緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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ゆけRRRよ!弁当を奪うのだ!


第227話 弁当戦争勃発!?RRR最後の日2

その出来事は一人の小悪魔少女の思いつきから始まった。

彼女にとっては緋色の研究の一端を担う先輩を救済するためにやったことだがただ、やるだけでは面白くないと考えるのは彼女の性格だろう・・・

すなわち・・・

 

「それは、本当か会員72」

 

まだ早朝とも言える時間にかかってきた電話に彼は怒りを出すこともなく言った。

彼からの電話は大体彼女に関するものだからだ。

 

「はっ!会員№42と43からの偵察によると間違いないかと」

 

「まさか、伝説のあれが今日、光臨なさるというのか・・・」

 

「自らのものであるという可能性は限りなく0ということは・・・」

 

「椎名優希だろう」

 

みしりとスマホを握りつぶしそうなる。

彼は少々の怒りを込めて少しは認めたと思っていた男の名を言う。

 

「いかがなさりますか会長?」

 

「もちろん奴のような女たらしに光臨なさるあれは渡さん!召集可能な全メンバーに召集をかけろ」

 

「了解いたしました!全てはレキ様のために!」

 

「全てはレキ様のために!」

 

電源を切りレキ様のレキ様だけのレキレキファンクラブ会長、通称RRR会長の村上は1つの決意を固めた。

光臨なさるあれは渡さないという決意だった。

 

 

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人間って食い溜め出来る体になんでならないんだろうなぁ・・・

昨日、腹いっぱい食ったはずなのにもう、腹減ってきた・・・

寮に帰れず、京菱の倉庫から、ふらふらと登校しながらそんなことを思っていると

 

「優君おはようございます」

 

振り返ると武偵校の制服を着た秋葉だった。

相変わらず表情は乏しいがな・・・

 

「おう。待ってたのか?」

 

「はい、理子さんの件で少し話を」

 

「理子の? 歩きながら話そうぜ」

 

「はい」

 

隼はガソリン節約のために今日は使わない。

あれ、改造してるだけに恐ろしいほど燃費悪いからな・・・

金ない状況では最悪の乗り物だよ・・・

 

「で?理子の話って?」

 

「最近、理子さんの様子が少しおかしいのは知ってますか?」

 

「ああ・・・ヒルダのせいだな・・・」

 

あの日、ヒルダと理子が会った時から理子の様子が少しおかしいことは気付いている。

俺達を避けるようにしてるし学校でも話しかける機会がない。

原因は明らかなにヒルダなのだろうが殴りこみをかけようにもヒルダの場所も分からないし装備も整っていない。

 

「やはり、誘い出しますか?」

 

「そうだな・・・」

 

実の所、ヒルダ対策として秋葉と作戦会議の話を何回かしてきているんだがそのうち一つがステルスVSステルス。

暴風の日を選んで秋葉の能力は最大に引きだせる状況でヒルダをおおびき出して俺達で撃破するというものだ。

秋葉なしじゃどうにもならない作戦だが正直な話、ヒルダと戦うなら秋葉の力は頼りになる。

奴が雷ならこっちは風と言うわけだ。

とはいえ、Sランク級の大出力のステルス同士が激突すれば東京の一角壊滅何て事態になりかねないから決戦の場所はある程度絞らないといけないんだけどな・・・

 

「月詠はなんか言ってるか?」

 

「はい、決戦の場は選ぶようにと、特に一般人に死者が出る状況は好まないと」

 

「それは当たり前だよな・・・」

 

ある程度は実家でもみ消してもらえるだろうが一般人に被害はやばいことだ・・・

 

「月詠自身の援軍の件は?」

 

椎名の家で現状最強の戦力はRランク月詠だ。

あいつが来てくれりゃヒルダなんて怖くないんだけどな

しかし、秋葉が首を横に振る。

 

「月詠様は現在こちらに援軍に来れる状況ではありません」

 

「そう、上手くいかないわけか・・・」

 

だが、秋葉がいるならやりようはあるよな。

後は、姉さんの言ってた魔封弾が届いて使い方をマスターして攻勢に出る。

それまで、ヒルダや他の卷属が動かなければいいんだが・・・

そこまで言った時、急にぐううと俺の腹が鳴った。

腹減ったよ。

 

「優君、朝ごはんは食べたんですか?」

 

秋葉が俺の腹の方を見ながら聞いてくる。

 

「いや、情けない話なんだが今月後4円しかなくてな・・・水だけしか飲んでない」

 

本当はこんな話、秋葉にはしたくないんだが・・・

だって話すと

 

「じゃあ、私が半月、ご飯を作りましょうか?」

 

