この王子動物園は動物園の他に隣接している遊園地がある。
つまり、チケットはいるが動物園と遊園地両方が遊べる子供にとっては最高の場所なのだ。
「見てみて変態! 私あれ乗りたい!」
どうでもいいが変態はやめてくれ! 大声で言われると警備員さんがこっち見てくるから!
奏ちゃんが指してきたのは空中をくるくる回る椅子だ。
前にテレビで韓国の遊園地であれの天井が潰れるの見たことあるから怖いんだが・・・
「い、いや俺は・・・」
ワイヤーで飛び回っていてなんだがああいう固定されるもんは嫌いだ。
いざというとき何もできなくなるからな。
「なによ変態って高所恐怖症なの? いいからいこうよ」
な、なんて強引なんだ。
無理やり乗せられ奏ちゃんはきゃーきゃー言っていたが俺は椅子を固定している鎖がちぎれるんじゃないかと気が気でなかったぞ。
降りてから携帯を開くとアリアからメールが来ていた。
内容は死んでも奏は守りなさいと理不尽なものだった。
まあ、守るけどな。
周囲の警戒はしていたが敵が出てくる気配はない。
まあ、人でもあるから襲いかかるのは難しいんだろ。
「ねえ変態次あれ乗ろ」
「はいよ」
あ、なんか懐かしいなこの感覚。
「兄様!」
「兄さん!」
二人の妹と弟の記憶
あの事件前はこんな感じで遊んでたっけな・・・
「よし! 遊ぶか!」
ああ、分かった奏ちゃんは妹に少し似てるんだ。
「な、なによ。 急に素直ね変態」
「変態じゃねえ椎名 優希だ!」
回り出したコーヒーカップを中央の皿をつかんで思いっきり回す
「うりゃあああ!」
「きゃああ!」
悲鳴をあげつつも笑っている奏ちゃん。
ここにきたのは千夏ちゃんのためだがあちらは恋のマスターヒステリアモードのキンジがいるから大丈夫だろう。
レキや理子もマリもいるからまあ、大丈夫だろう。
全員がキンジにメロメロになっていたらと思うと面白くないんだが・・・
ま、時間制限もあるしな
マリは考えなくてもなんとなくだがキンジにはなびかない気がする。
5つほどのアトラクションを周り時刻は14時を指していた。
「ああ、楽しかった。 ねえ変態そろそろご飯食べない?」
「そうだな・・・」
遊園地のジュースとかご飯ってなんでこんなに高いんだよ。 理不尽だろ
売店で売っていたサンドイッチセットとジュースを片手にテーブルに戻る途中、俺は顔を曇らせた。
「やあ、優希君」
シンが俺を糸目の笑顔で見て嫌がった。
奏ちゃんの横に座っている。
「あ・・・」
奏ちゃんは困ったように俺を見ているぞ。
まあ、同じ施設内だ。
バレてもしょうがいないんだが・・・
「よく見つけられたなシン。 千夏ちゃんはいいのかよ?」
「問題ありませんよ優希君。 彼女には春蘭とミンが付いています」
ばちばちと火花が散るような感覚。
俺はシンが大嫌いだ。
公安0の沖田とは違う嫌悪する嫌いだ。
「これから、僕もこちらの護衛に付きます。 問題ありませんよね」
にこりと護衛の役目を追っているシンは微笑むのだった」