緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第38弾その名はももまんフルスペシャル

キンジの部屋に戻った時はすでに昼になっておりアリアが荒い息を吐いて眠っているキンジの横にそっと 特濃葛根湯を置いて、そっとキンジの額に小さい手を置いている。

 

「・・・」

 

俺はその光景を静かに見守るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

よく晴れたその日、俺は学校の屋上でぽかぽかと日差しを浴びながら携帯をいじっていた。

体育館の方からはアドシアートの練習の音が聞こえてくるが俺はサボりだ。

キーボードを割り振られているが練習はちゃんとしてるから問題はない。

それより・・・

 

「・・・で黒衣の襲撃者がきたんだが」

 

俺はアリアの護衛の依頼主と話をしていたのである。

昨日のことをありのままを伝える。

 

「炎を使う相手か・・・」

 

依頼主は何か考えるような時間をとって

 

「それはデュランダルではないよ」

 

「分かるのか?」

 

「私が集めた情報によればデュランダルは実在する。 そして、能力は炎ではない」

 

「というと別の力か?」

 

「そうだ。 だが、君にこれ以上教えることはできない」

 

「え? なんでだよ。 知ってるなら教えてくれよ」

 

「私は君のサポートは約束したが排除は君の仕事だよ。 相手が使う力を見定めて戦うのもいい経験になる」

 

意地悪だな今日の依頼主は・・・

 

「じゃあ、それはもういいけど黒衣の奴のことなんだがあんた知ってるだろう?」

 

「残念だが分からない。 しかし、しばらく襲撃はないだろう」

 

「まさか、あれがあんたなんて言わないよな?」

 

「フッ、 もしそうならどうするのかな?」

 

「どうもしないさ。 ただ、あいつが現れたら今度は捕まえてやる」

 

どの道暴行罪の現行犯で逮捕する権利はある。

だが、実質Sランク3人を相手に立ちまわった奴だから警戒は必要だが・・・

 

「少なくても君がデュランダルと対峙するまでは、黒衣の相手は動かない。 そう私の推理は結論している」

 

「推理ね・・・」

 

そこまで言った時

 

「だーれだ」

 

俺の目が真っ暗に染まる。

 

「・・・」

 

無言で携帯の電源を切ってから

 

「マリだろ?」

 

「正解で―す♪ サボりですね椎名先輩」

 

にこにこしながらすとんと俺の横に女の子座りをしたマリは俺の方を見てくる。

 

「なんだよ?」

 

「なんでもありません。 ただ、先輩の隣にいるのが嬉しいだけです」

 

よくわからんのだが・・・

 

「マリはアドシアートの手伝いはしないのか?」

 

「1年ですからね。 雑用はありますけどクエストを受けてる私はあまりやることがないんです」

 

「ふーん」

 

ああ、白雪の護衛ね・・・

とはいえ、マリが戦うような状況はまずないと思いたいけどな。

 

「ところで椎名先輩さっきの電話なんですが・・・」

 

♪♪♪

 

「ん?」

 

携帯の着信メロディーが鳴ったので画面を見るとアリアだった。

 

「もしもし? アリアどうし・・・」

 

「優! 今どこにいるのよ!」

 

おいおい、声からして怒ってるぞアリア

 

「な、何かあったのか? 今屋上だが・・・」

 

「すぐに校門まで来なさい!」

 

「待てって何が・・・」

 

「風穴!」

 

「分かった」

 

ぷつんと電源が切れたので俺は呆れながら携帯をしまう

 

「悪いなマリ、というわけだ。 俺帰るな」

 

「いえいえ、先輩私も行きますよ。 デュランダル関連でしたら大変ですからね」

 

なのが大変なのか分からんがまあ、アリアも一人でこいとか言ってなかったしいいかな・・・

そして、30分後

 

「バカキンジ! バカキンジ! バカキンジィ!」

 

ばくばくとももまんを平らげていくアリアを前に俺達はなんといっていいのか沈黙していた。

ちなみにアリア、俺、マリ、レキと言った配置だ。

場所はレキとよく来る中華料理店である。

 

「お兄さんやりますね。 今度はロリですか?」

 

ぐっと親指を立てるのやめろ!

