだけじゃ済まなそうだ。

 

「……仕方無い。翠屋で何か奢ってやる」

 

 苦笑交じりに言う俺に、三人は「わーい!」と手を打ち合わせ、今から行くか? と問えば、嬉しそうに頷くなのは達。

 じゃあちょっと待ってろと言い残して、手早く準備を整えて再び外に出ると、フェイトが丁度犬耳カチューシャを外したところで。

 なんでも、ウチの直前で装備したらしい。で、そのまま行くのは流石に恥ずかしい、と。……ふむ。

 

「なあフェイト。行く前にもう一度着けて見せてよ」

「え? うん、良いけど……はい。どう?」

 

 うん、可愛い。

 そう告げると、恥ずかしそうにしつつも「ありがとう」と言うフェイト。

 

「ところでフェイト。トリックオアトリート?」

「え? ……え?」

 

 突然の問いに、フェイトが戸惑った声を上げた。

 ……残念、トリートは持っていないらしい。残念だなあ。

 「なのは、はやて」と声を掛けると、意図を察した二人が、フェイトの両手をそれぞれ捕らえる。

 

「ふむ、トリートを持っていないとは残念だなあ」

「え、ええ? 待って、このまま行くの!?」

「ごめんなあフェイトちゃん……けどこれは仕方無いことなんよ」

「あはは……けど、似合ってるから大丈夫だよ?」

 

 俺の白々しい言葉に困惑するフェイトと、その左右を固めるなのはとはやて。

 そんな三人の姿に、自然と頬も緩む。

 すべて世は事もなし。




こんな未来が待っていればいいのにと、思いを馳せる。

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