ルルーシュと麦わら海賊団   作:みかづき

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二人を分けるもの

夕焼けの赤い光がエリア11を染め、今日の終わりの始まりを告げる。

エリア11―――いや、その呼称はもはや、ふさわしいものではない。

それは、過去の歴史において、神聖ブリタニア帝国に支配された時の名称でしかない。

今はもう、本来の名前である“日ノ本”…そう呼ぶことがふさわしい。

 

十数年に及ぶ長きに渡る内戦は、神聖ブリタニア帝国・宰相シュナイゼルの降伏宣言によって

今日、ここに終わりを迎えた。

勝利した黒の騎士団の団員達やレジスタンス達は、泣きながら歓声を上げた。

対する神聖ブリタニア帝国の兵士達は、

今起こっていることが信じられぬ、といった表情で呆然と立ち尽くしている。

その光景を戦場の中心となった海軍基地の屋上から眺めている者がいた。

下からその姿を発見した黒の騎士団の団員もブリタニア帝国の兵士も、

その姿を見た次の瞬間には、興味を失くし、すぐにその人物のことを記憶から忘れ去っていった。

それもそのはずである。

海軍基地の屋上に、海兵がいるのは当たり前のことだ。

たかが海兵を勝利の絶頂と敗北のどん底の中、一々気にしている者などいるはずがない。

だが、その海兵につけられた賞金総額を知ったならば、

およそ、その場にいる全員が一斉に屋上を見上げたに違いない。

 

その首―――2億6千万ベリー

 

海兵の姿をしたこの男こそが、このブリタニア海最大の海賊にして、黒の騎士団・団長。

第二次“ブラック・リベリオン”において、ついにブリタニアを打倒した奇跡の男。

“魔王”ゼロ―――ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、その人であった。

 

 

ルルーシュは海軍基地の屋上から戦場全体を眺めていた。

戦争が終わってから少しばかり時間が経過したが、未だに勝利の熱気は冷める様子はなかった。

戦場の至るところで、黒の騎士団の団員達が万歳三唱や、胴上げを行い、まるで宴のようだった。

それに対して、神聖ブリタニア帝国の兵士達は、

これから何をしていいかわからず…といった様子で立ち尽くしたままだ。

本来ならば、指揮官の指示に従うべきだろう。

だが、その指揮官であったラウンズ(最強の12騎士)の一人。

“ナイト・オブ・テン” ルキアーノ・ブラッドリーは“完全”にこの世から姿を消した。

故に、この場において、ブリタニア兵達に指示を与えられる者は存在ぜず、

彼らはただ立ち尽くすしかなかった。

戦場におけるこの光景はまるで光と闇のコントラストのようだ。

栄華の絶頂にいたブリタニアと絶望のどん底にいた日ノ本の位置がわずか1時間で逆転したのだ。

この事象は歴史においても、おそらく空前絶後となろう。

 

戦場を眺めていると見慣れた髪が目に留まった。

燃えるような真紅の髪の持ち主は、カレン・シュタットフェルト。

黒の騎士団“零番隊”隊長であり、親衛隊・隊長であった。

月夜の出会いから、今日までを共に戦った紛れもなき、我が“右腕”。

彼女が、死を覚悟して、この戦場に現れなかったら、すでに自分は、この世にはいない。

 

夕日に輝く美しい緑髪は、C.C.。

黒の騎士団“戦略顧問”にして、革命軍の“幹部”。

海に出たあの日から、今日までを共に歩んできた、自分の真実を知るただ一人の“共犯者”。

あいつが、まるで望みのない救出作戦を強行したことに正直、驚きを禁じえない。

 

“らしくないな”

 

その言葉に、今のあいつはどう反応するだろうか。

 

掛け替えなき“右腕”と“共犯者”。その二人は、背中を合わせながら、

地面に腰を下ろし、瞼を閉じている。おそらく、寝ているのだろう。

その血染めの衣装から先ほどの戦いがどれほど過酷なものだったか容易に推察することができる。

慢心創痍。まさにズタボロだった。

だが、それ故にこそ、美しい…純粋にそう思える自分がいる。

二人はまるで、戦場に降り立った女神のようだった。

 

