緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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この話でついに信冬編は終了!


第253話 そして災難はやってくる

武田信春との戦いは終わった。

まあ、事後処理は大人に任せるべきなんだけど・・・

 

「いやぁ、お兄さん今回も大暴れでしたね」

 

「流石に今回は冗談抜きで死ぬかと思った」

 

東京武偵病院の病室でいつものように後輩のアリスに看護してもらいいながら冗談抜きでそう思う。

あれだけの戦闘で検査入院だけで済むところが回復能力のいいところだ。

しかし、暁家と武田家に喧嘩を売ってただで済むわけがない。

あそこには後で知ったんだが日本の首相や国会議員や口には出せない方々もいたらしい。

おまけに武田信春を文字通り消滅。

つまり、殺人事件まで起こしてしまったとなれば普通は抹殺ものだがいろんな理由からそれはなさそうだった。

椎名の家が裏でとりなしてくれたらしいが流石にそれだけでは今回はお咎めなしは難しかっただろう。

あの戦いの後、病院で目が覚めた俺がさせられたのは電話だった。

相手との会話を思い出すと

 

「長い間眠っていたもんだね。待ちくたびれたよ婿殿」

 

「た、武田信春!?」

 

そりゃ驚くよね。あの攻撃で死なないとかどれだけ・・・

というか婿殿ってなんだ?

 

「なんで生きてる?」

 

「理由は簡単だよ。婿殿が戦ったのは私の遠隔操作の現身だよ。つまりは、分身かね」

 

「ああ・・・」

 

つまり、本体は別の場所で遠隔操作せていたと・・・道理で何度ダメージを与えても手ごたえがなかったわけだ。

 

「本体ではないとはいえ70%近い力を出せる現身を倒すとは驚いたよ。私的には合格さ」

 

70%・・・つまり、本体はもっと強いからなってことかよ・・・

つくづく姉さんクラスの連中は怖い・・・

 

「それじゃあ、約束は?」

 

「信冬の自由だろう?もちろん約束は守るよ。あの子の髪の1本から血の一滴までは婿殿のものさ」

 

「いや、それはいいですから自由にしてやってください」

 

「いいのかい?婿殿が望めばあの子になんだってしてもらえるんだよ」

 

「それは魅力的ですけどね。それじゃ戦った意味がないし」

 

俺が命がけで戦ったのは気に入らないのもあるが信冬を救うためだったんだからな

 

「フフフ、女のために命を懸けて奪還に来る。実はこの時点で気に入ってたんだよ」

 

 

かと言って殺す気満々だったのは変わりないことなのだが・・・

 

「はぁ」

 

さっきからなんだ?それに婿殿って・・・

 

「あの婿殿って」

 

「婿殿は婿殿だよ。武田家は婿殿のものなんだから」

 

「はい?」

 

「私も血迷ってたね。暁家と縁談を進めれば武田家の発展も望めると思ってたけど間違いだったよ。私の気に入った者にこそ武田家を任せるにふさわしい」

 

「ちょっ、ちょっと待ってください!何いってるんですか!」

 

「まだわからないのかい?武田家を上げると言ってるんだよ椎名優希にね」

 

ちょっ!

 

「できれば信冬を正妻にしてほしいが贅沢は言わないよ。2人の間に子供だけでも作ってくれるだけでもいい。欲しいなら妹のほうもつけてあげるよ」

 

話がぶっ飛びすぎてついていけん!

 

「ま、待ってください!何ってるんですか!俺は武田家なんかいりません!」

 

「何が不満なんだい?椎名と並んで絶大な権力を日本で持てるんだよ?本気でやる気なら首相にだってなれるし、裏社会でも頂点をとれるんだよ」

 

「いや、興味ないし」

 

「大金持ちにもなれるよ」

 

う・・・それは・・・

万年金欠の優さんには魅力的な話だが騙されるなよ俺!

武田家の当主なんてなったら絶対に厄介なことになるぞ

ここは何としても断らないと

 

「せっかくですけど俺は椎名の人間なのでちょっと・・・」

 

「問題ないよ。椎名は鏡夜の坊や、武田は婿殿。同じ血筋が統べれば仲良くやれるってもんさ」

 

裏武家的には連携が固まるかもしれんがちょっと待って!

