緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

223 / 261
誰も見てないかも…お久しぶりの草薙です


第222弾 迷う優希

エルの爆弾発言の後、真実を問いただす前に警察が大挙して現れ俺はたちはいろんな理由からちりじりになった。

エルとリゼはアリアの弁護士に話があるらしく一緒に行ってしまったしアリアとキンジは先に帰るという事で別れる。

許嫁発言の件は後でエルかアリアに直接聞けばいい。

理子は急に用事があるという事で乃木坂駅の方に急ぎ足で向かって言ったので俺はキンジ達に理子を追うとつげて、別れるとその後を追った。

ヒルダの件もあるが何より、理子の事が心配だった。

 

「理子!」

 

ようやく、追いついて肩に手を置くと理子は一瞬、びくっと何かに脅えるように体を揺らした。

振り返って俺の顔を見ると一瞬、どうしていいかわからないように目を泳がせた後

 

「何か用?」

 

これは、裏理子の方か・・・

 

「何かじゃねえよ。大丈夫か?さっき、ヒルダに・・・」

 

「はっ、無様に負けてよくいう。優希」

 

理子は顔を少し下げ、髪で表情がよく読めなくなった。

う・・・そう言われると弱い・・・が

 

「次は勝つ・・・さ」

 

「勝つ?どうやって?」

 

「それは・・・」

 

正直な所、今回のヒルダはまるで、本気でなかったと思う。

条件も最悪みたいなことも言ってたし全開で来られたらおそらく勝負にすらならないかもしれない・・・

俺はまだ、弱すぎるんだ。

 

「話にならないね」

 

理子はふっと笑ってから俺に背を向けると早足でその場を去ろうとする。

俺は手を伸ばしかけその手を下ろす。

今、俺に出来ることはない。

いや・・・あえて、言わせてもらう

 

「それでも理子!俺はヒルダを倒してお前との約束を果たす!」

 

必ず助けると言ったあの子供の頃の約束を・・・

 

「・・・」

 

聞こえたかは分からない。理子は振り返らずに人ごみの中に消えていった。

 

「絶対にヒルダは倒してやる」

 

俺は自分に活を入れてから理子が消えて行った方とは逆の方に歩きだした。

 

                  †

                  †

                  †

 

東京都内に存在しているある建物の中にその部署の人間達は働いている。

『公安0課』、でかでかと掲げられているわけではないがその存在は闇の人間には恐れられている存在である。

理子達と別れて俺が来たのはここだった。

 

「土方さんならいないよ。あの人、極東戦役の件で総理大臣に呼ばれて近藤さんと首相官邸じゃないかな?」

 

許可をもらってオフィスに入ると相変わらずやる気のない沖田刹那がスマホをいじってだらけていた。

他にも数人いたが、どいつもこいつも恐ろしいほどのやり手だと肌で感じさせられる。

にしても、土方さんは今日は会えそうにないか・・・

流石に、首相とは俺も知り合いじゃないし・・・というかころころ変わるから今の首相とは知り合いではないというわけだが・・・

 

「それならいいんだ」

 

こいつに関わると面倒なことにしかならない。

だが、俺が退出すより前に後ろから沖田が言ってくる。

 

「聞いたよ君。紫電の魔女に負けたんだって?しかも、昼に」

 

小馬鹿にしたように沖田が鼻で笑う。

ちくしょう・・・

 

「ああ、そうだよ」

 

「アハハハハ」

 

事実なのではっきり言ってやったらこの野郎・・・

 

「まあ、いいんじゃない? 吸血鬼ごときに、遅れ取ってるようじゃそのうち死ぬね君」

 

ごときときたか・・・

だけどな

 

「といいつつお前も勝てないんだろ沖田?」

 

「何?喧嘩売ってる?優希君」

 

一瞬、目を細めて沖田が言う。

あれ?もしかして、楽にヒルダ排除できるかな?よーし

 

「だってそうだろ。あいつは電気。お前は水。相性最悪じゃねか」

 

水は電気をよく通すからな。

 

「何だ?何の話してるんだ?」

 

突然、の太い声がして振り向くとスーツ姿の大男が立っていた。

2メートル以上ある大男だ。

で、でけえ

 

「丁度いい、原田さん。唐突ですけど紫電の魔女と僕が戦って勝つのはどっちだと思います?」

 

「いきなりだな沖田。んん?紫電の魔女ってあれだろ?この前捕まえたブラドの娘・・・

どう考えても沖田の勝ちだ」

 

