ルルーシュと麦わら海賊団   作:みかづき

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奇跡を起こす男

「…嘘つき」

 

「恩人だぞ私は…」

 

カレンのその言葉を背中越しに聞き、C.C.は小さく笑みを浮かべた。

その不敵な笑みは、いつもと変わらない。

だが、美しい氷雪を連想させるその顔は赤みを帯び、額に汗が流れる。

呼吸も荒く、息で肩を弾ませる。

その肩から下の右腕は、大きく抉られ、辛うじて繋がってはいるが、

傷口からは大量の血が流れていた。

 

 

 

“ナイト・オブ・テン” ルキアーノ・ブラッドリーを倒したカレンが次に向かったの

海軍基地だった。

この戦場の総司令官であったルキアーノの死によりブリタニア軍は総崩れとなった。

“最強の12騎士”ナイト・オブ・ラウンズの一人であるルキアーノの敗北は

ブリタニア軍に対して、戦場における総指揮官の戦死以上に大きな心理的影響を与えた。

全幅の信頼をおいていた力の象徴の消失により、ブリタニア軍は総崩れとなった。

その混乱に乗じ、カレンの零番隊を中心とする黒の騎士団と

C.C.が率いる革命軍の両軍は本丸である海軍基地に歩を進めた。

ブリタニア軍は、その混乱の中、各自が独断で動き出す。

そして結果、この海軍基地正門前に両軍の大半が集まることになった。

 

「止めろ!なんとしても奴らを!」

「殺せ!“紅月”と“魔女”を殺せ!」

 

その声に呼応し、突撃したブリタニア兵達は、緑と赤髪の女達に次々と倒されていく。

 

“紅月”カレンは悪魔の業火で襲い来るブリタニア兵をなぎ払い、

“魔女”C.C.は両手にある黄金の拳銃をを華麗に奏でる。

 

ルキアーノの敗北から始まる黒の騎士団の優勢はこの二人から始まった。

彼女達がこの戦いの中心にいることは誰の目にも明らかである。

その故に、ブリタニア兵は、砂漠で水を求めるがごとく彼女達に襲い掛かる。

もはやブリタニア軍に余裕など微塵も存在しない。

「はあ、ハア」

 

輻射波動を繰り出した後、カレンは肩を大きく弾ませる。

その仕草、その表情から疲労がピークに達しているがわかる。

 

満身創痍――

 

“最強の12騎士”の一人を討ち取るという内戦史上最大の戦果は、

それと引き換えに、カレンの身体に相応の代償を与えた。

応急処置したとはいえ、ルキアーノのナイフを受けたその腕と足の包帯は赤く濡れている。

輻射波動の最大火力“紅蓮”の使用により、悪魔の実の力も限界に近づいている。

 

「…」

 

それを横目にしながらも、C.C.はカレンのサポートに廻ることはしない。

カレンもC.C.の助力を期待することなく、己が力を振り絞る。

 

それは、この海軍基地に突入する寸前にお互いが決めたこと。

 

「カレン…ここからは修羅に入る。お前を助ける余力はない。死ぬ気でついて来い!」

「わかってるわよ!」

 

カレンが限界に近いことを知りながらも、突入直前にC.C.はあえて挑発の言葉を口にした。

カレンはそれにぶっきらぼうに答える。

C.C.の言葉の真意をカレンは理解している。

戦場の流れは、確実に黒の騎士団に傾いている。それを生み出したのは、

ラウンズを倒した“黒の騎士団のエース”であるカレンだ。

この流れを止めることは許されない。

たとえ限界が近づこうとも、足を止めることはできない。

全ては守りたいものを守るために…前に進むしかない。

 

黒の騎士団のエースは己が責務を果たすため、前へ進む。

その眼前に、ブリタニア本隊のナイト達が立ちはだかる。

 

「これ以上行かせるかーーー!」

 

巨大なスピアを片手に、巧みに陣形を組み替えながらナイト達は突撃を仕掛けてきた。

 

「クッ…!」

 

ブリタニア軍最後の砦ともいえる彼らの連携にカレンは呻く。

時間差をつけて敢行されるその連続攻撃に、慢心創痍の身体はひどく重く感じる。

 

「あッ…!」

 

その思考の最中だった。

足がもつれ、体勢が大きく崩れた。

 

「死ねえィーーー!」

 

巨大なスピアがカレンの眼前に近づいていく。

だが、その切先が触れる寸前に突き飛ばされたカレンは、その光景を前に叫ぶ。

 

「C.C.!」

 

カレンの視界の先にはC.C.がいた。

そのC.C.の腕を巨大なスピアが通過し、そこからまるで赤い華のように血が咲き乱れた。

C.C.は即座に左手に持つ拳銃をナイトの兜に押し込み、引き金を引く。

その直後、ナイトは糸が切れた人形のように膝から崩れ落ちた。

右腕を押さえるC.C.に複数のナイト達が襲い掛かる。

 

