緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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そろそろ失速ですかね(笑)


第224弾 第三の○○○

「少し予習からね」

 

そう言いながら、エルは英語は当たり前、日本史や数学、生物も完璧に授業についてきている。

リゼも多少は、エルには劣るものの普通に授業についてきていた。

うーん。

そんな2人を観察しながら俺は先ほどの屋上での会話を思い出していた。

 

                 †

                 †

                 †

「お前女だろ?」

 

「そうだよ」

 

あっさりとエルは認める。

そう。エルは今、男子の制服を着ているが女なのだ。

はっきりした理由は忘れたがワトソンの家では男が生まれなかったらしく女であるエルを男として育てたのだ。

ちなみに、俺が知ってるのは情けないような話だがエルの着替えを間違って覗いてしまったから。

あの頃の俺は、子供だったから当たり前なんだが結構そんなとこに無頓着だった。

見てはいけないものを見てしまったんだ。

一般人なら多分、消されていたかもしれない秘密をだ。

名家の人間万歳だとちょっとだけ思ったね。

 

「東京武偵校を選んだのはアリアの件もあるけど優希がいたからさ。僕の秘密を守るの

協力してくれるよね?」

 

「そりゃ、別にいいけど・・・」

 

「アリアのとの婚約についても心配はいらない。両家公認だしね」

 

イギリスって同姓婚認められてか?いや、あくまで男と女というのが世間的にするんだろうが・・・

 

「その・・・跡取とか困るんじゃないか?」

 

当たり前だが女と女じゃ子供は出来ない。

そう言った問題はどうするんだ?

 

「今は、遺伝子工学も発展してるからね。その辺りもどうとでもなるよ」

 

ああ、試験管ベイビーって奴かな?

でもそれにしてもなぁ・・・

 

「その話はまた、ゆっくり話そう。それより前に言ってた話、考えてくれたかい?」

 

ああ、それか・・・

 

「卒業前って話じゃなかったか?」

 

「そうも言ってられない状態になったのは君も理解できてるだろ?」

 

「まあな」

 

極東戦役の勃発。その結果あれに対する答えも早まるというわけか・・・将来の就職先の1つとしか考えてなかったんだが・・・

 

「君がリバティーメイソンに来てくれるなら僕らは歓迎する」

 

そう、誘われていたのだ。

イギリスを始めとするヨーロッパを主軸にしている組織、リバティーメイソンに・・・

 

「リバティーメイソンは確か、戦役では中立を宣言していたな。どっちにつく?」

 

中立貫くと言うならそれもいいがこれだけはちゃんと聞いておかないとな

 

「それを聞く前に答えてくれ、優希。君は師団と眷属どちらが優勢だと思う?」

 

「どちらが?」

 

少しだけ考えてみるが明確に師団に属している連中は俺の目から見ても強い。

だが、眷属はと言われれば正直な話ほとんど、分からない。

ヒルダやパトラがやばい奴だということは1戦交えているから分かるが100%勝利できないというわけではない

こちらが最大限に有利な状況に持ち込めば勝つこと不可能じゃないはずだ。

問題はアズマリア率いるガイア騎士団とかいう組織。

アズマリアという子はとんでもない化け物で眷属に所属している。

災悪の魔女と呼ばれた先代、アズマリアは姉さんが倒すまで誰も倒せない存在だったそうだ。

つまり、姉さんクラス・・・

師団には姉さんが肩入れしているが姉さんは明確に所属するとは言っていない。

それに、北条・・・あの爺さんはかなり、危険な感じがする・・・

姉さんを師団に加えないなら正直、眷属優勢・・・姉さんを加えれば師団・・・

互角ともいえるがそうとも言えない・・・

現状、アリアの殻金は眷属がほとんど保有している状況だからだ。

そう言った総合的なものを見るなら・・・

 

「眷属だろうな・・・あくまで、今現在はという意味だけどな」

 

「そうだね。水月希・・・君のお姉さんが師団に所属を明確にしない限り師団は不利だ。アリアの殻金も半分以上、眷属が握ってるしね」

 

「こういう会話をするってことはリバティーメイソンは眷属につく気か?」

 

「まだ決まったわけじゃない。だが、おそらくは眷属につくことになるだろうね」

 

「そう・・・か」

 

エルが敵になるということか?

