緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第50弾 恐ろしやヤンデレ

「以上が今回の報告な」

 

男子寮の屋上で少し前まで暮らしていたレキの部屋を見ながら俺は依頼主に電話をしていた。

 

「ご苦労だった。 報酬は振り込んでおいたので使ってくれ」

 

電話の向こうから聞こえてくる男の声を聴きながら俺は紙を見ている。

 

「ああ、あんたの依頼のおかげで今回は収穫があったよ」

 

「それは良かった」

 

ローズマリーの手掛かりはこれまでほとんどなかった。

だが、今回奴が現れたこと逮捕の一口がつかめると思ったのだが実際は、ローズマリーは学園島からすでに姿を消したらしい。

日本にいるのかも怪しいものだ。

 

「私の騎士様・・・」

 

「ん?」

 

つぶやくように俺が行ったのを依頼主は拾ったのだろう。

 

「ローズマリーが言い残した言葉だよ」

 

「君の話を聞く限り、ローズマリーは必ず君の前に現れるだろう。 おそらく、アリアも狙われるはずだ」

 

「だろうな・・・」

 

あいつは、記憶通りなら目的のためには周りの被害を気にしない奴だ。

俺がアリアのそばに入れば・・・

 

「なあ、俺はアリアの傍にいていいのかな?」

 

湧き上がった疑問を依頼主にぶつけてみる。

 

「前に言った通りだ。 椎名 優希。 君がアリアを護衛しないならアリアや君の知る人間が君の知らない場所で死ぬ。 それを看過したくないならアリアの護衛は続けるべきだ」

 

「なあ、あんた本当にアリアのなんなんだよ? そこまでして、アリアを守ろうとする理由は・・・」

 

「武偵であるなら推理してみることだ」

 

その言葉を最後にツーツーと電話が切れる。

 

ま、やれるだけはやるさ。

俺も友達が死ぬところなんて見たくないからな・・・

そのためには・・・

克服するんだ。

あのトラウマを・・・

次の切り札を開放するために・・・

 

 

 

 

 

 

その日の晩、動物奇想天外の2時間スペシャルを録画で見ているアリアを横目にテーブル6つのワイヤーを分解して整備していると

 

「かぁーわいー! ほら、優! キンジ見てみて! ラッコの大群!」

 

こらポンポン跳ねるな! ホコリが飛ぶ!

なんで、いちいち仕草がかわいいんだお前は。

それにしても、この部屋、女子と男子の比率がついに並んでしまった。

いや、マリをいれたら男2で女3で逆転だ。

男子寮だろここ?

白雪はファミレスの帰りに風呂敷包みを手に来ているし靴は玄関にぶちまけ状態で黒ニーソは床に脱ぎ散らかされている。

「てかアリア、さっきのファミレスでの計算だが・・・」

 

CMを飛ばしにかかったアリアの横にキンジは座り俺とアリアを挟み込むような構図になる。

 

「なによ」

 

「デュランダル事件の貢献度の割合だ。 お前が4割、白雪が3割、レキが2割、マリが0.5ってことは俺たちは0.25かよ」

 

「あんたは最後にちょっと動いただけじゃない」

 

いや、アリアさん・・・いくら見てなかったからって1度は俺デュランダル沈めたんですよ。

逃げられたから貢献度には入らなかったらしいが・・・

ちなみにマリの尋問だがあのジャンヌがやめてくれと言うまで情報を引き出したらしい。

恐ろしいな・・・

 

「お前とのパートナー本気で解消したくなってきたぜ」

 

「ま、そういうなよキンジ、こんなこと言ってもアリアはお前のこと認めてんだぜ?」

 

「あの時のあんた達ちょっとかっこよかったけど」

 

上機嫌のアリアは俺たちにウインクしてきた。

ぐわ、何か今胸に刺さったような感触が・・・

こいつのたまにする可愛い動作殺人的にかわいいから困りものだ。

 