「ウアアアアアアァーーーーーーッ!!」

 

咆哮と共に跳躍したカレンは、C.C.に襲い掛かるナイト達に輻射波動を放つ。

赤い波動を浴びたナイト達の鎧は沸騰し、彼らは叫び声を上げて地面に転げ落ちる。

C.C.とカレンはすぐさまお互いの背を合わせた。

 

それは、自分達を包囲するナイト達の追撃に対処するため。

そして、お互いを守るために。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…嘘つき」

 

「恩人だぞ私は…」

 

カレンのその言葉を背中越しに聞き、C.C.は小さく笑みを浮かべた。

 

C.C.自身、自分の行動に驚いていた。

“助ける余力はない”その言葉は本当だった。

最悪、見捨てることも計算していた。

 

なのに… 

 

「C.C.アンタを死なせはしない。今度は私が守る!」

 

その最中、カレンの声が響く。

C.C.が不死の存在であることをカレンは知らない。

 

「アンタどうは思ってるか知らないけど…アンタは私の“仲間”だから」

 

その声が、その言葉が戦場の騒音の中で胸に静かに届く。

 

100年の魔女―――

 

“コード”の呪いにより、己が死を願い続けてきた半生。

そのC.C.にとって“死なせはしない”などという言葉は忌むべき以外の何者でもない。

だが、今だけは、その言葉は、そして“仲間”という響きは心地よく感じた。

 

「…そうか」

 

100年生きようとも自分のことすらわからない――

 

そんなことを考えながらC.C.は小さく笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二次ブラックリベリオンはいよいよ佳境へと突入する。

黒の騎士団とブリタニアの両軍は己が力の全てを出し激しく激突する。

 

「…さて、カレン、どうする?」

「…」

 

自分達を取り囲むナイト達を前に

左手で黄金の銃を構えたC.C.は背中越しにカレンに質問する。

その言葉を前にカレンは沈黙する。

C.C.の言葉の意味をカレンは理解している。

それ故に、即答できずにいた。

 

この最終防衛ラインであるこの正門前を突破すれば、

ついに敵の本丸である海軍基地に進軍することができる。

勢いでは完全にこちらが勝っており、ブリタニアが大混乱に陥っている今こそ

あの海軍基地を落とす最大の好機だ。

 

だが、その一方、今こそが撤退の最大の好機でもある。

この海軍広場には、黒の騎士団と革命軍やレジスタンス達の他に

多数の民間人が取り残されている。

まだこちらに余力があり、ブリタニア軍の指揮系統が回復しない今こそが

最小の被害で撤退できる最後のチャンスでもあった。

 

二つを選ぶことはできない。

 

この最終ラインは軍を二つに分けて突破できるほど甘くはない。

それこそ、一丸となって、数多の犠牲の先に開かれる道である。

そして、海軍基地内は、敵侵入に備え、迷路のように作りとなっており、

攻略に時間をかければ、ブリタニア軍に態勢を整える時間を与えかねない。

 

撤退こそが英断である。

 

カレンはそう思う。

わずか一時間ほど前、カレンの目的は、ただ一つ。

ルルーシュの…ゼロの救出であった。

その目的は達せられ、ゼロは麦わらの一味と共にこの戦場を脱した。

奇跡のような出来事だった。

その奇跡は続き、あのブリタニア“最強の12騎士”ラウンズの一人を倒すことができた。

ラウンズの撃破はこの十数年続く内戦史上最大の戦果に違いない。

ゼロの救出とラウンズの撃破。

本来なら叶うはずのない2つの奇跡を手に入れ、これ以上何を望むのか。

もう十分ではないのか。

 

だが、それでもなお、カレンの心を離さないものが胸の奥で疼く。

海軍基地には、今あの男がいる。

 

 

あの男が…神聖ブリタニア帝国・宰相シュナイゼルが。

 

 

レジスタンスの憎悪と恐怖の象徴。“エリアの半分を落とした男”

本来なら首都・ペンドラゴンにいるはずのブリタニアの事実上の盟主。

その男が、今ここにいる。

 

黒の騎士団の現在の戦力ではペンドラゴンを攻略することは不可能であると

カレンは理解している。

 

 

首都・ペンドラゴンを守るは“騎士の頂点”。

“ナイト・オブ・ワン” ビスマルク・ヴァルトシュタイン。

 

 

未来を読む能力を持ち、七武海“鷹の目”のミホークと

引き分けた伝説を持つ怪物と数人のラウンズが守るペンドラゴンを落とすには、

それこそ四皇に匹敵する戦力が必要になる。

 

それ故に、心のどこかでは届くことはないと考えていたブリタニアの盟主の首級。

だが、その盟主はペンドラゴンを離れ、今この戦場にいる。

護衛の役を担っていた“ナイト・オブ・テン”は倒した。

この最終ラインさえ突破できれば、奴の首に手が届く。

こんなチャンスはもう二度と訪れないと断言できる。

今までの戦いで死んでいった仲間達が頭を過ぎる。

 

――だが、その一方で、これまでを生き延びてきたレジスタンスとしての感覚が囁く。

 

あれほどの狡猾な男が本当にまだあの海軍基地に残っているのか?