 

「ほ、ほら俺未成年ですし」

 

「関係ないよ。私が認めたんだ。文句を言うやつは私が叩き潰してやるよ」

 

ダメだこの人・・・姉さん並みってことは自衛隊でも止められない・・・

アメリカ軍が出てきても多分、無理だろうよ

こうなったら逃げる作戦しかねえ!

 

「せめて、大学が終わるまで待ってもらえませんか?いろいろと道を探したいんです」

 

「大学かい?そうだねぇ。確かに急すぎる話だ。それまでに更に自分に磨きをかけるつもりなんだね。流石は私が見込んだ男だ」

 

すごい過大評価されてるんですけど!

 

「そういうことなら構わないよ。とすれば当主の座は・・・」

 

「信冬が継ぐわけにはいかないんですか?」

 

「だめだね、あの子は婿殿のものさ。でも、そういうことなら夫が当主につくまで当主代理という立場にしようかね。希望なら全権をあの子に与えてもいい」

 

よ、よし何とか時間は稼げそうだ。

 

「じゃあ、信冬に代理をお願いしたいんですが」

 

できたら永遠に

 

「残念だね。すぐにでも婿殿に継いでほしかったんだけどね」

 

「ははは」

 

苦笑いを返しながらなんとか即座に武田家当主になる危機を回避成功!

立場ある人間になればいろいろ面倒も増えるからな。

 

「だが、あくまであの子は代理だ。婿殿が武田家の力を使いたいときはいつでも使いな」

 

「分かりました」

 

うかつには使えないがこれで俺は信冬を始めとして全員に会ったわけじゃないが風林火山陰雷の連中、武田家の武力や権力を手に入れた形になるのか・・・

信冬を助けたらとんでもないものが転がり込んできてしまったぞ

 

というやり取りがあり今に至る

 

「わぁ、お兄さん権力者ですね。それでどうするんですか?大学卒業したら武田家をもらうんですか?」

 

「いらねえよ。俺は普通の武偵事務所で所長やって数人ぐらい雇うぐらいの規模の武偵ぐらいで最終的にはいいんだよ」

 

「こじんまりとした夢ですねぇ」

 

「ほっとけ」

 

というか最近、化け物とばかり戦いすぎてそんな普通の武偵にあこがれてるんだよな俺

 

「事務所持ったら私も雇ってくださいよ」

 

「お!本当か?アリスは優秀だし別に・・・」

 

「給料は一月1000万ぐらいでいいですよ」

 

「高ぇよ!お前雇うだけで潰れる!」

 

悪魔かお前は!俺のささやかな夢までつぶす気か!

 

「仕方ありませんね。手取り30万ぐらいで手を打ちます」

 

それでも俺にすれば高いんだが・・・まあ、Sランク武偵雇うならそれぐらいはいるか・・・

 

「まあ、考えとく」

 

「考えといてください。じゃあ、私は行きますね」

 

「おーう」

 

アリスが病室から立ち去ると帰る準備を始める。

後は寮に戻って寝よう

ん?誰か来たようだ

ノックの音にドアを開けるとそこにいたのは信冬だった。

武偵高の制服を着て

どれを見て俺は思わず

 

「お帰り信冬」

 

「ただいま戻りました。体の調子は大丈夫なんですか?」

 

「ああ、お前は?」

 

「細かい傷は治療済みです。一番重症だったのが優希でしたから」

 

そうか、俺がピンピンしてるってことはアリア達も問題ないのだろう

あれそういえば

 

「ジャンと幸村は?」

 

確かあいつらも重症だったって聞いたけど

 

「それは直接聞いてください」

 

「直接?」

 

「少年!」「優希様」

 

声のしたほうを見ると今話題にした2人だ。

見たところは傷は見当たらない

 

「お前ら」

 

「今回のことは感謝している。少年がいなければお館様の人生は破滅していた」

 

「信冬様を救ってくれてありがとうございました」

 

2人して深々と頭を下げって

 

「分かったから頭を上げろ。俺はやりたかったからやっただけだ」

 

「そうはいかない。信春様から話は聞いている。俺の力が必要になったらいつでも言ってくれ。そして、この命は少年・・・いや、あなたのために使おう」

 

「俺も同じです。盾でもなんでも使ってください」

 

い、いやだから

 

「だからやめろってお前ら!こんなところで」

 

病院の廊下でなんだなんだと深々と頭を下げる男たちと俺に視線が集まっている。

恥ずかしい!

