ルルーシュと麦わら海賊団   作:みかづき

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”JET"の暴風

「ギッヒヒヒ、なんだ、何だ?麦わら~蒸気機関車の真似事か~?」

 

裂けるほど開いた口から放たれた扇の嘲笑は、僅かな怖気を帯びていた。

 

“麦わら”のルフィの身体は、彼が地を叩き割る勢いで足を踏みしめた直後、

まるでポンプのように膝を押し始めてから、みるみるその姿を変えていった。

肌の色は、急速に赤へと変わっていく。

その様相はさながら灼熱のマグマを連想させた。

 

異常―――ただその一言に尽きる。

 

その姿を前に、扇の嘲笑は、自然に止み、

代わりに剥き出しの憎悪がその顔に刻まれていた。

 

 

        “最強”

 

 

古代兵器“ナイトメア”と己が悪魔の実の力により、

この大海賊時代の頂点に立ったと確信した。

“フレイア”の破壊の光により、半壊した戦艦“斑鳩”をその証明とし、

気分はまさに最高にハイってやつだった。

 

だが…。

 

「麦わら~~~~~~~~ッ!!」

 

まただ…!

 

また、この男に邪魔された。

せっかくの気分に冷や水をかけられた。

これからはじまるであろう黄金時代の最初のページに黒いシミをつけられた。

あの処刑場の時と同じだ。

自分の成功の生贄となるはずだったゼロの処刑を邪魔された時と。

そうだ。

あの処刑場で、オレンジの中から飛び出してきたこのわけのわからない男は、

今度も再びわけのわからない行動をして、俺の邪魔をしている。

 

思えば、一目見た時からムカついていた。

初めて聞いたその声に虫唾が奔った。

 

“天敵”

 

麦わら…奴はまさにそれだ。

出会えば、必ず殺さずにはいられない存在。

コイツに会った時から、湧き出た殺意は、今この時をもって完全なる確信となる。

 

(まず殺すべきは、ゼロじゃない。コイツだ…!)

 

コイツがこの世にいれば、必ず俺様の邪魔をしてくる。

命ある限り、俺の成功の足を引っ張りにくる。

 

これは運命だ。

 

お互いが、この世界に生れ落ちた瞬間、今日のこの瞬間は決まっていたのだ。

 

 

殺す…!

 

殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!

殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!

殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!

 

 

「殺してやるぜ~~麦わら~~~~~ッ!!!」

 

 

ナイトメアは、ルフィに向けて手を掲げる。

次の瞬間、扇の憎しみを込めた“スラッシュハーケン”がルフィに向かって襲い掛かる。

 

「ファッ!?」

 

だが、意外なことに、叫び声を上げたのは、攻撃した扇の方だった。

麦わらに攻撃した直後、目の前で起きた奇怪な出来事に、

扇は奇声をもって応えるしかなかった。

 

(き、消えた―――ッ!?)

 

“麦わら”のルフィが、目の前から消え去ったのだ。

 

先ほど、ルフィの居た場所には、スラッシュハーケンが突き刺さり、

その攻撃の失敗を無言で訴えていた。

攻撃が当たる瞬間、麦わらは、まるで透明人間のように、この世界から姿を消したのだ。

少なくとも、扇の目にはそう映った。

 

(バ、バカな―――ッ!?)

 

扇はその刹那、“瞬間移動”を疑った。

 

 

麦わらの奴はまさか…悪魔の実を2つ食べたのか―――ッ!?

 

 

そんな考えが同時に思い浮かんだ。

悪魔の実の能力者が、他の悪魔の実を食べた場合、その者は必ず死ぬ。

噂でそう聞いたことがある。

しかし、自分は、実際に悪魔の実を2つ食べて死んだ人間を知らない。

もしかして、それは嘘だったのではないか。

麦わらは、悪魔の実を二つ食べた。

 

そして、あの忌々しいゴムの能力だけでなく、瞬間移動の能力も持っている!?