ルルーシュは、後ろを振り返る。

そこには、一人の男が膝をつき、“主”であるゼロの命を待っていた。

男の名は、シュナイゼル。

神聖ブリタニア帝国・宰相であり、現ブリタニア帝国の事実上の支配者であった。

ブリタニア帝国を更なる高みに引き上げるために、

ゼロの首を手土産に、革命軍との戦争を企てた冷徹非情な策略家。

いずれ老いて死に行く五老星に代わり、世界政府の玉座を狙った野心なき野心家は、

今はただ地にひれ伏し、主の命を待っていた。その瞳に赤い光を帯びながら。

 

「シュナイゼル…」

 

ルルーシュは、宿敵の名前を呟く。いや、今となっては“宿敵だった男”だろう。

最悪の敵だった。

戦闘力においては、おそらく海兵一人分の力もないこの男は、

実にエリア諸国の半分をその頭脳のみで落としてみせた。

策略家としては、自分と同等の能力。いや、東京をバスターコールで火の海にした

その非情さを考慮すれば、自分以上であることを認めざる負えない。

ブリタニア総兵力60万よりも、ラウンズよりも、遥かに恐ろしい難敵だった。

事実、つい一時間ほど前までは、この男の描いた戦略通り、

断頭台の上に組み伏せられ、まさにその首を落とされるところだったのだから。

 

そう…あいつらが来るまでは―――

 

 

一時間前―――

 

 

「じゃあ、俺はこの仮面を被ってゼロのフリをすればいいんだな?」

「ああ、できるだけ派手にやってくれ」

 

救出された直ぐ後に、ルルーシュは一味全員をメリー号の船内に集めた。

両手にゼロの仮面とマントを渡され、戸惑うウソップの質問にルルーシュは、

策士特有の笑みを浮かべ答えた。

 

ゼロと麦わらの一味が戦場から脱出した―――

 

この戦場にいる全員にそれを認識させる必要があった。

いや、その言い方は正確ではない。

戦場にいる全員を騙すことにより、ただ一人の男を騙す。それこそが目的だった。

状況の変化を読み、まるでチェスを打つかのように、その男は、次の一手を打つだろう。

 

(そうだろ?シュナイゼル…!)

 

海軍基地の屋上から冷徹な眼差しで自分を見下ろす宿敵の顔。

そして、その横で今にも泣き出しそうなナナリーの悲しそうな顔を思い出し、

ルルーシュの瞳に殺意の炎が揺らぐ。

 

 

シュナイゼル…この作戦の全てはお前を倒すためだけに存在する。

ゼロがこの戦場から、逃げ出したとなれば、シュナイゼルは必ず次の行動に移る。

当然だ。残された黒の騎士団の勝利条件が、お前の首である以上、必ず行動に移る。

お前は、誰よりも聡明な男だ。論理的であり、狡猾であり、目的を達成するためなら

常に最適な方法を選択する。

故に、この状況においてなら、お前の次の行動が手にとるようにわかる。

シュナイゼル…お前は、こう考えるはずだ。

残された黒の騎士団の希望の芽をどう刈り取るべきか、と。

 

飛行艇による戦場からの脱出―――

 

自分達の安全を確保し、黒の騎士団に絶望を与えるには、これ以上の選択はありえない。

あの地下牢でお前と会って、はっきりわかったよ。

お前がどれほど、論理的で感情を排した行動がとれる男であるかをな。

だからこそ、決して考えることはないはずだ。

戦争をチェスと同じだと思っているお前にはな。

この戦いを“キング”同士の戦いだと勘違いしているお前には想像もつかないだろう。

 

 

 

この俺が自ら、お前の首を取りにいくなどとはな…!

 

 

 

この戦いは俺とお前という“王”同士の戦い。違うな…間違っているぞ、シュナイゼル!

 

 

 

“王”である前に俺は―――

 

 

 

 

    

              “海賊”だ!

 

 

 

 

 

海賊は、“宝”を自らの手で掴み取る。

 

ナナリーは…俺、自らの手で取り返す―――!!