と、なってしまうからな・・・

秋葉は大事な友達だが実家から見れば俺の近衛。

近衛は主の健康状態にも気を使わないと駄目らしいからな・・・

まあ、専属の近衛は特になんだが・・・

 

「ありがたい話なんだけど・・・近衛として言ってるなら自分でなんとかするからいいぞ」

 

すると、秋葉は首を横に振りながら

 

「いえ、それとは関係なく言ってるんですけど」

 

それはつまり、友達として、貧乏生活でご飯すらままならなくなった俺を助けてもらえるってことだな。

 

「いいのか?」

 

「はい」

 

心なしか嬉しそうに言う秋葉。

女神様ですかあなた!

 

「今日は、知らなかったので申し訳ないんですが」

 

ごそごそと鞄の中から白い袋を取り出すと

 

「これ、お昼にどうぞ」

 

「いや、これお前の昼飯だろ?」

 

「購買で何か買いますし。チョコもありますから」

 

鞄から数枚の板チョコを見せてきて秋葉が言った。

ステルスの副作用対策で入れてるんだろうがチョコはエネルギー補給にはいいからな

 

「じゃあ・・・」

 

俺が購買でと言いかけるがそれは駄目だろう・・・俺自身の金は4円しかないし現金をくれって言ってるようなもんだ・・・・

 

「そっちのチョコでもいいんだけど・・・」

 

申し訳ないのでそう言ってみたんだが

 

「優君は私のお弁当食べたくないんですか?」

 

なんでそうなるの!

 

「いやいや、そういうわけじゃなくてだな」

 

「リゼさんに作ってもらいたいんですか?」

 

「いやそれはない」

 

あいつの作る弁当なんて毒入りか虫入りに違いないし

 

「ではレキさん?」

 

「うーん・・・」

 

前に奏ちゃんの家でレキが料理を出したことあったがカロリーメイトだったしなぁ・・・

レキは料理できないだろう・・・

 

「今、悩みましたね?」

 

レキは料理できないだろうと思っただけなのに秋葉は俺がレキに料理を作ってもらいたいと思ったと誤解したらしいぞ!

 

「分かりました。じゃあ、レキさんに私が頼んでおきます。私なんかのお弁当は食べられないから優君のご飯は・・・」

 

「だからなんでそうなる!秋葉のご飯食べたい!だからくれよ弁当!」

 

あれ?いつの間にか秋葉の弁当を俺が食べたいからせがんでるみたいになってるぞ。

 

「・・・」

 

秋葉はすっと弁当を上に持ち上げ

 

「欲しいんですか?」

 

「欲しいからくれよ!」

 

「私のお弁当が食べたいんですか?」

 

「秋葉の奴が食いたいんだよ」

 

何このやりとりとか思ってたら後ろからクラスの女子数人が

 

「ねえ、椎名、山洞さんにお弁当せがんでるよ」

 

「女たらしここに極まれね」

 

とか言いながらこっちを見てるぞ

何、この状況!

 

「そうですか。そんなに私のお弁当が食べたいんですか」

 

そう言いながら秋葉は俺に弁当箱を差し出してきた。

 

「どうぞ」

 

「あ、ああ・・・ありがとう」

 

なんか、嬉しそうに見えるんだけど・・・気のせいかな?

その後、学校に着くまで秋葉はなんか機嫌が良かった。

 

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学校についてからいいクエストがないか確認するために掲示板の方に行くと言って秋葉と別れると掲示板の前にやってきた。

朝早く来ると夜にここに張られたりしたクエストが残っていたりするのだ。

たまに日払いのクエストもあったりするがなぜかそれはごく少数だ。

手続きの問題やらいろいろあるみたいで基本は月末振込みの形だからな・・・

 

「うん、ないな」

 

掲示板に張られていたのは当然のごとく、日払いはなく人気もない奴や日数がかかるクエストや遠方にいくクエストが大半だった。

どれも状況的に受ける理由はない。

ヒルダの件もあるから遠方には行けないしな・・・日数かかるクエストも現状では無理だ。

 

「優さん」

 

声に振り向くとレキだった。

秋葉以上に無表情だな相変わらず・・・

 

「よう、レキお前もクエスト目当てか?」

 

掲示板を見ながら言うとレキは首を横に振った。

そして、鞄に手を入れて・・・

 

「どうぞ」

 

ん?白い袋?何これ?

中身は・・・弁当箱?

