緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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ここから新章!信冬編です


第236弾 波乱の来訪者

終わりよければ全てよしという言葉がある。

理子に黄泉返しを使ってぶっ倒れ起きたら全部終わってたんだからな。

あと後、丸3日眠り続け起きたら病室には誰もおらず、アリスに簡単に検査された後、追い出されるように武偵病院を後にした後は土方さんに司法取引の書類書きにこいと呼び出され散々絞られた。

ヒルダの停電のせいで損失が恐ろしいことになってしまい少なからず日本経済に影響を洗えてしまったがまあ、それは半分以上はヒルダのせいなので司法取引でおとがめなしだ。

そうそう、ヒルダと言えば死にかけたところを理子に輸血してもらい命を取り留めたらしい。

散々いじめてきた理子に命を救われた事で2人の関係性も変わるのかもな・・・

理子とはあれから会ってないがあいつもこれから新しい人生を歩んでいくんだろうな・・・

で、司法取引の後俺が向かったのは成田空港だ。

 

「リゼ!」

 

空港のロビーをからからとキャリーバッグを引いている後姿を見つけ声をかけると表情も変えずにリゼが振り返った。

 

「どうしてあなたが?」

 

表情は変わらないが少しばかり意外そうな感じだな

 

「エルのメールで知ったんだよ。行くのか?」

 

エルからメールを確認したのもそんなに前の事じゃない。

ただ、リゼが日本を離れることと時間が書かれていただけだ。

 

「私は万が一のための保険でしたのでもう、日本に用はありませんので」

 

リバティーメイソンという組織に属しているリゼは俺と違い一か所で学生ばかりしているわけではないらしい。

ある意味では、俺やエルよりもプロという立場なのだろうな。

 

「そうか、今度はどこ行くんだ?」

 

「一度イギリスに戻ってからフランスに行きます。あそこは卷族と師団の激戦地ですので」

 

「そうか・・・まあ、お前とは色々あったが残念だな」

 

俺がそう言うとなぜかリゼが首を少し傾げた。

 

「あなたとは険悪な事ばかりだった気もしますが?なぜ残念なんですか?」

 

「最後に助けてくれただろ?ヒルダとの戦いでお前が時間稼いでくれなかったら俺達は多分負けてた」

 

「あれはあなたの呆れた諦めの悪さが導いた結果ですよ。私は最後にちょっと手助けしただけ」

 

「それでもこれだけは言いたかったんだありがとなリゼ」

 

そう言って俺は握手を求める。

リバティーメイソンは師団につくことをエルが言った。

なら、これからリゼは戦役が終わるまで心強い戦友になる。

だが、それ以外にも俺はリゼに多くの感謝をしていたんだ。

 

「あなたは・・・」

 

リゼは俺の手を見て何かを言いかけたのをやめるようにして、目を少し閉じちょっとだけ口元を緩めると

 

「馬鹿ですね」

 

そう言って握手に応じてくれた。

でもおい・・・

 

「へっ、馬鹿ってひどい言い方だな」

 

「馬鹿には馬鹿としかいいません。ですけど、好意をもてる馬鹿です」

 

「なんだそりゃ?」

 

「椎名優希」

 

「優でいいぞ」

 

「では、優。これから、戦役は更に苛烈になっていくと予想できます。せいぜい死なないことですね」

 

「心配してくれてるのか?」

 

「一応、婚約者ですので」

 

あ、やばい忘れてた・・・

 

「い、いやリゼその婚約者って話も結局は演技だったわけだろ?その・・・」

 

「そうですね。あなたの周りには私がいる必要はないでしょう。それに私は女性関係にだらしない男は嫌いです」

 

「だらしないのか俺?」

 

告白したこともなければ自分からキスしたこともないんだが・・・

いやまあ・・・アリアのあれは例外といえば例外だけど

 

「ええ、とってもだらしないですね」

 

ちょっと、ショックな気もするが一理あるもんな・・・

婚約者がぞろぞろ増えてる現状見る限り

 