 

「話は分かったから!それと、話し方は前と同じでいい」

 

「しかし・・・」

 

「ジャン、幸村。優希は今までと同じように接してほしいと願っているのですよ」

 

信冬が助け舟を出してくれ幸村とジャンは顔を見合わせてから

 

「ではそうさせてもらう。ありがとう少年」

 

「ありがとう。椎名優希・・・様」

 

「様はいらねえよ幸村。優希か優でいいよ」

 

「分かった優」

 

「で?お前ら大けがしてたんじゃないのか?」

 

「水月希に治してもらった」

 

「なるほど」

 

それだけで納得だ。

あの人なんでもできるからなぁ・・・

深く考えないでおこう

 

寮に戻るために病院を出るとジャンが声をかけてきた。

 

「ではな少年!俺と幸村はここで失礼する」

 

「ん?そうなのか?忙しいんだな」

 

「ワハハ!そうだそうだ。いろいろいろと忙しい」

 

「え?ジャン。この後の予定は信冬様についていく予定では?」

 

幸村が首をかしげているぞ

 

「ハハハ、察しろよ幸村!お館様は少年とデートというやつだ」

 

「っ・・・そんな・・・いえ、そうですね・・・俺たちはここで失礼します」

 

デートって帰るだけなんだが・・・

って信冬

見ると顔を少し俯かせて顔を真っ赤にした信冬がそこにいた。

 

「何せ信春様公認の仲だ。将来は確定したといいワハハ!」

 

「うわああああ!信冬様!お幸せにいいいいい!」

 

幸村が泣きながら走り去りジャンもそれを追って走り去った後、俺たちはとりあえず寮に戻ることにしたのだが・・・

とりあえず色々切り出しておこう

 

「信冬」

 

「は、はい!」

 

顔を赤くしたままびくりとする信冬。

やめろって俺まで恥ずかしくなるだろ

 

「病院では全部聞けなかったからな。あの後どうなったか教えてくれるか?」

 

具体的には俺が気絶した後の話だ。

話は通していたとはいえ暁家などちょっと放っておいてはまずい連中のことも聞いとかないと

信冬はちょと残念そうなほっとしたような顔で

 

「武田家は優希が知る通りです。私と優希がその・・・結婚することに対しては異論は挟まないと思います」

 

まあ、婚約は1度解除されてるから俺たちが結婚するとか言い出さない限りはまあ・・・考えないようにしよう

 

「暁家は正直わかりません。おばあさまと約束はして私と暁竜馬の結婚は消えました。ですが・・・」

 

「暁花蓮か・・・」

 

「はい、彼女は正直何を考えているかわからないところがあるので今後優希や私に何かを仕掛けてくる可能性もないとは言い切れません」

 

表の権力者だもんな・・・一般人なら息を吹けば消せるぐらいの存在だ。

 

「最も、暗殺などの復讐は少なくても当面はありません。パワーバランスは暁家と優希は大きな開きはありませんし、何よりおばあさまが優希の味方になった以上、こちらに敵対行動を取れば戦争になることは承知でしょうからそこまで愚かではないでしょう」

 

まあ、そうだよな・・・俺は仲間が攻撃されたら絶対に許さないし俺が動くということは俺の周りの人たちもサポートに回る。

椎名・武田・姉さん達

どう考えても分が悪い。

今回の襲撃だって多くの支援は潰されたものの姉さんたちがぎりぎりの支援をしてくれたからこその勝利だ。

それがなければ武田信春に無傷で戦いを挑むことなど不可能だっただろう。

 

「暁家は大きく情勢が変わらない限りは大丈夫そうだな。それで土方さん達は?」

 

「・・・」

 

なんで聞くんですかという顔だぞ信冬!助けてもらったのに本当に土方さんのこと嫌いだな

 

「雪羽姉さまは無事です。鈴さんも、もちろん優希のお姉さまも」

 

「土方さんは?」

 

「・・・謹慎中です」

 

流石にか・・・公安0は動かないとさんざん圧力をかけられていたのにお面で変装までして土方さんは協力してくれたんだ。

むしろ謹慎でよくすんだってレベルだ

「信冬。雪羽さんを取られて土方さんが嫌いなのはわかるけど今回は・・・」

 

「分かってます・・・あのおと・・・義兄様には今回は感謝しています」

 

にいさまか・・・ずっと、恨まれ続けてきた土方さんと信冬の関係もようやく1歩前進した感じだな

 

「直接礼は言ったのか?」

 

「はい、屋敷から離れるとき雪羽姉さまと」

 