 

「ま、まさかこれ弁当か?」

 

こくりとレキ

 

「れ、レキが作ったのか?」

 

再びこくり。

い、いや騙されないぞ。どうぜ中は箱ごとカロリーメイトが入っているんだろ。

開けて確かめるか一瞬悩んだが、いきなり開けるのは失礼か・・・

仮に中身がカロリーメイトだとしても今の俺には最高の送り物なわけだし

 

「ありがとなレキ。ありがたく貰うよ」

 

レキが料理を?どんな料理か楽しみだな

 

 

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サイド??

 

 レキが優希にお弁当を渡したその時を見ている者がいた。

彼は無線を取り出すと

 

「№47より会長。物は奴の手に渡りました」

 

「よろしい。攻撃は予定通り行う、君は戻ってくるといい」

 

 

「了解。全てはレキ様のために!」

 

「レキ様のために」

 

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サイド優希

 

 しかし、まあ今日はどうしたんだ?

目の前に置かれた数個の弁当箱の袋を見て俺は首を傾げた。

レキと別れた後、まず、マリがお弁当愛情込めて作りました!と持ってきたし、教室に入る前にはいきなり、武田の使いという女性が現れ、お屋方様からですと弁当箱を突き付けられた。

用事はそれだけだったらしくとんぼ帰りしていったが信冬からもなぜか弁当が・・・

何なんだ?

ちなみに、弁当の上には手紙が1つ。

連絡してくださいねと一言・・・

リゼの件で電話切っちゃったからなぁ・・・どうしよう・・・

思わずリゼの方を見てしまうがこいつは流石にないよな・・・

別に欲しいわけじゃないんだけど

 

「何を見てるんですか?」

 

「いや・・・」

 

目をそらしてしまうが苦手だこいつ・・・

 

「すごい量だな優」

 

「ん?」

 

隣を見るとキンジが山となった俺の弁当を見ている。

 

「なんというかな・・・色々あって・・・1個いるか?」

 

「いや、遠慮しとく。食った弁当の主に恨みを買いたくないからな」

 

「そうか?」

 

まあ、逆の立場なら俺もそういうかもな・・・

とりあえず、飯の問題は解決したな!情けないが秋葉に作ってもらえるから餓死だけは免れる。

でもキンジもなんかやつれてないか?

それをキンジに言ってみると

 

「色々物入りでな・・・」

 

キンジもキンジで大変らしかった。

 

「ん?」

 

一瞬、殺気を感じた気がしたので振り返ってみるが特にそちらには誰もいない。

気のせいかとか思っていると今度はメールの着信音。

内容を確認してみると待ち焦がれていた武偵弾職人からだった。

魔封弾の受け渡しについて書かれている。

場所は今日の17時に都内の・・・ああ、ここね。

スマホで地図を確認してから

 

「悪い、キンジ今日も寮に帰れそうにない」

 

「お互い大変だな」

 

リゼを一瞬、見てからキンジは言った。

 

まったくな・・・俺はエルの机を見て言うのだった。

 

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さて、昼飯だ!キンジは購買にコッペパンを買いに行ってしまったので俺は屋上に向かう。

エルとリゼは多分、食堂だろう。

エルは毎回食堂で高い飯食ってるからな・・・

学食で一番高いステーキとか普通に買ってそうだ・・・

あ、キンジコッペパン片手に嫌がらせされてたりして・・・

女は怖いねぇ・・・

屋上でみんなの弁当並べて流石に食いきれないから少しずつ食べようと思っていた時だ。

 

「椎名優希!」

 

「ん?」

 

声に振り返ると武偵校の男子生徒・・・知らない顔だな。

 

「誰だ?」

 

「RRR会員№78! 黙ってレキ様のお弁当様を渡すならよし!渡さないなら血祭りにあげる!」

 

あー、事情が呑み込めた・・・

 

「これ欲しいのか?」

 

レキからもらった袋を掲げてみると会員№78が飛びかかってきた。

 

「うおおおおお!」

 

必死の形相だったので俺は慌ててその袋を屋上から校庭に投げ捨てた。

 

「レキ様のお弁当ぅううううううううううう!」

次の瞬間、そいつは信じられないような行動に出た。

あ、頭からだいぶしていきやがった!

下から悲鳴とすごい音がしたがまさか、死んでないだろうな?