 

物事を無駄に壮大に考えてしまうのは、扇の悪癖の一つである。

今回のケースも恐らく、それに該当する。

 

 

“麦わら”のルフィは消えてなどいない。

 

 

「なッ!?」

 

 

ルフィは横に避けた…ただ、それだけだ。

 

 

ルフィは、さきほど居た場所から3mほど離れた場所に姿を現した。

砂浜には、ルフィが移動したことを証明するかのように、その軌跡が

はっきりと残っていた。

 

“麦わら”のルフィは、消えたのではなかった。

“ギア・セカンド”の能力により、速く動いただけだ。

 

ただし…“超高速”で。

 

そして、ルフィは、すでに次の動作に移っていた。

扇に狙いを定めるかのように、左手を前に構え、右腕を後ろに引く。

 

それは、まるで“ピストル”で獲物を狙うかのように―――

 

 

 

    ゴムゴムの“JET”銃(ピストル)――――――ッ!!!

 

 

 

扇はその瞬間、ルフィの右腕を見失った。

あまりの速度に視認することができなかったのだ。

 

“JET”銃。

 

それはあの“ナイト・オブ・セブン” 枢木スザクを破った技。

 

「ギィイイ―――ッ!?」

 

衝撃がナイトメア全体に響き渡き、扇は叫び声を上げた。

ナイトメアの巨大な鉄の身体は5mほど後方に飛ばされた。

それだけではない。

 

「うギィ!?」

 

扇の眼前のフロントガラスに巨大なヒビが刻まれていた。

コックピットを守るこのフロントガラスは、強固な防弾ガラスであった。

マシンガン程度なら傷一つつけることすらできない高い防御力。

それが、“JET”銃のただ一撃でこの有様。

ガラスの一部は欠け落ちており、次の一撃には耐えられそうにないことは

素人の扇でも容易に想像できた。扇の顔に恐怖が奔った。

 

「ウリィイイイイイイ~~~~~~~~~ッッツ!!」

 

ナイトメアを後方に走らせ、扇は半狂乱になりながらも“輻射波動”を乱れ撃つ。

十数発もの炎の弾丸がルフィに向かって襲いかかる。

距離を取りながら、物量で押しつぶそうという扇の作戦は、

与えられた選択肢の中で最良の策だった。

 

 

だが…“当たらない”

 

 

ルフィは輻射波動を全て一瞬の内にかわした。

それは常人の目には、まるで炎の弾丸がルフィの身体を通過したように錯覚させた。

 

「ウギィイアアア――――ッ!!」

 

窮鼠、猫を噛む。

追いつかれることを悟った扇は、獣のような雄たけびを上げて、

ナイトメアを反転させる。

 

「これならどうだ!?クソゴム野郎―――――ッ!!」

 

ナイトメアの手から全てのスラッシュハーケンが放たれる。

 

 

“当たらない”

 

 

ならば、と扇はスラッシュハーケンの鉄のロープをまるで鞭のように交互に振り回した。

すぐ傍にあったヤシの木は、それに触れた瞬間、バラバラに引き裂かれた。

硬いヤシの木がこれならば、ゴム人間などひとたまりもない。

 

だが――――

 

 

“当たらない” “当たらない” “当たらない” “当たらない” “当たらない”

 

 

高速で襲い来るナイトメアの攻撃が、剥き出しの扇の憎悪が、

ただの一度も当たらない。かすりもしない。

 

ナイトメアの鉄の鞭は、一瞬浮き出たルフィの残像を空しく切り裂くことを繰り返すのみ。

それは、まるで醒めることなき悪夢に迷い込んだようだった。

 

 

「ウォオオオオオ~~~~~~ッ!!何をされてるのか、全然わからねえ!!!!?」

 

 

悪夢の最中、半ば発狂した扇は、助けを求めるかのようにありったけの声を振り絞る。

 

 

「“JET”スタンプ――――――ッ!!」

 

 

「ギィビビイイイイ~~~~~ッ!!?」

 

その声に応えるかのように、ルフィが放った次の一撃がナイトメアの左腕に直撃した。

衝撃で引き千切られた左腕は、大空に高く舞い上がり四散した。

 

「ゴムゴムの――――」

 

「ヒッ…!?」

 

衝撃は終わらない。

ルフィは、いつの間にかナイトメアの正面に立ち、後方に腕を伸ばしていく。

その光景を前に、扇は我に帰り、小さな悲鳴を漏らした。

 