「そうか」

 

兄さんと呼ばれた土方さんがどんな顔したかすごい気になるんだが

 

「ここに写真があるぞ」

 

ん?ハハハ!土方さんむちゃくちゃ驚いてから優しい顔をしてるよ

って

 

「姉さん!」

 

「ハハハ、よう!」

 

手を挙げてそこにいたのは水月希。俺の姉さんだ

 

「面白いだろ。この写真。歳の奴この後、むちゃくちゃうれしそうだったんだぞ長年つんつんしていた義理の妹がついにデレたんだからな」

 

「で、デレてません!に、義兄さんには感謝していますが私は・・・」

 

「嫌いか?」

 

にやにやしながら聞いてる姉さん。

なんと意地の悪い

信冬はうーと言葉に困っていたが

 

「中間ぐらいです」

 

それはつまり、好きでも嫌いでもないってことか?

 

「よかったなぁ優希!将来の奥さんと親戚間の仲は安泰だぞ」

 

「奥さんって!レ・・・」

 

レキと言いかけて慌ててやめる。

ここでレキとの話をすれば厄介なことになること間違いなしだ。

なんだかんだで結婚の約束を俺は数人としてしまっている状態になってるんだ。

 

「もう分かりましたから・・・」

 

信冬がギブアップとばかりに顔を俯かせてしまった。

俺もこれ以上この話題は勘弁してもらいたい。

 

「で?姉さんは何の用だよ」

 

「歳の面白い写真を持ってきただけだぞ」

 

最低だこの人!

 

「まあ、冗談は置いといて。優希、お前しばらく緋刀使えないらな」

 

唐突にまじめな話になったな・・・

 

「理由は心当たりあるだろ?」

 

「緋緋因光斬か?」

 

あの技は力がごっそり抜ける感覚と共にこれまでと違う何かを感じた。

そして、スサノオの姿が変わっていたんだ。

どこかで見たことがある・・・だが思い出せない。

 

「姉さんはあの技を知ってたのか?」

 

震電が飛んできたタイミングといい・・・

今にして思えばあの力がなければ俺は勝てなかっただろう。

知っていたんだ姉さんはあの力を

姉さんの腰の震電と紫電がそろった瞬間に起きたあれは・・・

 

「それを知るにはまだ早い」

 

ふわりと空に浮かび上がる姉さん

 

「今度はどこ行くんだよ!」

 

「歳をからかいに行く!」

 

ひどい!いや、土方さんが謹慎してるの俺のせいでもあるんだけど本当に姉さんは土方さんをからかうのが大好きだな。

流石はチームメイトだよ

 

「ありがとう姉さん!土方さん達にも伝えといて!」

 

「ああ!お前も頑張れよ!ま!そう長く休めないだろうから休めるときは休んどけよ」

 

おい待て!また、何か起こるのか!というか知ってるなら教えてくくれよ!

 

「ねえさ・・・」

 

「今度は妹関連が忙しくなるぞぉ!」

 

行ってしまった・・・

 

「風のような人ですねあの人は」

 

隣で信冬が言うがなんというか違うな

自由に掴みどころなくいざと言うときは助けてくれる。

 

「俺にとっては自慢の姉だよ」

 

 

              武田信冬編の章 完

 

 




というわけで完全オリジナル章は終了です。
な、長かった。
キーボードが破損したりパソコンが調子悪かったり私生活が忙しいのといろいろ理由がありますが神戸編、椎名の家編とオリジナル章を書いてきましたがこの信冬編が一番時間を食ってしまいました(笑)
少し離れていたからか少々不完全燃焼で物語の構成力が落ちてしまったかなという気もしますw
オリジナルの途中でかなり開けてしまったのも原因なのでしょうが・・・

まあ、それは置いといて次回は事件と事件の間のお話。
それを終えて何人かに要望を出されていてもたどり着けなかったキンジの弟君サード編に入ります。
あのキンジと同じ物理技のオンパレードの化け物と緋刀が使えない優がどう戦うのか!
もちろん、キンジとサードが戦わないといけないので優がメインにする敵は!?
そして、登場するかなめ!
もちろん、原作丸写しなんてできませんので優を兄さん呼ばわりしていたあの子もサード編には・・・

最近は土曜か日曜あたりを目標に週一更新を目指しているので頑張ります!
私の書く燃料は感想欄にこそありますので燃料投下は気が向いたらお願いします(笑)

それではサード編へ!








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