まあ、武偵なんだからそれはないだろうが・・・

 

ここは離れた方がよさそうだ・・・

RRRの連中がレキの弁当を狙ってるなら早めに食べてしまわないと永遠にあいつらは狙ってくるだろう。

レキの弁当の本体と他の弁当をまとめて俺は早々とその場を立ち去るのだった。

 

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「会長、会員№78が先走りました。目標に接触し屋上から落ちて気絶とのこと。目標は立ち去りました。追跡は続行中です」

 

「無理もない。あの御降臨なされたものはそれだけのものだからな」

 

「まさに、魔性のものと言えましょう」

 

「馬鹿を言え。天からの贈り物。ギフトというべきだ」

 

「では、次なる一手は?」

 

「椎名優希はどこにいる?」

 

「目標は看板裏に入りました。弁当を広げています」

 

「よろしい。では始めよう諸君」

 

「「「全てはレキ様のために」」」

 

RRRは一斉に行動を開始した。

 

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「おお、流石秋葉」

 

とりあえず学校を出てよく鍛練の場所に使っている看板裏に来ると秋葉の弁当から開ける。

他のも気になるがまず、味が一番分かる奴から食べてみたい。

中身は気になるがレキの弁当はもう少し後にしよう。

 

「うん、信頼性抜群ってとこだな」

 

秋葉の弁当箱は小さいが中身はオールラウンダーな内容だ。

小さいおにぎりが3つと小さなポテトサラダとたこさんウィンナーにトウモロコシ入りのコロッケ2つ。

まず、外れのない内容だがおにぎりにおかかを入れているのはポイントが高い。

 

「塩加減も絶妙だし料理上手くなったな秋葉」

 

昔は、全然出来なかったはずだが時の流れだよなぁ・・・

秋葉の弁当を平らげて次はレキの弁当を・・・

 

「待てい!」

 

「あ?」

 

声に顔を上げると看板の上に誰かが立っている。

いや、つうか・・・

 

「RRRの会員か?」

 

ため息ついて言ってやると看板の上の男は笑う。

 

「フフフ、ばれてしまっては仕方ない!とう!」

 

掛け声と共に飛び上がるとワイヤーで降下してきたのは2人。

それぞれ・・・見たことない奴だな・・・

まあ、RRRの会員数がどれだけいるか分からんが全員把握することは困難だろう。

 

「椎名優希!貴様にはレキ様のお弁当はもったいない!我々に渡すといい」

 

「今なら凸ピン一発で許すぞ」

 

それぞれ勝手なこと言いやがって

 

「そんなに欲しいのか?」

 

さっきのように囮で逃げるか考えるが・・・

 

「「欲しいです!というか下さい!」」

 

見事にはもったな・・・

しかし、お前らそんなに欲しいなら強奪なんてしないでレキに頼めばいいのに・・・作ってくれるかは別として・・・

だがまあ俺の返答は決まってるぞ

 

「やらんけどな」

 

「き、貴様!」

 

「期待させといて!」

 

いや、普通に考えて失礼だろ?強奪しに来た相手に弁当渡すなんて

 

「こうなりゃ実力行使だ行くぞ会員№106!」

 

「おう!107!うおおおお!」

 

「だりゅあああああああ!」

 

それぞれがナイフを構えて突撃してくる。

弁当1つに犯罪すれすれの行動を取る2人。

付き合ってられるかと言いたいが仕方ねえ!

ランクが低いのかナイフの軌道は至って単純だった。

チンピラよりはまし程度の攻撃を交わして腕を掴んで上手く、相手同士が激突するように仕向けてやる。

 

「ぎゃ!」

 

「ぐわ!」

 

2人は頭をぶつけて火花を散らすとずるずると崩れ落ちて動かなくなった。

とりあえず、ここもばれてると考えるべきか・・・

というか、学園島にいる限りどこでも同じ気がする。

仕方ねえ・・・頼るか

俺は早々とその場を後にした。

 

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「会長、追跡していた会員が全員椎名優希にまかれました」

 

「流石はレキ様が認めた男だけはあるということか」

 

「ですが、会員№107が取り付けた発信機が位置を知らせています。東京の外れの・・・ここです」

 

「ん?誰かの家の中に逃げ込んだのか?」

 

「ここは・・・まずいですよ村上会長」

 

「どう言う事だ会員№2」

 

古参の会員№2が冷や汗をかいている。

その場所とは・・・

 

「ここ、公安0の人間が住んでる家ですよ!」

 

「こ、公安0!?」

 

その場にいた会員達は顔を見合わせた。

公安0とは闇の公務員。殺しのライセンスを持つ真の化け物集団の総称だ。

そんな場所に逃げ込まれればどうしようもない。

 

「おのれ椎名優希!卑怯な・・・」

 

歯ぎしりした会員がそう言うが村上の静かな声が全員を驚愕させる。

 

「諸君、総攻撃の準備だ」

 

その言葉に全員が言葉を失った。

かろうじて会員№2が

 

「し、正気ですか会長!相手は公安0の人間の家ですよ!」

 

