緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第07弾アリア観察記録

その翌日の女子寮の前の温室で俺とキンジは理子を待っていた。

 

「聞いたぞ優、アリアに負けたんだってな」

 

「ああ・・・」

 

アリアを失望させてしまった・・・俺は少し落ち込んでいるんだ

 

「やっぱり、アリアと組むのか?」

 

「さてな?」

 

俺はアサルトの授業が終わる前にアリアに言ったことを思い出す。

 

「協力してやるよ」

 

不思議そうにアリアは振り返る。

 

「キンジをお前の奴隷にするの手伝ってやるっていってるんだよ」

 

「いいの?」

 

友達でしょ?という目を向けてくる。

まあ、確かにそうなんだがこの件は俺にとっても利点が多いのだ。

まず、俺はキンジにアサルトに戻ってきてほしい。

これは、アリアも同じだろう。

これが一つの利点

二つ目はアリアに内緒だが護衛の件だ。

キンジがいれば敵がどんな奴でも勝率はかなり上がる。

これが3つ目の利点。

そして、最後の利点は俺がこの子を気に行ってきてる点だな。

まだ、正式には組むと決めてないが・・・

 

「俺もキンジにはアサルトに戻ってきてほしいと思ってるんだ。 利点もあるんだよ」

 

「それじゃあ・・・」

 

アリアは俺をとことん利用してキンジを陥落させようと考えたらしい。

うん、スパイの気持ちがわかるね。

 

 

 

 

 

そして、今に至るのだが・・・

 

「キンジは何してたんだ今日?」

 

「猫探しだ。 0.1単位のEランクの依頼をこなしてた」

 

「ふーん」

 

探しものとか俺苦手なんだよな。

 

「キーくーん! ユー―――――――ユー――――」

 

温室の入り口から理子が右手を振りながら軽いステップでこちらにやってくる。

なんでユの間が俺だけ長いんだ?

 

「理子」

 

「よう」

 

キンジと俺はそれぞれ口を開く。

うーん、馬鹿理子だが、こいつ相変わらず美少女だよなアリアと同じ小柄なくせにふたえのめはきらきら大きく緩いウェーブのかかった髪はツーサイドアップ。ふんわり背中に流した髪に加えてツインテールを増設した欲張りな髪型である。

 

「相変わらず改造制服だな、そのひらひらはなんなんだ?」

 

「ゴスロリってやつだろ?」

 

俺が言うと理子は

 

「これは武偵高の制服白ロリアレンジだよ。 キ―君、ユーユーいい加減ロリータの種類ぐらい覚えようよぉ」

 

「きっぱり断る! お前は制服を何着持ってるんだ?」

 

おいおい指で数えるほど持ってるのか?

武偵高の制服は防弾制服だから結構高い。

まあ、金があれば簡単に手に入るし手を加えることも不可能ではないのだが・・・

 

「理子、こっちを向け。 いいか? ここでのことはアリアには秘密だぞ」

 

「うー! らじゃー!」

 

びしっと敬礼のまねごとをする理子にキンジが紙袋を渡した。

ああ、あれか・・・俺も買いに走らされたなぁ・・・秋葉原まで俺行ってきたんだぞ

 

「うわああああ!『しろくろっ!』と『白詰草物語』と『妹ゴス』だよおおお!」

 

ぴょんぴょんと兎のように跳ねながらぶんまわしているのはR15指定のギャルゲーだ。

こいつ、オタクなんだよ実はゴスロリとかのギャルゲーは大好きという困りもの

身長が身長なので自分では買えなかったそうだ。

中学生に間違えられたんだぜ? ハハハ、アリアなら小学生だな

キンジの奴アリアの情報を集める気だな?

まあ、俺も護衛対象の情報は欲しいから丁度いい

 

「あ・・・これとこれはいらない、理子はこういうの嫌いなの」

 

ん?2とか3とか書いてある奴だな。

 

「なんでだよ?」

 

決して安くないからな当然の答えだ。

 

「違う。 2とか3とか蔑称。 個々の作品に対する侮辱。嫌な呼び方」

 

ん?なんか今、理子一瞬表情が悲しそうに見えたぞ。

気のせいかな?

 

「まあ、 とにかく続編以外のゲームはくれてやる。 その変わりこの間依頼した通り、アリアについて調査したことをきっちり話せよ」

 

「―あい!」

 

理子は馬鹿なんだがネット中毒患者でノゾキ、盗聴盗撮、ハッキング等のいかにもインケスタ向けの能力を持っているから情報収集能力がずば抜けて早い。

実際、何度か俺も理子に依頼している。

そのたびにゲームを探し回っているんだが・・・

 

「ねーねー、キ―君とユーユーは尻にしかれてるの? 彼女のプロフィールぐらい自分で聞けばいいのに」

 

「彼女じゃねえよ」

 

おいおい、キンジよおかしいだろ俺達2人がまるでアリアと付き合ってるみたいな言い方だぞ理子の言い方だと

 

「えー2人はアリアを取り合って結局どっちとも付き合うことにしたって噂だよ?

