◇3 めだかボックスにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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雀が核爆弾を喰らった様な顔をしているよ?

 さて、おそらくなじみが家で暇潰しスキルを活用させている表で俺は学校に来て球磨川君達と一緒に屯っていた。今いるメンツは、俺、球磨川君、飛沫ちゃん、蛾ヶ丸君。

 半袖ちゃんは随分と俺に対して警戒心を持っているが、まぁ不知火家とはなんやかんや有ったから別に気にしてない。俺が何かした訳じゃないし。

 

「『じゃあ』『これから過負荷(マイナス)組合同ホームルームを始めまーす!』『議長はなし崩し的に僕、球磨川禊が務めさせてもらいまーす!』」

 

 そんなこんなで今は過負荷(マイナス)組の1・2・3年合同のホームルームをしていた。まぁ、今教室には俺と球磨川君位しかいないから他のメンバーは携帯を通信モードにして置いている。こんな授業あったら全然面白くないだろうなぁ。

 

「『で』『なんか報告とかある?』」

 

『あひゃひゃ☆とは言っても、今登校している13組生なんて黒神めだかと日之影空洞位ですからね。異常(プラス)の奴らを潰すにはまずそいつらを登校させないといけませんよ?』

 

「『そうなんだよねー』『どうしよっか?』『というか不知火ちゃん』『日之影空洞って誰?』」

 

「黒神めだかの前の生徒会長だよ。元英雄と呼ばれ、知られざる英雄(ミスターアンノウン)と呼ばれなかった男だ」

 

 その問いには、俺が答えた。というか、空洞君今頃何やってんだろうなぁ……まだ教室でずっと座ってるんだろうか? めちゃくちゃつまらないだろうなぁソレ。今度遊びに行こうか?

 

「『へぇ』『その人ってめだかちゃんと組んだりする?』」

 

『あひゃひゃ☆あの人が黒神めだかと組むなんてありえませんよ! だって―――』

 

 あ、空洞君入って来た。眼が合ったけど放置しよう。今はまぁやりたいようにやればいいじゃないか。たまにはこういうのも良いって。

 

『――その人、単独で軍隊を相手に出来るんですから』

 

 空洞君はその大きな手で球磨川君を頭から地面に叩き潰した。流石は知られざる英雄(ミスターアンノウン)気配を気取られない事に関しては一級品だな。

 

「『えーと』『誰?』」

 

「元、英雄」

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「おー空洞君。何? めだかちゃんに唆されて来たの? 元英雄は大変だねぇ」

 

「珱嗄。お前、なんで此処に居るんだ?」

 

「おもしろそうだったから」

 

「変わんねぇな」

 

 俺は未だに球磨川君を押さえ付ける空洞君に話し掛ける。すると、空洞君は苦笑しながら俺にそう言った。まぁ正直、俺は幸せ者に嫌悪を抱いている訳じゃないし、過負荷(マイナス)な訳でもないからしょうがないんだけどね。

 

「『で、そこでほのぼのと会話されても困るんだけど』『僕はどうすればいいのさ』」

 

「ああ、安心しろ―――お前はここで潰れていればいい」

 

 すぅーっと拳を作って力を込める空洞君。そして、球磨川君に向けてその拳を振り下ろした。

 

「拳破、拳破ァ……拳々破ァ!!!!」

 

 球磨川君に叩き込まれる拳の嵐。その威力は、球磨川君を砲撃の様に吹き飛ばして二つの教室を一つにした。球磨川君の身体は隣の教室へ続く壁を崩壊させ、黒板に罅を入れてめり込んだ。

 

「流石は空洞君。容赦ないな」

 

「容赦してたら悪人は正せねぇよ」

 

「なるほど、御尤もだ。それでこそ空洞君だよ。面白い」

 

 だが、球磨川禊はそんな事で改心するような奴じゃない。球磨川君を正したいなら、球磨川君の心に直接響く様な事をしないと駄目だ。まぁそのへんは後継たるめだかちゃんがどうにかしてくれると思うけど。

 

「『………!』」

 

「なっ……!?」

 

 空洞君が球磨川君を見ると、そこには涙を流す球磨川君がいた。流石の空洞君もたじたじの様だ。まぁ、殴られて泣く奴なんて高校生に居るとは思わなかったんだろうね。

 

「『ああ、ゴメン』『これは嬉しいからなんだ』『僕は今まで本気で叱ってくれる人はいなかったからね』『命がけで正してくれる人は待ってたんだ!』」

 

「へー」

 

「『これですっきりしたよ!』『改心出来た!』『だから』『この痛みの恨みはそこらへんの誰かに何かして晴らす事にするね』」

 

「っ……!」

 

 まぁ、それは改心とは言わないよね。まぁ俺はそんな恨みを抱いた事が無いから分からないけど。傷負った事無いからねぇ?

 

「さて、球磨川君」

 

「『え?』」

 

「邪魔だからちょっと向こう行ってて」

 

「『ぇ――――ええええええええ!!!?』」

 

 俺は球磨川君を窓の外へぶん投げた。理由? 投げた方向に面白い事があるからだよ。それ以外に俺がそんなことする理由は無い。

 それに、球磨川君にとってもちょっとは良い影響があるんじゃないかな。

 

 

「……さて、空洞君ひさしぶり」

 

「い、いいのかアレ」

 

「いいんだよ。どうせまたひょっこり戻ってくるから」

 

「そ、そうか」

 

 とりあえずここら辺で空洞君と球磨川君がアレコレしてんの見てもあまり興味ないし、面白くない。さっさと先に進めたいんだよね。

 

「とりあえず、今日はここらで退いてくんない? ここで球磨川君潰されると後々の展開がちょっと面白くなくなっちゃうからさぁ?」

 

「………分かった。今日の所は退くとするよ。だが珱嗄、次はお前が相手だろうと俺は容赦しない」

 

「いいね、そっちの方が面白い」

 

 そう言って、空洞君は部屋を出て行った。

 

「おいおい、うちの大将どっか行っちまったけどどーすんの?」

 

「飛沫ちゃん、球磨川君なら大丈夫だよ。ちょっと昔好きだった子に会いに行っただけだから」

 

「はぁ?」

 

「まぁ待ってなよ。きっと面白いから――」

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「『痛た……』『全く珱嗄さんは何時も突発的過ぎるよ……』」

 

 球磨川禊は珱嗄に投げとばされた後、どこかの民家の中へと転がりこんでいた。何かにぶつかった様な感触はしなかったのに、何故か部屋の中に居る事からおそらく珱嗄が転移で放り込んだんだろうと推測を立てる。

 

「『ところでここはどこだ……』『え?』」

 

「おや、球磨川君。どうしたんだい? 雀が核爆弾を喰らった様な顔をしているよ?」

 

 球磨川禊が顔を上げて視界に入れた人物。それは―――

 

 

「『安心院さん……?』」

 

 

 安心院なじみ。球磨川禊が飛び込んだ家は、珱嗄となじみの住む自宅であった。

 

 


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