伊達家の援助を受けつつ、
さらに北上をした天竜軍。
津軽にて船に乗り、
ついに蝦夷地へと足を運んだ。
この時代、汚れの地とされてきた蝦夷の地形は性格には分かっておらず、地図も現代のような菱形ではなく、歪な形の大きな離島程度にしか見られていなかった。
だがこの天竜。
この蝦夷地の重要性を誰よりも理解していた日本でただ一人の人物である。
天竜軍は上陸して早々、陸奥北部から蝦夷地南部にかけてを治めていた大名檜山安東氏。
その安東氏と戦争状態に入る。新兵器を大量に導入した天竜軍の前に安東軍は始めから劣勢であった。
さらに安東氏の家臣の蠣崎氏が安東氏から離反。蠣崎家の独立を条件に天竜軍に味方するようになる。
時間はさほどかからなかった。
天竜軍莫大な物量に押し潰され、
安東氏は壊滅。残りは降伏。
安東氏が蝦夷地に持っていた権力は丸々天竜へと引き継がれる事となった。
「私こそが蠣崎の六代目!天才丸です!」
「はぁ.....また梵天丸パターンかよ」
蠣崎慶広。
あだ名は新三郎。
基本自信過剰な奴は梵天丸パターンに分類される。散々梵天丸に振り回された天竜にはうんざりであった。
「天才丸って.....それ赤ん坊の頃の名前だろう。何で未だにそれを名乗ってんだよ」
「何を隠そう私が天才だからです!
だからこそ、私は安東の阿呆と共倒れにはならず、こうして貴方様に仕える事で、新たなる道を開けた!
とても感謝していますわ!」
本当に自信過剰なお姉ちゃんだ。
17歳ぐらいだろうか?
肩まで伸びる茶髪に前髪がパッツン。
胸は.....Bか。嫌いじゃない。
「まぁいい。
こんな北の地にいて
俺を知っているのか?」
「勿論存じております。天才ですから。
副将軍羽柴秀長様。
『裏切り魔将軍』様♡」
「ほう。それを知っていて、
何故俺に仕える?」
「蠣崎家は武田の遠戚ですから、
貴方様の前に立とうとした信玄公の愚かさも存じております。貴方様程の武芸者の矛先の餌食になるのも自業自得と考えていますわ。兵士の刀の前に立つなど阿呆のする事。きっと黄泉で後悔してるでしょうね」
勝千代生きてんだけど.....
「この世で最も安全な地は、
最も強い者の後ろですわ。
私はいつもそれを元に行動します。
天才ですから」
「ふっくくくく.....
では強者であり続けなければ、
俺は後ろから刺されてしまうな。
魔将軍が裏切られたら名折れだ」
「大丈夫ですよ。天才である私の見解では、この日の本で最も強いのは貴方様ですわ」
四国。
「はいしドードー!はいドードー!」
「ひぃ〜〜!!」
四国の覇者である少女を背中に乗せ、
お馬さんごっこ(?)をする良晴。
「元親ちゃん降りてくれ〜!
腰がもう限界だ〜!」
「むっ!妾が重いだと!?
無礼な猿にはこうなのだ!」
「痛ったたたたた!!!
尻尾引っ張らないでぇ!!」
読者のほとんどが忘れていただろうが、
良晴には尻尾が生えている。
(作者も忘れていた)
「あっはっはっはっは〜!!」
「ひぃ〜!!」
良晴がこんな目に遭っているのには
訳がある。
この少女は長宗我部元親。
弱冠15歳にして四国を統一した
麒麟児である。
織田家の四国攻略事業。
元は天竜が担っていた事であった。
とはいえ、天竜が独断で内密に行っていた為、天竜が織田における権力を失った際に、その権利もまた剥奪された。
それを受け継いだのは明智光秀。
天竜が侵略ではなく、同盟という関係で四国を味方につけようとしていたのを習い、十兵衛も自ら四国を訪れて元親と交流を重ねるなど、努力を重ねていたのだ。だがその十兵衛もまた、天竜を求めて織田を離れた。
そのさらに後継として良晴が選ばれた。
本来は九州攻略を担当する予定だった彼だが、他に適任も見つからず、九州は後回しとなった。
信奈もまた播磨に留まり、
未だ動向の見えない毛利を監視している。
ちなみに、
史実において四国攻略を担っていた光秀だったが、信長によって急遽その権利を剥奪され(息子の信忠に四国を任せ、家臣が力を持つ事を阻止し、なおかつ織田家による独裁政権を築こうとしていたと思われる)、それが原因となって本能寺の変が起きたとも言われているのだ。
「十兵衛に会いたいのだ!