ぶしょうひげをじょりじょり手で擦りながら原田さんが言った。

この人とはあんまり、話したことはないが一応顔見知りだ。

だが、明らかに相性の悪い相手にどうやって勝つかは聞いておいて損はない。

この人達は全員殺しのライセンスを持つ戦闘集団だ。

それも、全員SランクとRランククラス。

無論、それ以下もいるにはいるんだろうが・・・

 

「どうして、沖田が勝つって分かるんですか原田さん。相性は最悪ですよ」

 

水は電気をよく通す。子供でも分かることだ。

 

「そうでもないぞ。全く不純物のない純水は電気を通さない。それを纏えば紫電の魔女の電気は通さない。そして、魔臓は圧縮した水の散弾一斉射撃で同時破壊。これで、紫電の魔女は排除できる」

 

「こんな風にね」

 

沖田が缶コーヒーの空き缶を投げ、ごぼりと音がした方を見ると蛇口から出てきた大量の水が凝縮し、分裂し1部が流しに落ちたかと思うと大量に分裂するとそれらは一斉に缶コーヒーに激突・・・いや、粉砕した。

バラバラになったアルミ缶が床に落ちて音を立てていく。

これが人間だったら・・・いや、吸血鬼であってもまともに食らえば即死だろう。

悔しいがすごいな・・・これがRランクの境地。

ステルスか・・・俺にもこんな力があればな・・・

 

「で?誰が負けるって?優希君」

 

ふんと沖田が鼻で笑う。

くそ・・・

 

「ワハハ、こいつは別格だ。そう、落ち込むもんじゃないぞ椎名君」

 

原田さんが豪快に笑いながら言うが俺の気分は最悪だよ。

でも、この際だから聞いておこう。

 

「原田さん」

 

「ん?」

 

「ヒルダについてですが・・・」

 

強くなるには強い人に学ぶのがいい。

ヒルダと再度、激突する日も遠くない。

極東戦役が続く限り、明日にでも再度激突する可能性もあるのだ。

早く、強くならないといけない・・・

そうじゃないと・・・

 

               †

               †

               †

 

≪サイド土方≫

 

 日本の政治の中心って言えば国会だ。

だが、首相官邸も首相が住むという点では日本の中心と言っていい場所なのかもしれない。

そんな、官邸の一室に通された近藤さんと俺を迎えてくれたのは大沢内閣総理大臣。

既に、何回か顔を合わせており、今回も報告と現在の状況を報告し、その途中で大沢さんが話を切り出してきた。

 

「大アルカナ・・・かつての最悪の魔女、アズマリアが極東戦役に現れた・・・」

 

「総理、正確にはアズマリアの娘です。彼女本人じゃない」

 

近藤さんが訂正を入れるが大沢は首を横に振る。

 

「もちろん、分かっている。彼女本人であれば君達や自衛隊を動かしてでも排除を命令しているさ」

 

極東戦役に現れたアズマリアの娘、同じ名前のアズマリア。

もう、20年近く前の話だが、当時、アズマリアが率いた大アルカナは世界を滅ぼす寸前という未曽有の危機をもたらした。

それも、表の人間達は、そんな事実があったことも知らない。

世界の裏側で存亡をかけた戦いは行われたのだ。

 

「ガイア騎士団と言ったか?連中はあの、アズマリアの意思を受け継いでいる可能性はないのか?あの時のような、事態になるのは困る」

 

「彼女が同じ意思を継いでいるのであれば公安0が排除します。ご心配はいりません総理」

 

「本来であれば裏の世界の戦役には表の権力は介入しないのが原則だ。あれは、国家の裏での戦いでもあるからな」

 

そう、少なからず戦役にも国という存在が見え隠れしている。

アメリカや中国などがその代表だろう。

 

「だが、アズマリアの件は話は別だ。近藤君、アズマリアの娘が本当に危険と判断した場合は公安0が動くことを許可しよう。殺しのライセンスはそのためにある」

 

つまり、やばいと感じたら殺してでもなんとかしえろということか・・・

 

「それは、極東戦役に介入しろという事ですか?」

 

一人の少年の姿を思い出しながら言うと総理は頷いた。

 

「限定的な介入だ。だが、戦いに全面的に介入する必要はない。裏の戦いは裏に任す」

 

だが、それなら・・・

 

「武田や椎名の本家には助力を請わないのですか?彼らはそれこそが本領のはずです」

 