ゼロがこの戦場を脱出した以上、奴がこの戦場に居続ける理由はない。

すでに、秘密の脱出口から逃れ、この戦場を後にしたのではないのか?

そうなら、多大な犠牲を出してこの最終ラインを突破するのはまったくの無駄。

むしろ、ブリタニア軍が冷静さを取り戻し、全滅の危険すら出てくる。

 

わずか数秒の間に、カレンはそれら様々な可能性に囚われ、即断できずにいた。

 

その時だった。

 

“ビィーー”というスピーカー音がカレンの頭上に、そして戦場全体に響き渡り、

 

 

 

 

 

「この戦場にいるブリタニア兵達よ。そして黒の騎士団の諸君、

 私は…神聖ブリタニア帝国・宰相シュナイゼル」

 

 

 

 

 

 

直後、あの男の声が聞こえてきた。

 

「さ、宰相閣下!」

「シュナイゼル様!」

 

その声を耳にし、ブリタニア兵達は口々に叫ぶ。

 

「カレン!」

 

シュナイゼルのこの行動を前に、最終判断を求め、C.C.は声を上げた。

 

(ブリタニア軍の混乱に焦りを覚え、自ら介入してきたか…)

 

そうカレン思う。

事実、この放送の一声でブリタニア軍の空気は変わってきている。

ただ、その名を、その声を耳にするだけで、自分達が何者なのかを思い出したかのように。

これだけでもシュナイゼルの目論見は成功といっていいだろう。

 

 

――だが、それと引き換えに、この放送がどれだけ致命的なことか、

シュナイゼルは気づいているだろうか?

 

 

 

「シュナイゼル…!」

 

シュナイゼルの声を聞き、黒の騎士団の団員達の目に怒りが漲る。

 

 

――それは敵である私達の戦意を上げることにもなることを。

もはや、放送程度では戦場の流れは、止められない。

“ラウンズ”の敗北に焦りを覚えたか。それとも初めて戦場のためか。

致命的なミスをしたことにお前は気づいていない。

そのおかげで、私は決めることができた。

私の…私達の取るべき選択を。

 

 

 

なぜなら・・・

 

 

 

 

―――シュナイゼルはまだここにいる…!

 

 

 

 

 

 

「…ッ!」

 

熱風を肌で感じC.C.は振り返る。

カレンは右手を天に向ける。

その右手から赤い波動が空へと迸る。

 

 

 

「みんな!最後の力を貸して!ここでシュナイゼルを…ブリタニアを討つ!」

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーー」

 

赤い波動を旗印に、黒の騎士団は刀を掲げる。

 

 

「勇敢なる神聖ブリタニア帝国全兵士に告ぐ…」

 

 

再びシュナイゼルの声が戦場に響く。

 

「宰相閣下を守れーーーー」

「調子に乗るなよイレブンども!」

「うおおおおおオール・ハイル・ブリタニア――!」

 

その声に呼応し、ブリタニア兵は剣を掲げる。

再び両軍の戦意は最高潮に達し、最後の激突を向けようとしたその瞬間―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       ”武器を捨て、戦闘を中止せよ”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ!全員、武器を捨て戦闘を…え?」

「ハア!?」

「な…!?」

 

その声明を前に、全員が激突寸前で急ブレーキをかけ、同時に海軍基地を振り返る。

ブリタニア軍も黒の騎士団も革命軍も、おおよそ10万人は超すであろうその場に

いる全員が戦闘を止め、海軍基地を見つめる。

それほどに、シュナイゼルが述べた言葉が、その場にいる者の想定を超えていたのだ。

その沈黙の中、シュナイゼルの放送は続く。

 

「この戦争は我々、ブリタニアの敗北である。

 ブリタニア兵は、直ちに武器を捨て、戦闘行為を中止せよ。

 黒の騎士団諸君も、戦闘行為を中止してほしい。

 繰り返す。この戦争は我々、ブリタニアの敗北である」

 

「…ッ!」

 

衝撃は続く。

ブリタニアの盟主の口から出てきたのは、まさかの敗北宣言であった。

 

「嘘だろ…」

 

そう呟いたのは黒の騎士団の団員であった。

最終ラインを突破し、シュナイゼルのその首先に刀を向けたならともかく、

数だけなら、未だにブリタニア軍が圧倒的な優位を誇っている。

それがわからない男ではないはずなのに。

 