連れてこいサル!」
「十兵衛ちゃんは今、織田にはいないんだよ。だから無理だ」
「生意気なのだサル!」
「痛ったたたたた!!!」
また尻尾を引っ張られる。
場合によっては侵略するという意図の信奈を抑えるため、なんとかしてでも元親から好感を得る必要があった。例えその末に尻尾が千切れるような事があろうとも.....
その時だった。
「羽柴氏」
闇に紛れて1人の忍が現れる。
「五右衛門!」
「信奈様がお呼びでございまちゅ」
「可愛い!」
「うぅ.....兎にきゃく安土じゃうに戻ってくだちゃれ!のびゅなちゃまはもうおいでぅえだす」
「..........言いたい事は伝わったよ」
つまり信奈が俺に伝えたい事があるから安土城に一度戻ってほしいとの報告だ。
「という事だ。
俺一回帰るよ元親ちゃん。
用事が済んだらまた来るから」
「やだ!もっとサルと遊ぶのだ!」
「痛ったたたたた!!!」
また尻尾を引っ張られた。
安土城。
「来たわね」
「おう」
信奈は天守閣にて待ち構えていた。
「貴方をここまで呼んだのは
他でもないわ」
「うん」
「天竜を覚えてる?」
「..........忘れるはずないだろ」
良晴が天竜と最後に会ったのは、
伊勢イスパニア島にて、オルガンティノを脅していた彼を発砲した時だろう。千利休に指摘され、『銀の弾丸』を使用した。致命傷には至らなかったが、確かに効果があるという事を宣教師側に伝える事となった。
結果的、オルガンティノは日本国守護派として、侵略派であるガスパールらと全面対立。いくら良晴が「天竜の思う壺だ」と説得しても、聞く耳持たなかったという。
その末、何が正しいのかも分からなくかった良晴であったという。
「私からも説明致します」
蒲生氏郷が現れる。
「先々月、羽柴秀長を討ち倒そうと向かわれた3人の宣教師様。やっと魔将軍が消え去ると私も安心していたのですが、翌日に知らされた報告で私は真から恐怖を覚えました」
3人全員が返り討ちにあったのだ。
「カブラル様、ロマーニオ様は惨殺され、
ミッシェル様は捕虜にされました」
「..........(長崎よりコエリオ様と
ガブリエル様を呼び寄せている)」
利休も現れる。
「..........(とはいえ、羽柴秀長は逃げるようにどんどん北上。まだ博多近辺に駐留している為、間に合わない)」
「これは昨日届いた報告ですが、
..........羽柴秀長が蝦夷を統一しました」
「なっ!?」
氏郷が衝撃の事実を聞く。
「北条氏を倒し、
武田氏を倒し、
上杉氏を抑え込み、
最上氏を倒し、
伊達氏を抑え込みました。
着々と東日本の統一を図っていましたが、
先月に蝦夷に上陸した秀長は、
蠣崎氏と手を組み、
安東氏を倒し、
アイヌと呼ばれる民族の掌握を行っていたようですが、それからたった一月で蝦夷を統一してしまいました」
「そして蝦夷地を日本国として、
正式に改称したらしいわ。
その名は『北海道』」
200年も早くに北海道の誕生。
「東海道とかに掛けたんでしょうけど、
むしろ上手くて、腹が立つわ」
信奈が歯ぎしりをする。
「さらに蝦夷地.....北海道の地形調査の結果、領域面積が予想の3倍近い事が判明し、波紋が広がっております。
秀長が北海道国を手に入れたとなれば、伊達家の陸奥以上の巨大国家を手に入れた事になります」
「..........」
「良晴.....私は決意したわ」
「信奈?」
「天竜を倒す」
「..........」
「この決意も遅すぎたわ。
あの安土城での会見で.....