「私は残念ながら彼らを必要以上に信頼していない。武田は年若い学生が継ぎ未熟だ。椎名に至っては未だに、跡継ぎの問題も解決していないそうじゃないか。魔女連隊に手痛くやられたという報告も受けている。その点は君の方が詳しいんじゃないのか土方」

 

日本には裏社会としての武家、椎名と武田がある。

昔は、北条を含めた3家であったが北条がとある事件で没落し、更に、椎名と武田は内部でごたついている。

平和ボケといっていいのか迷うところだが魔女連隊に椎名は本家に攻め込まれる大失態。

更に、武田は若すぎるトップ。

それを言うなら椎名の後継者と目されてるあの鏡夜や優希も同じだろう。

 

「それは・・・」

 

「そう言えば、先ほど、面白い報告も受けている。椎名の問題児が紫電の魔女に負けたそうだな」

 

「負けたわけではありません。状況的には引き分けかと。それと、のぶ・・・武田の跡継ぎも相当に努力していると思います」

 

「かばうな、土方。やはり、チームメイトの弟と義妹だ。そういう気持にもなるな」

 

どうやら、大沢首相は裏社会で絶大な権力を持つ2家をよく思っていないらしい。

だからこそ、公安0に戦役の限定的介入の話を持ち出してきたのだろう。

 

「ゆ・・・椎名優希は希の弟です。それに、あいつは勝つために努力する男です」

 

「水月希か・・・」

 

首相はふーと息を吐いてからソファーに深く座った。

 

「世界最強の弟だから心配はいらないと君はいいたいのか?いざとなれば姉が弟に助太刀するから負けはないと?」

 

「希は気まぐれな奴です。椎名優希のことは大切に思ってるはずですが常にあいつを守るわけじゃありません」

 

「ふむ・・・では、紫電の魔女に彼が勝つのは難しいのではないか?」

 

「1人じゃ勝てないかもしれません。ですが、あいつには仲間の存在がある」

 

「仲間か・・・そう言えば、遠山の血筋も同じチームメイトだったな・・・緋弾のアリア、遠山、星伽、ウルスのレキか・・・よくもこれだけの面子が揃ったものだな」

 

「仲間を信じ仲間を助けよ。それが、武偵憲章の1つでもあります」

 

「・・・」

 

大沢首相は何かを考えたようにしてから

 

「本当は君達に紫電の魔女を東京から排除してもらうか検討するつもりだったんだがそういうことなら見送ろう。イギリスからの圧力もある」

 

「イギリスですか・・・」

 

「イギリスは1枚この事件に噛んでるな・少なくても無関係じゃないはずだ」

 

「007が来ると?」

 

「そうなれば、君たちには本気で動いてもらわんといかんだろうが多分、来ることはない。イギリス・・・正確にはイギリスの武偵の頭共が例の神埼の娘を強引に日本に引きとどめたことが恨みを買う原因らしいな」

 

「神埼の娘、神崎・H・アリアの裁判の件大沢首相は何かご存じなんですか?」

 

あの裁判には裏がある。

無実を有罪にする濃い裏だ。

その裏をこの首相は知っているのか・・・

 

「・・・」

 

大沢は一瞬、黙りこんでから一息吐いて言った。

 

「シャーロックホームズ、アズマリア」

 

「その二人が関係していると?」

 

「・・・」

 

大沢は黙ってこちらを見ている。

これ以上、言う事はないという事だろう。

 

「何にせよ。お任せください首相。公安0は必ずあなたの期待にこたえます」

 

「よろしく頼む」

 

近藤さんが強引に会話を打ち切り、首相もそれに応じる。

知る資格はないということだ。

あるいは、神崎・H・アリアとの繋がりがあるからこそ外されたのかもしれなかった。

いずれにせよ最高裁に持ち込まれる神埼かなえの裁判・・・

今のままでは絶望的な状況と言えるな。

 

               †

               †

               †

『サイド優希』

 

「全く、お話にならないぞ公安0」

 

俺はちょっと、気落ちした状態だ・

なぜなら、公安0でヒルダ対策を聞いては見たがあの人達、ほとんどが自分の能力を見せるのを嫌がり教えてくれなかった。

沖田は例外として

まあ、考えてみたら当然だ。

自分の能力を知られたら対策されて自分が危うくなるかもしれないからだ。

だからこそ、俺も切り札としていろんなものを隠して生きてきたのだ。

最近は、使わざる得ない場合が多いのだが・・・

 

「それで、私の部屋に来たんですか優君?」

 