「何も公安0の本部と言うわけではない。あそこにいるのも椎名優希の知り合いだろう」

 

「しかし・・・」

 

無線越しでも分かる。

椎名優希への襲撃を準備していた会員達も動揺しているようだ。

当たり前である。

公安0の関係者に喧嘩を売る理由がはたしてあるのだろうかと・・・

村上は静かに口を開いた。

 

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「すみません。連絡も無しに来てしまって」

 

土方家の居間に通された俺は弁当を出しながら言った。

 

「構う事はない」

 

「ええ、鈴の言うとおりよ優希君。あなたは私の弟子でもあるんだからいつでも来てね」

 

鈴。雪土月花の2人鈴さんと雪羽さんと合流出来て俺はちょっとほっとした。

ガソリンは節約したかったが隼で逃げてきた。

ここならゆっくりとご飯を食べられる。

ヒルダに関しても問題ない。

誰もいなかったらどうしようと思ったが鈴さんと雪羽さんがいればヒルダも襲撃してはこないだろう。

姉さんがいてくれたらなお良かったんだけど・・・

昼という舞台でこの2人を相手にするのは相当に厳しいはずだし。

RRRの連中も流石にここには襲撃してこないだろう。

というか完全にまいてきたきたし。

さて、弁当食べよ

ぱかっと開けたのは信冬の弁当だったのだが・・・

 

「あら?」

 

「・・・」

 

雪羽さんと鈴さんが覗き込んできたが中身はなんと日の丸弁当だった。

つまり、ご飯の真ん中に梅干し一つだけ。

手抜きというよりは怒ってるのかなぁ・・・信冬

 

「それ信冬のお弁当ね?優希君あの子怒らせたの?」

 

「えっと・・・」

 

事情を雪羽さんに説明すると雪羽さんはフフと笑いながら

 

「あらあら、それで焼きもちやいちゃったのかしらあの子?」

 

「もう、どうしていいか分からないんです・・・」

 

謝ろうにも電話怖いし・・・

 

「自業自得」

 

ひょいと梅干しを口に放り込む鈴さん。

そんな冷たいです・・・

 

「いいわ。私からあの子に言っておくから」

 

「本当ですか!ぜひ、お願いします!」

 

「ええ、本当に愛してるのは信冬だけって言ってたって言っておくけどいい?」

 

「いや、それは・・・」

 

お、重い話になってしまいそうだ。

 

「あの子のことは嫌い?」

 

「それはありません」

 

信冬は小さい頃からの知り合いだし立場もよく似ていたからどちらかと言えば好きな方だ。

それが、愛かと言われれば違うんだろうが・・・

 

「優希君もたまにはあの子のことも気にかけてあげてね」

 

「はい」

 

信冬も同じですよ雪羽さん。アリア達と同じように困っていたら助けるさ。

まあ、今は俺が助けて欲しいんですが・・・

 

「次」

 

って信冬の弁当が空だ!鈴さんいつの間に!

ぱかっと次に鈴さんが開けたの真里の弁当だ。

 

「・・・」

 

鈴さんに続いて覗き込むとなんと、お約束的なものだ。

ご飯に大好きな優希さんへと乗りで書かれハートマーク。

 

「・・・」

 

鈴さんはそれを無言で箸でかき回して食べ始める。

いや、いいんですけどって!

 

「ちょ!鈴さんそれ俺の弁当!」

 

「少しぐらい問題ない」

 

レキみたいにひょいぱくひょいぱくと食べていくがすごい速さなんですけど!

こりゃ、中身が気になるレキの弁当も早めに食べないと手を延ばされるぞ。

よし、レキの弁当を開けるぞ。

俺がレキの弁当の蓋に手をかけた時、ふいに鈴さんの手が止まった。

一瞬、遅れて俺もそれに気づく。

家の周りから嫌な感じがするのだ。

まさか・・・

 

「敵・・・総勢70」

 

ハンガーからマントをとり、麦わら帽子をかぶる鈴さん。

 

「素人じゃないわね。優希君が言ってたRRR?」

 

雪羽さんもただならぬ気配から壁に立てかけてあった日本刀冬雷を手にとって言った。

 

「多分。そうです・・・」

 

隠しても無駄だと悟ってるのか殺気を隠そうともしてないRRR。

あ、あいつら正気かよ!ここ、土方さんの家だぞ!公安0の関係者って知らないのか?