奴の息子を盾にしてでも倒すべきだった。
いえ、もっと昔。『安土城の変』で彼を迎えたのがそもそもの間違いだった。騙し討ちをしてでも殺すべきだった。
例え卑怯と言われようが.....
天竜はなんとしてでも絶対に殺さなければならない、この世に存在してはいけない悪魔だった」
「信奈.....」
「良晴。北海道国を攻めなさい」
「えっ!?」
「毛利がこの話に乗ったわ。
水軍を提供してくれる。
九鬼水軍を使いたい所だけど、天竜の息がかかってるから寝返る可能性もあるしね。
それと上杉も乗ってくれた。
でも上杉は奴と同盟関係にあるから影ながらの協力だけれど.....」
「作戦を伝えます。
神戸より船を出し、日本海側を回って北上します。そして越後にて停泊し、上杉より補給の物資を受け取ります。そしてそのまま北海道国へ突撃」
「..........(秀長本軍は今、陸戦用の軍備しかない『箱館』という地にて駐留している。そこを襲撃すれば、秀長を倒せる)」
「その先陣を貴方に任せたい。
貴方以外に頼める人がいないわ。
もちろん私も同行する」
「信奈.....それはお前の意思か?」
良晴が真剣な表情で尋ねる。
「羽柴秀吉。貴方は秀長の弟というだけではなく、同じく未来より訪れて、この世の秩序を乱す秀長の次に駆逐されるべき存在。ですが、今は秀長問題が解決すべき最重要課題であるがゆえ、今は見逃すのです。
素直に了承しなさい!」
「..........(良晴。これは殺人ではない。秀長は人ではなく、悪そのもの。奴がいる限り世に平和は満たされない!)」
氏郷、利休が言う。
「うるせぇ!!!」
「「!?」」
「人間は操り人形じゃない!
だから皆自分の意思で動くんだ!
宗教だとかいう糸でしか動けないお前らの都合を押し付けんじゃねぇ!!」
「「..........」」
この時2人は思った。
良晴も天竜に似てきていると.....
「信奈!お前がこいつらに言いくるめられて、宗教的理由なんかで天竜さんを倒すとか言うんなら、俺はお前に失望し、絶対に協力なんかしねぇ!!」
「良晴.....」
良晴は硬く拳を握り締め、
そこから血を滲ませている。
信奈はそれに気づき、
そっと彼の手を握ってやった。
「良晴。私はレオンや利休、バテレンなんかの説法で考えを変える程ヤワじゃないわ!
天竜を倒すのは私の意思。
私が倒したいから倒す。
織田の命運をかけて、
奴との因縁に蹴りを付けるわ!」
その信奈の高々とした宣言に、
良晴はホッとした様子を見せる。
「ふっ.....
じゃあ、いっちょやっか!!」
「えぇ!」
信奈と良晴はお互いに笑顔で、
お互いを分かち合った。
その光景を
2人の邪悪なキリシタンが睨んでいた。
新国家、北海道国。
天竜はこの北海道国建国において、
最も重点を置いたのが、
アイヌ民族との接触。北海道国が成り立てば、過半数を占める事となるであろうアイヌ民族。言い方を変えれば、これもまた植民地である。
力による侵略を行おうとしていた安東氏を倒した事によって、アイヌ民族からの天竜に対する印象が良くなった。そこを利用し、ギリギリ侵略にならない形でアイヌの族長らを自身の味方につていった。
100%ではないが、事実上蝦夷は統一され、北海道国大名として天竜が君臨した。まだまだ反乱分子の残る危うい状態ではあるが、そこは時間をかけて努力するのみだ。
「?」
この北海道国建国の最大の協力者、蠣崎慶広は見た。箱館湾の沿岸にて、ずっと海の向こうを眺める天竜の姿を.....