寮からアリアと出てきてアリアファンクラブが2人とも殺すって息まいてたんだ。 がおー」

 

「指で角をつくらなくていい」

 

ああ、まあ寮から女の子と出てきたらそう見えなくもないわな

 

「ねえねえどこまでしたの?」

 

「どこまでって?」

 

「3P」

 

「馬鹿するか!」

 

「嘘つけぇ健全な若い男女のくせに。 アリア挟んで毎晩えっちいことを・・・」

 

そんな満面の笑みで言われてもなぁ・・・

 

「お前はいつもその方面に話を飛躍させる。 悪い癖だぞ」

 

「ちぇ」

 

「それより、本題だアリアの情報、そうだな・・・アサルトでの評価を教えろ」

 

「ユーユーもある程度は知ってると思うけどランクはSだって、Sランクって2年では片手で数えるぐらいしかいないんだよ」

 

それは知ってる。

Sランクの連中とやり合うのは毎回大変だからな。

ワイヤー封印してたから勝った回数もそれほど多くない。

あいつら俺の弱点知ってるしな。

 

「理子より小さいくせに徒手格闘もうまくてね。 流派はボクシングから関節技までなんでもありの・・・えーと、バーリー・・・バーリー・・・バリっ・・・」

 

「バーリ・トゥードか?」

 

「そうそうそれそれ! イギリスでは縮めてバリツって呼ぶんだって」

 

「拳銃とナイフはもう天才の領域、どっちも二刀流なの。 両効きなんだよあの子」

 

「それは知ってる」

 

「じゃあ、2つ名も知ってる?」

 

アリアの奴2つ名まで持ってるのかよ。

あれは優秀な武偵自然とつくものだからな。

俺は持ってないけど。

知らないと言う顔をすると

理子はにやりと笑う

 

「カドラのアリア」

 

武偵用語では2刀流のことはタブラという

ようはカドラは4つの武器ということだ。

俺の場合ワイヤーもあるから何個武器携帯かは決まってないけどな。

 

「笑っちゃうよね。 双剣双銃だってさ」

 

何が笑いどころか分からないんだが

 

「アリアの武偵としての活動の実績はどうなんだ?」

 

俺が聞くと

 

「あ、それはすごい情報があるよ。今は休職してるみたいなんだけどアリアは14歳からヨーロッパ各地で武偵として活躍しててね・・・」

 

目と声を少しシリアスにしながら

 

「・・・その間1度も犯罪者を逃がしたことがないんだって」

 

「まじか?」

 

そりゃすげえ

 

「狙った相手を全部捕まえてるんだよ。 それも99回ともたった1度の強襲でね」

 

「なんだそれ?」

 

キンジが絶句しているな。

まあ、普通、武偵に回ってくる犯罪者は凶悪な連中が多いからな。

俺もAランクと言われて受けたクエストの犯罪者捕まえるの結構苦労したしな。

どのみち断ってても逃げられないってことかアリアからは

 

「他には・・・体質とかは?」

 

「うーんとね。 アリアってお父さんがイギリス人とのハーフなんだよ」

 

「てことはクォーターか」

 

日本人離れしてるわけだ。

 

「そう、でイギリスの方のミドルネームが『H』家なんだよね。 すごく有名な一族らしいよ。 おばあちゃんはディムの称号を持ってるんだって」

 

なんだって! てことはアリアは貴族のお嬢さんじゃねえか。

ディムはイギリス王家から女性に与えられる称号だからな。

キンジもびっくりした顔でいる。

 

「でも、アリアはH家の人たちとうまくいってないみたいなんだよね。 だから家の名前を言いたがらないんだよ。 理子は知っちゃってるけどあの一族はちょっとねぇ」

 

H? うーん、思い当たることないなぁ。 そもそも日本の有名な家の名前ぐらいは分かるが外国はあんまり関わらないからな

 

「教えろ! ゲームやっただろ」

 

「理子は親の七光とかそういうの大嫌いなんだよぉ。 まあ、イギリスのサイトでもググれば当たりぐらいは付くんじゃない?」

 

「俺英語駄目なんだよ」

 

俺も駄目だ。 世界に出て働くんだから勉強はしてるんだがなかなかな・・・

 

「がんばれや!」

 

キンジの背中を叩こうしたららしい手が彼の腕時計を弾いた。

あ、曲がってる。

壊れたな

 

「うあーっ! ご、ごめーーん!」

 

「別に安物だからいいよ。 台場で1980円で買った奴だ」

 

俺の時計はいくらだったかな? ネットで購入したからな。

 

「だめ! 修理させて! 理子にいっぱい修理させて! 依頼主の持ち物壊したなんて言ったら理子の信用問題に関わるから」

 

そういうと、理子は胸の谷間にキンジの時計を入れてしまう。

で、でかいな。アリアとは段違いのでかさだ。

 

「キンジ他には?」

 

「い、いやもういい。 行くぞ優」

 

「あいよ」

 

まあ、このままだとお前ヒスルしな。妥当な判断だ。

じゃなと俺は理子に右手を挙げて温室を後にするのだった。

ちなみにいうと理子の下着は金色だった。

ちなみにだがな

 

 


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