いや、違うな・・・知ってて攻撃してくるつもりだ。

このレキの弁当を奪いに・・・

村上正とはそういう男だ。

 

「殲滅」

 

戦闘モードになったらしい鈴さんが飛び出そうとしていたので慌てて止める。

 

「ちょ!鈴さん!殺しちゃ駄目です!あいつらただ、これが欲しいだけなんですから!」

 

渡せば引くだろう。

だが・・・

 

「問題なし。歳の家を襲撃するということは私に敵対するという事」

 

戦闘モードになった鈴さんは聞く耳を持っていない。

 

「ゆ、雪羽さん!鈴さん止めてください!」

 

このままじゃRRRは皆殺しだ

 

「大丈夫、優希君鈴だって手加減はできるから」

 

ほ、本当か?姉さんのチームメイトは一騎当千。

空間跳躍射撃は見せてもらったがRRR全員の頭に風穴開ける気じゃ・・・

 

「問題ない。殺しはしない」

 

そう言って彼女は飛びだした。

 

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それより少し前、村上はRRRに言うのだ。

 

「諸君、我々はRRR!レキ様のレキ様だけのレキレキファンクラブだ!もし、今回の攻撃が怖いと思うものがいれば来る必要はない。我々の背を見届けてくれるだけでいい。だが、あの家にあるものは椎名優希ではなく我々が手に入れるべきものだ!そして、私は1人でもあのお弁当のために戦うつもりだ!なぜならあれはレキ様のお弁当だからだ!」

 

「か、会長」

 

「お、俺も行きます!」

 

「ぼ、僕も!」

 

「私もよ!」

 

「俺もだ!」

 

「わたくしも!」

 

「レキ様の弁当は椎名優希には渡さない!」

 

「我々はRRRだ!公安0がなんだ!」

 

RRRのメンバーの決意は固かった。

ランクの低い者たちでさえ村上の決意に後押され立ち上がる。

その中心に立つのは2~3年のレキを思うあまりについにはチーム名にしてしまった馬鹿・・・いや、愚か者RRR連隊だ。

村上は銃を抜くと空へ掲げ椎名優希の逃げ込んだ家に振りおろす。

 

「総員!突撃!レキ様のお弁当を我らの手に!椎名をうちとれえええええええええええええ!」

 

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」

 

RRRの声が住宅地に響き渡る。

一般人はその光景に慌てて逃げていき、子供は泣きだし、警察に電話するものもいたが警察が来るとしても10分以上後だろう。

地響きを立てて70人以上の武偵校生徒が突撃を開始したその時

目標の家から飛び出してきた影が交差する。

 

「ぎゃ!」

 

「ぐえ!」

 

「ああん」

 

「あべし!」

 

RRRの会員達が倒れていく。

村上は見た。

麦わら帽子をかぶったマントの少女が会員達を次々に気絶させて言っているのだ。

手には折りたたみ式らしい剣を持っている。

それを、防弾制服を着た会員達にぶち当てているのだ。

それも、えぐい場所ばかりに・・・

 

「か、会長!」

 

「うろたえるな!囲んで打ち取れ!」

 

あれが公安0の人間かと村上は思ったが帽子の下から見えた顔はどこか、レキ様に似たお姿だった。

実のところ、村上は鈴に間接的に京都で助けられているのだがそんなこと知る由もない。

 

「統率。取れてる。無駄多い」

 

たんと鈴が飛び上がった。

空中では動きがとれまいとそれぞれ会員達が銃を空に向けるが鈴はばさりとマントを揺らしか瞬間、周囲の空間が歪む。

 

「・・・流星刀」

 

何が起こったかRRRのメンバーには分からなかった。

いきなり首筋に殴られたような衝撃を受けると意識を刈り取られる。

それが数十人に一斉に起こったのだ。

 

「ば、馬鹿な!」

 

村上は絶句する。

自分以外の会員達がみんな地面に倒れている。

その屍の真ん中には麦わら帽子の少女。

 

「よくかわした。でも後はあなただけ」

 

鈴はそういうと氷のような冷たい目で村上を睨んだ。

 

その攻防を雪羽さんとみていた俺は絶句していた。

つ、強え鈴さん。

何が起こったのか京都の戦いを見てなかったら絶対に分からなかったぞ。

『魔弾』の2つ名を持つ鈴さんだが接近戦もこなすんだな・・・

 

「鈴は私達のチームでも希さんを除いたら万能型だから」

 

雪羽さんの言うとおり鈴さんはM700以外も多彩な武器を使いこなす。

あのマントの中は多分、武器庫みたいになってるんだろう。

信冬の部下にジャンという男がいたがあいつも他の場所から武器を転移させているがそれの系統だろう。

 

「うおおおおお!」

 

村上が雄たけびを仰げてやけくそ気味に短機関銃を放つが鈴さんには当たらない。

背後に回り込まれ首筋に鋭い手刀が・・・

 