「ぜ、絶対守護領域―――――」

 

刹那、扇は本能に従い、“最強の盾”である“絶対守護領域の発動ボタンを押した。

 

 

「“JET”バズーカ―――――――――ッ!!」

 

 

ほぼ同時にルフィは己が技の中でも一撃必殺の破壊力を誇る

“ゴムゴムのバズーカ”を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ヒ、ヒヒヒ…)

 

 

扇は心の中で感嘆を上げた。

ヒビが入ったフロントガラスの前には、絶対守護領域のピンク色の光が展開されていた。

そして、そこには“麦わら”のルフィの両の手が張り付いている。

ほぼ、同時に動いた両者の結末は、コンマの差で扇に軍配が上がった。

 

“最強の盾”絶対守護領域。

 

“天才科学者”ラクシャータをして、“四皇”白ひげクラスの攻撃力がなければ、

どうにもならないと豪語した全方位バリアがナイトメアを包み込む。

 

これで麦わらは手も足もでない。戦いは振り出しに戻る。

 

扇は刹那、そんなことを考えていた。

 

「ピギィイイッ!?」

 

次の瞬間、扇の予想を吹き飛ばすように衝撃がナイトメアに響き渡る。

“JET”バズーカの直撃で、ナイトメアはバリアごと後方に吹き飛ばされた。

 

「ゴムゴムの“JET”鞭(ウィップ)―――――ッツ!!」

 

「ブギィイ~~~~~~~ッ!!!?」

 

 

止らない…ルフィは止らない。

 

 

「ゴムゴムの“JET”銃弾(ブレット)!!!」

 

 

ルフィは絶対守護領域の光の盾に構わず攻撃を続ける。

ナイトメアはバリアごと、右へ左へと吹き飛ばされる。

 

「ちくしょう~~~~クソゴム野郎!!ち、調子に乗りやがって!!」

 

ナイトメアのコックピットの中で扇は死に物狂いでハンドルにしがみついていた。

 

(い、今は我慢だ。奴は明らかに異常だ。ドーピングか何かは知らんが、

こんな異常な動きがそう長く続くはずがねえ…!た、耐えるんだ!

も、もう少しで“フレイア”のエネルギーが溜まる。

奴が限界を迎えてた時に…今度こそ、フレイアでこの世界から消してやる…)

 

 

最終的な勝利を信じて、扇は“JET”の猛攻の中、必死にハンドルを抱きしめる。

 

 

 

 

 

――――ラクシャータ研究所。

 

 

 

「アンタねえ~私はもう帰りたいんだけど~」

 

帰り支度を始めるラクシャータに、記者は最後の質問と言って食い下がる。

 

「ハア?ナイトメアの弱点…?」

 

その質問によって、

退屈を隠さなかったラクシャータの瞳にほんの少しの好奇心の火が戻る。

 

攻守において完璧を誇るナイトメアの弱点。

 

それはたとえ素人といえども心踊る話題と言えよう。

 

「弱点ねえ…」

 

ラクシャータは数瞬、考えた後に、口元に笑みを浮かべ答えた。

 

「敢えて弱点を挙げるとするならば、

“フレイア”の充電にいくらかの時間が必要な点かしら~」

 

神根島から発せられる特殊な波動をエネルギーに転換することで生成される破壊の光。

その破壊力に比例し、膨大なエネルギーを必要とするために、連射は不可能であった。

よって、再充電の間は、サブ・ウェポンでの戦いを余儀なくされる。

 

「でもねえ~その間は“絶対守護領域”で凌げばいいだけだしねぇ~」

 

ラクシャータは嗤う。

よほどのバカでもない限り負ける要素がない、と。

 

「ハア?試運転…?」

 

記者に背を向け、出口に向かって歩き始めたラクシャータに

“個人的な興味”として、記者は慌てて質問を投げかける。

とりあえず、聞けることは何でも聞くつもりのようだ。

 

“コックピットの内装はどうなっているのか?”

“ハンドルや座席はどこのメーカーのものを使用したのか?”

“試運転時になんらかのトラブルはなかったのか?”

