それからのデート?は 散々たるものだったよ。
何せ、ことあるごとにシンは俺に突っかかってくる。
中学時代はことあるごとにこいつらとは対立していたがこいつは周りと同調するのが凄まじくうまい。
理子とは別の意味で周囲の心を惹きつけるのだ。
その結果、俺は本当に信頼してくれる友以外は友人を失った。
まあ、中学時代は俺の態度にも多少問題があったんだが・・・
「どうかしましたか優希君?」
観覧車を待ちながらシンが聞いてくる。
時刻は午後4時40分。
アリア達とは合流は5時と約束しているのでこれが実質最後の乗り物になる。
「なんでもねえよ」
多少なりとも憎悪を向けながらも俺は奏ちゃんににやりと笑い
「じゃあ、最後の乗り物だな」
男2人、女一人で乗る観覧車って結構、厳しいものがある。
信用してくれたのかどうだか奏ちゃんは俺の隣の座り、シンが俺の正面という構図で観覧車は回っていく。
時間にして15分ぐらいか・・・
「こうしてみる景色もいいものですね」
観覧車から見える光景を見ながらシンは言った。
「ええ・・・」
奏ちゃんが言った。
夕日と光景というのは結構マッチするものだからな・
「・・・」
俺は無言で外の光景を見ていた。
人ごみの中にはアリア達もいるのかもしれんがここからじゃわからんな
俺がそんなことを思っていたとき
「所で、奏さん」
「え?」
「藤宮の財産ですが本当にあなたは受け取る気はないんですか? 受け取れば莫大な資産を得てこの後の人生を苦労せず済みますよ」
「・・・」
2日後の迫った財産相続の期日。
奏ちゃんは迷っているようだった。
妹に苦労させないかもしれない財産の相続。
依頼を受けた頃はうけないと言っていたが千夏ちゃんのいじめの現状から見て心象が変化しているのかもしれない。
「・・・」
奏ちゃんが俺を見てくる。
人生は自分で決めるもんだぜ
無言で俺は伝える。
俺が武偵を目指すのは自分で決めたからだ。
「私は・・・」
戸惑いつつも奏ちゃんは言う。
「正直迷っています。 千夏の幸せのためにはお金がいるかもしれないから・・・」
本当に迷っているような言葉。
シンは一瞬、細目を動かしたが俺はそれに大した意味を見いだせなかった。
ただ、一言
「そうですか・・・」
その言葉の意味に気づけなかった俺は後日、後悔することになるがそれをこの時点で気づくことはできなかったんだ・・・
余談だがキンジ達の方は春蘭やミンといった面々もいたせいかキンジも思うように成果を挙げられなかったそうだ・・・
まあ、よかったと言えばよかったのだが・・・
そして、合流した時のアリアの言葉は
「勝手に別れたりして風穴ぉ!」
「ぎゃああああああ!」
とまあ、いつものやりとりだったが奏ちゃん達が笑いながら見ていたのはまあ、よかったのかな・・・
痛いけど