「どうしたんですか?」
「慶広。『五稜郭』の建設は
どうなっている?」
「順調ですよ〜。私が担当してるので再来年には完成します。天才ですから」
「そうか.....」
「何故海を見ているのですか?」
「もうすぐ来る.....
俺に対し強い殺意を持った者共が
俺を殺しに.....」
「そうですかね〜。
伊達方からは何も言われてませんが?」
「ふっ.....気のせいかもしれないがな」
織田の水軍は水路から秘密裏に迫っている為、天竜にも情報が入っていない。
.....なわけがない。
『日本海側から来るよ!
数は軍船だけでも10隻!
九鬼水軍と同じく鉄甲船だよ〜!』
「ありがとう阿斗。今後も諜報を頼む」
『吽斗だよ〜?』
「うえっ?そうか。
すまんすまん」
天竜は携帯を切った。
「ふぅ、織田がようやく動いたか」
始めから予見していたかのような言い方。
「さてさて、こっちの水軍は近畿と関東に置いてきてあるため、今から呼んでも間に合わない。自軍も北海道の各地に分配しているから、ここの箱館の防備はやや手薄だ。鉄甲船なんかで襲撃されれば、敗北は必至」
しかも、対伊達戦で魔力をだいぶ使ってしまい、これ以上は身体に負担がかかるだろう。
「おもしれぇ.....」
天竜は武者震いしていた。
久々の危機的状況に戦争屋の血が滾る。
織田水軍内。
船頭で会話を交わす信奈と良晴を後方で睨む2人のキリシタン。
「おかしな状況になりましたね。
姉様はあの秀吉の言いなりになってしまっておられる。私達は姉様にキリシタンになってもらおうとしていただけなのに、ついにはキリスト教についても否定的になってきている.....」
「..........(良晴.....なんとかせねば)」
「秀吉を未来に返還させるという案もありましたが.....この際、秀長と一緒に消してしまった方が.....」
「何を話しているのだ貴様ら!」
「「!?」」
彼女は突然現る。
「森.....蘭丸」
「..........」
「何を企んでいるのかは知らぬが、
これ以上織田信奈には近付くな!」
「くっ.....!」
姉様がキリスト教に否定的になった最大の原因がこの女、森蘭丸だ。
本名、森水青蘭。秀長の実姉。突然現れて姉様の小姓もとい護衛役になった人物。
流石の姉様も不審がって側には付けませんでしたが、それでも影ながら護衛を続けていた。
そんな中、彼女が護衛以外で行っていた唯一の行動がある。それが我らキリシタンや宣教師と姉様との間に壁を作る事だ。我らがどれだけ姉様をキリシタンにしようと近付こうとしても、奴が壁として立ちはだかる為、中々近付けない。
姉様が奴を遠ざければ、
その分だけ比例して我らも姉様から離れてしまう。常にそれが保たれてしまう。
たまに姉様に近付けたとしても、
その頃には姉様はキリスト教の教えもすっかり忘れてしまっておられる。
お陰で姉様は仏教同様に、キリスト教にも良い印象を持たなくなってしまわれた。
これが羽柴秀長の目的?
姉様が秀長を恐れて蘭丸を遠ざければ遠ざける程、秀長の思う通りになる。
もしそれが本当なら、本当に恐しい。
二手三手も先を読み、
確たる選択を取る魔将軍が.....