 

慌てていたために、どれも稚拙な質問であった。

記者も直後、それを自覚して、顔に汗を流す。

その問いに対して、振り返ったラクシャータは、

“心の底から興味がない”そんな瞳で忌々しそうに答えた。

 

「知らないわよ!

私が担当したのは、ナイトメアの古代の力とパシフィスタの現代の最新科学の融合。

座席?ハンドル?そんな低俗なものは全部、部下の技術班に丸投げしたわよ!

アンタ、バカ~?」

 

ラクシャータは誇る。己が才能への絶対的な自信を。

ラクシャータは吐き捨てる。凡庸な技術に対する軽蔑を。

 

「それに…試運転?

アンタ、私を誰だと思ってるの~?私は“天才”なのよ!私の発明は完璧なの!だから…」

 

 

 

 

 

       試運転なんて…するわけないじゃな~い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――ガシャ

 

 

 

その異音は、扇が数分間の“JET”の暴風を耐え抜き、ついにルフィの攻撃に

疲れが見え始めた時に起きた。

 

「ほえ…?」

 

いきなり身体が“ガクリ”と前に落ちて、扇は間の抜けた声を上げた。

扇の身体と座席を固定していたシートベルト。

それが扇の肩にだらしなく垂れ下がっていた。

何が起きたかを把握するのに扇は数瞬の時を要した。

そして事態を把握し、その危険性を理解した直後だった。

 

 

「ゴムゴムの“JET”銃――――――ッ!!!」

 

 

背後に廻ったルフィがナイトメアに向けて“JET”銃を放った。

衝撃がナイトメア全体に響き渡る。

 

 

そして――――

 

 

「ホギィィイイ!?」

 

扇の身体は、まるで弾丸のように座席から飛び出した。

 

 

「ギョェェエエエエエエエエエエエエエエ――――――ッ!!!!」

 

 

ヒビが入り剥き出しとなったフロントガラスに扇は顔面から突っ込み絶叫した。

 

「ガ、ガラスが…痛てえ…痛えええええええええ」

 

細かく砕かれたガラスの欠片が顔に無数に突き刺さっている。

扇の顔から鮮血が迸る。

フロントガラスには、扇の顔の形が薄っすらと血によって刻まれている。

 

「ク、クソ!は、早く、シートベルトを―――」

 

扇は、鮮血を流しながら、シートベルトを付け直そうともがく。

だが、焦りと血によるすべりで“ガシャ”“ガシャ”と思うようにしまらない。

 

「ラクシャータめ~こ、こんな欠陥品を…」

 

ラクシャータがコックピットの内装を技術部に丸投げしたことを扇は知らない。

そして、試運転すらしていないことも。

本来、開発という部署にとって、試運転は必須の事項である。

それを何十、何百と行うことにより、細かなミスを検証し、修正する。

この地味な作業には、多くの時間と作業員が必要となる。

だが、今回に限っては、それは根本的に不可能であった。

ラクシャータは、洗脳により、ナイトメアの“完成”のみを命じられ、

それを完了させた。また、技術班もそうである。

彼らには、ナイトメアを検証する時間が、なによりも意思が欠けていた。

 

故にこれは必然の事態である。

 

だが、技術班の名誉のために言っておきたい。

彼らは完璧な仕事をした。

その証拠として、ルフィの攻撃にシートベルトは数分を耐え抜いたのだ。

この結果は、全てが想定外だったことに主因する。

 

想像して欲しい。

全長7m。体重10トンを誇る鉄の巨人が…

 

 

 

 

  “絶対守護領域”ごと吹き飛ばされるという異常事態を。

 

 

 

「ゴムゴムの“JET”鞭―――――ッツ!!

