緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第02弾奴隷宣告

昼休みになると同時に質問攻めに合うのはわかっていた俺は窓から飛び出し例のワイヤーで隣の校舎に飛んで逃げた。

後ろからキンジの悲鳴が聞こえてきたが許せ友よ。

 

「さてと」

 

念のためもう一つ校舎を飛んで屋上に腰を落として昨日買っておいた梅のおむすび6つを取り出す。

包みを破りながら携帯のメールを確認していると今朝のチャリジャックの周知メールが送られてきていた。

ご丁寧に写真まで添付されている。

モザイクかけてるが、俺達を知ってる、やつならばればれだろ。

というか見てたなら、助けろよ。

まあ、武偵高2年となれば危機は自分できりぬけろと言う方針の教務課、つまりマスターズが助けてくれると考えるのは甘いのか・・・

それにしてもなんだろうなあの子?

俺は今日初めて会ったアリアを思い出してみる。

昨年の3学期に転入してきたらしいということしかわからないが何をする気なんだ?

まあ、とりあえず成り行きに任せるかな。

 

「うわ!」

 

3つ目のおにぎりを口に入れて4つ目に手を伸ばそうとした瞬間、俺は仰天して後ずさった。

なぜなら、人形のような少女がそこにいたからだ。

壁を背にしてロシアの古い狙撃銃を肩にかけ、カロリーメイトを口に入れている。

確かドラグフ狙撃銃だったな。

 

「れ、レキ」

 

俺はその少女の名前を呼ぶが彼女は無反応。

ただ、カロリーメイトを口に入れている。

通称、ロボットレキ、美人は美人だが無愛想で無口。

耳には何を聞いているのか授業中でもヘッドホンを付けている。

しかし、何より特徴的なのは武偵としての腕だ。

彼女はSランクの武偵なのである。

所属は狙撃科、つまり、スナイプである。

熱狂的なファンもいるらしいが正直、俺はこいつが苦手だった。

だって、何話しかけてもあまり反応してくれないし。

 

「れ、レキも昼飯か?」

 

コクリと首だけが動く。

うーん、反応してくれるだけましか?

 

「いつもここで食べてるのか?」

 

フルフルと首が左右に振られる。

 

「じゃあなんでここに?」

 

「風がそういったから」

 

「風?」

 

コクリ

その後、俺が何話しかけてもレキは反応してくれなかった。

いたたまれなくなった俺はまたなと逃げるように屋上を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

自転車が爆発してしまったのでバスでアサルトの寮に帰るか迷いながら俺は探偵科の寮の前に来ていた。

大きめのカバンを持って部屋のベルを押す。

 

「はい?」

 

「よう、キンジ遊びに来たぜ」

 

「優か? あがれよ」

 

「おじゃしまーすと」

 

律儀に挨拶してキンジの部屋に入るがこの部屋には彼しかない。

元々、4人部屋だがキンジがインケスタに転入した時期等の問題で今は1人で使っているらしい。

うーん、うらやましいぜ。

とはいえ、個室は一応あるんだが風呂を独占できたりリビングを独占できるのはうらやましすぎる。

アサルトの連中と同室になるテレビの奪い合いで銃撃戦になることも珍しくないからな。

 

「その荷物、今日は泊っていく気か?」

 

「いや、それがさ同室の馬鹿がリビングでテレビ吹き飛ばしたから俺の部屋しばらく使えないんだよ。 しばらく泊めてくれねえ? テレビの優先権は譲るからさ」

 

「相変わらずだなあそこは・・・」

 

キンジが思いだしたのかため息をつく。

うん、気持ちは分かるぜキンジ俺だって部屋に戻ったらリビングが黒こげになってるなんて思わないよ。

あいつら風呂まで破壊しやがったからな。

アサルトにもまともな奴はいるにはいるがあんまりいないんだよ。

 

「さて、ゲームしようぜ」

 

いそいそと俺はテレビに配線を繋いでいく。

ソフトは空戦のゲームで戦闘機がミサイルを撃つゲームだ。

キンジもソファーに座るとリモコンを手にそれを見ている。

 

「ところでさ、キンジ戻る気はないのか?」

 

セットを続けながら俺は言った。

元論、アサルトへだ。

 

「何度も言ってるだろ。 俺は来年の4月に武偵の世界から足を洗うんだ」

 

「残念だな。 俺はお前とチーム組みたかったのに」

 

「優なら他にいい奴と組めるだろ」

 

いや、それは違うぜキンジ、お前ほど優秀な武偵はそうそういないんだ。

不知火とか実力者はいるが組むならお前がいい。

あれ? なんか言い方が変な気もするがとにかく残念なんだよ俺は

 

「そういえばアリアのことなんだが」

 

話を無理やり変えるようにキンジが口を開く。

 

「なんか俺達の資料を漁ってたらしいぞ」

 

「まじかよ。 ストーカじゃねえか」

 

一体何がしたいんだよと思いながら俺はゲームを起動した。

うん、F15でいくか。

おい、キンジF22は卑怯だろ。

そういや、朝の爆弾事件どうなったんだろうな?

あれのせいでアリアと・・・

 

ピンポーン

 

「ん?」

 

俺はチャイムのした方を見てからキンジを見るが彼は居留守を使う気らしかった。

いや、何か考えて聞こえていないのか?

 

ピンポンピンポーン

 

おいおい、キンジ何考えてんだ?集中しすぎだろ

 

ピポピポピポピポピピピピピピンポーン

 

キンジが顔を上げる。

ああ、居留守使いたかったんだなやっぱ

 

「誰だよ」

 

キンジはだるそうに立ち上がると玄関に向かう。

面白そうだったので後ろから俺もついていく。

そして、ドアが開くと

 

「遅い! あたしがチャイムを押したら5秒以内に出ること!」

 

両手を腰に当て、赤紫色の目をぎぎんとつりあげたのは

 

「か、神崎!?」

 

制服姿の神崎・H・アリアだった。

 

「アリアでいいわよ」

 

キンジを押しのけて部屋に入ってくるもんだから俺とアリアの目があった。

 

「やっぱり優もいたのね。 ちょうどいいわ」

 

「へ?」

 

間抜けにも変な声を出してしまったぜ。

キンジの制止の声も無視しアリアはトイレに入っていってしまった。

トランク中に入れておきなさいという言葉を残して

俺が外を見るとなるほど、車輪付きのブランド物のトランクがある。

仕方ない運んでやるか。

うお、なんだ重いぞこれ

キンジも廊下に女物のトランクがあってはまずいと思ったのか2人でリビングに運ぶとちょうどアリアがトイレから出てきて部屋の様子を見まわしている。

 

「あんた達2人暮らしなの?」

 

「いや、俺は一時的に今日から住むだけなんだが」

 

「まあいいわ」

 

何がいいんだよ。

アリアは窓のそばまで行き夕日を背に浴びながら振り返ると俺たちを指さした。

 

「キンジ、優。あんた達あたしの奴隷になりなさい!」

 

っと奴隷宣告しやがった。

まじかよ。

 


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