 

「・・・」

 

一瞬、黙っていたリゼと視線が合い間に火花が散った気がする。

そうだなこいつも敵に・・・

 

「優希。君にもリバティーメイソンに所属してほしい」

 

「そして、眷属にか?悪いが断る」

 

即答させてもうよこればかりは、師団には恩がある人が多すぎる。

あの人達を裏切ることなんて絶対に出来ない。

 

「俺は仲間を裏切る気はない」

 

「そう言うと思ったけど優希、君は少し誤解してるよ」

 

「誤解?」

 

「リバティーメイソンが眷属へ参加を表明し、君が僕らの仲間になれば君にやってほしいのは説得だ。少なくても日本の武家の2つは君の意見を無視することは出来ないだろう」

 

「信冬と本家に眷属になれって言うのか?俺なんかの意見が・・・」

 

「優希、君は自分という存在を過小評価し過ぎてるね。君の存在は君が思っている以上に大きいんだよ」

 

「俺はただの学生だよ。武偵って少しおまけがついたな」

 

「NO、君は日本の裏社会で絶大な権力を持つ武家の長男だ。そして、水月希の弟。この2つだけでも戦場で核爆弾を持っているようなものだよ」

 

か、核爆弾って俺そんなに物騒なのか?

 

「更に、君は世界中に色々な人脈がある。そして何より、緋刀の力はアリアの緋弾と並ぶ力だ」

 

緋刀か・・・今は、使えないんだが黙っとくか・・・

 

「優希、君は君が思ってる以上に大きな力を持ってるんだよ。君がこちら側で説得に回れば戦役は早期に終結し、アリアも緋緋神にならずにすむんだ。アリアを僕は殺したくない。君もそうだろう?」

 

「当たり前だ」

 

アリアは絶対に殺させない。

眷属だろうが師団だろうがアリアを殺しにかかるなら俺はそれに敵対する覚悟はもう出来てる。

 

「ならば、君はリバティーメイソンに来るべきだ。もちろん、アリア達も歓迎するよ」

 

エルの言ってることは全部は間違っていない。

俺がリバティーメイソンに行き、眷属に所属し、師団の勢力を眷属に勧誘する。

そうすれば、アリアの殻金はすぐに揃う・・・

アリアは緋緋神になることはなく助かる。

師団で戦い殻金を全部集めるまでに、アリアが緋緋神にならない保証はないし戦役がどれほど続くかもわからない。

そして、現実的に見れば緋緋神となったアリアを守るために殺しに来る連中とまともに俺が戦っても勝ち目はない。

アリアを救うなら俺は眷属に所属するのがそれが一番の近道。

だが、師団のみんなが俺の説得に耳を傾けなかったら・・・

俺は家族や尊敬している人達を・・・

戦わないとしても見て見ぬふりをするということは結局は・・・

だが、アリアを救う1番の近道は・・・

俺はどうすればいいんだ?

 

「・・・少し考えさせてくれ」

 

数分前までは迷わず言えた師団を裏切らないということ・・・

今は正直迷いが生じている。

 

「ゆっくり、考えてくれて構わない。君が結論を出すまでは僕らは中立でいよう。だが、なるべく早く結論を出してほしい。師団と眷属の戦いはいつどこで起こるか分からず状況は変化するものだからね。待てない状況と言うのも起こりえる」

 

「ああ、分かった」

 

「君達が手を焼いているヒルダ、彼女も眷属だ。君が眷属になるのは峰理子を救うことにも繋がるんじゃいのかい?」

 

「そうか・・・理子を含めたバスカービル全員が?族に移るなら理子の問題も解決できるってことだな?」

 

「僕はそう思ってるよ」

 

「・・・」

 

エルと話しているといい面ばかりが目についてくる。

アリアを救えて理子も救える。

バスカービルごとなら友達とも戦わなくて済む・・・

信冬や実家も説得して・・・

いや、結論はまだ出さない。

軽々しく絶対に決められない。

 

「結論はまだ、出せない」

 

エルはそれを聞いて頷いてから

 

「それでいいよ。でも、僕は君が仲間になってくれると信じてる。だからこそこの話も持ってきたんだ」

 

も?なんか、別の話あるのか?