風呂上がりに来てしまったようで少し濡れた髪を鏡の前で整えている秋葉。

裁判には用事があり行けなかったが理子の件もあるし帰りによったんだ。

 

「んん、寮に帰りにくいからなぁ」

 

綺麗に整理された女の子の部屋。

ちょっと、ドキドキとかはないんだけどな秋葉だし。

秋葉の趣味なのかクリーム色の花柄ソファーに座り出されたお茶をすする。

うん、おいしいな・

 

「アリアさんに許嫁がいたからですか?なんで、優君が帰りにくくなるんです?」

 

ここに来る前にある程度はメールで秋葉には伝えてある。

 

「問題はそこだけじゃないだろ・・・エ・・・ワトソンとアリアの組み合わせだからだよ。

キンジとアリア喧嘩してるぞ多分」

 

見なくても分かる。さっき、キンジにメール送ったら一言、アリアなんか知るかと返ってきたし・・・

とりあえず、あんな険悪な場所に帰りたくない。

流石に秋葉の部屋に泊まるわけにはいかないので今日は、烈風のある倉庫に泊まろう。

幸い、泊る装備は持ち込んであるし。

避難所になりつつあるな・・・

 

「それは分かりましたが優君はいいんですか?」

 

「何が?」

 

「アリアさんとワトソンさんが結婚しても」

 

「物理的にありえん」

 

「?」

 

っと!やばい、これは言っちゃ駄目だったんだ!

 

「物理的ですか?」

 

「あ、あー、なんというかアリアとエルの家柄的に・・・」

 

「名門貴族同士何の問題もないと思いますが?」

 

秋葉さん!頼むからもう、追及してこないで!

 

「いろいろあんだよ。悪いけど追及しないでくれ」

 

「よくわかりませんが分かりました」

 

突っ込んでも俺が口を割らないと判断したのか意外とあっさり秋葉が引きさがってくれたぞ。

物分かり言い子で助かります

 

「で、本題なんだが今回の件、本家はどう動く?」

 

「今回の紫電の魔女、ヒルダに対する対処は優君に一任すると当主代理の言葉です」

 

俺に一任か・・・

秋葉が本家に呼ばれて戻ったのは当主代理の母さんからの指示をもらうためだ。

椎名は裏社会の武家。

今回の宣戦会議には師団として参戦している。

俺はバスカービルで師団だから味方だ。

そして、秋葉は俺と同じバスカービルだが同時に椎名の家の近衛でもある。

より正確に言えば、俺の近衛というなんともややこしい構図が完成するのだ。

俺自身、勘当同然とはいえ、口が裂けても言えんが失くした紫電を預けてもらっているし秋葉も近衛を続けている。

あちらの意向を完全に無視することは難しい状況なのだ。

 

「月詠は?あいつが東京き来てくれれば助かるんだが・・・」

 

俺に一任とはいえ、自由に椎名の戦力を動かせるわけじゃないんだけど・・・

 

「月詠様は現在、日本にいません。詳細は私も聞いていませんがおそらく、極東戦役の件で動いているんだと思います」

 

楽はさせてもらえないわけか・・・

 

 

「他の戦力は?」

 

「鏡夜様は本家での待機命令のため。本家です。他の戦力はこちらに回す予定はないとのことです」

 

「つまり、こっちはこっちで何とかしろってことか・・・」

 

「はい」

 

どちらかと言えば東京は信冬の方の担当だからな・・・あっちはあっちで?属と戦ってるのかもしれん。

椎名の本家の戦力と言え戦役で戦える戦士はほとんどいないと言っていい。

極論から言えば戦えるのは月詠と鏡夜だけ。

それも、鏡夜は正直な話、戦力に数えていいのか迷うところだ。

あいつは、まだ成長中で実戦経験が足りなすぎる。

将来は強くなるだろうけどな

 

「それと、伝言を預かってます」

 

「ん?」

 

すっと秋葉が俺の前に来ると少ししゃがみ上目使いになったかと思うと

 

「優にぃ、たまには帰ってこないと私寂しいよ」

 

本当に寂しそうに秋葉が言うので一瞬、フリーズしちまった。

秋葉が離れてから

 

「と、咲夜様からの伝言です」

 

「了解」

 

近いうちに電話か実家近くまで帰って咲夜に会ってくるかな・・・

ま、それも理子の件が終わってからだ。

 

「それで、優君はどう動くつもりですか?」

 

「ヒルダは多分、東京だ近辺に潜伏してるだろう。話した内容から鬼払い結界の中にいれば襲ってはこないはずだ。それと、あいつは相当自信家らしい」

 