「ぬお!」

 

村上の肩に手刀がめり込むがごろごろと村上は地面に転がりかろうじて意識を刈り取られることを避けた。

 

「降伏推奨。勝ち目はない」

 

ジャキンと鈴さんは今度は2刀ナイフを逆手に構えて突撃する。

村上は慌てて銃を構えるが遅すぎる。

ブンとナイフが村上に振るわれるがかろうじて村上は背後に避ける。

 

「・・・」

 

鈴さんはそれを追撃せず右手を振るい村上を切り裂こうとするがかろうじて刀身が届かないと思った瞬間、ナイフの先端が飛び出した。

 

「ぬあ!」

 

それに反応出来なかった村上はもろに刃を心臓の上の防刃ネクタイに受け胸を押さえてがくりと膝をついた。

 

「終わり」

 

鈴さんが重心を低くして村上に突撃する。

村上はふっと笑うと

銃弾を地面に放った。

カッと閃光があたりを照らした。

あいつ武偵弾の閃光弾使いやがった!

くそ!何も見えねえ。

そして、銃声と何かが激突する音がし視力が戻ってくると見えたのは鈴さんに地面に組み伏せられた村上の姿であった。

 

「今の攻撃はよかった。だが、無駄が多すぎる」

 

「レキ様・・・申し訳ありません・・・あなたの弁当を拝むことすら・・・」

 

「蕾姫?お前はそんなにお弁当が食べたいの?」

 

「当たり前だ!レキ様のお弁当を食すことこそわが人生に置いてのこの上ない喜び!」

 

「ふむ」

 

鈴さんはマントに手を入れて取りだしたのは弁当箱。

 

「そこまで言うなら食べるか?」

 

「そ、それはまさかレキ様のお弁当!」

 

組み伏せられているが村上はその存在が近くに来た事を悟った。

というか、気付いたら机の上にあったレキのお弁当箱が消えてるよ。

 

「・・・」

 

鈴さんがパカッとレキのお弁当箱を開ける。

な、中身は何なんだ。

 

「・・・」

 

鈴さんは一瞬、弁当を見ていたがやがて

 

「あなたの名前は?」

 

「村上正です!お、お弁当を早く!」

 

「そうか。では、村上君の願いは適わない」

 

「何!」

 

「なぜならこのお弁当は・・・」

 

ごくりと俺達が息を飲む。

 

レキのお弁当の中身・・・それは・・・

 

「空だからだ」

 

「「え?」」

 

その場にいた全員が同じ言葉を口にした。

か、空?

 

「・・・」

 

鈴さんが無言で組み伏せていた村上を開放し弁当の中身を見せ俺達の方にもそれを向けた。

な、何にも入ってない・・・空だ。

 

「ど、どういうことだ・・・は!そうだ!そのお弁当箱を貸していただきたい」

 

「・・・」

 

鈴さんが無言で村上にお弁当箱を渡すと村上は右手で中身を救うように口を開けてかきこむ仕草をとり口をもぐもぐする。

 

「何をしてる?」

 

「レキ様の弁当の中身は空気だ!そうに違いない!なんという美味!レキ様の味がする!フフフ、勝ったぞ!椎名!私はレキ様のお弁当を食べたのだ!貴様より先になぁ!ざまみろおおおおおおおおおおおおおお!」

 

そう言って村上は叫びながら弁当箱を鈴さんに返して走り去っていった。

えっと・・・どういうこと?レキのお弁当の中身は空気?風風言ってたレキならそれはありえるのかな?

で、レキのお弁当は俺は食べれず村上に食べられたということ?

 

「どういう事なんでしょう鈴さん?」

 

「知らない。蕾姫に直接聞くと言い」

 

「フフフ、青春ね」

 

鈴さんに弁当箱を突き返され、雪羽さんはにこにこ成り行きを見守られる。

そうだな・・・こうなったらこの空の弁当の中身は空気だったのかそれとも、何か理由があるのかはレキに尋ねるとしよう。

2人に礼を言ってその場を後にする。

ちなみに、RRRの会員達だが近所の通報で警察が来た時には霞のように消えてしまっていた。

あるものはいきなり消えたと言っていたがその数時間後海から多数の武偵校の生徒が上がってきたのは余談である。

一応言っておくが今回の事件での死者は0だった。

そして、最後の謎であるレキの弁当の中身が空だった理由・・・それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

家に帰った少女が見たものそれは・・・

冷蔵庫の中に入っている2つのおにぎり。

初心者だろうが玄人だろうが誰でもできるのがおにぎりだ。

 

「ガウ」

 

