Fate/Endless Night   作:スペイン

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第十五話 道は―――。

 結果から言うと、冬木の教会には行かなかった。

 

 というのも、言峰が冬木の教会の方から歩いてきたからだ。

 

「マクミレッツ、よく召喚に応じてくれた」

「いえ、貴方からの頼みごとなんてそうそう受けられるものでもありませんから」

「対価は用意していないのだが…困ったものだ」

 

 始められた会話は親しげな物だった。

 知り合いよりも仲良さげに、仲間というには何処か別な雰囲気を感じた。

 

「バゼットさん、二人は…その、知り合いなのか?」

「あぁ、そうだぞ衛宮士郎(・・・・)、私はこの女性、マクミレッツと知り合いだ」

 

 ――――なるほど、そういうことか。

 

 一人で納得、その納得は言峰の俺に対する呼称からの物だ。

 

 生憎と、俺は未だに冬木の教会に普段からいる方の言峰とは知り合っていない。

 にも関わらず、この言峰は俺を衛宮士郎と呼んだ。

 

 つまりこの言峰は、俺の協力者の方の言峰だ。

 

「なるほどな、迎えに出向くなんて珍しいな」

「あぁ、わざわざ私が呼びだしたのだ、そうしなければならない理由としては充分だろう?」

 

 こっちの言峰が出迎えなければいけない様な理由がある…と。

 

「そうだな、それならここで話すのもなんだし、ウチで話せばどうだ?」

「ウチで…?えっと、衛宮さんは言峰と一緒に住んでいるのですか?」

「あぁ、言峰はウチで暮らしてますよ、それと俺のことは士郎でいいですよ」

 

 え、どうしたんだバゼットさん、そんなに驚いた顔をして。

 

「言峰、あまり多くを言うつもりはありませんが…その、男性に走るのは」

『おいマスター、何言ってんだ?』

「ランサー、お前のマスター一発殴っていいか?」

「マクミレッツ、妄想も大概にしておけ」

 

 三対一の完全孤立、バゼットさんは少し悲しげな表情を見せた。

 もしかして冗談だったのだろうか?分かりにくい人だけれど、和んできた場に合わせてくれようとしたのかもしれない。

 

 不器用な女性だ。

 

 ――――――――――――――――

 

 俺の自宅への道すがら、俺の家で話すと言っていたのに流れる形で二人は会話をしていた。

 

「なるほど、修練の為に士郎くんの自宅に間借りして暮らしているのですね」

「そういうことだ、マクミレッツ、何なら私の拠点として利用できるよう借りているホテルの部屋を貸してやろう、どうせ拠点とする家は決めていないのだろ?」

「感謝します、それにしても士郎くんは恐ろしい強さですね、未だ高校生にしてその強さとは」

 

 唐突に振られ焦ったが、言峰の視線を受けて冷静に答えることが出来た。

「まぁ、一時期は葛木師匠(アレ)な人に弟子入りしてましたから」

「アレな人…ですか、士郎くんが今弟子入りしている言峰もアレな人だと思うのですが」

「マクミレッツ、ホテル無しの生活と言うのは辛いな」

「言峰も結構良い人ですからね、師匠としては素晴らしい人材でしょう」

『マスター、俺ぁ仕える身として悲しいぜ』

 

 ランサーも苦労してるなぁ。

 まぁ俺が召喚するのはセイバーだろうし、食費の面で苦労するのは目に見えてるんだけどな。

 

 とはいえ、この場合俺はランサーとアーチャーの戦いを見てもランサーに狙われそうに無いんだよなぁ、遠坂と知り合う方法も考えなくちゃいけないな。

 

 さて、今回のマスターは俺が知っている中だと…

 

 バゼットさん・ランサー

 イリヤ・バーサーカー

 遠坂・アーチャー

 俺・セイバー

 葛木・キャスター

 桜・ライダー

 キャスター・アサシン

 

 になるな。

 

 何とも難しいな、英霊を倒せばイリヤに負担が掛かる。

 だからといってずっと現界していれば誰しもの願いは果たされないまま、か。

 

 きっと好戦的なマスターもいるだろう、そして、好戦的な英霊も。

 最大の懸念は英雄王だ、あの男がどう動いてくるかで話は大分変わってくる。

 

 きっと今回の聖杯戦争はそこまで酷いことにはならない、桜もイリヤも俺が守る。

 

 そうだ―――。

 

 ふたりは、まもらないと―――。

 

 たとえ、なにをぎせいにしてでも―――。

 

 違う!

 

 守りたいのは二人だけじゃない、皆、皆守りたいんだ。

 

 時折、俺を苛む物がある。

 それは可能性(おれ)自身、無念や後悔を抱えた俺自身だ。

 

 正義の味方を目指す俺と、誰かを守りたいと願いながらも果たされずに朽ちていった俺、俺の中で、その二つが葛藤している。

 

 以前は、桜を守ると誓った。

 しかし、それは果たされなかった。

 

 だからこそ、今回だって桜の正義の味方でいたい、それは嘘じゃない。

 しかし、同時に切嗣との約束、みんなの正義の味方になる夢だって嘘じゃない。

 

 迷いは無い、正義の味方になるという夢自体に迷いは無い。

 

 だから、己の道を決める。

 

 

 

 

 

 

 

 ここで決めよう、俺は、俺はなる。

 

 

 

 A:桜の正義の味方に

 

 B:みんなの正義の味方に

 

 C:その時、ふと(よぎ)る黒い感情

 

 

 

 

 




 はい、終わり方から予想できている方もいらっしゃるかと思いますが、選択肢は読者のみなさんにあります。

 どれも間違った選択肢では無いです。
 それにここで選ばれなかった選択肢もしっかりと回収します。

 1/11 13:15~1/12 00:00までに活動報告で選択頂いた方々によって、物語は方向性を決められる形になります。
 名付けるなら、

 A:lonely gurdianルート
 B:Don`t need HEROルート
C:story of endlessル―ト

 です。
 皆様の選択をお待ちしております。

 活動報告ページ http://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=97811&uid=45608

※非常にずるい手段であり作者としてどうなのかと葛藤しましたが、Fateらしさを出したいのでこの選択肢方式を取らせていただきます。
 不快に思われた方には謝罪を、誠に申し訳ございませんでした。

 ご指摘いただき感想でのアンケートから活動報告へのアンケートに変更いたします。

 既にご感想いただきました方の分は集計させていただきました為、二度のアンケートへの投稿は不要となります。

 ご迷惑おかけして申し訳ありません。

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