「自信家ですか?」

 

「ああ、吸血鬼は昼間に弱いし晴れた日も苦手って言ってたからな。そんな状況で戦いを挑んでくるんだから自信家だろ?」

 

「そうですね。後、璃璃色粒子・・・ステルスが使いにくくなる粒子が薄いのも原因かと」

 

「よくわからんがそんなのあるのか?」

 

「はい」

 

ということは、そのなんとか粒子って奴が濃い時に仕掛ければ勝機はあるということか?秋葉や白雪などのステルス組の援護は得られなくなってしまうが・・・

だが、そんな状況ではヒルダは姿をかくしてしまうだろう・・・

弱点の時に攻めるにせよ居場所を把握する必要もある・・・

それと最悪、単独でもヒルダに勝てるだけの切り札も用意すべきだな。

あ、そうだ!ブラドの時の・・・

姉さんに電話してみよう。

 

「ちょっとすまん秋葉」

 

「?」

 

スマホを取り出した俺を見る秋葉の前で操作して姉を呼び出す。

しばらくすると

 

「おーう」

 

と姉さんの声。

 

「姉さん?今いい?」

 

「ああ、いいぞ」

 

 

「前に、ブラドと戦った時の吸血鬼の魔臓の動きを鈍らせるあれどこで手に入れたのか教えて」

 

理子に渡したあの弾丸は元々は姉さんから渡されたものだ。

 

「ああ、あれな・・・今は手に入らんぞ」

 

「え?なんで?」

 

「あれ作るには吸血鬼の魔臓が必要なんだよ。あれが最後の魔臓で作った弾丸だから作れん」

 

魔臓が魔臓の動きを阻害するレシピ・・・ああ、そりゃ無理だな・・・

うわぁ・・・手詰まり・・・

 

「分かった」

 

「なんだ?ヒルダと戦うのか優希?」

 

「そうだよ。ブラドの時みたいにあれがあればいいと思ったんだけど・・・」

 

そうなるとヒルダが嫌がってた銀素材の武器で固めるしかないか?

でも銀装備ってめちゃくちゃ高いんだよなぁ・・・

純度高いやつはそれこそ目が飛び出るぐらいの値段するがエルとヒルダのやり取りを見た限り純度の悪い銀装備は効果が薄そうだ・・・

むう・・・

 

「よし、じゃあお姉ちゃんがプレゼントをやろう」

 

「プレゼント?」

 

「知り合いに武偵弾職人がいるからお前に紹介してやる」

 

「武偵弾なら持ってるけど・・・」

 

一応売買人は知ってるし

 

「ハハハ、ただの職人じゃないぞ?変態職人だ」

 

「いや、変態とか・・・」

 

「武偵弾の種類言ってみろ優希」

 

「え?炸裂弾、音響弾、閃光弾だっけ?」

 

「後は魔封弾だな」

 

ま、魔封弾?なんじゃそりゃ

 

「聞いたことないんだけど?」

 

「そりゃそうだ。そいつが開発して特許取得中だからな。まだ、世の中には出回ってない」

 

「どういうもの?それ?」

 

「簡単に言えばステルスの力を弾丸に封印し銃で発射できるらしいぞ。例えば雷なら相手に命中すれば大出力の電流が相手に流れるとかだ」

 

おおうっと!なんかすごそうだぞ

ってことは・・・

 

「姉さんの力も弾丸に込められるってこと?」

 

「それは無理だ。この前試したら弾丸が粉々になった」

 

おいおい・・・

 

「まだ、改良余地が大量にあるらしくてな。実戦で使ってくれる奴を探してそうだからお前を紹介しといてやったぞ」

 

ちょっ、そんな勝手に!

というかそれ試作型じゃないか!そんなもの実戦で使えるのか?

 

「上手くやれば、お前の戦術も広がるだろ?緋刀が使えなくてもステルスともやりあえる」

 

「・・・」

 

確かにメリットは大きい。

魔封弾とやらを使えれば俺のみが使えるわけで世の中に出回ってないということは相手の意表をつける切り札になる。

幸い、俺の周りにはステルス使いがいる。

風と炎だ。

風は秋葉に無尽蔵に供給してもらえるし炎も白雪に頼めば装填してくれるだろう。

あ、そうだ

 

「その試作型なんだけどもう一人、実用運用増やしていい?」

 

「ん?構わんぞ? ああ、遠山キンジか?」

 

「そうそう」

 

