◇3 めだかボックスにお気楽転生者が転生《完結》 作:こいし
「――――38192738、39729721?(最強って、何だと思う?)」
靱負ちゃんと共に歩き続け、やっと見つけた黒神めだかの姿は、なんとボロボロのやられている所だった。ただでさえ校舎を一つ破壊した後なのに、床をぶち抜くというさらなる破壊活動に勤しんでいた。なんでだろう、学校ってこういう所だったっけ?
「………面白い」
珍しく、靱負ちゃんがくすりと笑ってそう言った。どうやら、先程の数列を言った女生徒の格好に面白みを感じたようだ。まぁ、確かに笑えなくはないけどね。メイド服を思わせる改造された制服に、腕に付けられた鉄製の腕輪から伸びた鉄球が数個。とてもじゃないが普通の格好じゃない。
「4981828、3709182。37921732821(絶対的な最強とは何か。私が目指すのはソレだ)」
「ねぇ、靱負ちゃん。俺は君ほど世間知らずで何も知らない子はいないと思ってたんだ。でも、訂正するよ。あの子は君より馬鹿だ。だって、日本語喋れてないもん」
「………あれは数列を用いた彼女特性の言語だと思う」
「なんで分かるの? もしかして、君実は頭良い?」
「………街では一番頭の良い子で通ってたもん」
なるほど、彼女は随分と頭の良い子らしい。あの数列を理解出来るという事は、きっと俺より頭いいだろうなぁ。もしかして黒神めだかにも匹敵するんじゃないかな。
まぁ、俺もスキル補正使えばそれくらい出来るけどね。ぶっちゃけ答えだけなら普通に出せる。
「3279217――――」
「まぁとにかく言語なら理解出来なきゃ意味が無い。とりあえず翻訳しようか」
言語を翻訳するスキル【
「最強になる為には(382729737281)、モルモット集団(3791272727197)―――「サーティーンパーティ」への加入は必須だ。(279379217297372173971)」
「ふむふむ、なるほど……中々面白い単語が聞こえて来たな。「サーティーンパーティ」か、この件が終わったらちょっと関わってみようかな」
「! ………お前(32789)、私の言葉が分かるのか(279739729721797)?」
あ、そういえばこの翻訳スキルは会話を目的としてるから相手側にもこちらの言葉が翻訳されて伝わるんだった。まるでどこぞの青いネコ型ロボットの『ほん○くこん○ゃく』みたいと思った君、その通りだよ。
「あー……まぁ分かるよ」
「そうか(37922)、なら聞こう(3739712)。最強って何だと思う(3719729723)?」
「んー……じゃあ一つ教えてやるよ。最強は―――――俺だ」
別に心の底からそんな事を思ってる訳じゃないが、こう言った方が多分面白いだろ。それに、黒神めだかだってまだ死んでない。これは非常に面白い展開だ。
「最強はお前だと(279172732821)? 確かにお前も私と同じ異常の様だが(271928209828172727298)、私はお前を最強とは思えない(327197287938127)」
「なら、証明する方法がある。そこの黒神めだか……そいつに俺は勝った事がある。まずは彼女に勝ってみるんだな」
「は(373)? 黒神めだかは既に潰した(37912739128318)。何を言っている(3271972289)?」
「いやいや、黒神めだかは俺の誇るべき(笑)後輩だぞ。お前程度に負ける筈が無いだろう」
俺のこの言葉に反応したのか、床をぶち抜いた下の階に転がっていた黒神めだかがゆっくりと立ちあがった。凛とした瞳で上階にいる俺と彼女を見て、言った。
「―――すまない……貴様から攻撃される理由が無い、よって避ける理由が無いと言ったが……私には今、闘う理由が出来た!」
そう、それでこそ黒神めだかだ。
「………なるほど(28201)、確かにアイツはやりそうだ(2379731972927)。」
彼女はそう言うと、鉄球を引き摺って下に飛び降りる。そして、その鉄球を黒神めだかに向けて振り下ろした。その攻撃は、まさしく巨人の一撃。人なんて一瞬で潰す事が出来る。
その一撃が、黒神めだかに迫ったその時―――