 

 

 

 

救出からのわずかな刹那、それが、ルルーシュが考えた作戦だった。

ゼロに扮したウソップが、派手に目立ち、ゼロ脱出を周囲に印象づける。

その間に、ルルーシュが船から海に飛び降り、海軍基地に単独で潜入し、

飛行艇に乗り込む前に、シュナイゼルを討つ。

それは、ゼロという存在と、非悪魔の実である“ギアス”を最大限に生かした作戦だった。

 

「わかった!俺に任せろ!俺が今からゼロ…!黒の騎士団の団長だ!」

 

そう叫ぶと、ウソップは、鼻から“にゅるり”と仮面を被った。

 

「え…!」

 

そのあまりにも奇怪な動きに、一同は揃えて声を上げた。

 

「ハハハ、海賊仮面、参上~!」

「ぎゃははは!」

 

仮面とマントを身につけたウソップが、樽の上に乗り、ポーズを決めた。

それを、ルフィとチョッパーが指を指して笑う。

この超非常事態において、初期のものすごく懐かしいことを再びやるのは、

さすが麦わらの一味といったところか。

 

「ちょっと、ちょっと、本当に大丈夫なんでしょうね?あんたの仕掛けたトラップは…?」

 

バカどもは無視、という感じで、海図を手にしたナミが、険しい表情で尋ねる。

 

「神根島をはじめ、俺は至る所に、いざという時のためにトラップを仕掛けてある。

 ここからだと、神根島が一番近い。人工岩による海流を利用した天然トラップだ。

 ナミ、お前ならできるはずだ。お前が有能な航海士ならの話だが…」

 

そう言って、挑発するようにルルーシュは笑う。

追っ手として、必ずくるであろう、ブリタニアと海軍の艦隊。

そして、おそらくであるが、扇達、幹部が乗った戦艦“斑鳩”を

一網打尽とする作戦をナミに説明する。

 

「キー!当たり前でしょ!このあたしを誰だと思ってるのよ!」

 

激昂するナミの姿に、ルルーシュは、声を殺して笑うも、その表情は突如曇る。

そうなのだ。

この作戦は、ゼロと麦わらの一味が脱出した…というのが最大のポイントとなる。

つまりは、ゼロと共に、逃げる麦わらの一味を

ブリタニアが総力を挙げて狙ってくることに他ならない。

わずか、一隻の海賊船に、ブリタニアと海軍の連合艦隊の全砲台が標準を合わせ、火を吹く。

この状況が、どれほど危険のものなのかを、

この海域最大の海賊であるゼロが想像できない訳がなかった。

しかも、敵は、ブリタニアだけではない。

扇の雑魚はともかく、斑鳩には、あの“将軍”藤堂と四聖剣がいる。

旧日ノ本、最高戦力。全員が剣の達人であり、その5人が繰り出すフォーメーションにより、

多くのブリタニア兵の屍の山を築いてきた。

もちろん、個人戦においても、その実力は折り紙つきであり、

藤堂においては、“斬月”という“大業物”を自在に操る達人だ。

味方としては頼もしいが、敵として相対すれば、これ以上厄介な相手はいない。

この作戦を実行するということは、麦わらの一味を彼らの的にすることに他ならない。

 

その事実を前にして、ルルーシュは、最初の一歩を踏み出すことに躊躇した。

自分を助けるために、命を懸けてくれた仲間を再び危険にさらす。

 

それは、“駒”として利用することと同じではないか…?

 

そう考えるとルルーシュの顔は一層、険しいものとなった。

 

「ん?どうした、ルルーシュ?」

 

その表情を察したのか、ルフィが声をかける。

 

「お前達には、本当にすまないと思っている…」

 

雰囲気の変化を察して、集まってきた一味に向かってルルーシュは、話し出す。

 

「いまさらだが、この作戦は、危険だ。

 ゼロを標的とするブリタニアの艦隊がお前達をも標的として、襲い掛かってくるだろう。

 そう、この作戦は、俺のためにお前達が囮となる作戦だ。

 駒として利用した…そういわれても仕方がない。だが、俺には、これ以外の選択はない。

 これが、シュナイゼルを倒す最後のチャンスだ。

 ナナリーを…俺の妹を取り戻す最後のチャンスなんだ」

 

 

 だから…俺は…お前らに―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              “行ってこい!!”