キンジを巻き込んでおくと白雪にも頼みやすくなるからな。

 

「確か、遠山キンジはデザートイーグル持ってたな。そっちの口径での調整になるぞそれじゃ」

 

「できれば、俺のガバメントの方の口径も欲しいんだけど・・・」

 

「アリアも試験対象にしろってことだな?ま、頼んでおいてやるよ」

 

「ついでにドラグノフの方も・・・」

 

「ふむ、レキの方だな・お嫁さんも気にしないといかんからな」

 

「誰が嫁だよ!レキは友達だって!」

 

「ハハハ、婚約者だ。少なくてもウルスの里の連中はみんなレキとお前が結婚すると思ってるぞ」

 

「勘弁してよもう・・・」

 

誤解を解くにしても大変そうだ・・・

鈴さんにフォローしてももらおうかな・・・

 

「そういうことならワルサ―に関しても都合付けておいてやろう」

 

理子の分だな。

 

「頼むよ姉さん」

 

「なーに、バラバラの口径で作れっていったら多分悲鳴を上げるだろうが大丈夫だろう」

 

すみません見知らぬ職人さん!

 

「紹介もめんどいな・・・直接お前の家に送るように手配しとくから適当に使え」

 

「ありがとう姉さん」

 

「なーに、峰理子に関しては私も負い目があるからな」

 

「じゃあ、姉さんヒルダ倒してよ」

 

勝てるだろ姉さんなら・・・

 

「私は戦わん。優希、お前がやれ」

 

勝てないからではない。

勝てないなどこの姉にはありえないのだ。

 

「それって、俺の成長のため?」

 

「お前は理子のヒーローなんだろう?ヒーローなら自分の彼女救って見せろ」

 

「ハハ、さっきレキが嫁さんとか言ってたくせに」

 

「2人とも嫁にすればいいじゃないか。なんなら、私が日本に攻め込んで一夫多妻制に改憲させてやろうか?」

 

冗談に聞こえないんだけどそれ・・・

 

「冗談だよね?」

 

「さーてな」

 

電話の向こうからクククと邪悪な顔を浮かべた姉の姿が想像できる・・・

ってうお!

 

「・・・」

 

無表情だが明らかに怒ってる秋葉さんがこっち見てるぞ!

 

「ちょ、秋葉どうした?」

 

「レキさんはやっぱり優君のお嫁さんなんですか?」

 

「い、いやそれはな・・・」

 

「なんなら秋葉も嫁にすればいいじゃないか!ハハハハ」

 

姉さんが大声で言ったらしく電話の声がもろに秋葉に聞こえるぐらいの音量だった。

 

「え?」

 

秋葉さんが怒りのオーラーを沈めてくれたというか恥ずかしがってる?もしかして?

 

「おい、秋葉」

 

「・・・ださい」

 

「え?」

 

「出て行ってください!今すぐに!」

 

暴風が俺を包み込んだと思った時には窓の外に放り出されていた。

4階の高さだってここ!

いや、寮が遥か下に見えるから20階ぐらいの高さだ!

死ぬ!死ぬって!

空中でもがきながら一緒に飛ばされたらしい携帯を手に取ると

 

「姉さんの馬鹿野郎!秋葉に追い出されちゃっただろうが!」

 

自由落下を始める前に慌てて烈風を呼び出すボタンを押してから電話に怒鳴る。

 

「がーんばーれ~」

 

ツーツーと接続が切れた音。

くそ!あの馬鹿姉!殴れないけど殴りたい!

 

「馬鹿姉ぇ!」

 

落下が始まり視界に烈風が迫ってくるのを見ながら猛烈に俺は姉への怒りを叫んだ・

 

 




てなわけで久しぶりの更新です!
誰あんたみたいに言われそうですが生きてますよ!

さて、ヒルダ編に、なってから中々進ませんでしたがそろそろ2週か一週に一回は更新したいとこですがあてにしないでくださいね(笑)

なろうで止まってる艦魂小説も進めないといけないし時間もないです。
せっかく艦これで艦の擬人化が有名になったのに一回も更新できてない悲劇です。

アリアの方では守るものオリジナルの原作キャラ強化に踏み切ります。
その名も魔封弾。
ネーミングセンスないですね(笑)

というのも今のままだとキンジ達原作キャラがオリ敵に対抗できない恐れがありまして新武偵弾の誕生となります。
ぶっちゃけステルス使いはチートですから前々からこの武偵弾は考えにありました。

では次回は頑張って早く更新したいなぁ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。