「私は、尊敬する泉ヶ仙珱嗄の後輩だ! こんな所で先輩の誇りに泥を塗るなど、私には出来ん!!」
――――全ての鉄球が黒神めだかの拳の前に崩壊した。
後に残るのは、鉄球と腕輪を繋いでいた鎖のみ。その鎖は拳の威力に吹き飛び、上階にいる俺の方まで伸びて来た。
「ま、こんなもんか」
勝負は決した。俺は鎖を掴みとり、その先に繋がっている名前も知らぬ彼女を引っ張り上げた。
「なっ(279)………!?」
そして、上階に上がってきた彼女の身体を鎖を操って縛り上げる。そして、すかさず靱負ちゃんに支持を出した。
「靱負ちゃん。ちょっと鎖の真ん中辺りを持って天井に張り付いてくれ」
「………分かった」
一つそう返事をした靱負ちゃんは、鎖の中心部を持って天井へ跳躍。蹴る様にして天井に足を埋め、そこに留まる。
「さて……」
この状態を説明するなら。俺が鉄球に繋がっていた鎖の端を持ち、天井に留まった靱負ちゃんが鎖の中心を持ち、反対側の端に腕輪を付けた彼女が縛られてぶら下がっている。いわゆる、吊り上げ状態。
「くっ(279)……何をする(372973)!」
「ああ、うん。まぁこれ以降何かと突っかかられても面倒だし? ここらで思い知らせとこうと思ってさ」
そう言いつつ、彼女の靴を脱がせて窓の外へ全力投球した。俺の腕力で投げられた靴はとても見えない所へ消えて行った。うん、多分もう戻って来ない。
「ああっ(38982)! 私の靴(732791)!」
「さて……ねぇ君、昔から伝わってきた『拷問』って物を知ってるかな? その中にさぁ、『天井吊り』ってのと、『くすぐり』って奴があるんだ。こいつは他の色々道具を使う拷問とは違って、家庭でも出来る簡単でキツイ拷問方法なんだけど、この状況はその二つの内『天井吊り』を再現した状態な訳」
「何を言って(3797127)……」
「いやいや、此処まで言ったらやる事は一つだろう。『天井吊り』をした後の、『くすぐり』」
「! ……まさか(37197)」
その通り、これからその光景を再現しようじゃないか。窒息して死んでしまっても大丈夫、俺のスキルで蘇生してあげるから。とりあえず……時間を止めるスキル【
これは指定した物以外の時間を完全に停止させるスキル。まぁ、時間を止めている間は停止した物に干渉する事は出来ないし、動いている物は当然その分老化や風化したりするが。
「それじゃあ――――It is the beginning of the tor(拷問の始まりだ)」
◇ ◇ ◇
「あ、あひっ………! あはっ………! ひっ……!」
びくびくと身体を痙攣させて、紅潮させた顔に笑みの表情を浮かべた少女は、メイド服を彷彿とさせるその制服を暴れた事でかなり着崩し、右肩やへそが見えている。全身は汗まみれで、足の着いていない地面にそのスカートの中から業界用語で聖水と呼ばれる物をぽたぽたと垂らしている。
さらに、口元からは涎が垂れて強気だった瞳は既に光を失っていた。
「んー……流石に150時間耐久くすぐり拷問はやりすぎたかな?」
拷問の途中でこの子の名前を聞き出したが、雲仙冥加というらしい。というか、この子50時間経った頃から数字言語やめて普通に喋ってたぞ。キャラ崩壊も甚だしいな。
まぁ何回か窒息死してたけど、そこは持ち前のスキルでなんとかした。
とりあえず、女の子の喘ぎ声はとても良かったとだけ言っておこう。でも、もう飽きたからいいや。そろそろ終わらせよう。
「んじゃ、まぁ……この子の服を直して、気絶させて、汗とかお漏らしの後を拭いて、下着の時間戻して濡れてない状態に戻して、時間を元に戻すっと」
時間の流れが元に戻る。
「さて、靱負ちゃん。この子連れてくから、手伝って」
「………分かった」
「じゃ、めだかちゃん。よくやったよ。またね」
「はい」
そう言って、俺はとりあえず3年13組の教室に彼女を連れていくのだった。
◇ ◇ ◇
―――で、どうしたこうなった?
「さっきのもう一回(279737271)、もういっかいやって~(3797397182)!」
「………さっきのって何?」
どうやら、俺は彼女の開けてはいけない扉を開けてしまったようだ。