 

「同級生だ!ロリっていうな!」

 

「いえいえ、さすがに3股となるとナイスボートに・・・」

 

「なんだよそれ! ていうかここにいる2人は友達! 後は後輩だから!」

 

最近、1人でもよく来るからこの店員とも知り合いになっていたがどうやらこいつ武偵高の生徒らしい。

学科はアンビュラスというから驚きだ。

まあ、1年らしいマリとは知り合いではないらしいが・・・

名前は天童 アリス

外国人とのハーフらしく髪は黒く蒼い目をした女の子だ。

日本のアニメが大好きでよくそのネタを振られるが俺は分からん。

そして、俺のことを一貫してお兄さんと呼び楽しんでいる。

マリと言い後輩はどうなってるんだ武偵高・・・

 

「で? 何があったんだアリア?」

 

アリスに注文してから俺が聞くとアリアが顔を真っ赤にして怒りをぶちまける

要約するとキンジと喧嘩したらしい。

 

「あれ? 神崎先輩黒衣の襲撃者のこと遠山先輩に説明しなかったんですか? そこを強調して説明したら遠山先輩も納得したかもしれないのに・・・」

 

「あれはデュランダルじゃないわ」

 

「根拠はなんなんですか?」

 

「勘よ」

 

ま、アリアにはシャーロックホームズ1世の推理力が遺伝しなかったらしいからな。

うまく説明できないんだろ

 

「まあ、俺も独自の情報であれがデュランダルでないと考えてるけどな」

 

難しい顔をしていたアリアの顔がぱっと輝く

 

「信じてくれるの優?」

 

「ん?」

 

どうやらキンジの時は勘と言っても全く相手にされなかったらしい

 

「信じるよ」

ここで余計な補足入らないだろうと考えて言うとアリアはそっかぁと嬉しそうにしながらバカキンジも信じたらとか呟いている。

そんな時

 

「お待たせしましたぁ!」

 

「おう、きたってええええええええええ!」

 

俺は仰天したアリスが持ってきたのは山のように積み重なったももまんだった

40個はあるぞ!

 

「な、なんなんだアリスこれは?」

 

「はい? お姉さんが注文したものですけど? ももまんフルスペシャルです」

 

「ふ、フルスペシャルだと!」

 

「ちなみに地獄ラーメンに代わる新メニューです」

 

「!?」

 

ばっとメニューを見るももまんスペシャル・・・あ!あった

 

「い、1万だと!」

 

「はい! 1人で食べきらなかったら払ってもらいますよ」

 

「レキ様!」

 

俺は救世主であるレキに頼もうと見るが

 

「これは誰にも上げないわよ。 あたしのものなんだから」

 

「はい、開始です」

 

「ま、待て!」

 

「あーん」

 

幸せそうにももまんをほおばるアリア

やばいぞ・・・

 

「レキ! いくら持ってる!」

 

ちゅるちゅると醤油ラーメンを食べ始めたレキに聞く

 

「カードしかありません」

 

だあああ!駄目だ!

 

「マリは!」

 

「私今月ピンチなんですよね。 先輩のおごりですから来ましたけど300円しかないです」

 

なんてこった!

 

「アリア! 金持ってるか?」

 

「カードと1000円しか持ってないわ」

 

俺の財布は・・・3000円・・・駄目だ全く足りねえ!

何の因果かここに大人数で来るたびにひどい目に会ってる気がする。

レキは食えたがアリアは食えるのか?

 

「お兄さん大丈夫ですよ」

 

にこにことアリスが俺を見ている。

 

「ん?」

 

「お兄さんは常連ですからつけでいいですよ」

 

「え!? まじ!」

 

「はい、利子は十 四で」

 

「高けぇよ! サラ金でもそこまで高くねえぞ!」

 

まずいぞ本当にまずい

そう思ったのだが・・・

 

「あれ?」

 

見るとももまんは半分以上減っていた。

 

「ば、馬鹿な・・・」

 

アリスが引いている

そりゃそうだろ。

アリアの小さな体のどこにあの量が・・・

 

「あむ、ん・・・幸せぇ」

 

笑顔で頬に右手をあてるアリア

かわいい!っていうか行けるのか!

そして、5分後店の店長が床に両手をあてていた

 

「くっ・・・地獄ラーメンに続いてももまんスペシャルまで・・・兄さんあんたの連れは化け物か?」

 

は、ハハハ

苦笑いしながら満面の笑みでももまんスペシャル制覇という写真をアリアが取られお兄さん!また来てくださいねというアリスの声を聞きながら店を俺達は出るのだった。

女の子の胃ってブラックホールなのかな?

 

 


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