彼女にしては本当に珍しく入れ忘れるという。しかし、致命的な失敗に冷蔵庫の前に立って何も言わない少女レキににハイマキはそんなこともあるさと言うように一言鳴くのである。

そして、おにぎりはハイマキのお腹へと消えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             †

             †

             †

 

RRRが壊滅しレキのお弁当が空だったのでこれ以上追われる心配はないと考えた俺は魔封弾受け取りのために空き地島に来ていた。

前に置いてあったルーの残骸は綺麗に無くなっていおり周りには誰もいないためか不気味な潮風が頬に当たる。

 

「椎名優希か?」

 

振り返るとそこにいたのは防弾制服ネロと思われる黒いスーツ姿の男だった。

手にはアタッシュケースが1つ。

 

「はい、俺が椎名優希です」

 

「そうか」

 

それだけ言うと男はアタッシュケースをポンと地面に投げ捨てる。

 

「その中に約束の物は入っている。説明書もな。魔封弾の使用した後のレポートは毎回メールしろ。アドレスや連絡先もそこに入っている。詳細なことは中に入っている説明書を読め」

 

それだけ言うと男はその場を後にしようとしたので慌てて声をかける。

 

「え?それだけですか!どんな使い方とか説明は・・・」

 

男が振り返る。

 

「詳しいことは中の説明書に書いてある。少し言っておくが1のケースには6発ステルスを内包した魔封弾が入っている。2のケースからは空だ。お前にステルスの知り合いがいるなら入れてもらうといい」

 

そう言って再び立ち去ろうとした男に俺は少しだけ戸惑いながらもアタッシュケースを手に取る。

中を開けてみると確かに弾丸を入れるために小型のケースが詰められている。

それぞれには番号が振ってある。

説明書はこれか・・・むう、暗くてよく読めん・・・京菱の倉庫に帰ってみるか・・・

そんなことを考えていると電話の着信音。

ん?理子か?

 

「もしもし?理子か」

 

「……」

 

電話の向こうからは何も聞こえない。

確認するが通話中だ。

 

「理子?おい!」

 

まさか、なんかあったのか! 

 

「クフ」

 

しかし、向こうからは笑い声が聞こえてきたので少しほっとした。

 

「クフフ、ユーユー理子のこと心配しちゃた?しちゃたよね。作戦セイコー!」

 

「あのなぁ」

 

無事ならいいが心配させんなよ 

 

「用件はなんだ?」

 

「美少女からの電話は冷たくしたら駄目だぞ!理子フラグ折れちゃうよ」

 

「そりゃ大変だな」

 

「あー、折りたくないの?理子フラグ!」

 

「今はおる気はないな」

 

「え?」

 

なんか面くらった声だが言っとくかな

 

「フラグとかよく分からんがそれ折ったら理子が離れるだろ?そんなことしねえよ」

 

お前は絶対に助けてやる。ヒルダを倒してな。

魔封弾のケースを握りしめそう決意していると小さく理子が何か言った

 

「…る……いな……優希は」

 

「ん?俺がなんだって?」

 

「なんでもないよ!ねね、ユーユー今からデートしない?」

 

「はぁ?」

 

デートって別に俺とお前付き合ってないだろが

 

「1時間以内に理子のとこにくること!じゃーねー」

 

「あ!待て理子!」

 

ツーツーと電話が切れた音…続けてメールで地図が送付されてくる。

ここにこいってことか理子め!

かけ直すが出やがらねえ!

無視するわけにもいかんし東京にはヒルダもいるかもしれない訳で行かない理由がないんだよな…仕方ねえ行くか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




レキのお弁当を食べた気になる村上(´・ω・)カワイソス

さて、だらだらきましたがだらだらは続きます。
次回はレキデートに続く名前付きタイトル!理子デートです!
予定では理子デート後、少ししたらクライマックスの戦いに突入予定です!
あのチートヒルダを倒す方法は原作!そして、後は秘密(笑)

ローズマリーは動かないのか!アズマリアは!姉さんは!公安0は!

ってあれ?東京って混沌としてますね相変わらず(笑)

原作最新刊も読みましたがルーかわいい!ジサード羨ましいやつめw
しかし、優の緋刀もイロカネに絡みますが原作まで追いついたらどうなってるやら…
で!いよいよ知りたかった内容が明かされつつあります。
知りたい方は原作を買いましょう!ルーの挿絵かわいいですよ!後、表紙!
クライマックスへと思いきや赤松先生はまたまだクライマックスは遠いとのこと!楽しみですね。
そして、更に驚きの発表!うん!買います!出たら買いますとも!
緋弾のアリアはやはり大好きです!

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