緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第68弾 ももまん戦争

さて、日にちは変わって日曜だ。

明日には遺産相続の会議があるからそれに向けての準備に追われている。

襲撃があるとすれば今日か明日だが・・・

あの墓場での襲撃以来襲撃らしい襲撃はない。

リビングに置いてある監視カメラの映像を見ながらももまんを食べながら動物奇想天外の再放送を見ているアリア。

同じくテレビを見ているマリ。

ちくちくと何やら服を編んでいる理子。

ソファーでドラグノフを肩にかけながらぼーとしているレキ。

なんとなく、アリアと一緒に動物奇想天外を見ているキンジ。

シンはコーヒーを片手にスマートフォンをいじってるな。

春蘭はPSPをしてるしミンはつまらさそうに動物奇想天外を見ている。

まあ、こいつはダイハードとか爆発したりする派手な奴の方が好きなんだよな。

血が降り注げばもっといいらしいが・・・

 

千夏ちゃんは宿題をしてるし、奏ちゃんは・・・

 

「ねえ、変態銃の撃ち方教えてくれない?」

 

となぜか、俺の銃の講座を聞いている。

奏ちゃんのお父さんが使っていた銃はグロッグ18だ。

見た目は悪くなるが最大装填33発という結構えげつない銃でもある。

おい、マリヤンデレ目はやめろ!俺が何をした。

 

「その銃でしたら優希君より、僕の方が詳しいですよ」

 

と言ってシンが出してきた銃は同じグロッグ18

 

「あ、本当ですね」

 

「よければ、コツとかお教えしますよ。 優希君の銃は大口径ですから同じ銃の僕の方が効率がいいでしょう」

 

ちっなんだよ。 シンのやつ俺の役目取りやがって・・・

 

「あ、でも・・・」

 

困ったように奏ちゃんが俺を見てくる。

 

「別にいいじゃねえか。 シンは銃の腕だけは悪くないからな」

 

「褒めていただいて恐縮ですよ優希君。 では簡単なところから行ってみましょうか」

 

「・・・よろしくお願いします」

 

「ん?」

 

腕を引っ張られるような感触を感じて振り向くと理子がちっちっちと右手の人差し指を振りながら

 

「わかってないなぁユーユー。 かなでんはユーユーに教えて貰いたかったんだよ」

 

「へ? なんで?」

 

小声で理子が言うので俺も小声で返す。

 

「くふっ、キー君といい乙女心に鈍感だなユーユーは」

 

「??」

 

わからん理子は何が言いたいんだ?

 

「あああああ!」

 

そんな時、リビングにアリアの悲鳴が響きわたる。

な、なんだ?

 

「あんたそれあたしの!」

 

「1つぐらいいいじゃん」

 

ももまんを口にいれながらミンがバカにしたように言った。

げっ!ミンのやつなんて事するんだ!

 

「そ、そのももまんは大きかったから最後までとっておいたのに!」

 

じたばたとじたんだと踏むアリア。

ぺろりと指についたあんを舐めるとミンは好戦的に

 

「1度言おうと思ってたんだけどさあ。 あんた、高2ぃ? 胸もぺたんこだし背も小さいし、小学生なんじゃないのぉきゃはははは!」

 

「こ、この・・・風穴あけてやる!」

 

禁句を言われたアリアがガバメントを抜くと同時にミンも足に固定していた連結槍を一瞬で組み立てるとアリアと対峙する。

 

ドドド

 

ガバメントが3点バーストで発射される。

止める間もなかった。

 

「ふん」

 

ミンは槍をぶんと振り回すと銃弾がはじき返される。

壁と天井に穴が空いた。

 

「きゃああああ!」

 

千夏ちゃんが悲鳴をあげてアリアがはっとして動きを止めた瞬間、ミンが目を大きく見開いてにたあと口元を歪めた。

ぶんと横を見たアリアの首めがけてミンの連結槍が降り下ろされる。

 

「ちっ!」

 

なりふり構わず俺はアリアの前に飛び出すと両手をクロスさせて槍を受け止めた

ガアアアン

鉄と鉄が激突する音。

ワイヤーの発射機構に命中した槍がはじかれる。

アリアがハッとした瞬間、ミンは両手から右手に槍を持ち帰ると再び槍を横殴りに振るう。

狙いはアリアだ。

俺は足でヤリの中間部分を蹴り上げると槍の機動をそらした。

さらに、ミンは攻撃を仕掛けようとしたが

 

