◇3 めだかボックスにお気楽転生者が転生《完結》 作:こいし
さて、靱負ちゃんを連れて箱庭学園まで長旅を続けて約1週間。戻って来た時、箱庭学園の校舎は……崩壊していた。
何があればこうなるのか、なんて考える訳もない。なんか面白い事があったのを見逃したのを少し悔やんだ。隣ではこの1週間で俺による悪魔的な強化修行を受けた靱負ちゃんが、笑みを浮かべてその光景を見た。
「………面白い、ね?」
「んー、あぁまぁ面白いな。この光景よりもこの光景を作り出した出来事の方を見たかったけどな」
「………そう」
笑みを浮かべた、と言ってもかなり微妙な物で、笑みというより微笑みと言った方がいいな。とりあえず修行の最初に、いついかなる状況でも笑い飛ばせるようになっとけといったのが不味かったかなぁ?
ま、この子は不敵に笑うより微笑んでいた方がいいかもな。見た目的にも。
「さて、とりあえず靱負ちゃんはこの学校の飛び級三年生って事にしとくから。箱庭学園に通うと良い」
「………いいの?」
「いいさ。どうせ、金には困らないし―――君をぶち込んだらそれはそれは面白いだろう。きっとこの学園の強い生徒ランキングが大きく更新されるだろうな。俺1位、靱負ちゃん2位みたいな?」
まぁなじみが入ってきたら2位の座は奪われるだろうけど。
「じゃ、行こうか。俺の面白い知人を紹介しよう」
「………うん、面白い事いっぱい教えてね」
「当然だぜ」
そう言った俺と靱負ちゃんは、崩壊していない校舎の方へと手を繋いで入って行った。
あ、ロリコンじゃないよ? 考えてみろ。見た目13歳と数十億歳のコンビだぞ、孫とおじいちゃん的な感じと思えや。
◇ ◇ ◇
「む? オイそこの二人。偉大なる俺が許す、俺の前に立っても良いぞ」
「……」
「……面白い人?」
「いや、違うだろ。これは痛い人というんだ」
「……痛い?」
歩いていたら、目の前から痛い人がやってきた。金髪を逆立たせ、制服の襟を立たせた、立たせまくりな人。痛々しい、あぁ痛々しい、痛々しい。字余り。
思わず一句読んでしまう程の痛さ。うん、まぁ別の意味では面白いかもしれない。
「で、何の用だ」
「フン……まぁ、今の無礼は偉大なる俺が許してやろう。ああ、気にしなくてもいい、とりあえず――――『
「………?」
その言葉に、靱負ちゃんは勿論俺も全く動く様子はないのだが、空気を読んであげたのか、それとも天然か知らないが……靱負ちゃんが首を捻りながらゆっくりとした様子で跪いてあげた。
「………面白くない」
「だろうね。立っていいよ」
「………うん」
すごすごと立ち上がる靱負ちゃん。それを目にした痛い人は凄く面白そうなものを見つけた様な眼をして言った。
「ほぅ……お前達、
「ああ、メンドクサイからスキップで」
バヂンと音を立てて吹き飛んで行った痛い人。その音の正体は、俺の指先。所謂デコピンで吹き飛ばしたのだ。まぁ、スキル補正も掛かって俺の身体能力はめっちゃ神掛かってるからね。言彦なんて目じゃないぜ。
「さて、じゃ行こうか」
視線の先では壁にめり込んだ痛い人が気絶しているが、興味はないので放置。さっさとめだかちゃん達の所へと急ぐのだった。