 

 

 

 

 

 

ルフィ、ゾロ、ウソップ、ナミ、サンジ、チョッパー、ロビン、全員が一斉に答えた。

 

「お前は行ってこい!俺があのモジャモジャぶっ飛ばしてやる!」

「し、心配するな!あ、あとはお、おお俺に任せろ…!」

「いまさら過ぎるのよ!さっさと行きなさいよ!」

「将軍とやらが、どんなものか楽しみだ」

「うおおおおおーーーー!俺はやるぞーーーーー!」

「うふふ、面白くなってきたわね」

 

「お、お前達…!」

 

“駒として利用される”

そんなこと微塵も思わない仲間達の言葉にルルーシュは声を詰まらせる。

 

「さっさと行けよ!あ、後で妹さん紹介しろよな!」

「いや、それは無理」

「早ッ!?」

 

流れの中で放ったサンジの下心をルルーシュは光りの速さで拒絶した。

 

これは、これ。それは、それ…であった。

 

 

 

 

 

ほんの一時間前のことを思い出し、ルルーシュは、素直に笑った。

 

あいつらがいる―――

 

それだけで、勇気がわいてくる。

どんな敵も怖くなかった。どんな壁も越えていけるような気がした。

 

「シュナイゼル、お前は以前、俺とお前の差は、“部下”の差…そう言ったな?」

 

地にひれ伏し、その言葉に反応を見せぬシュナイゼルに対し、

それでも、ルルーシュは言葉を続けた。

 

「それがお前の限界だ。シュナイゼル、俺とお前の差は、部下の差ではない」

 

 

 

 俺とお前の差は―――

 

 

 

 

 

 

 

                “仲間”だ!

 

 

 

 

 

 

「…。」

 

反応はなかった。

だが、この事実を誰が否定できようか。

 

「…よいお友達ができたのですね、お兄様」

 

いや、反応はあった。

全てを最愛の妹が聞いていたようだ。

 

「ああ…」

 

一人で盛り上がってしまい、ナナリーが聞いていることをすっかり忘れていたようだ。

ルルーシュは恥ずかしそうに俯いた後、空を見上げる。

その方角には、神根島があった。

この空の下で、きっと、まだ仲間達は、戦っている。

藤堂と四聖剣は強敵だが、ルフィ達ならきっと大丈夫だろう。

 

だが、斑鳩の中には、“アレ”がある。

 

アレをラクシャータが完成させていたとしたら、厄介なことになる。

しかし、今、自分ができることは何もない。

ただ、信じること…それだけだ。

 

ルルーシュは、仲間の勝利を信じ、ただ空を見つめた。

 

 

 

 

 

 

 

「…で、君は、一体、誰なのかな?」

 

“四聖剣”朝比奈省悟は忌々しそうに、剣先を向けた。

その剣の先には、一人の男が立っていた。

その黒き仮面とマントは、この海域最大の海賊の象徴。

故に、その男は“魔王”ゼロに他ならなかった。

だが、その男は、長身のゼロと比べると明らかに身長が低かった。

マントからは、海賊服の一部が見えていた。

 

 

仮面とマントを身につけた偽者―――

 

 

遠くからならともかく、近くで見るとそれがはっきりとわかる。

戦場の大混乱の中、ただ、その仮面とマントを標的として追ってきた。

だからこそ、このような変装もどきすら見抜けなかった事実に、

朝比奈は、怒りに震え、剣先をプルプル振るわせる。

 

「フフフ、俺の正体を知りたいのか?」

 

仮面を被ったウソップは、腕を組んで肩を震わせる。

 

「フフ、奴らにお前の正体を見せてやれよ」

「フフフ」

「ククク」

 

サンジも愉快そうに、腕を組み、笑い。

ナミも、ゾロも、声を殺して笑う。

 

「フフフ、俺の正体…それは―――」

 

そう言って、ウソップは、仮面に手をかけ、脱ぎ―――

 

「…ん?ん!?」

「フフフ、どうした、ウソップ?」

 

仮面を掴んで、いっこうに脱ごうとしない、ウソップにサンジが問いかける。

 

「…脱げない」

「…はい?」

「鼻に引っかかって…脱げない」

 

その一言に腕を組み、不敵な笑いを浮かべていた全員が振り返った。

 

「何やってんだよ!?てめーは!」

「いや、だって、本当に脱げないし…」

「被るときは簡単に被ってただろ!!」

「いや、あれは、鼻から入れたわけで…今回は…その鼻が」

「ちょ、何やってんのよ!すいません、タイム!タイム!ちょっと待ってくださいね!」

 

ナミを作り笑いを浮かべながら、藤堂たちに向けて、アルファベットのTを手で表した。

 

