緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第75弾 アリア・優希VS春蘭・シン 決着

キンジとアリアが来てくれた。

これで、形勢は3対2だ。

だが・・・

キンジお前、ヒステリアモードじゃねえな・・・

だが、シンさえ抑えればアリアはミンに集中できる。

キンジは後方援護を担当すれば戦える。

 

「アリア、キンジ千夏ちゃんは?」

 

「理子とマリが見てるわ」

 

よし、後は・・・

 

「キンジ、レキを頼む。 死んではいないと思うが・・・」

 

「分かった」

 

俺の言葉にキンジがベレッタを手にレキの方に走っていく。

 

「はぁ・・・はぁ・・・くっ」

 

「優?どうしたのよ! 汗びっしょりじゃない」

 

俺の異常に気づいたのかアリアが駆け寄ってくる。

 

「大丈夫だアリア。 ちょっと疲れただけだ」

 

「嘘よ。 毒にやられたわね優! 動いたら毒の周りが早くなるわよ」

 

「なら、10分以内に決めて病院行くかな」

 

日本刀を右手にアリアの横に立つ。

 

「分かったわ。 無理なようなら下がりなさい。 あたしとキンジであの2人は逮捕する」

 

ガバメント2丁をを取り出しながらミンをアリアは猫のように威嚇しながら睨みつける。

 

「あの女は風穴開けてやりたいと思ってたしね」

 

「アリア、気をつけろよ。 ミンの接近戦は間違いなく一流クラスだ。 接近戦は可能ならするな」

 

「お話はおわりましたか?」

 

糸目のまま、シンが微笑みながら聞いてくる。

時間が経てば経つほど、自分たちに有利だとシンは思っているのだろう。

現にその状況だ。

時間が経てば毒は回るし、敵の援軍の可能性あってある。

シンの言葉に耳を貸さずに俺とアリアは右と左にかけた。

 

それぞれ、1丁づつシンとミンに同時に45ACP弾を叩き込む。

別方向からの同時射撃。

ビリヤード撃ちでシンは迎撃しようとしたが何発かもらう。

ミンは青龍偃月刀を回転させ銃弾を全てたたき落とした。

うちあわせた訳ではない。

だが、アリアとはここしばらくチームを組んでいるのだ。

動きはわかる。

 

互いに疾風のように疾走するとクロスするようにして互いの正面の敵を入れ替える。

シンはアリア、ミンは俺

 

「アハ」

 

ミンは嬉しそうに青龍偃月刀を横殴りに振るった。

俺はそれを右手のワイヤー、腰のワイヤーを青龍偃月刀にぶち当てた。

同時に日本刀に激突するが威力は減退している。

ピシ

 

「!?」

 

嫌な音がし、日本刀にヒビが入る

威力はジャンヌ時に確認済みだ! 半分持って行け!

 

左手のデザートイーグル、左手のワイヤー、左腰のワイヤー、左足のワイヤー、右足のワイヤーが一気に飛び出してミンに迫る。

ジャンヌ戦の時に使ったフルバーストの本数少なめ版だ。

 

 

「がっ!」

 

ミンが悲鳴をあげて後退する。

 

「止めだ!」

 

さらに追撃をかけようとした瞬間、ミンがにたりと笑った。

 

「なんてね!」

 

ミンは青龍偃月刀で猛烈な突きを放ってきた。

1発2発・・・すさまじい刺突

リーチは日本刀よりもはるかに長い。

それを紙一重で避ける。

 

「っ!」

 

さすがSランク武偵、接近戦には自身があったが想像以上の実力者だ。

ステルスを除けばミンに勝てる奴はそうはいないだろう。

いや、ステルスでも勝てるかはわからない。

だが、俺には守るものがある!

負けられねえんだよ!

 

「優!」

 

アリアのアニメ声が響く。 同時に、俺たちは標的を入れ替えた。

アリアがミン、俺がシンだ。

 

「はっ! 小学生! 殺したげるわ」

 

「うるさい! 馬頭!」

 

それぞれが罵倒を浴びせながら切り結ぶ。

 

「優希ぃ!」

 

アリアにおられたのか右手の剣だけになったシンが俺に切り込んでくる。

ひびの入った日本刀でそれを受けながら戦闘狂の笑で返す。

 

「はっ! どうしたシン! 動きが鈍いな!」

 

互いに満身創痍と言っていい状況だ。

シンは余裕を失いつつあり俺も余裕はもはやない。

アリアもまた、決着をつけられずにいるらしく互いに後退して相手を睨みつける。

くそ・・・左目がぼやけてきやがった・・・

次の一撃で全てが決まるという確信がある。

アリアの方はともかく、俺とシンは次で決まる。

 

「優希・・・お前にだけは負けるわけにはいかない・・・僕の顔に泥を塗ったお前には・・・」

 

鬼神のような表情を浮かべるシン。

泥か・・・

おそらくは、兵庫武偵中でのことを言ってるんだろう・・・

当時の俺は・・・自信にまみれたシンを完膚なきまでに叩き潰している。

シンの油断もあったがあの時の俺は絶対に負けたくないと思いがあったからな・・・

だからこそ、シンは恨んでいるんだろう。

それ以後は無敗で通してきた自分の戦績に泥を塗った男として俺を・・・

浮かべるは1つの型、左手を前に、剣を持つ手を後ろに上段に構える。

これは公安0の沖田が得意とする型だ。

昔、公安0の人間に教えてもらったただひとつの必殺の剣

今、なら活用できるな。

 