「いつか回りの女性に呆れられて1人ぼっちになるパターンですね」

 

それはそれで悲しすぎる。

 

「ですがまあ」

 

くるりとリゼは背中を向けて歩き出し上半身を傾けて俺を見ると初めて見る笑顔を俺に向け

 

「全員に捨てられたら私が結婚してあげますよ」

 

「へっ?」

 

言う事を言うとこつこつとリゼは振り返らずにゲートを潜って俺が入れない場所に行ってしまう。

その背中を見つめながら俺は親しみを込めて言った。

 

「またなリゼ」

 

また、いつの日か会おうぜ。

今度は仲間・・・いや、友達としてな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リゼと別れを済ませて数時間後

何かを忘れていると思った。

何だろう?とんでもないことを忘れている気がするんだが・・・

スサノオに言われた緋刀の侵攻は今のところ見られない。

時間差でやってくる可能性はあるが心配し過ぎだったのかもな・・・

 

「ん?」

 

着信か?信号が赤なのを確認してスマホを取り出す。

 

「げっ!」

 

着信67件

メール81件

誰だよと思うとキンジだった。

お前はストーカーかと半分切れながら着信に出ようとしたが信号が変わりそうになるので保留する。

どうせ、寮だろ?5分もかからん。

このまま帰ったほうが早いと判断し隼を発進させ寮に滑り込む。

再び着信がなったので寮の階段を上がりながら

 

「ストーカーかお前は!」

 

半分切れて出ると

 

「私はストーカーなんですか?」

 

げ!秋葉!

どうせキンジだろうと思って出たんだが秋葉が電話してきたらしかった。

 

「優君が退院したと聞いたのでそちらに行こうと思っていたんですがストーカーには来てほしくないですよね?」

 

「いやいや!違うぞ秋葉!ストーカーはキンジだ!」

 

「キンジ君が?優君のストーカーなんですか?」

 

まあ、何の用か知らんがキンジがやってるのはそれに近いんだからこの際悪人になってもらおう。

 

「ああ、着信やメールをばんばん送ってきて迷惑な奴だ」

 

「嘘が下手ですね」

 

信じてくれてないし・・・

 

「嘘じゃないんだがな・・・と、とにかく理子の件ではいろいろ苦労かけたな秋葉。助かった」

 

「いえ、理子さんは私も助けたいと思ってましたから」

 

そうだよな理子は秋葉にとっては数少ない友人だ。

友達のためになんとかしたいという気持ちは秋葉の中にずっとあったんだろう。

 

「救えてよかったよ」

 

「はい」

 

ぼろぼろのぎりぎりの勝利だったわけだが救えたことに変わりない。

 

「ところで秋葉この後、暇か?」

 

階段を上がりきりこつこつと部屋の前にやってくる。

鍵を探しながら

 

「はい、暇ですが」

 

「理子の件でいろいろ助けてくれたしな。なんかおごってやるから外に行かねえか?」

 

「それはデートのお誘い・・・ですか?」

 

がちゃりとドアを開けながら

 

「デート?そりゃ・・・」

 

違うだろと言おうとして固まる。

ぴきりと空間が凍りついた気がした。

だって部屋の玄関にいたのは・・・

 

「こんにちは、優希。どちらの女性をデートにお誘いですか?」

 

にっこりと行儀よく正座した山梨武偵校の制服ではなく東京武偵校の制服を着た信冬がそこにいたんだ。

 

「今日から東京偵校に転校。そして、こちらに住まわせていただきますね優希」

 

もうだめだおしまいだ。

心の中で俺は地面に膝をついて頭を下げた。

 




というわけであの子がついに山梨を飛び出して東京に転校してきました!
しかも、今回は初代婚約者!優の小さな頃からの知り合い信冬です。

秋葉メインは次回オリジナルをまって下さいね。

さあ!優に逃げ場はもうないぞw
そして、久々のオリジナル頑張ります!

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