◇3 めだかボックスにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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だから、景品を寄越せ。黒神めだか

 珱嗄は第一関門を突破してから、さくさくと進み、次なる関門へと続く道を歩いていた。そして、進んだ先にあったのは第二関門へと続く分かれ道。片や「C」と書かれた道、片や「S」と書かれた道。この文字にはある意味が有るのだろう。たとえば、雲仙冥利の「Child(子供)」とか太刀洗斬子の「Sleep(睡眠)」とか飯塚食人や米良孤呑の「Cook(料理)」とか上無津呂杖の「Cat()」とか廻栖野うずめの「Sweepig(掃除)」とかだ。まぁ当てはめれば様々な委員長勢が出てくるわけだが、珱嗄としては既に会ったことがある雲仙や太刀洗出なければ良いなぁと考えていた。

 そして、限りなく雲仙冥利が出てきそうな「C」の方を止めて「S」の方へと進んだ。すると、その先にいたのは球磨川禊達だった。どうやら二手に分かれたようで、そこにいたのは球磨川禊、阿久根高貴、財部真衣、鰐塚処理の4人。

 ちなみに、珱嗄が出発した時点で阿久根は既に出発していた。

 

「あいつら、まだこんな所でうろうろしてんのか。カタツムリかアイツら」

 

 珱嗄はそう呟いて、欠伸をしながら前へと進む。服の裾をひらりと揺らしながら、何処か不規則な足取りで、球磨川禊達に近づいた。

 

「はいはい、ごめんよー」

 

 そして、蹴散らして扉を開けて球磨川禊達の前から消えて行った。

 

「『え?』『あれ?』『珱嗄さん?』」

 

 そして球磨川の素っ頓狂な言葉は、珱嗄に届く事は無かった。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 そして球磨川達を後ろから不意打ちして進んできた珱嗄の前に現れたのは、珱嗄の期待もよそに太刀洗斬子だった。選挙管理委員会委員長、太刀洗斬子。学園一働かない、動かない委員長として有名な委員長だ。現に、生徒会戦挙でも働いていたのは彼女では無く、長者原融通だった。

 

「また面白くない子だ」

 

「あ、君は~」

 

 珱嗄が呟くと、寝がえりを打ってその顔を珱嗄に向けた太刀洗斬子が声を上げた。珱嗄を指差して何かを発見した様な、前にも会ったことある人にあった様な、そんな声を上げた。

 

「ん?」

 

「君、前私が寝てる隙に色々と悪戯して来た人でしょ~~?」

 

「……ああ、そういえば」

 

 珱嗄は太刀洗斬子が寝てる間に以前悪戯した事を思い出した。対して面白い反応でもなかったので忘れていたのだが。

 

「私はあの時の恨みを忘れてないんだからね~~」

 

「あ、そう」

 

「というわけで~~君はこの先へは通しませ~~ん」

 

「あ、そう。もっかいやる?」

 

 珱嗄がそう言うと、太刀洗斬子はビクッと反応した。

 

「と、言うのは嘘で~~、良いよ通っても~~」

 

 簡単に手のひらを返した太刀洗斬子。珱嗄はそんな彼女の事を笑みを浮かべて見下ろして、そのままその部屋を後にした。

 そして、珱嗄が去った直後、球磨川達が入って来たのだが、球磨川はこんなにすぐに此処を突破した珱嗄に少し驚くのだった。

 

 

 ◇

 

 

「面倒だなぁ……ホントに面倒だ」

 

 珱嗄は次なる関門へと歩く中、特に面白みもないこの企画に飽き飽きしていた。なので、次の関門が面白くなかった場合、珱嗄は反則(スキル)を使う事を考えていた。それだけ、この企画が面白くなかったのだ。

 

「刺激が足りない。面白みがない。面倒臭い」

 

 そう言いながら次なる関門の扉を開ける。そしてそこにいたのは―――

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

「で、めだかちゃん。僕が冗談で考えた冗談の強化合宿って、最後までやったの?」

 

 珱嗄達が関門をクリアしている時、めだかと安心院なじみは共に温泉施設で寛いでいた。

 

「まぁな。ところで安心院なじみ、珱嗄さんが私の考えた企画に参加しているが、いいのか?」

 

「いいのか? は僕の台詞だね。珱嗄がめだかちゃんごときが考えた程度の企画にちゃんとした形で参加すると思っているのかい?」

 

「……どういうことだ?」

 

「そうだね……今頃、珱嗄は飽きて来てるんじゃないかな。委員長勢を使ったみたいだけど、面白くなかったら珱嗄暴れるんじゃないかなぁ……面倒臭い事にはとことん無頓着だし、巻き込まれたらその面倒をぶっ壊す奴だし」

 

 安心院なじみの言葉には、前々から珱嗄と付き合って来た長年の関係から説得力が有った。めだかはそんな言葉に気圧され、少しだけ不安になった。

 

 だが

 

 

「めんどくさい。なぁめだかちゃん、景品頂戴」

 

 

 珱嗄はそう言って二人が温泉に入っている中、現れた。

 

「!?」

 

「おや珱嗄。やっぱり飽きたのかい?」

 

「あー、面倒だ。面倒だから、待ってた委員長勢みーんな叩き潰してきちゃったよ」

 

 珱嗄はそう言って、めだかに手を伸ばした。そして、もう一度言う。ゆらりと笑いながら、強大な威圧感を放ってめだかに言った。

 

 

「だから、景品を寄越せ。黒神めだか」

 

 

 

 


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