箱館。
「来た!」
望遠鏡で日本海の向こう側をじっと眺めていた天竜。彼は訪れた10隻の鉄甲船を見つけた。
「あれが.....ですの?」
慶広が尋ねる。
「あぁ、鉄甲船。村上水軍600隻をたった6隻で撃退した優れもの。焙烙玉でも燃えない頑丈な船だよ。あれは九鬼の鉄甲船を毛利が真似た奴だな」
「大丈夫ですの?」
「こっちは運搬船しかない。海戦じゃまず勝てないな。だからといって、みすみす上陸されれば、敗北したも同然。五稜郭の工事や、他地方の開拓に回してしまっている」
「援軍は?」
「伊達に頼んだが拒否された。
『魔将軍なら自力で解決せよ』だと。
あんのクソガキめ」
「ふぅ、絶体絶命ですね」
「そうだな」
天竜は微笑する。
「だが、面白い!」
天竜は絶壁のような地に立つ。
「俺が単独で攻める。お前らは上陸されないよう、大砲でも鉄砲でもバンバン撃って援護射撃してくれ。
お前に任せられるか?」
「天才ですから♡」
「ふっ.....じゃあ行くか」
すると天竜は崖から飛び降りてしまう。
真下は海。
「召喚!!!」
織田水軍。
「さぁ、箱館に着いたわ!」
「あぁ..........あれ!?」
良晴は箱館湾を見る。
「なんだ..........アレ!?」
「嘘でしょ!?」
箱館湾に軍船がある。それも巨大な。
「まさか.....」
全長約40mはある鉄甲船の2倍の大きさを持った巨船。そしてその形も新しい。
「良晴!.....あれは!?」
「軍船じゃない.....あれは軍艦だ!」
その船は1853年の浦賀に訪れて、
鎖国中であった日本に開国を求めた。日本とアメリカの文明の差を見せつけるに当たって最大の効果を見せた軍艦。
「黒船.....」
黒船。
「黒船サスケハナ号。
この時代じゃあたった一つの蒸気船だ。俺が今まで召喚したものの中で最大級の未来兵器だ」
とはいえ、天竜単独での操縦は無理だ。
「ふんっ!!」
天竜は両手の指から爪を長く伸ばし、
黒船の床に突き刺す。
「物理上はこれで可能のはずだ」
爪の刺さった地点より、血管のような模様が黒船全体に広がっていく。
「..........天竜!?」
蒸気を上げながらこちらに迎え討とうしている黒船の様子を望遠鏡で眺める信奈。その末に、黒船の船頭にいる天竜を発見する。
「..........天竜以外に誰もいないわよ!?」
「馬鹿な!蒸気船だぞ!?
1人2人で操縦できる船じゃない!」
「『騎士は徒手にて死せず』
またの名を、
『ナイト・オブ・オーナー』」
「「!?」」
「カブラル様より教わりました。触れた物体を自身の絶対的指揮下に置く超常技。ドラキュラの特技の一つです。」
氏郷が言う。
「ドラ.....キュラ」
「..........(アレに触れられた物質は物質でなくなる。全てドラキュラの肉体の一部。つまり、あの船こそがドラキュラの肉体そのもの)」
「姉様。あの船を沈没させるられれば、秀長を殺すまでいかなくても、致命傷に近いものを与えられます!」
「.....よく分からないけど、
やってみるわ!
敵は一隻しかみたいようだしね」
「だめだ!相手は蒸気船なんだ!
風の力でしか動けない鉄甲船と、
自力で動ける蒸気船じゃ分が悪過ぎる!」
「こっちは10隻よ。
取り囲めれば大砲で集中砲火できるわ」
「くっ.....!!」
ただの戦闘ならいけるかもしれない。
だが相手は天竜だ。
異形な能力を持った怪物。
「勝てる..........のか?」
不安ばかりが残る。
「天竜.....」
実姉の蘭丸(青蘭)はじっと向こう側の黒船を哀しげな表情で眺めていた。
黒船。
天竜は爪を通して黒船と一体化した、天竜という頭脳を手に入れた生きた軍艦。
「術式は成功。
今の所異常はなし。
問題は燃料.....魔力不足か。
さっき血は飲んだが、体内で分解されて魔力に変わるまではしばらくガス欠状態だな。
残り少ない力で、
敵軍が壊滅するのが先か、
俺が力尽きるのが先か、
どちらであろうと死闘は避けられまい」
黒船は蒸気を上げ、さらに進行する。
「さぁ、戦争の時間だ」
急遽前後編に変更。
さて壮絶な海戦が開幕!
多分艦コレとかの影響。
(やった事ないですが)
次回予告
天竜vs良晴(後編)
〜DEADorDEATH〜