緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第74弾 優希VSシン レキVS春蘭

物陰から20メートルの隙間を飛んだ時見た、光景は明らかにレキが劣勢に立たされていた。

レキは手首、首筋といった急所を攻撃しているがミンは巨大な青龍偃月刀を振り回し防御姿勢をとっている。

その顔には焦りはかけらもない。

レキも焦りのようなものは見えないが彼女は下から無表情だ。

その表情から焦りがあるのかを見いだせることはできない。

崩せるものなら崩してみろとレキの銃剣の攻撃をあざ笑うかのようにいなしている。

レキが弱いんじゃない。

狙撃ならレキの圧勝だろうが槍戦ではレキが勝てる見込みは少ないだろう。

アリアたちに連絡を取ろうとしたが妨害されているらしくつながらない。

なら、ミンが遊んでいるうちに2人を沈めればいいだけの話。

 

「シン!」

 

2人の戦いには目もくれず俺が着地するのをシンは見てくる。

 

「お別れはすみましたか?」

 

それを俺は戦闘狂の笑で返す。

 

「誰の別れだよ? てめえこそ処刑台に送られる覚悟は出来たのかよチャンコロ」

 

「日本鬼子が・・・」

 

互いに侮蔑の言葉をはき合いながら地を蹴る。

シンの剣付きの右のワイヤーを交わしながら体を右にひねり日本刀を横殴りに切りつける。

シンはそれを左のワイヤーつきの剣で受け止めるとグロッグで俺に向けて3点バーストで発砲する。

俺はガバメントで同じく3点バーストビリヤード撃ちで迎撃し、空中に火花が散る。

銃技はほぼ五角。

剣、日本刀、銃の3つの組み合わせに加え格闘能力もこの戦いには重要だ。

 

「驚きましたよ優希。 剣を開放した君はランパンの1流の連中とでもやり会えるでしょうね」

 

「そりゃどうも!」

 

右足で回し蹴りを放った瞬間、足からワイヤーを発射するがシンはそれを読んでいたようで交わす。

 

「無傷で勝つのは難しそうだ」

 

その瞬間、シンは特攻をかけてきた。

防御を捨てた捨て身の刺突。

迷いはない。

俺は刀を左に一瞬で持ち帰るとそのがら空きの脇腹に渾身の一撃を叩き込んだ。

 

「ぐっ・・・」

 

「くっ・・」

 

互いの1歩2歩引きながら打撃された場所を抑える。

見ると少し右肩が出血している。

防刃制服の突き抜けやがったか・・・

だが、針で刺されたような血の後だ。

戦闘にはなんの問題もない。

それより、シンの方が重症だろう。

あばら、数本折ってやった手応えがあった。

防刃制服の上でも打撃は有効な攻撃になる。

右手で脇腹を抑えているシンだったがその細目を少し開けて微笑んだ。

なんだ?

 

「君の負けだ優希」

 

「何? っ・・・」

 

ぐらりと、視界が揺らぐような感覚。

しまった毒か・・・

 

「てめ・・・」

 

立ってられない訳ではない。 だが、呼吸が荒くなってきている

 

「その毒は後から効いてくるものです」

 

シンは剣をぺろりと舐めながら微笑んでいる。

長期戦はまずいか

なら、一気に決めてやる。

マガジンを切り替えてからガバメントを3点バーストでシンに放つ。

シンはそれを再び、ビリヤード撃ちで迎撃したがその瞬間、俺とシンの間で大爆発が起きた。

武偵弾炸裂弾。

同時に俺は防音壁に向かいワイヤーを発射し空を飛ぶ。

狙いは空へ、爆発を盲ましにし爆風でさらに舞い上がる。

日本刀を両手に持ち替え、圧倒的な重力を得る。

 

「くっ・・・」

 

シンは一瞬だが、俺を見失い。気づいたときには全てが遅かった。

 

「飛龍1式! 雷落とし!」

 

雷が落ちたようなその重加速を得た剣は避けようとしたシンの右手に叩き込まれた。

 

「ぐあ!」

 

悲鳴をあげてのぞけるシン。

地面に着地してありえない方向に曲がっている右手を抑えているシン。

脇腹ががら空きだぜ。

止めをさそうとしたその時だった。

ドクン

心臓が高鳴り手が震え出す。

このタイミングで・・・

目の前に現れるのは赤いあの光景。

駄目だ、ここで決めなければ

降り抜け!

 

「うおおおお!」

 

居合の速度で振るうそれはまさに必殺の一撃。

シンの脇腹にそれが突き刺さる直前

ギイインと甲高い音がしたかと思うと剣が割り込んだ槍に阻まれる。

 

「何!」

 

それは、青龍偃月刀。

槍の底に付けられているらしいワイヤーでそれを手元に引き戻したミンは

にいいと笑うとごおおと爆風をおこしながら横殴りに切りつけてきた。

それを日本刀で受け止めるがたまらずにぶっ飛ばされる。

毒のせいで受身もとれずに背中を強打し高速道路を滑る。

くそ・・・

首を持ち上げてミンがさっきまでいた場所を見るとレキが倒れされていた。

ここからじゃ死んでるのかもわからない・・・

くそ、レキ・・・

シンの劣勢を見たからかどうかは知らないがまずいぞ。

体はまだ、動く。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

息を吐きながら日本刀を杖にようにして立つとがしゃんと肩に青龍偃月刀を置いたミンが歩いてくる。

 

「キャハ、シン油断しちゃった? したわよねぇ。 情けない有様よね」

 

「黙れミン・・・僕はまだまけてない。 殺すぞ」

 

敬語で話すことも忘れているのか細目を開き激怒の表情を浮かべながらシンは右手を押えながらミンの横に立つ。

 

「椎名の後継は譲ってもらうわよ」

 

「ウルスの姫は殺したのか?」

 

「殺せたけどころしてないわぁ、せっかくだからランパンに連れていったら喜ばれるわよねぇキャハハ」

 

よかったレキはまだ、生きてるな。

体は毒が回りつつあり、状況は2対1。

1人は重傷だが、敵はほぼ無傷のSランク。

レキを助けて奏ちゃんを助けて俺も生き残る。

そんな都合がいい方法は援軍以外は1つだけ。

やるしかないのか・・・

ここで、殺され、レキ達を連れ去れれるぐらいなら・・・

ミンが青龍偃月刀を構える。

 

「はーい、終了の時刻よー椎名の後継きゃはははは!」

 

左手を前に出して日本刀を持つ手を右肩の上まで持っていく。

まだ、諦めねえ

武偵は諦めるな決して諦めるな!

 

「その構え・・・」

 

シンが口を出してくる。

覚えがあるらしいな・・・

でもまあ、取り越し苦労だったか・・・

 

ドルンと甲高いエンジン音

 

「!?」

 

シンとミンがその場を飛び去った時、45ACP弾が地面に穴を開ける。

 

「遅いぜ。 キンジ、アリア」

 

「悪い遅くなった」

 

「ここからはあたしたちに任せて寝てなさい優」

 

オートバイから降りた2人は言うのだった。

 


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