「過去の因縁とかめんどくせえよ。 お前がランパンだろうがイ・ウーだろうが関係ねえ。 ここでお前は 負けて処刑台にいくんだ」

 

「ふん」

 

交差は一瞬、金属がぶつかり合う音と共に俺とシンの場所は入れ替わっていた。

俺の肩から血が溢れ出す。

シンはにやりと笑い地面に崩れ落ちた。

 

「シン!」

 

アリアと切り結んでいたミンが驚いたように言った。

アリアが小太刀で切り結ぶ。

 

「なめるな! 小学生!」

 

小太刀を迎撃しようとしたミンの青龍偃月刀が持ち上がる。

ギンと金属が激突する音、見ると意識を取り戻したらしいレキがキンジに支えられてミンの青龍偃月刀を撃ったらしい。

最高だレキ

 

「終わりよ!」

 

「っ!」

 

驚愕の表情を浮かべてミンは防御しようとしたがアリアの小太刀がミンの脇腹にめり込んだ。

ボキボキと骨が折れる音

 

「がっ!ああああああ!」

 

悲鳴をあげてミンは崩れ落ちた。

よし! 一瞬だが油断した。

気づいた時にはシンが前に居なかった。

 

「っ!」

 

気づいたときには奏ちゃんのいる20メートル先の道路にシンは着地した瞬間だった。

追おうとするが俺が向こうの道路に着地してホルスターのガバメントをつかむのとシンがグロッグ18を奏ちゃんの頭に押し当てるのはほぼ同時だった。

 

「動くな優希 他の奴らもです」

 

泣きそうな顔で俺を見てくる奏ちゃん。

最後の1発、右のホルスターのガバメントを右手でつかみながらもホルスターから抜けないそんな格好。

 

「今回は僕らの負けです。 優希。ですが、この劣等民族は中国に連れていきます。 奴隷として一生を送るのでしょうねフフフ」

 

「シン!」

 

激怒が感情を支配するが何もできない。

 

「アハハハ、 悔しいですか優希君。 せいぜい後悔してくださいね」

 

ヘリの音が近づいていくる。

おそらくシン達の迎えだ・・・どうする・・・どうすればいい・・・

その状況で俺はキンジから聞いた1つの技を思い至る。

おうおい、できるのかこれ?

いや、できるよな・・・

ヘリが防音壁の向こうから現れた、シンが意識をこちらから離した一瞬、俺は居合の要領でガバメントを抜き、銃弾を放った。

振り抜く一撃でシンのグロッグが吹き飛ぶ。

驚愕に目を開く、シンに肉薄し、手をふりかぶる。

 

「シン!」

 

「!?」

 

俺はシンの顎に渾身の拳を叩き込んだ。

悲鳴をあげずにシンは宙をまい、地面に叩きつけられた。

 

「奏ちゃん!」

 

俺は奏ちゃんを抱きかかえた瞬間

 

「キヒ」

 

そんな声が聞こえたかと思うとヘリから狙撃銃を構える小柄な敵が見える。

ワイヤーで距離を取りながら岩陰に隠れる。

レキも銃弾を使い果たしたようで反撃はない。

ヘリから、ワイヤーのようなものを出してシン、ミン、春蘭を回収していく。

 

「ま、待て!」

 

攻撃しようとしたが狙撃銃がこちらをむいた瞬間慌てて、岩陰に戻る。

どのみち銃弾はもうない。

 

「シン、ミン、春蘭撤収ネ、三十六計逃げるが勝ち」

 

ドン

と発砲音が聞こえた瞬間、夕闇の阪神高速道路に莫大な光が生まれた。

閃光弾か!

 

「きゃっ!」

 

俺の腕の中で奏ちゃんが悲鳴をあげる。

襲撃に備えながら日本刀を手に備えていると

 

ドン

ギイイン

2つの音が聞こえてきた。

 

「あいやや! しとめそこなったね」

 

狙撃手の声。

光の中

 

「優希はやらせませんの」

 

ローズマリーの声が聞こえた気がした。

ヘリの音が遠ざかっていく。

視力が戻り辺を見回すが敵の姿はない。

音のした方を見るがもはや、追いつけまい。

 

「あ、優」

 

奏ちゃんが心配そうに見上げてくる。

俺はぽんと頭を撫でながら左目を閉じた。

 

「ごめんな。 怖い目にあわせて。 敵もうってやれなかった」

 

俺と目があった奏ちゃんはぼんとアリアと同じように顔を赤くしてうつむいてしまった。

ハハハ、こんな反応の子多いな流行ってんのか・・・な

 

「!? 優!」

 

がくりと地面に崩れ落ちた俺を奏ちゃんが支える。

ああ、まずい・・・毒が・・・回ってきやがった。

地面に崩れ落ちる。

アリア達が声を上げながら駆け寄ってくるのがぼんやりした意識の中で分かった。

今回の気絶は起きれんのかな・・・まあ、無事を祈ろう俺のな

 

「優! 死なないで! 優!」

 

泣きながら奏ちゃんが俺を見てくる。

あれ? 泣いてんのか?

泣かないでくれよ・・・あの日の・・・泣いてた妹のこと思い出すんだよな・・・

そこで、俺の意識は完全にブラックアウトするのだった。

 


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