 

「なんだ?まだ、何かあるのか?」

 

「このリゼはリバティーメイソンの中でも有力者の娘さんでね。君への婚約者候補として連れてきたんだ」

 

「こ、婚約者だって?」

 

いきなりの発言に俺を冷たい目で見ているリゼを見る。

いやいや、おかしいだろ!この子明らかに俺嫌ってるよ!

 

「君はこちらでいう貴族だ。リゼも僕と同じ貴族だから家柄的に問題はない。日本とイギリスの裏社会の絆を高めるためにもこの縁談を・・・」

 

「ちょ、ちょっ!待てエル!いきなりすぎる!」

 

何も発言しないとずるずると行きそうだったので慌てて言ったがどうなってるんだ!

 

「そうだね。少し急ぎ過ぎかな?じゃあ、リゼをしばらく君の近くにおいてやってくれないかな?」

 

「なんで!?」

 

「まずは、互いを知るところから始めよう。それからでも・・・」

 

「だから待てって!俺はそんな気は・・・」

 

「ごちゃごちゃ言わないでさっさと結婚してください」

 

「だから・・む・・」

 

ふわりと金髪が俺の視界をふさぎ、リゼの顔がアップになり、唇同士が軽く触れ合う。

それは、ほんの一瞬、だったのだが・・・

キス・・・しちゃったぞ

 

「ファーストキスです。これで、私と結婚してもらえますね」

 

リゼはそういうと口元を僅かに歪めた。

 

                  †

                  †

                  †

 

「疲れたなぁ・・・」

 

その日の放課後、エルに食事を誘われたが断りアリアと話そうとしたんだが連絡が取れなかったので仕方なしに寮に戻りソファーで雑誌を読んでいると携帯に着信があった。

 

「信冬か」

 

こちらは、正式にはどうなってるのか分からないが昔の婚約者だ。

 

「はい、もしもし。どうかしたのか信冬」

 

「こんばんは優希、お疲れのようですね?」

 

第一声で見破るとはさすがは第一婚約者様だな・・・

 

「ちょっといろいろあってな」

 

「仕方ありません。極東戦役の勃発は予想できた事ですがアリアさんの殻金の件は予想できないことでしたから優希が疲れるのは無理のないことです」

 

極東戦役もそうなんだけど俺が疲れてるのは新たな婚約者さんのことなんですけどね・・・

信冬に言ったら何言われるか分からないから言えないんだが・・・

 

「まあ、そんなとこだな。何か用だったか?」

 

「用というほどではありません。ですが、先日もゆっくりと話す時間もありませんでしたから電話をするべきだと信秋が・・・」

 

信秋?誰だ?信冬の部下か?

電話の向こうから信冬じゃない誰かの声が聞こえたが会話までは聞こえない。

 

「んじゃ、少し雑談するか」

 

「はい、私は大丈夫ですよ」

 

そこまで言った時ピンポーンとインターホンのなる音がしたので

 

「ん?ちょっと、悪い信冬。誰か来たみたいだ」

 

「では、切りましょうか?」

 

「いや、誰か確認してからでいいだろ」

 

そう言って俺は繋がったままの携帯を手にドアに向かうとカギを開けてからドアを開けた瞬間固まった。

 

「コンバンワダンナサマアナタノコンヤクシャリゼデス。キョウカラオセワニナリマス」

 

ものすごい棒読みでちょっと口元を緩めメイド服のリゼがそこに立っていた。

冷や汗がものすごい勢いで流れていく。

 

「婚約者?」

 

携帯の向こうから信冬の声が聞こえる。

ばっちり聞かれちゃったみたい・・・

 

「セイイッパイアイシテクダサイユウキサマ」

 

第一婚約者と第三婚約者に挟まれ俺は思った。

テレポート能力誰か俺に頂戴!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




優には道が2つあります。
敵の中に入りアリアを救う道
あくまで、仲間と共にアリアを救う道

ま、どちらにせよ優君の周りには女の子が増えるのでした(笑)

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