「チームメイトさん。 テレビを1度止めてあげるからちゃんと聞きなさいね。 あんたたちも白雪と同じで調子に波はあるしいつまでも底を見てたりしないけどあんたたちはあたし、ホームズ家に必要な力をちゃんと持っている。 今回の戦いでそれを再認識した。 だから、あんたたちもあたしの穴を埋める」

 

んしょアリアは立ち上がり腕を後ろで組んでにこりと微笑むと俺たちと目線を合せ

 

「―大切な人よ」

 

たく・・・この子は時折、どきっとすること言ってくれるよな。

そして、すごく嬉しいことを言ってくれる。

もっと強くなって必ず護衛の任務をかんす・・・

 

「「い・ま・な・ん・て・い・っ・た・の(ま・し・た)」

 

「「!?」」

 

俺とキンジが慌てて振り向くとバーサーカーとかした白雪が立っておりなぜか、マリも銃をもって立っていた。

 

「「『大切な人』って何! (ですか!)」」

 

一体どういうことだ! どす黒いオーラーを放ち、瞳孔が開いた目はこおおと言う音でも聞こえてきそうだ。

白雪はわかるがなぜマリまで!

 

「~言っておきますけどねアリア」

 

「な、なによ」

 

白雪の剣幕に押されてアリアが少し後退してテーブルに足を当ててむきゅと倒れる。

トランプ柄のあれが見えたので慌てて目をそらす。

 

「勝ったとは思わないこと! 私だってキンちゃんとキスしたんだからぁ!」

 

「椎名先輩は渡しません!」

 

「うお!」

 

びゅおんとどこからか、取り出した日本刀が俺の首のあった空間を薙ぎ払う。

アリアが後退したのでその位置に来たんだろうが反応が遅れてたら死んでたぞ間違いなく。

さらに、白雪がアリアめがけてと言っても俺の真後ろにいるので振り下ろしてきた日本刀

 

「ぎゃあああ死ぬ!」

 

パアアアン

刀を挟み込むようにぎりぎりと・・・

し、真剣白羽どり! すげえ! まぐれとはいえできるもんなんだな

と、自分を褒めてると

 

「邪魔するの優君?」

 

いや、正当防衛だから! その瞳孔が開ききったヤンデレ目で見るのやめてください白雪様!

そして、左手で刀押すのやめて!まじで!

行動がどうやら、アリアの味方と白雪のヤンデレレーダーに引っかかってしまったらしい。

もう、だめだおしまいだ!

って、キンジぃ!おま!

さっさと防弾物置に逃げ込んでしまったキンジを見ながら俺は後ずさる。

 

「浮気ものは死んでください!」

 

パンパンとCZ78Bから銃弾が発射される。

銃弾はテレビに命中しコアラの大群が写っていた映像がブラックアウトする。

アリアが目を見開いた。

 

「あ!」

 

テレビどころじゃないだろ!

 

「や、やめろマリ!れれ、冷静になれ!」

 

ていうかお前、素人射撃はやめろ! 危ないって

 

「こ、こら奴隷3号、4号!奴隷の分際で主人に何するのよ! 静まれぇ!」

 

アリアがガバメントを威嚇に天井に放つが白雪はまったくひるまない。

 

「そ、そっちこそ妾の分際で盗人たけだけしい!」

 

「恋する乙女を甘く見ないでください!」

 

「き、キンジ!クライアントにキスってなによ! あんたそんなことまでしたの! このハレンチ武偵! どうにかしないよこれ!」

 

防弾物置に向かいアリアが叫ぶが当人は出てこない。

まあ、そうだろうな・・・

いや、一言

 

「後片付けはお前たちがするんだぞ」

 

逃げやがった!

 

「こ、こうなったらやるぞアリア!」

 

ええいもうやけだ!

俺はデザートイーグルとガバメントを構える。

アリアもやるしかないと思ったのかガバメントを構える。

 

「キンジも加勢しなさい! しないと風穴あけるわよ!」

 

 

ちなみにその後、戦闘狂モードではない俺は白雪に窓からたたき落とされワイヤーが整備中だった俺は東京湾にゴミのように落ちたとさ。

ヤンデレ怖いよ。

 


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