「…そしてこの戦争をブリタニア諸島における最後の戦闘行為とする。

 そのために、この時より神聖ブリタニア帝国は、黒の騎士団に対して、

 全ての殖民エリアの解放を条件とする停戦条約の交渉に入る」

 

「なッ…!」

「そんな馬鹿な!」

 

その声明を前にブリタニア兵達は絶叫する。

 

 

 

全殖民エリアの解放…それは、つまり帝国の崩壊。

 

 

 

神聖ブリタニア帝国の完全敗北に他ならなかった。

 

世界政府屈指の大国。この海域最強の軍事帝国。

ゼロの首を土産とし、革命軍との戦争を口実に、世界に進出せんした大帝国。

まさに黄金時代を迎えようとした大帝国の突然の終焉を前に、

しばらくの間、誰もがただ呆然と立ち尽くした。

 

「に、偽者だ…」

 

あるブリタニア兵が呟いた。

 

「そ、そうだ偽者だ。この放送は捏造だ!」

「そうだ!こんなことがあってたまるか!」

 

その声に他のブリタニア兵が追随し、声を荒げる。

まるで目の前の現実を否定するかのように。

 

「全部捏造だ!俺達はブリタニアだぞ!」

「そうだ、これはイレブンの捏造だ!おのれ!このイレブンどもが!」

「クッ…!」

 

現実を振り払うかのように、剣を上げ、ブリタニア兵は吼えた。

その光景を前に、団員も刀を構える。

再び場は殺気立ち、騒然となる。

 

だが、その頭上に再びシュナイゼルの声を鳴り響く。

 

 

「ブリタニア諸島における内戦の終結は

 次期皇帝陛下であるナナリー ヴィ ブリタニア様の願いであり、

 停戦条約の締結は、帝国宰相であるこのシュナイゼルの決定である。

 それに従わない者は好きにするがいい。

 ただし、その時より、その者は、ブリタニアに対する…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        “反逆者”とみなす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その威厳と冷徹に満ちた声は何人足りも真似できぬブリタニアの盟主の声。

 

「う、うあ…」

 

「あ、あああ」

 

その声を聞き、その言葉を前に、ブリタニア兵達はその場に崩れ落ちた。

世界政府屈指の大国。“ナイト・オブ・ラウンズ”をはじめとする

総兵力60万が自分の敵となる。

その力の依存してきた彼らが反逆などできるはずはなかった。

 

 

ブリタニアに対する“反逆者”

 

 

それは、すなわちあの仮面の男と同じ場所に立つということ。

 

 

その意味を前に、その覚悟を求められた時に

覚悟なき圧政者達の牙は一瞬で消し飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘…」

 

そうカレンは呟いた。

その瞬間に全身の力が抜ける。

そして、お互いを守るために背中を合わせていたC.C.と一緒に

ズルズルと地面にへたり込んだ。

 

今、起こっていることが現実と思えなかった。

カレンが死を決意し、ルルーシュを救出しようとしたのが一時間ほど前。

そして、その一時間後、十数年の及ぶ内戦がブリタニアの敗北と共に終わった。

まさに夢物語。

こんなこと現実感があろうはずもなかった。

 

「痛ッ…!」

 

突如、後頭部に衝撃が襲う。

C.C.が後頭で“コツリ”と頭突きしたのだ。

 

「なんだ、そんなこともわからないのか?カレン」

「え?」

 

背中合わせでそう質問するC.C.に頭を抑えたカレンが振り返る。

 

「アイツは…ゼロは“奇跡を起こす男”だろ・・・?」

「あ…」

 

その名を聞き、カレンは全てを理解した。

 

こんなことができるのはアイツしかいない。

こんな奇跡を起こせるのはアイツ以外にいるはずない。

 

ふと見ると、C.C.は瞳を閉じていた。

かすかにだが、吐息が聞こえる。その顔はとても穏やかだった。

 

「うん・・・そうだね」

 

そう答え、カレンは夕日がかかり始めた空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

「ゼロ…」

 

誰かが呟いた。

 

「ゼロ…ゼロ!」

 

その名を聞き、その名を呟き、ブリタニア兵は理解した。

 

「ゼロ!ゼロ!ゼロ!」

 

その名を聞き、その名を叫び団員達も理解した。

 

「ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!」

 

この魔術をなした者が誰なのか。戦場にいる全員が悟った。

 

「ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!」

 

武器を掲げ、反逆者達はその名を叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!

   ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!

   ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!

   ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!

   ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!

 

   ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!

   ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!

   ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!

   ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!

   ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数年に及ぶブリタニア諸島の内戦の終結。

 

世界政府と海軍、そして革命軍をも巻き込んだ“第二次ブラック・リベリオン”は

 

戦場を包む反逆者の名と共に、黒の騎士団の・・・勝利に終わった―――

 


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