緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第34弾宣告される未来

いいにおいがしたのでがんがんする頭をさすりながら上半身を起こす。

いたた、こぶできてるじゃねえか

 

「起きたか優?」

 

リビングの椅子の上から振り返ってキンジが言った。

 

「ああ、いてて」

 

手を頭にやりながらリビングの椅子に座る。

キンジの前には中華料理のフルコースが並んでいた。

まあ、俺は食ってきたからないのは当然なんだが・・・

 

「で? なんであたしの席には食器がないのかしら?」

 

なぜか、腕組みしてこめかみをひくひくしているアリア

 

「アリアはこれ」

 

絶対零度の声でアリアの前にどんぶりを置く。

丼には大盛りの白米に割り箸が突き刺さっている。

しかも、割ってない。

 

「ひでえ!」

 

「なんでよ!」

 

俺とアリアの声が重なった。

 

「文句があるならボディーガードは解約します」

 

つーんとそっぽを向く白雪にアリアはひりぎりと犬歯を食いしばってからがしゅがしゅと御飯をかきこむのだった。

 

 

 

 

 

 

 

動物奇想天外2時間スペシャルと日曜動画劇場を見たいというアリアとキンジがチャンネル争いをしているのを見ながらデザートイーグルを解体して整備していると白雪がリビングにカードゲームみたいなものを持ってきた。

 

「キンちゃんこれ、巫女占札っていうんだけど・・・」

 

「巫女占い?占いか?」

 

「うん、キンちゃんのこと占ってあげるよ。 将来のこと気にしてたみたいだから」

 

「ふーん、じゃあやってもらおうか」

 

「あ、面白そうだな。 白雪俺もいい?」

 

占いなんか所詮、判断基準の一つにすぎないがよく、キンジが白雪の占いは当たると言っているので興味がある。

チャリジャックで女難というのも当たってたみたいだし

アリアも興味があるらしくなにそれと録画をセットしてからこちらに来る。

 

「キンちゃんは何がいい? 金運とか恋占いとか恋愛運みるとか健康運占うとか恋愛占いがあるけど」

 

白雪2回恋愛っていったな・・・

 

「じゃあ、数年後の将来、俺の進路がろうなるか占ってくれ」

 

「チッ」

 

ん? 幻聴かな?今、白雪が舌打ちしたような・・・

天使のような笑顔でカードを星型に並べて伏せて並べ何枚かを表に返しが始めた。

 

「どうなのよ?」

 

アリアが尋ねると白雪は少し険しい顔をしていた。

 

「どうした?」

 

「え、あ、ううん。 総運、幸運です。 よかったねキンちゃん」

 

「おい、それだけかよ?何か具体的なこととか分からないのか?」

 

「えっと黒髪の子と結婚します。 なんちゃって」

 

それって白雪のことか?

でも、なんだろう?

白雪何か隠してるな。

あ! まさか、アリアと結婚とかそんな結果が出たんじゃないだろうな?

 

「はい! じゃあ、次はあたしの番!」

 

うずうずしていたらしいアリアが机に乗り出して急かす。

 

「アリアは最後」

 

絶対零度の声をアリアに向けて今度は俺に白雪は向き直った。

 

「優君は何を占いたいの?」

 

横で、アリアがなんでよと!抗議をしているが俺は苦笑しながら

 

「じゃあ、俺も将来かな? 武偵として成功してるか占ってくれよ」

 

「分かった」

 

先ほどと同じようにカードを並べて占いを始める白雪

うーん、俺の将来か・・・

たぶん、アリアの護衛も終わっていて銀色の魔女を捕まえてできたら可愛い女の子が彼女とか結婚とかしてるといいな。

 

「っ!」

 

最後の札をめくった白雪の顔が再びこわばった。

え? なんなんだ?

 

「どうしたのよ?」

 

再びアリアが白雪に聞く。

俺もなんか怖くなってきたので

 

「ど、どうなんだ?」

 

「え? うん武偵として成功するよ」

 

「ハッキリしないな。 まあ、成功するならいいか」

 

「じゃあ、今度こそあたしよ!」

 

白雪は白けた顔で並べた札をめくり

 

「総運、ろくでもないの一言に尽きます」

 

適当すぎる! 白雪、アリアの態度ひどすぎるぞ

 

「ちょっと! ちゃんと占いなさいよ! あんた巫女でしょ!」

 

「私の占いに文句いうなんて・・・許さないよそういうの」

 

「―闘ろうっての?」

 

ばちばちと火花が散り始めたので

 

「おい! たかが占いごときで・・・」

 

「「たかが占い?」」

 

アリアと白雪の声が重なり火花が出る視線が俺に向けられる。

こ、こええええ

だが、敵は俺ではないと2人は考えたのか再び火花を散らし合いながら

 

「アリアが戦いたいんだったら、私は受けて立つよ。 星伽に禁じられてたから使わなかったけど、この間はまだ、切り札を隠し持ってたし」

 

し、白雪も切り札もちか・・・

やはり、戦いたくないな

 

「あたしだって切り札・・・えっと2枚隠し持ってたもんね」

 

「あたしは3枚隠してました」

 

「じゃあ4枚!」

 

「5枚!」

 

「いっぱい」

 

「あー!もう静かにしろ! お前らなんで占い一つ平和にできないんだよ! 優」

 

俺はアリアを後ろから脇を抱えて押さえつけ、キンジも白雪を抑えつける。

 

「ふーんだ」

 

アリアはするりと俺の腕から抜けると俺の耳を掴む。

 

「いたたたた! 何するんだアリア!」

 

「うるさいうるさい! 来なさい優!」

 

俺はアリアが占有している個室に引きずりこまれドアを閉める。

中にはコネクトから借り手きた通信機器が置いてあった。

ようは手伝えと言うことだろう。

ああ、これどう使うんだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その日の深夜。

全員寝静まり、トイレに行ってふらふらとリビングを横切ろうとした時

 

「優君」

 

「白雪?」

 

闇で姿は見えないが声が聞こえてくる。

 

「どうしたんだ? こんな夜中に?」

 

「うん、占いの結果を知らせようと思って・・・」

 

「武偵として成功するんだろ?」

 

「あれは嘘なの」

 

「嘘?」

 

「優君・・・今、私の護衛のほかにクエスト受けてるよね?」

 

「受けてるよ」

 

アリアの護衛ということは伏せて言うと白雪は深刻そうな声で

 

「そのクエストはすぐに放棄した方がいいよ。 占いの未来はそのクエストをたどった先にあったから」

 

「引っかかる言い方だな? クエストを受けてたらどうなるんだ?」

 

「何年後かは分からない。 1年先かあるいは明日かもしれない未来に優君は剣で貫かれる」

 

「・・・」

 

それが、俺の最期なのか?

 

「それは、俺が死ぬ瞬間ってことか?」

 

「それ上の未来は見えなかった。 おそらくはそういうことだと思う・・・優君が死んだらキンちゃんも悲しむと思うからクエストを・・・」

 

「ありがとうな白雪」

 

俺はそういうとベッドに足を向ける。

 

「クエストを放棄するんだね?」

 

俺は闇の中で足を止めて

 

「しない。 この、依頼は完遂する。 元々、占いなんて判断基準の一つしかないんだし。 誰が相手だろうと俺は死ぬ気はないからな。 この件はキンジ達には内緒な」

 

「そう・・・」

 

悲しそうな声が布団に入る俺の耳に届くのだった。

 

 

 


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