 

「グゲィエエエエエエエエエエ~~~~~~ッ!!」

 

 

側面から放った“JET”の次の一撃により、扇の身体はレバーに突き刺さった。

“ミシリ”と嫌な音色を奏で、

あばら骨に細かなヒビが入り、扇は吐瀉物を撒き散らした。

 

 

「ウオオオオオオオオオ――――――――ッ!!!」

 

「フギギギィィイイイイイイ~~~~~ッ!!」

 

 

ルフィはナイトメアを蹴り上げた。

全長7mもの鉄の巨人が宙を舞い。扇は天井に頭を叩きつけられた。

 

 

「ゴムゴムの“JET”戦斧(オノ)―――――――ッ!!!」

 

「ギャヒィ!!!」

 

天空に伸ばした足を高速でナイトメアに叩きつける。

扇はナイトメアごと地上に落下し、コックピット内で激しくバウンドする。

 

「ちょ、ちょと…」

 

「ゴムゴムの“JET”槍(ヤリ)―――――――ッ!!!」

 

「ぴギィイィ!!」

 

「ま、待って――――」

 

「ゴムゴムの“JET”銃弾―――――ッ!!!」

 

「ポギュワァアアアアアッ!!!!」

 

 

なにわともあれ…フロントガラスも。

 

 

「フギギギィィイイイ!!!!」

 

 

レバーも。

 

 

「グゲィエエエエ!!!!!」

 

 

天井も。

 

 

「ぴギィイィ!!」

 

 

 

すなわち、コックピットの全てが“凶器”――――――――

 

 

 

  ギ、ギョエエエエエエエエエエエエエエ~~~~~~~~~~ッ!!

 

 

 

逃げる場所などどこにもない。

扇は“JET”の嵐の中で、ひたすら悲鳴を上げ続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ハア、ハア、ハア」

 

ルフィは肩で息を上げて、手を両膝に置き、砂浜を見つめる。

汗が滝のように流れ、顔下の砂を濡らしていく。

 

それが“ギア・セカンド”の代償。

 

わずかな時間、超人の能力を得ることと引き換えとなる極度の疲労。

ルフィは、顔を上げることすらできず、ただ息を整えることに集中している。

 

 

「ま、参った。参った!俺の負けだ~~~~もう勘弁してくれ!!」

 

 

ルフィの眼前に倒れたナイトメアの光の壁が解かれ、

コックピットを開き、扇は両手を挙げて絶叫した。

その顔には、細かなガラスの欠片が刺さっており、血で濡らしている。

何度となく衝突したことから、鼻の形が若干おかしい。

 

「お前らの勝ち…だ。お、俺はもうこの件から手を引く」

 

扇は叫ぶ。ルフィ達の勝利と己が敗北を。

 

「ゼ、ゼロにはもう手を出さないと誓う!

俺はこの諸島から出て行く。二度とお前らの前に姿を現さない。だから…」

 

 

 

   だから、もう…勘弁してくれ~~~~~~~~~~~~ッ!!!

 

 

 

そこには惨めな敗北者の姿があった。

それは、己が欲望のため、仲間を陥れてきた男の哀れな末路。

 

 

「ハア、ハア、ハア、ゼエ、ゼエ」

 

ルフィは扇のその懇願を息を切らせながら、無言で聞いていた。

 

これで本当に“第二次ブラック・リベリオン”の

最終戦・神根島の戦いの幕が降りた…のだろうか?

 

 

(フヒヒ…なんてな)

 

 

いや、違う…扇は、この男はそんなタマではない。

ゼロを陥れ、シュナイゼルに牙を向け、世界を手に入れようとした我欲の化物。

そんな男がこの程度で己が欲望を諦めるわけがない。

 

扇は、ルフィが見ていないことを確認した後、

ゆっくりと挙げていた両手を自慢のリーゼントに添えた。

そう、扇にはこれが残っていた。

 

 

多くの仲間を陥れてきた悪魔の実の能力が――――

 

 

 

   

         “モジャモジャ・ノーム”

 

 

 

 




お久しぶりです。
投稿が遅くなり申し訳ありません。
1万字を確実に超え、また今以上に投稿が遅れると判断し、
とりあえず区切りのいいところで投稿することにしました。
完全決着を望んでいた方は本当に申し訳ありません。

この作品が遅れに遅れているために、原作の方がドフラミンゴ編の後編に突入し、
とても面白くなっています。
だから、この作品にもドフラミンゴとサボを少しだけ登場させようかとも考えています。
まだ、サボの方が原作でも詳しく書かれていないので、あくまで予定ですがw

そして、次回の決着後は、ちょっとした企画を考えています。
もし、時間がある方がいたら、付き合っていただけると幸いです。

しかし・・・扇さん(のような何か)しつこすぎぃw

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