緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第08弾ロボットレキ地獄を制す

理子やキンジと別れた俺はそのまま、寮には帰らず学内をうろついていた。

まあ、さっさと帰るのは簡単なんだがな。

 

俺は屋上に出ると風に当たりながらごろりと寝転がると情報を整理した。

まず、アリアの護衛を俺に依頼してきた奴はおそらくだが、アリアのことをよく知っているはずだ。

となると家の関係者と言う線も考えられるがH家ね・・・

本気で調べたらわ分かるかも知れんがな・・・

 

キイイイイ

 

ん?

 

その時、屋上の鉄製のドアが開く音が響いた。

振り返るとそこにいたのはドラグノフ狙撃銃を背負ったレキだった。

相変わらず無表情だなお前は

 

「レキか? お前もまだ、残ってたんだな」

 

「・・・」

 

レキは何も言わずに俺の隣まで来ると屋上から見える海を見ている。

うう、やっぱりこの子苦手だよ。

何か言ってくれたらいいのに・・・

 

「そ、そうだ一緒に飯でも食いにいかないか?」

 

何言ってんだ俺は! レキが承諾するはずないだろ

 

「・・・・」

 

レキは俺を見ると

 

「構いません」

 

ほらことわ・・・え?

 

「今何て・・・」

 

「いいといいましたが?」

 

つまり、晩御飯はレキと食うことになったわけだ。

なんでこんなことに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

それから10分後、俺とレキは学園島の中にあるラーメン屋に来ていた。

この時間、学生たちが込み合う中席を確保した俺達はメニューを見ながら

走り回っていたバイトの女の子を捕まえて

 

「俺はギョーザとチャーハンと味噌ラーメン。 この子には一番高いメニューを」

 

「かしこまりました! お客様チャレンジャーですね」

 

はっ? 何が?

聞き返す前にバイトの子は行ってしまう。

むぅ、あまり考えないでいいか

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

おいおい、話が弾まないぞ! 俺はこういう子、苦手なんだよ! 早く料理よ来てくれ!

 

「そ、それにしても珍しいなレキが飯を食いに行こうなんていう誘いに乗るの」

 

「風がそう言いました」

 

風? なんだそれは? 宗教なのか?

 

「風ってなんだ?」

 

「風は私の頭から直接響いてくる。 遥か故郷から」

 

駄目だ訳がわからんぞ。

俗にいう不思議ちゃんか?

 

「おまたせしましたぁ!」

 

バイトの女の子が一気に御飯を持ってくる。

レキの前にも・・・

 

「なんじゃそりゃ!」

 

俺は絶句した。

レキの前におかれたラーメンは真っ赤で煮えたぎっていた。

 

「本店自慢の地獄ラーメンでございます」

 

「じ、地獄ラーメンだって!」

 

確かに真っ赤なそのラーメンは地獄そのものだ。

レキはじっとしれを見つめている。

 

「ちなみにいくら?」

 

「はい♪一万円です」

 

「いっ!」

 

俺の財布には3000円しか入っていない。

どう考えても足りない。

 

「れ、レキお前いくら持ってる?」

 

「カードならあります」

 

駄目だ! こんなボロラーメン屋クレジットが使えるわけがねえ! アリアの護衛の報酬百万が口座にあるがもう、しまってるぞ。 コンビニに・・・駄目だカードも通帳も部屋だ」

 

「時間は30分です。 スープも飲み干せたらただになります」

 

「なんだって!?」

 

地獄に仏とはこのことだ。

しかし、俺の前には味噌ラーメン、チャーハン、餃子が並んでいる。

駄目だ、俺は食えんぞ

 

「れ、レキ頼む! 食えるよな」

 

「・・・」

 

レキはそれに答えず割り箸を割ると麺を咥えちゅるちゅると食べ始めた。

そして、5分後

 

「ば、馬鹿な」

 

バイトのお姉さんは驚愕した様子でレキを見ている。

続いてスープをごくごくと飲んでいく。

ありえん、からしを直接飲むようなもんだぞ! 大丈夫なのかレキ!

 

そして、レキは器を置くと

 

「私の感覚ですがあなたが計測を始めてから12分03秒です」

 

「よっしゃ! レキよくやった!」

 

俺は感動に涙しながらレキに向けガッツポーズをとった。

「くっ、店を始めてから初めての敗北・・・いいでしょう。負けを認めましょう! あなた達はただです!」

 

よくわからんが勝ったぞ。

 

味のしない食事を終えてこの世界にあれを食べれる物がいるとはとか言ってがっくり膝を落とした店主を見ながら俺達はラーメン屋を後にした。

てか、

 

分かれ道でレキは俺の方を向いた。

 

「ごちそうさまでした優さん」

 

「いや、どちらかというとレキにおごってもらったようなもんだぞ」

 

「優さん。 また明日」

 

「おう! またいつか御飯食べに行こうぜ」

 

その時、俺は上機嫌だったんだ。

絶対絶命の状況から好転したもんだから・・・

レキがくると振り返る。

その顔は無表情だが街灯に照らされるの顔は前へ小さく動くのだった。

そして、レキはドラグノフを肩に女子寮の方へ歩いて行った。

うーん、レキも謎だが辛いの大丈夫だったんだな改めて知ったよ。

さて、帰るか。

俺は探偵科の寮に向かい歩き出すのだった。

 


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