「ミン」

 

その場が凍りつくような声にミンの手が止まる。

シンが細い目をわずかに開けてミンを睨んでいる。

 

「やめなさい」

 

ミンは一瞬、アリアを睨んでから舌打ちして槍を収めた。

レキ、理子も武器を手にして立ち上がりかけていたがそれをやめる。

今、ミンはアリアを殺すつもりだったのは間違いない。

変わってねえなこいつら・・・

表向きはともかくこいつらは9条 武偵は決して人を殺害してはならないという分を破っているという噂がある。

あくまで、噂だが今の行動を見ていれば・・・

中国では殺害がありなのかもしれんが日本では違うんだぞ。

 

「すみません。 アリアさん。 ミンには後でよく言って聞かせますので。 ももまんを弁償しますよ」

 

「わ、分かってくれればいいのよ」

 

怒るタイミングを逃してしまったのかアリアもそれ以上ミンに攻撃をかけようとはしなかった。

ただ、目が合うとアリアとミンは威圧し合うのでこの2人は後2日、近づけないようにしないとな。

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

夜空を見上げながら俺は藤宮の家を出て近くの公園に来ていた。

この時間になると誰もいないな。

携帯電話を取り出すと1つの番号にかける。

 

3コール

 

「もしもし・・・」

 

どこかうっとおしそうな声が聞こえてくる。

 

「千鶴か?」

 

「そうよ」

 

「久しぶりって1年ぶりか?」

 

「無駄話する気はない。 虎児から依頼と聞いたから拒否を解除しただけだから」

 

「まだ、怒ってるのかよ。 勝手に東京に進路決めたこと」

 

「・・・」

 

くそぅ、本当に余計なことはしゃべらないつもりらしいぞ。

千鶴は俺の兵庫時代の友達だ。

親友と思ってたんだが現在はほぼ、断絶状態。

ランクSのインフォルマの学生だ。

法外な料金をふっかけるがやろうとも思えば軍関連の機密にまで侵入できるらしい。

本人曰く割合わないからやる気はないそうだが・・・

 

「それで依頼の件なんだが・・・」

 

「まず、はじめの事件は2か月前から始まる。 盗難車を改造した無人の車が姫路駅前で発砲。 幸い死者はでなかったけど重傷者1名、継承40名の大事から始まった」

 

確か、新聞で読んだな・・・

使われたのは全てゴム弾で殺害目的ではないと・・・

重傷者もただ、転んで地面に頭打ちつけたということらしいし・・・

 

「2つめの事件はその2日後、尼崎にある兵庫県警の警察学校に3台の盗難車が侵入し、グランドを訓練中だった学生に無差別発砲。 でも、これも同じくゴム弾で、居合わせた警察官が制圧しているけど犯人の手掛かりはなし」

 

「それから1週間に2回、3回と続いている。丹波 龍野  西脇福知山、場所も高速道路、山中、海岸と共通点がない」

 

そう、最初の頃はマスコミも報道していたんだがゴム弾で死者もですとなってくると兵庫県警の無能。 兵庫武偵高、兵庫武偵局の無能と叩きまくるという無能ぶりを晒している。

おそらく、警察も武偵もやっきになって犯人を探しているのだろうがてかがりはないらしい」

 

「他に情報はあるか?」

 

「関連はわからないけど第1の事件が起こる2日前に武偵局が不法入国しようとした中国人達と小競り合いが起こっている。 その際、武偵が1人殉職している。 名前は 藤宮 誠二」

 

「!?」

 

奏ちゃんたちの父さんじゃないか・・・

その頃から、すでに無関係じゃないんだな・・・

 

「大きく動き出したのは三宮、ばらまかれはしなかったけどあの車には実弾が装備されていた」

 

三宮と言えば俺たちが倒したあのプリウスか!

 

「それ以降は、今のところ出現していない。 何かを待っているのかもしれないか打ち止めかは調査中だけど」

 

なるほどね。

 

「サンキュー千鶴。 できたら後、3日ぐらいは着信拒否にしないで欲しいな」

 

「分かった」

 

ツーツーと接続が切れた音。

千鶴さん

あんた怒りすぎだよ。

にしても、無人車による無差別攻撃ね・・・

武偵殺し、つまり理子も同じような技術を使っていたがこれは理子じゃない。

陽動か・・・となると・・・

俺はもう一つの電話をかけるため携帯をいじる。

切り札を用意しておくか・・・

保険はかけとくべきだからな

 


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