「ど、どうすんだよ、これ?」

「どうするも何も、無理やりでもとるしかないでしょ」

「え、マジ…?」

「わかった。マリモは足を持て。俺は仮面を引っ張る」

「命令するな、アホ」

「いい?一斉に引っ張るわよ。最悪、顔の一部は諦めましょう」

「え…?何それ、怖い」

「せーの、行けーーー!」

「ぎょえええええええ」

 

絶叫と共に、何とか仮面は脱げ、反動でゾロとウソップは甲板に転げ回る。

 

「その正体は…この俺だ!」

 

鼻を押さえながら、ウソップは、立ち上がり、グッと親指を立てた。

 

「…いや、だから、君は誰?」

 

この時期、賞金首として手配書がないウソップのことなど朝比奈が知るはずがない。

その行動は、朝日奈の怒りに更なる油を注いだようだ。朝比奈の額に血管が浮き出る。

 

「…どうやら、一杯食わされたようですね、藤堂さん」

 

怒りの絶頂に達した朝比奈は、上官である藤堂に同意を求めた。

 

「ふふふ、そういうことか」

 

だが、上官である藤堂はこの状況を前にしても至って冷静だった。

さすがは、旧日ノ本の将軍であった男だ。

 

「全ての謎が解けたぞ、朝日奈」

「はい…?」

 

突然の上官の言葉に、朝比奈は要領を得ない返事をした。

ただ、替え玉に騙された…それだけのはず。

“謎”というのは、些か大げさではないだろうか、と朝比奈は思う。

 

「そうか、お前が本物のゼロだったのか!」

 

「え…!?」

 

全員が藤堂を見つめた。

 

“そっちで来たか~”とまさにそんな表情をしながら。

 

「いや、藤堂さん、それは…」

「藤堂将軍…」

 

仙波と朝比奈が狼狽する。

上官の勘違いをどう指摘していいかわからないといった感じだろう。

 

「いやん、藤堂さん、かわいい」

 

千葉が、頬を赤らめながら、藤堂を見つめる。これが、惚れた弱みなのか。

その視線を、真実を見抜いた上官に対する尊敬と勘違いした藤堂は、さらに言葉を続けた。

 

「しかし、ゼロ。お前が仮面を被っていたのは…。そうか、その顔を隠すためだったのか。

 なるほど、納得したぞ」

 

あ…!という沈黙が、その場を支配し、数秒の時が経過した。

 

「う、うおおおおおおおーーーーー!!」

 

その言葉の意味を理解したウソップが、泣きながら怒りの火薬星を藤堂に放った。

 

 

 

    麦わらの一味 VS 藤堂 with 四聖剣 開戦―――――

 

 

 

 

「ゴムゴムの“鞭”!!」

「うげッ!!」

「ブヒッ!!」

 

 

斑鳩の司令官室に侵入したルフィは幹部の玉城と南を一掃した。

 

「ハア、ハア」

 

ここに来るまで、幹部の大方は片付けてきた。

あとは、あの気持ち悪いモジャモジャ野郎だけということになる。

 

「ん?」

 

辺りを見渡していたルフィの目に地下への階段の入り口が入った。

 

「あそこ…なんだか、モジャモジャっぽいぞ!」

 

野生的な勘により、ルフィは、先ほど、扇が逃げ込んだ地下階段を下りていく。

 

「モジャモジャーーー!出てこーい!!」

 

第四倉庫の暗闇の中を、ルフィは叫びながら、疾走する。

階段を下りてから、かなりの距離を走った。

もう少しで、突き当たりにつくはずだ。

通路は暗く、また異常ともいえるほど高かった。まるで、巨人でも移動させるかのように。

 

そんなことを思っていた時だった―――

 

 

「ギッヒッヒヒ、会いたかったぜ~麦わら~!」

 

 

闇の中で、あの気持ちの悪い男の声が響き渡る。

 

 

そして―――

 

 

不気味な機械音と共に…巨大な赤い目が光った――――

 

 




ギアスの方を久しぶりに書きました。お久しぶりです。
待っていた方は、本当に申し訳ありません。
なんか、なかなかに書けませんでした。

そして、あと3話と言ったな・・・あれは嘘だ

すいません。
想定より、字数が多くて無理になりました。
今回だけでも、7000字超えたので、話を分けます。
たぶん、35話くらいになるかもです。

では、年内、もしくは、来年会いましょう。

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