魔法先生も異世界から来るそうですよ!   作:さゆとき

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第6話

「私がやる」

 

 

※※

 

 

箱庭で最初に全員で挑むギフトゲーム。先陣を切ったのは、一見大人しそうに見える耀さんだった。

 

「ふむ。自信があるようだが、これは結構な難物だぞ? 失敗すれば大怪我ではすまんが」

 

「大丈夫、問題ない」

 

おぉ、耀さんの目がキラッキラ輝いてるように見えるよ。

 

「OK、先手は譲ってやる。失敗すんなよ」

「気をつけてね、春日部さん」

 

「うん。頑張る」

 

耀さんが参加することに決まったようだね。

 

「頑張ってね耀さん、応援してるよ」

 

「うん、ありがとう」

 

僕らが激励の言葉を聞いた後、耀さんは待ちきれないといった様子で走って行った。

 

その後、耀さんはグリフォンと言葉を交わし、【誇りをかけて勝負をする】という提案を出した。それに対しグリフォンは【誇りの対価に何をかける】と聞くと、耀さんは誇りの対価に命をかけた。

さすがにこの時は傍観に徹していた飛鳥さんや黒ウサギさんも、耀さんを止めようとしていたが、白夜叉さんと十六夜君に止められていた。

 

その後、グリフォンの背中に乗った春日部さんはなんとか山脈を一周し、湖畔へ戻ってきてゲームクリアとなった。が、勝利が決定した瞬間、春日部さんが突如グリフォンの背中から落ちた。

 

僕は空を飛んで助けようとしたが、十六夜君の言葉を聞いて少し様子を見てみた。すると、春日部さんの体が風をまとって宙にき、そして、階段を下りるように僕らのところに戻ってきた。

 

「やっぱりな。お前のギフトって、他の生き物の特徴を手に入れる類だったんだな」

 

「違う───。これは友達になった証。けど、いつから知っていたの?」

 

「ただの推測。お前、黒ウサギと出会ったときに“風上に立たれたらわかる”とか言ってたろ。そんな芸当はただの人間にはできない。だから春日部のギフトは他者とコミュニケーションをとるだけじゃなく、何らかの形で手に入れる類のものだと推測したんだが──

どうやらそれだけじゃないみたいだな。あの速度に耐えられる動物はいないだろうし?」

 

十六夜君が面白そうなものを見つけた顔をしてると、パチパチと拍手を送る白夜叉さんと、グリフォンやってきた。

 

《見事。お前が得たギフトは、私に勝利した証として使ってほしい》

 

「うん。大事にする」

 

「いやはや大したものだ。このゲームはおんしの勝利だの。───ところで、おんしの持つギフトだが、それは先天性のものか?」

 

「ううん、父さんにもらった木彫りのおかげで話せるようになった」

 

「木彫り?」

 

《お嬢の親父さんは彫刻家やっとります。親父さんの作品のおかげで儂らとお嬢は話せるんや》

 

「ほほう、彫刻家の父か。よかったらその木彫りとやらを見せてくれんか?」

 

こくりと頷いた耀さんから木彫りを貸してもらう。僕も興味がある。

 

「複雑な模様ね、何か意味があるの?」

 

「意味はあるけど知らない。昔教えてもらったけど忘れた」

 

「えーっと。楠でできていて、この模様は系統樹かな」

 

「おそらくの、ならこの図形はこうで、この円形が収束するのは

───いや、これは、これはすごい!本当にすごいぞ娘‼︎

本当に人造ならおんしの父は神代の天才だ!まさか人の手で独自の系統樹を完成させ、しかもギフトとして確立させてしまうとは!

これは正真正銘“生命の目録”と称して過言ない名品だ!」

 

「でも母さんの作った系統樹の図はもっと木の形をしていたと思うけど?」

 

「うむ、それはおんしの父が表現したいモノのセンスがなす業よ。

この木彫りをわざわざ円形にしたのは生命の流転、輪廻を表現したもの。再生と滅び、輪廻を繰り返す生命の系譜が進化を遂げて進む円の中心、即ち世界の中心を目指して進む様を表現している。中心が空白なのは、流転する世界の中止だからか、生命の完成が未だに見えぬからか、それともこの作品そのものが未完成の作品だからか。

うぬぬ、凄い。実に凄いぞ。久しく想像力が刺激されてるぞ!実にアーティスティックだ!

おんしさえよければ私が買い取りたいくらいだの!」

 

「ダメ」

 

耀さんに即答されて、白夜叉さんがお気に入りのおもちゃを取り上げられた子供みたいにしょんぼりした。が、すぐに立ち直った。

 

「まぁ仕方ないかの。それよりもネギ。準備はできておるかの?」

 

いよいよか、精霊だしなぁどれだけの力なんだろう。

 

「大丈夫です。宜しくお願いします!」

 

「それでは開始するぞ。黒ウサギ、審判を頼むぞ」

 

「YES! お任せください」

 

 

【ギフトゲーム名“白夜の試練”

 

・プレイヤー一覧

 

ネギ・スプリングフィールド

 

・クリア条件

 

白夜の星霊“白夜叉”に力を認められる。

 

・クリア方法

 

白夜叉に力を認められる。

 

・敗北条件

 

プレイヤーが、降参、または上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

“サウザンドアイズ”印】

 

 

「それでは、ゲーム開始なのです!」

 




どうもお久しぶりです。

英検とかテストとか……色々とありまして結構時間が空いてしまいました。次回はもう少し早くしたいと思います。

少し補足……
グリフォンの言葉ですが黒ウサギに翻訳してもらったのでネギも理解しています。

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!

次回、白夜叉V.Sネギ!(あれ?前回もこんな感じだっような……)
お楽しみに〜!

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